Z-ONE先生のブルーアーカイブ5D's   作:福留しゅん

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アリス、リンとデュエルする⑨

 ◆三人称視点◆

 

 七神リン

 ライフポイント:700

 手札:0枚

 モンスターゾーン:《究極幻神アルティミトル・ビシバールキン》

 

 陸八魔アル

 ライフポイント:4,100

 手札:0枚

 モンスターゾーン:《琰魔竜レッド・デーモン・ベリアル》、《琰魔竜レッド・デーモン・アビス》

 伏せカード:1枚

 

 勘解由小路ユカリ

 ライフポイント:2,001

 手札:0枚

 モンスターゾーン:《BF-フルアーマード・ウィング》、《ABF-驟雨のライキリ》

 ※現在気絶中。ターンはスキップ。

 

 天童アリス

 ライフポイント:4,000

 手札:1枚

 モンスターゾーン:《シューティング・スター・ドラゴン》

 魔法・罠ゾーン:《セイヴァー・ミラージュ》

 

 現在リンのメイン1。スピードカウンターは各々5。

 

 地縛神と究極神攻略にリソースを費やしたアルたちの前に立ちはだかる神。アルは自分の頬を叩き、活を入れた。どうせ究極幻神のカードテキストだって確認出来ないだろうから、やれることをやるだけだ。

 

「《琰魔竜レッド・デーモン・アビス》の効果でソイツも木偶の坊にしてあげる!」

「あいにくですが、シグナー竜や決闘竜は我が神、ケツァルコアトルの分体。決闘竜たるアビスの効果は神には通じませんよ」

「な、何よそれー!?」

「《アルティミトル・ビシバールキン》の効果を発動。自分、相手フィールドを「邪眼神トークン」で埋め尽くします」

 

 《アルティミトル・ビシバールキン》の周囲を大量の「邪眼神トークン」が発生し、埋め尽くしていく。アル、アリス、そして気絶したままのユカリのフィールドにも侵食していった。

 

 更にはデュエルするアルたちだけでなく、「邪眼神トークン」は勝負の行方を見守る便利屋68社員たちの方にも向かっていく。便利屋68社員たちは応戦するも、無尽蔵に生み出される「邪眼神トークン」に対してきりがない。

 

「みんな!?」

「《アルティミトル・ビシバールキン》の攻撃力はフィールド上のモンスターの数×1,000アップします。よって神の攻撃力は……」

「エクストラゾーン合わせて24,000ですって!?」

「バトルです。《アルティミトル・ビシバールキン》で《シューティング・スター・ドラゴン》に攻撃。マヤクール・カクター!」

 

 リンの発言が正しいなら神の前には《シューティング・スター・ドラゴン》すら無力。アリスは一か八かで効果を発動しようとして、止めた。そしてアリスはアルの方を向き、微笑む。

 

「アル、アリスはここまでです。後はお願いします」

「……! ……。悪いけれど、それはこっちの台詞よ」

 

 神から発せられた天雷が《シューティング・スター・ドラゴン》を襲おうとしたその時、その前に《琰魔竜レッド・デーモン・ベリアル》が立ちふさがった。神の一撃によりベリアルは絶叫を上げて爆散。塵へと消えた。

 

「罠カード《ルート・チェンジ》。攻撃対象を《琰魔竜レッド・デーモン・ベリアル》に移し替えたわ。本当はアリスやユカリへのダイレクトアタックを返り討ちにするためにデッキに入れてたけど……」

「アル! アリスを庇って……!」

「負けたら承知しないんだからね」

 

 衝撃を受けたアルは耐えきれず、その場でクラッシュ、横転。身体をサーキット場で転がし、そのまま倒れ伏した。

 アリスはすぐにでも駆け寄りたい衝動をこらえ、前を見据えて疾走する。そんなアリスに並走するように神と合体したリンが飛ぶ。

 

「ターンエンドです。さあ、次はアリスさんのターンですよ」

「アリスのターンです……」

 

 アリスは自分のデッキに手を伸ばす。しかし簡単に届く位置にあるのに果てしなく遠く感じた。リオから習得した境地、Z-ONEが巡った進化の先。それをもってしても勝てない相手に、次のドローだけで勝てるものだろうか?

 

 遠く感じているのは恐れているからだ。アル、ユカリがここまで繋いでくれた。彼女たち2人だけじゃない。他の大勢の生徒が、先生が頑張っている中で、アリスが負けたせいで全てが終わるのが怖いのだ。

 

 固まるアリスの手に、誰かの手が添えられた。

 

 それはアリスが目覚めた時に側にいたモモイで、ミドリで、ユズ、ケイで。

 ゲーム開発部部員の後ろにはミレニアムの、そしてキヴォトスの生徒がいる。

 Z-ONEや"先生"も見守っている。

 

 そして、それは決して幻なんかではない。

 

「アリス、頑張れー!」

「なに諦めようとしてんだ! デュエル投げ出したら承知しねえぞ!」

 

 サンクトゥムタワーから声を上げたのは便利屋68社員。そして彼女たちの周りにはいつの間にか他のエリアを攻略していた生徒が集まっている。ネルやトキの姿もあって、キヴォトス中の異変を静めた先生たちもいる。

 

 そして、アリスの手に手を乗せたモモイたちは、ソリッドビジョン体でアリスに向けてガッツポーズしてみせた。アリスはそれが嬉しくてたまらなくなり、自然と涙がこぼれてしまった。

 

「アリスは勇者です! 神様にも負けません! ドローします!」

 

 アリスが手を伸ばしたデッキトップが光り輝いた。アリスがドローするとそのカードもほうき星のごとく光を帯びる。

 

 そんな光景を目の当たりにし、敵となったリンは不安で身を震わせた。

 

「《Sp-オーバー・ブースト》を発動して、スピードカウンターを4つ増やします!」

「これでスピードカウンターは10……。ですが、神はいかなる手段でも破壊されませんよ」

「《スピード・ワールド2》の効果を発動します! スピードカウンターを10個取り除いて、アリスの場の「邪眼神トークン」を1個破壊します!」

 

 今更フィールドを空けたところで、「邪眼神トークン」はリリースできない。シンクロ素材にもリンク素材にも出来ないため、エクストラゾーンを含む2つの空きではどう足掻こうと神には太刀打ちできまい。

 

 そう高をくくっていたリンだったが、次にアリスが召喚したモンスターを見て、愕然とした。

 

「アリスは《救世竜セイヴァー・ドラゴン》を召喚します!」

 

 それは、まさしく赤き竜の力そのもの。

 

「救世竜……セイヴァー・ドラゴン、ですって!?」

 

 そう、今まさにリンが一体化している神、ケツァルコアトルの。

 

「レベル10《シューティング・スター・ドラゴン》にレベル1《救世竜セイヴァー・ドラゴン》をチューニング! 集いし想いが、輝く奇跡を呼び起こす、光差す道になります! シンクロ召喚!」

 

 現れたドラゴンは《シューティング・スター・ドラゴン》、そして《セイヴァー・スター・ドラゴン》、両方の特徴を持ち合わせた、アクセルシンクロとは別の方向に進化した、神の化身だった。

 

「光来です、《シューティング・セイヴァー・スター・ドラゴン》!」

 

 新たなドラゴンを前にして、リンは目を見開き、言葉を失う。

 

「《シューティング・セイヴァー・スター・ドラゴン》……そんなモンスターはこれまでどのキヴォトスでも召喚されていなかったのに……!」

「ユウセイ先生は言ってました! セイヴァー・ドラゴンは赤き竜の化身、つまりリンの神様と同格です! ですから、効果を無効にする効果は有効です!」

 

 《シューティング・セイヴァー・スター・ドラゴン》が光を解き放つと、神は目に見えて弱々しくなっていく。攻撃力を効果でアップさせていた神はもはや無力な存在となった。

 

「そんな……。神は、赤き竜は私を選んだのではなかったのですか!?」

「バトルです! 《シューティング・セイヴァー・スター・ドラゴン》で《究極幻神アルティミトル・ビシバールキン》に攻撃します! シューティング・ミラージュ・ソニック! 光、よ――!」

 

 アリスもまた救世竜と共に大空を飛び、光となって神へと突撃。その巨体を貫いた。神は貫かれた穴を起点に消滅していき、やがては頭部に到達、リンが神から解き放たれる。

 

「そんな……私が、負けるだなんて……」

「アリスの、アリスたちの勝ちです!」

 

 アリスの勝利宣言によって3対1の変則デュエルはアリスたちに軍配が上がった。

 

 

 ◆◆◆

 

 

「う……ぐぐぐっ……」

「頑張って。あと少しだから」

 

 意識が戻ったユカリは倒れていたアルを回収し、Dホイールでサーキットを走る。デュエルが終了し、地縛神の力で形成されていた地上絵のサーキットも消失を初めている。アルも最後の力を振り絞ってユカリに掴まり、2人はサンクトゥムタワーを目指す。

 

「アル様、こっちです!」

「早く! もうすぐそこまで消えかかってる!」

 

 開け放たれた窓からユカリたちはダイブ。直後にサーキットは完全に消え去った。猛スピードで突撃したユカリたちは壁に激突……はせず、ネルの《クリアウィング》とミカの《スターダスト》が受け止めた。

 

 安心してユカリは気絶しかけたが、まだアリスが残っている。ユカリはアルとともに窓の方へと駆け寄り、外の様子を確認した。アリスは《シューティング・セイヴァー・スター・ドラゴン》で落下するリンを助け出し、こちらへと飛行。サンクトゥムタワー内に飛び込む。

 

 激戦を終えてアリスもリンも満身創痍。それでもアリスはリンに「楽しいデュエルでした!」と元気ハツラツに答え、リンは「ええ、こちらこそ」とはにかみ、2人はアルやユカリと一緒に握手を交わした。

 

 そんなリンに"先生"が歩み寄る。リンは胸ポケットからカードのピースを差し出した。"先生"はこれまでの階でみんなが連邦生徒会室長と戦って集めたピースを重ね合わせ、一つのカードキーとする。

 

「"先生"……」

"リンちゃん。後は私たちに任せて、今は休んで"

「連邦生徒会長を……よろしくお願いします。どうか彼女を……救ってください……!」

"勿論だよ。必ずリンちゃんたちと一緒に卒業式には出てもらわなきゃね"

 

 リンは自分たちを越えていった先生たちに後を託し、意識を失った。




ようやく勝負が決まりました。架空デュエルは残り1回です(プロットすら練ってない百花繚乱やオラトリオは除く)。この調子なら今年中には一旦この概念も完結出来ると思います。

ご意見、ご感想お待ちしています。
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