Z-ONE先生のブルーアーカイブ5D's   作:福留しゅん

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ユズ、ケイを撃退する

 ◆三人称視点◆

 

 ケイの指令を受けて機皇帝のパーツは次々と合体していき、機皇帝グランエルが到来した。

 

「そっちがその気ならあたしも容赦しねぇからな。あたしは《SRバンブー・ホース》を召喚して効果発動、手札から《SR吹持童子》を特殊召喚する。《SR吹持童子》の効果を処理して、レベル4の《SRバンブー・ホース》にレベル4の《SR吹持童子》をチューニング! 来い! レベル8、《HSRカイドレイク》!」

 

 巨大ロボット兵器を前にしてもネルは一切怯むことなく手札から高速でモンスターを展開し、シンクロ召喚へと繋げた。

 

(デュエル以外だと相手のカードの効果をデュエルディスクで確認出来ねぇからな。まずは向こうのデカブツをコイツで様子見だ)

 

「シンクロ召喚に成功した《HSRカイドレイク》の効果を発動! フィールドのカードを全部破壊する!」

「《機皇帝》がフィールドにいるので罠カード《ゴースト・コンバート》を発動。破壊された《機皇兵》一体を除外し、《HSRカイドレイク》の効果発動と効果を無効にして破壊します」

「何っ!? くっそ、それでも……! フィールドががら空きだから手札から《SRベイゴマックス》を特殊召喚。手札を1枚捨てて速攻魔法《SRルーレット》を発動、サイコロの出た目は……1。デッキからレベル1《SR赤目のダイス》を特殊召喚。効果を発動して《SRベイゴマックス》のレベルを6にする」

「次から次へと……これだからシンクロ召喚は……」

 

 せっかくレベル8の大型シンクロモンスターを潰したのにすぐさま挽回されたケイは忌々しく吐き捨てた。

 

「レベル6になった《SRベイゴマックス》にレベル1《SR赤目のダイス》をチューニング! シンクロ召喚! レベル7、《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》!」

 

 咆哮を上げてネルのエースモンスターが空を飛翔する。先日アリスを苦しめたモンスターの登場にアリスは一瞬身を震わせたが、ケイは微動だにせず相手とそのモンスターを見据え続ける。

 

「バトルだ! 《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》で《グランエルA》に攻撃!」

「《グランエルG》の効果を発動し、攻撃対象を守備表示の《グランエルG》に変更。更に《グランエルC》の効果を発動。1ターンに一度戦闘では破壊されません」

「ちっ、凌がれたか……」

 

 《クリアウィング》はグランエルパーツの効果を受けて突撃の角度を変更、更に見えない壁に阻まれてパーツの破壊も叶わなかった。

 

「お返しです。《機皇帝グランエル∞》の効果を発動。相手のシンクロモンスター1体をこのカードに装備します」

「はぁっ!?」

「《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》を吸収。シンクロ・アブソープション」

「ぐっ、《クリアウィング》の効果で――!」

「無駄です。機皇帝グランエルはレベル1の機皇帝パーツが合体したモンスター。レベル5以上の上級モンスターを対象とする《クリアウィング》の効果は発動出来ません」

「!?」

 

 《機皇帝グランエル∞》のコア部分より複数ものビームが伸びて《クリアウィング》を拘束。もがく《クリアウィング》を引き寄せ、自身のコアへと吸収する。飲み込まれる自分のエースの最後に愕然とするネル。

 

「あたしの《クリアウィング》が……!?」

 

 ネルを初めとしてその場にいた一同はようやく実感した。

 機皇帝とはシンクロに対抗するための兵器、いわばシンクロキラーだと。

 それはモーメントと共に発展してきたミレニアムにとって天敵とも言えた。

 

「機皇帝グランエルで《デコード・トーカー》を攻撃。機皇帝グランエルの攻撃力は自分のライフの半分に吸収したシンクロモンスターの攻撃力を加えた数値になります」

「攻撃力6,500!?」

「グランド・スローター・キャノン」

 

 グランエルより発射されたビーム砲は的確に《デコード・トーカー》を捉えて爆散させる。周囲に広がる爆風を受けてチヒロは踏ん張りきれずに吹き飛ばされ、地面を転がった。

 

「邪魔者は消えました。さあ、王女」

「ケイ……」

 

 歩み寄るケイにアリスは身構えて己のデッキに手を伸ばそうとして、その手に他人の手が乗せられた。その手は震えていたが、手の主は怯えながらもしっかりとアリスを見つめていた。

 

「い、今は……まだアリスちゃんが動くべき時じゃない」

「ユズ?」

「わ、わたしが動くべき時……!」

 

 ユズは勇気を振り絞ってD・パッドを展開、D・ゲイザーをかけてケイの前に立ちはだかった。

 

「わたしは……手札を1枚捨てて《ディープ・スペース・クルーザー・ナイン》を特殊召喚。そ、それから……永続魔法《ホログラム・プロジェクション》を発動して、《ディープ・スペース・クルーザー・ナイン》と同じレベルのモンスターとして特殊召喚します」

「レベル9のモンスターが2体……エクシーズ召喚ですか」

「《ディープ・スペース・クルーザー・ナイン》と《ホログラム・プロジェクション》でオーバーレイネットワークを構築……エクシーズ召喚」

 

 レベル9が2体異世界へと消えてモンスターエクシーズが……現れなかった。少なくともケイの視界には一切ソリッドビジョンが表示されていない。バグを疑ったがデュエルディスクは正常に動作している。

 

「貴女のモンスターはどこですか?」

「い、いずれ分かります。いずれ……」

 

 それはケイにとっては完全に不意打ちだった。突如空から無数のレーザーが降り注いでケイに襲いかかる。全てをかわしきれなかったケイは負傷したものの、まだ戦闘は続行できる範囲と判定して踏み止まる。

 

「姿が見えずともフィールドにいることは事実。なら……! ザ・キューブ・オブ・ディスペアー!」

 

 ケイは自身の模造した光の剣を急速充電し、ユズに向けて発射。アリスもそれに合わせて反撃しようとするも、ユズに手で制されて踏み留まった。破壊をもたらす光線はユズへと突き進み……その手前で大きく曲がり、空高くへと消えていく。

 

「!? 理解不能。一体何が……?」

 

 困惑するのは対峙するケイばかりでなくアリスやC&C部員も同じ。なんせミレニアムにおいてもユズが公式戦でデュエルをすることなど無かったため、彼女のデッキが何なのかは全く知られていなかったからだ。

 

 オデュッセイア海洋高等学校の生徒はシー・ステルスなる戦法で召喚したモンスターを隠してくるのは広く知れ渡っているが、果たしてユズの召喚したモンスターエクシーズはどこにいるかと周囲を見渡し……C&Cのアスナが上を見つめていることでようやく気付いた。

 

 雲よりも空よりもはるか高い位置より地上を見下ろす建造物……いや、空を覆い尽くす超巨大モンスターだった。

 

「恒星を覆い尽くす星雲の王者、文明の源になりさらなる繁栄をもたらさん。《No.9天蓋星ダイソン・スフィア》……!」

 

 エクシーズ召喚されていた《ダイソン・スフィア》の効果で攻撃を無効化されたか、とケイは分析。もし人間を学習していたなら舌打ちしていたか悪態をついていただろう。

 

「ま……魔法カード《サイクロン》を発動。再セットされた《ゴースト・コンバート》を破壊して……《ダイソン・スフィア》で攻撃……!」

「ダメージは受けましたが機皇帝グランエルの攻撃力はまだ4,000以上。返り討ちにするまでです」

「だ、《ダイソン・スフィア》の効果を発動。オーバーレイユニットを一つ取り除いて、ダイレクトアタックする……!」

「な、何ですって!?」

 

 再び天よりレーザーが飛来。機皇帝グランエルに守られている筈だったケイへと直接降り注がれる。リアルソリッドビジョンで投影されたケイの実体が損傷を負い、激しいノイズが走った。

 

 先程の天からのレーザー攻撃も《ダイソン・スフィア》の効果によるダイレクトアタック。機皇帝グランエルを特殊召喚できてモンスターエクシーズへの警戒を怠ったミスをケイは悔やむ。

 

「さすがに急ぎすぎましたか……!」

 

 己の不利を悟ったケイは迷わずに逃走を選択。それが彼女の明暗を分けた。

 

 ケイが背を向けて取り残された機皇帝グランエルの上に飛び降りたのはヴィクトリアンメイド服に身を包むメガネを掛けた黒い長髪の女性だった。

 

 角、翼、尻尾を生やしていることからゲヘナを思い起こさせるが、彼女は生徒ではなくモンスターである。

 

「やっちゃって、《ハスキー》!」

 

 アスナの攻撃宣言を受けたメイド服のメガネ家政婦長、《ドラゴンメイド・ハスキー》はアスナから受け取ったアサルトライフルで《機皇帝グランエル∞》に銃弾を浴びせる。

 

 《ドラゴンメイド・フランメ》の効果を受けて攻撃力を上昇させた《ハスキー》に対してケイのライフポイントが減少して攻撃力の下がった機皇帝グランエルは成すすべがなかった。

 

 結果、《機皇帝グランエル∞》は爆発四散。制御機関を失ったそれを受けて4つのパーツも自壊する。

 

「敵は逃がさない」

 

 逃走するケイに照準を合わせたC&Cのカリンだったが、ケイはグランエルパーツの自壊をトリガーに合体済版《機皇帝スキエル∞》を特殊召喚していた。《スキエルC》に相当する部位の効果でカリンの狙撃を無効化し、それに乗って空の彼方へと姿を消していく。

 

「王女よ、次こそは必ずお救いします……!」

 

 ケイによる脅威は去った。しかし、彼女の強襲により刻まれた爪痕は大きなものとなった。

 ヴェリタスの部室は崩壊し、けが人も出た。

 そして、ケイによってもたらされたアリスの潜在的危険性。

 ゲーム開発部を初めとする生徒達は否応なしに向き合わざるを得なくなった。

 

 その果てにどうなるか……その場の誰にも見通せなかった。




◇花岡ユズ
使用デッキは《ダイソン・スフィア》の召喚に特化した【ランク9】
エースモンスターは《No.9天蓋星ダイソン・スフィア》
切り札は《CNo.9天蓋妖星カオス・ダイソン・スフィア》
実はキヴォトスでも数少ないRUMが使える生徒。

◇一之瀬アスナ
使用デッキは【ドラゴンメイド】
エースモンスターは《ドラゴンメイド・ハスキー》
切り札は《ドラゴンメイド・シュトラール》
ミレニアムでは珍しく機械族・サイバース族モンスターをデッキに一切入れていない。

◇角楯カリン
使用デッキは【ABC】
エースモンスターは《ABC-ドラゴン・バスター》
切り札は《AtoZ-ドラゴン・バスターキャノン》

◇室笠アカネ
使用デッキは【幻獣機】
エースモンスターは《幻獣機アウローラドン》
切り札は《ダーク・ダイブ・ボンバー》。もちろんワンショットキル要員

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