Z-ONE先生のブルーアーカイブ5D's   作:福留しゅん

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"先生"、アロナを卒業させる③

 エラー

 ライフポイント:1,250(《とどまらぬ大地》の効果で4,275に固定)

 手札:0枚

 モンスターゾーン:《ストレイン・デスモゾーム》、《ストレイン・フィラメント》、《ストレイン・ボム》、《ストレイン・ニューク》

 魔法・罠ゾーン:《輪廻の海》、《常闇の空》、《とどまらぬ大地》、《天地創造》

 フィールドゾーン:《捻れて歪んだ先の終着点》

 

 シャーレの先生

 ライフポイント:7,950

 "先生"の手札:2枚

 Z-ONEの手札:1枚

 ゼアル先生の手札:5枚

 モンスターゾーン:《No.39希望皇ホープ》、《NO8エーテリック・セベク》、《時械神祖ヴルガータ》

 魔法・罠ゾーン:《ZW-阿修羅副腕》、《ZW-風神雲龍剣》、伏せカード3枚

 

 現在、私のターンが終了しています。

 

 私たちシャーレの先生対エラーの戦いは、おそらく中盤を過ぎた辺りになりました。エラーの手札は尽きていますが厄介な効果を持つ「ストレイン」モンスターは大量に揃っており、どう盛り返すのか用心しなくてはいけません。

 

「私のターン! 《天地創造》の効果で《ストレイン・エンド》をドロー! そしてこのカードが破壊される瞬間、《ストレイン・フィラメント》の効果を発動して、破壊を肩代わりします」

"《常闇の空》の効果で、破壊された《ストレイン・フィラメント》が《エーテリック・セベク》のオーバーレイユニットに……"

「《ストレイン・フィラメント》の効果発動! このカードがモンスターエクシーズのオーバーレイユニットになった時、そのモンスターのプレイヤーのエクストラデッキからランダムに1体選択して、そのモンスターの「e・ラー」モンスターを特殊召喚します!」

「……! 《エーテリック・アメン》が……!」

 

 もう一人のシロコが驚愕の声を上げる中、現れたのは色彩が失われた太陽神。私は《エーテリック・アメン》を直に見ていないのですが、こんな禍々しく虚無感を放つ存在ではなかった筈です。

 

 《エーテリック・アメン e・ラー》のカードテキストを確認。ステータス、効果は《エーテリック・アメン》のままですが、モンスターエクシーズではないのでランクは持っていません。肝心のエクシーズ素材にする効果はフレバーテキストも同然でしょう。

 

「バトルです! 《エーテリック・アメン e・ラー》で《希望皇ホープ》に攻撃!」

"《希望皇ホープ》でその攻撃は無効にするね。ムーンバリア!"

「でしたら、《ストレイン・デスモゾーム》で《エーテリック・セベク》に攻撃します!」

「罠カード《くず鉄のかかし》を発動! その攻撃を無効にします」

「くっ、やはり通りませんか。《ストレイン・ニューク》の効果発動! このカードは自分・相手のバトルフェイズ中に破壊できます。破壊した《ストレイン・ニューク》を《常闇の空》の効果で《エーテリック・セベク》のオーバレイユニットにします。《ストレイン・ニューク》をオーバーレイユニットにしたモンスターエクシーズに、「e・ラー」モンスターはもう一度攻撃できます!」

 

 なるほど。《希望皇ホープ》は《ZW-風神雲龍剣》の効果で破壊を肩代わり出来ますから、確実に1体モンスターを減らす方を選択したのでしょう。

 攻撃は通し、《エーテリック・セベク》は破壊されますが、あいにく無防備にダメージを受けたままでは終わりません。

 

「この瞬間、罠カード《クロス・ライン・カウンター》を発動!」

「えっ? このタイミングでトラップですか?」

「受けた戦闘ダメージの2倍、《希望皇ホープ》の攻撃力をアップします。更に、この効果で攻撃力をアップしたモンスターと戦闘ダメージを与えたモンスターを、強制的にバトルさせます」

「ええっ!?」

 

 エラーが驚きの声を上げている間に私は"先生"へと頷きました。これで《希望皇ホープ》の攻撃力は4,200アップして9,000。《エーテリック・アメン e・ラー》の攻撃力5,100を大きく上回ります。

 

"行っけえ《ホープ》! 《エーテリック・アメン e・ラー》に攻撃! ホープ剣・トルネード・スラッシュ!"

「くうぅっ!」

 

 虚ろなる太陽神は希望の戦士の剣により両断され、大爆発しました。衝撃を受けてエラーが腕で顔をかばいつつ堪えます。もう片方の手で連邦生徒会の制服のフレアスカートがひっくり返らないよう懸命に押さえながら。

 

「更に、罠カード《イクイップ・シュート》を発動」

「へ? どうしてそのカードを?」

「ええ。《イクイップ・シュート》は装備カードを対象のモンスターに移し替え、強制戦闘させるカード。カードテキストに沿うなら「ZW」は「希望皇ホープ」にしか装備出来ないので、不発に終わります。ですが……」

 

 "先生"方とタッグデュエルをする時に備えて色々と実験してみたのですが、興味深いことが分かりました。《移り気な仕立て屋》では無理でしたが、《イクイップ・シュート》だと面白い現象が起こったのです。

 

 突然《希望皇ホープ》が《ストレイン・デスモゾーム》へと疾走しました。そして自分に装備している《ZW-阿修羅副腕》を外し、無理やり《ストレイン・デスモゾーム》に着せたのです。とてつもなく不格好です。

 

 そして、《希望皇ホープ》は改めて《ストレイン・デスモゾーム》を《ZW-風神雲龍剣》で一刀両断。《ストレイン・デスモゾーム》の身体が真っ二つになり、左右に分かれていきます。

 

 まさにやりたい放題。

 エラーの目が点になっていますし、やった側の私や"先生"もドン引きです。

 

「……。理不尽じゃありませんか?」

「でしたら来年度からテキスト外効果を禁止にすることをお勧めします」

 

 これでエラーの場はほぼ無力なモンスターばかり。伏せカードも無く、手札はモンスターカード1枚のみ。バトルフェイズも終わり、後はゼアル先生のターンを待つばかり。普通に考えればこれで勝敗は決したも同然ですが……、

 

「いえ、この程度で先生方の絶望の運命は変わりません! 《ストレイン・デスモゾーム》のもう一つの効果を発動! 手札を1枚破壊することで、戦闘破壊を無効にします!」

"《ストレイン・デスモゾーム》を生かした? いや、これは……"

「破壊された《ストレイン・エンド》の効果を発動! 自分フィールドの全てのモンスターを破壊します。《ストレイン・ボム》が破壊されたことで、2,000ポイントのダメージを与えます!」

"くっ……!"

 

 《ストレイン・ボム》が爆破されてこちらは衝撃波を食らい、危うく吹っ飛ばされかけました。

 しかしわざわざそれだけのためにこんな回りくどいことをして、代償として自分のフィールドをがら空きにするのは割に合いません。

 

「《ストレイン・エンド》の効果処理を続けます。更に、デッキから「アンチ」モンスターを可能な限り特殊召喚します」

"ここにきて別カテゴリーのモンスターを……!?"

「現れろ、《アンチ・ザ・レイ》、《アンチ・ザ・スカイ》、《アンチ・ザ・アビス》、《アンチ・ザ・アース》!」

 

 のちにアロナが言っていました。これらは世界を司る4つの元素を封印する力そのものだと。そして、それは世界を絶望に落とし込んで食らう、彼女の在り方そのものなのだと。

 

「《アンチ・ザ・レイ》の効果発動! フィールドの「アンチ」モンスター4体に重ねて、更にデッキから「アンチ」モンスターを特殊召喚します」

"モンスターエクシーズじゃないのにカードに重ねて召喚するモンスター……!?"

「現れろ! 全ての闇と混沌を統べる絶望の化身!」

 

 私は元の世界で、そしてキヴォトスで多くのモンスターを目にしてきました。シグナー竜、地縛神、アクセルシンクロモンスター、三極神、時械神、モンスターエクシーズ、三幻神、三幻魔、創造神、究極神……。

 

 しかし、目の前に現れた絶望の化身は、そのいずれとも異なりました。あえて例えるなら、世界の敵。人々が希望を抱いて生活する上でいてはいけない存在です。まさに、破滅を呼び込み絶望を齎す神です。

 

「《絶望神アンチホープ》!」

 

 そして、我々……いえ、キヴォトスが乗り越えなくてはいけない運命でした。

 

「攻撃力、5,000……!」

「《絶望神アンチホープ》は全ての希望を奪い去ります! この神がフィールドにいる限り、相手はエクシーズ召喚出来ません!」

"何だって!?"

 

 これはまずい。"先生"もゼアル先生もモンスターエクシーズが主力。シンクロモンスター使いの私のターンは当分先ですから、一度戦線が崩壊してしまっては立て直しが出来ません。

 

「さあ受けなさい、シャーレの先生! 私の絶望を! 《絶望神アンチホープ》で《希望皇ホープ》に攻撃!」

"《ZW-風神雲龍剣》を墓地に送って、破壊を無効にする!"

「けれどダメージは受けてもらいます! アンチホープ・ディスペア・スラッシュ!」

 

 《クロス・ライン・カウンター》の効果は一時的なもの。《ストレイン・デスモゾーム》攻略に《ZW-阿修羅副腕》を使ってしまったため、《希望皇ホープ》の攻撃力を《絶望神アンチホープ》が上回ってしまいました。

 

 《希望皇ホープ》は《ZW-風神雲龍剣》を構えて懸命にこらえて私たちを守りました。おかげでこちら側に被害は出ず、勝負の行方を見守る生徒たちも無事なようです。攻撃が止み、《ZW-風神雲龍剣》は砕け散りました。

 

「これで私はターンエンド。次はゼアル先生のターンですね。エクシーズ召喚出来ない中でどうします?」

「ん……、問題ない。私たちのターン。ドロー」

 

 自分ではデュエル出来ないゼアル先生に代わり、もう一人のシロコが自分のデッキからカードをドローします。メインデッキのモンスターで戦うのか、それともエクシーズ召喚でない形でエクストラデッキから特殊召喚するのか。

 

 色々と予想していましたが、さすがに次の行動は想像を超えていました。

 

「私はデッキマスターに指定してる先生を特殊召喚する」

「え?」

"エクシーズ・チェンジ! 《FNo.0未来皇ホープ・ゼアル》!"

 

 もう一人のシロコの後ろに控えていたゼアル先生が光となって異世界への渦に消え、爆発したと同時に新たな姿となって現れました。そう、絶望の果てに希望を手繰り寄せて到達した、未来へ続く道を駆ける者としての。




実はラストの展開は執筆前の構想から少し変えています。序盤から書き始めて最終章越えた辺りでどうもしっくりこなくなったのが理由です。

ご意見、ご感想お待ちしています。
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