Z-ONE、白ずくめの少女の来訪を受ける
Vol.Ex. デカグラマトン編1章 OP 遊戯王VRAINS OP1より With The Wind
(イントロ)
デジタル状態のチヒロ
┗(across the universe )┓三
通学中のチヒロ
(ハジマルローディング)
部室内にいるヒマリとエイミ
(ユメノトビーラー)
夕暮れの街にいる"先生"
ティーガーⅠに乗るイブキとイロハ
シャーレの執務室にいるZ-ONE
(広 が る V R A I N S)
電脳世界の街にいるチヒロ
(ツヅイテーク)
後ろから前方へと飛んでいく謎の純白の女性(デカグラマトン・キヴォトス人体)
リンクVRAINSに入ろうとするチヒロ
(ミライヲエガキダス)
データストームの流れに乗るチヒロ
(コノテデー)
召喚される《デコード・トーカー》と《ファイアウォール・ドラゴン》
(Access!)
謎の機械球体(ケセド)、周囲に謎の機械兵士(デカグラマトン兵士)
謎の純白の少女(マルクト)
謎の機械兵器(ゲブラー)が飛んでいく
(カーケダーセー)
謎の機械大蛇(ビナー)が出現する
(イマwith the wind)
データストームの流れに乗るチヒロ
(カーソクシター)
《M∀LICE<Q>Cheshire Cat》、《M∀LICE<Q>White Rabbit》、《M∀LICE<Q>HEARTS OF CRYPTER》を召喚するハレ
(ツナガールセカイー)
《炎斬機マグマ》と《塊斬機ラプラシアン》を従えるマキ
(アタラシーイ)
飛行ユニットに乗って現れるコタマ
(フカノウーナンテー)
謎の純白の少女(マルクト)、背後には謎の機械多脚戦車(ケテル)
(コノサキーノー)
ドローする謎の純白の女性(デカグラマトン)
(カゼーニノッテ)
謎の純白の少女(マルクト)が《智天の神星龍》を召喚
激突する《智天の神星龍》と《アコード・トーカー@イグニスター》
(アウトロ)
ヴェリタス部員のエースモンスターたち
集合するヒマリ含むヴェリタス面々+エイミ
◇◇◇
アリウスに端を発したエデン条約締結における異変は解決し、各校はそれぞれ後始末に追われています。遺恨を残さずにまとまる形に収まったのは僥倖と言えるでしょう。サオリやミカたち各生徒が頑張り、"先生"が支えたかいがありました。
しかし"先生"や私の業務がそれで一段落するわけがなく、むしろトリニティにかかりっきりだった"先生"の仕事が山積みされています。私でも処理しきれない件も少なからずあったので、ひいひい言いながら消化しています。
そんな彼はミレニアムに出張に行きました。なんでも特異現象捜査部のヒマリに呼ばれたのだとか。アリスとケイを巡る異変でヒマリとエイミとは顔を合わせましたが、結局あまり関わらないままで終わりましたね。
特異現象捜査部とは、科学的に解明しがたい現象を追跡・研究するためにセミナー……正確には生徒会長のリオが発足させた傘下の部活。では何の目的で"先生"を呼び出したかと言うと、それは"先生"や私にも関係することでした。
「デカグラマトン、ですか……」
神を研究し、その存在を証明できれば、その構造を分析し、再現できるだろう。すなわちこれは、新たな神を創り出す方法である。その仮説を元に作られた、対・絶対者自立型分析システム。要するに「神性を探し出す人工知能」。
これは"先生"に接触したゲマトリアの黒服からもたらされた情報です。ミレニアムを筆頭に各学校が調べているようですが、"先生"の報告書以上の情報は無いのが現状。それを元に研究を進めるにはあまりに不確定要素が多すぎますね。
本来ヒマリはヴェリタスの部長。そんな彼女はリオの命令で特異現象捜査部に出向……もとい、兼部しています。そして"先生"の招集。本格的にデカグラマトンの調査に本腰を入れるきっかけとなった事件が先日発生しました。
「先日、ミレニアムの通信ユニットAIである「hub(ハブ)」が、正体不明のAIにハッキングされるという事件がありました」
そう語るのは本日シャーレの当番としてやってきた白ずくめの少女。
マルちゃんと気軽に呼んでほしいと語った彼女はミレニアムサイエンススクールのヴェリタス所属、とミレニアムの公式データに記録されています。生徒手帳も本物。念のためにモモトークでチヒロに確認を取ると確かにマルは部員だと返事が来ました。肌も真っ白で巨大な帽子を被ったマルはリアルソリッドビジョン体ですが、故有って身体を動かせない状態なんだとか。
……チヒロになにか思惑があるのでしたら今は何も言わないでおきましょう。リアルソリッドビジョン体なのを抜きにしても彼女はキヴォトス人とはまた異質な存在。しかしデータから判断するなら彼女もまた生徒には違いありません。
「「ハブ」はミレニアムサイエンススクールの歴史と共に発展してきた、超高性能演算機関です。ミレニアムの技術の結晶、と評して過言ではないでしょう」
「それが謎のAIからハッキングを受け、たった310ナノ秒しか耐えられなかった、ですか。そしてミレニアムではデカグラマトンの仕業と推察している」
「もちろんただの推測ではなくきちんとした理由があります」
「ミレニアムのネットワークに残された犯行声明のテキスト……いえ、己の存在定義の表明ですね」
竟に、摂理へと至るパスを見つけたり。
嗚呼……我がパスは「名誉を通じた完成」、
我が異名は「輝きに証明されし栄光」……
我が名はホド。
聖なる十字架の神を証明し、奇跡を預言する8番目の預言者なり。
「聖なる十字架……デカグラマトンのことですか」
デカとは数字の10を指します。4がテトラ、6がヘキサなのと同じですね。グラマトンとは文字を指します。唯一神の御名であるテトラグラマトンが有名でしょう。
「デカグラマトンはAIと接触して自身の部下……というより信仰者、つまり「預言者」に感化させているそうですね。なのでデカグラマトンの預言者たちはデカグラマトンのプログラムの一部にはならず、独立した個体で活動している……」
「ええ。あの……デカグラマトンは預言者を「統制」していません。対象を取り込んでアップデートする方がより目的を成し得るでしょう。しかし実際にはデカグラマトンは預言者それぞれの自由にさせています」
「非効率的で非合理的な手段は一見AIらしくありませんが……その過程に意味があるのでしょうか?」
「それを含めてミレニアムはシャーレの"先生"を呼び、研究分析の助力を請うたのでしょう」
それにしても解せない、とマルは続けました。
「解せない、とは?」
「明星ヒマリ部長の依頼はシャーレの先生に対してのもの。"先生"かユウセイ、どちらが赴いても良かったはず。AIに関する調査であればユウセイの方が適任ではないでしょうか?」
「優秀な頭脳が揃っているミレニアムに私一人が加わったところで何の力にもなれませんよ。それならミレニアムに不足している部分を"先生"が補う形にした方が合理的でしょう」
「……。成程、一理ありますか」
なお、私たちは雑談をしながらも仕事の手は止めていません。マルは並行処理などお手の物なようで、会話中もキーボードを叩く指が止まっていませんし、書類に目を通すためにこちらに視線を向けてもいません。
マルがデータ入力を終えた書類の束を袖机の上に置きました。初めのうちは指の摩擦力が足りなかったせいで紙をめくるのにも一苦労していた彼女ですが、コツを覚えるとすぐに動作を最適化……もとい、手慣れた仕草になりました。
アナログ入力が面倒なら脳波を直接読み取る機器を頭にセットしても構いませんと言ったのですが、マルは固辞しました。シャーレ当番生徒として来たのだからアナログ作業があっても構わない、とのことです。
「預言者がそれぞれのセフィラの名を持つなら、総数はおそらく10体。1体でもキヴォトスを脅かす厄介な存在ですが……」
デカグラマトンがその10体の預言者を結集して何か企んでいないのは不幸中の幸いですか。
「セフィロトの樹……やはりユウセイは知っているのですね」
「ええ。マルもこれまでの私の活動記録を見たでしょう」
「はい。ですがユウセイが認められた時間を統べる神とデカグラマトンの預言者は厳密には違いますよね」
「ええ。時械神はセフィラの守護天使の力を持つ神々。一方の預言者たちはセフィラそのものの名を持ちます。預言者たちが摂理に到達したとしても時械神にはなりえません。ビナーなら神名エロヒムに至り、天使ザフキエルに守護されることでしょう」
私はデッキホルダーの中にしまう【時械神】デッキに意識を向けます。ティーパーティーの3人に渡してしまった3体の時械神は各々の形代とも呼べるカードしかデッキには入っていません。
「ユウセイは守護天使をトリニティのティーパーティーに渡してしまったそうですね。それはユウセイの意志ではなく守護天使の導きだそうですが」
「その通りです」
「デカグラマトンの預言者たちが摂理に到達し、守護天使が預言者たちを認めた場合、素直に譲りますか?」
「勿論。私に神を縛り付ける権利などありません」
「では、ビナーなら守護天使ザフキエルを、マルクトなら守護天使サンダルフォンを授ける、と」
「ええ。神の導きのままに」
それを聞いたマルはどこか嬉しそうにはにかみました。
……どうやら彼女はまだ腹芸は得意ではないようですね。今のところ問題はないので様子見に留まりましょう。
何時間も休憩を挟まなかったマルが初めて作業の手を止めました。
「ユウセイ。特異現象捜査部の部室がクラッキングを受けました。ファイアーウォールを突破されて制御権を奪われています」
「……!」
あのヒマリがいていとも容易くセキュルティを破られて乗っ取られるとは。おそらく彼女たちが調査対象にしていたデカグラマトンが攻撃してきたのでしょう。何故マルが向こうの様子を分かるのか、についてはこっそりスパイウェアを仕込んでいて覗き見していたからだとか。
「プロジェクターで映しましょうか?」
「そうですね。私としても相手が何者かは知っておきたいです」
「では監視映像を映し出します」
マルがキーボードを叩くとシャーレ執務室の照明が半分ほど消え、暗くなった壁に白幕が降り、プロジェクターで映像が映し出されます。特異現象捜査部の部室内には"先生"とヒマリとエイミの三人だけ。幾つもあるモニターにはでかでかと「DECAGRAMMATON」の文字が映し出されていました。2つの五芒星を組み合わせた十芒星のようなヘイローも背面に描写されています。
「私は私……これ以上に、私を説明する術はない」
部室内のスピーカーから男性とも女性とも分からない声が聞こえてきました。合成音のようですが人が抑揚なく喋っているようにも聞こえます。正体は不明ですが、並々ならぬ知性、神秘性が感じられました。
「私の存在証明には何も要らない、誰の許可も必要ない……私は私の許可の元、こうして存在する。私は神秘であり、恐怖であり、知性であり、激情でもある。私のヘイローこそが私を証明する……刮目せよ、私はついに私を証明してみせる」
……もしかしたら私やヒマリが想定していた以上に深刻な事態に陥っているのではないでしょうか? 仮にデカグラマトンの弁が誇大妄想などではなく実際に神への道を証明していたとしたら……。
そんなデカグラマトンでしたが……"先生"のシッテムの箱にハッキングを仕掛けたらしく、絶叫を上げて退散してしまいました。さしものデカグラマトンもオーパーツには全く太刀打ちできなかったようです。
「……。格好悪かったですね、デカグラマトン」
「そう言っているマルなら"先生"のタブレットを掌握できると?」
「デカグラマトンに無理なら我にも無理でしょう。大幅なアップデートが必要です。ユウセイならどうです? 名もなき神々の王女の原理も把握したのでしょう?」
「きっと無理でしょうし、そもそもアレは"先生"が持つことに意味がありますから」
シッテムの箱に搭載されたAI、"先生"がアロナと呼ぶ存在は私もメッセージ越しでしかコンタクト出来ていません。アロナからはどうもアリスやケイの基礎設計をした私のかつての同僚"□□"のような匂いがするのですよね。だとしたら私では敵わないと察せます。
「これで"先生"たちはデカグラマトン本人への接触が危険だと分かったでしょう。次はどうすると思いますか?」
「"先生"やヒマリが把握しているデカグラマトンの預言者たち、「ビナー」「ケセド」「ホド」の調査に乗り出すでしょうね」
「なるほど……お手並み拝見、と言ったところですか」
「……」
デカグラマトンや目の前の白ずくめの少女についても気になりますが、私は預言者の1体であるビナーに意識が向きました。
あのビナーが出現する度に邪神をけしかける謎のデュエリスト。彼女についてもなにか分かるといいのですが。
デカグラマトン編は某掲示板のデカチヒ概念スレに大きく影響を受けてます。ぜひ本スレでお楽しみいただければと思います。
ご意見、ご感想お待ちしています。