Z-ONE先生のブルーアーカイブ5D's   作:福留しゅん

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ヒマリ、ケセド調査中にシャーレの当番をする

 ユメについてはしばらくチヒロには黙ってもらうことにしました。身体的特徴が一致したからとユメ本人とはまだ断言出来ません。精巧に作ったクローンやロボット、何なら遊城十代の時代にオネストがやったように精霊が化けているかもしれません。

 

 とはいえ私はあの邪神の使い手はユメだと確信しています。アビドス自治区を守るようにビナーを駆除し続ける【アマゾネス】使いですし、《邪神イレイザー》を邪神としての力を発揮させられる生徒は限られています。

 

 死んだはずのユメが動いているのはおそらく邪神の影響。それでも邪神を制御してアビドスを守り続けているのはユメがオシリスを召喚できる生徒だからでしょうか。なら彼女の魂(バー)は邪神によってこの大地に留まっていると考えられます。

 

 なぜユメの手に邪神が渡って亡者になりつつアビドスの砂漠を彷徨っているのかは過去を調査しなくてはいけませんか。しかしおそらく当時を知るだろう現アビドスの三年生小鳥遊ホシノに聴取するのは憚られますね。

 

「となると……行動を起こしていたイブキに聞いた方がいいでしょうね」

 

 明らかにイブキは何らかの意図があって邪魔だったビナーを片付け、邪神を撃破していました。その後発動していた《死者蘇生》はユメを蘇らせるためだった……? あいにく判断材料が少なすぎますね。

 

 ユメとイブキについては後で考えるとしましょう。今は再び出張に行った"先生"の分も仕事を消化しないと。出張先でもシャーレのシステムにアクセス出来るので電子上で行える業務は向こうでもやっているようですが、紙の書類を出先に郵送するわけにもいきませんからね。

 

 そんな"先生"は現在ミレニアムの"廃墟"へと向かっています。これは得意現象操作部の調査の一環で、デカグラマトン4番目の預言者「ケセド」がどこかにいるとヒマリが推察したからです。

 

「デカグラマトンは軍需工場の生産コントロールAIを自身の預言者とし、無限の兵力を手に入れたのです。つまり、「ケセド」はデカグラマトンの軍団を生産する「軍需工場」そのもの」

「なるほど。そのケセドこそデカグラマトンの主戦力と思っていいのですね」

「廃墟区域を巡回するデカグラマトンの兵隊からデータは収集しました。ケセドの位置は割り出しました。ケセドの本体まで繋がるルートは設定しましたので、あとは"先生"とエイミたちが素早く侵入してケセドに接触、データを確保して退却すれば任務完了です」

「……ところで、作戦の山場なのにどうして貴女がここにいるのですか?」

 

 さて、そんな山のような事務処理の道連れ……もとい、手伝いにシャーレ当番としてやってきたのは、そんなヴェリタス部長兼特異現象捜査部部長のヒマリでした。本来なら特異現象捜査部の部室で統括指揮兼データ分析をしなければいけないでしょう。

 

「あら、このミレニアム最高の天才清楚系病弱美少女ハッカーがシャーレのオフィスに花を添えているのに、何が不満なのですか? 赤くはありませんが人の三倍は仕事をこなしますよ」

「シャーレ当番は強制ではありませんから誰か代役に来ていただいても構わなかったのですよ」

「"先生"のことでしたらご心配なく。シャーレからでも分析出来るようパソコン一式は持参してきましたので。セキュリティに関してはユウセイ先生が業務の合間を縫って改良しているのでしょう? 同じ技術畑の者としてユウセイ先生とは一緒に仕事をしてみたかったのです」

「"先生"の安全が担保できるなら構いません」

 

 ヒマリの仕事ぶりは口だけではなく本当に必要最小限の効率で次々と書類を処理していきました。少し地震があれば崩れ落ちそうなぐらい高く積み上がった紙の山も他の部署へと続々と流されていきます。……途端に忙しくなるだろう後工程の部署には差し入れでも持っていきますか。

 

 その間もヒマリはエイミや"先生"とヘッドセットを通じてコミュニケーションを取っています。パソコンの画面も業務用に二台に加えて特異現象捜査部用の一台の計三画面に視線を並行して視線を走らせています。

 

「……。妙ですね。ユウセイ先生、ちょっと見ていただいてもいいですか?」

「ええ、どうぞ。画面を大型モニターに映してください」

 

 ヒマリは無線を飛ばして大型モニターに画面を映しました。それは今まさにケセドの軍需工場に突入している"先生"たちでした。今度の護衛はC&Cですか。5名全員を一気に動かしたあたり、デカグラマトンの調査はセミナーも協力的なのでしょう。

 

 軍需工場内の大通路を進む"先生"たちの前にデカグラマトンの兵士、オートマターが立ちはだかります。真正面や左右、時に後ろからも"先生"たちに襲いかかりました。"先生"の巧みな指揮とC&Cの実力の前に次々と破壊されています。

 

 そんな大通路は開けた工場内の二階に相当するらしく、吹き抜けの一階部分が見えます。大型のベルトコンベアの上でデカグラマトンの兵士、兵器が今まさに生産されていました。

 

「特に変わった様子はありませんが?」

「"先生"の進行方向右側の生産ラインで製造されているオートマターですけど、ネルたちが戦っているものとは型式が異なります。ほら、右腕に別の装備が」

「……デュエルディスク搭載タイプですか。しかしこれまでデカグラマトンの調査で向こう側からはデュエルどころかデュエルモンスターズのカードを使われたことは一度も無かったでしょう」

「ええ。そして今生産拠点に侵入されているのにそのタイプのオートマターを動員してこない。一体どこに配備されるタイプなのでしょうね?」

 

 オートマターそれぞれがデュエルロボのような性能を兼ね備えていたら、雑兵すらカイザーPMC兵士以上の脅威になるでしょう。生産ラインの様子を見れば既にロールアウトしているものと判断されますが、軍需工場防衛以上に優先される任務があるとして一体何なのでしょうか?

 

 疑問に思っているうちに"先生"たちはケセドと一戦を交え、適当なところで切り上げました。ケセド側も"先生"たちの退却を全力で阻む様子は無く、無事に工場を脱出しました。

 

「どうせでしたら工場を盛大に爆破してしまえば効率的でしたのに」

「だよなぁ。あの鉄くずだってさっさとスクラップにしちまえばいいのによ」

 

 画面の向こうでC&Cのアカネとネルが雑談交じりに廃墟周囲を巡回中だったオートマターを破壊しました。機械兵士程度では彼女らの相手にはなりませんね。ネルに対抗できるタイプがリリースされても困りますが。

 

「駄目ですよアカネ、ネル。今デカグラマトンを過度に刺激するのは得策ではありません。調査を重ねて安全を確保してからです」

「わーってるよそれぐらい。だから言われなくてもすたこらさっさしてんだろ」

「その代わり、右腕にデュエルディスクを換装したタイプのオートマターが工場内で製造されてましたが、出荷先を調べてもらえますか?」

「それならアスナが感づいてトキが追ってるから、報告はちょっと待ってくれ」

「了解。では"先生"を特異現象捜査部の部室に送り届けたら任務完了です。お疲れ様でした」

 

 一旦通信を切ってから少し時間が経つとヒマリのパソコンにもケセドから得たデータが転送されたようで、早速彼女は分析作業に入りました。その間もシャーレの事務処理は継続しています。マルチタスク能力とは素晴らしい。

 

 ケセドから得たデータはケセド本体やデカグラマトン軍需工場のみならず、他の預言者達の位置もある程度含まれていました。これは工場で生産された兵器・兵士を運搬するためでしょう。

 

「あら? ちょっと待ってください、何かが……」

 

 そんなヒマリが一瞬だけ作業の手を止め、データ解析に専念し始めました。

 そうすること少しの時間が経ち、ヒマリが首をかしげました。

 

「廃墟のどこかにデカグラマトンの預言者の居場所や基地の所在地とも違った場所を示す座標のデータがありました」

「ケセドがその場所を調査しているとか?」

「これは後で確認する必要がありますね。特異現象捜査部の部室に持ち帰って解析をかけるので、今日はここまでですね」

「そうですか」

 

 ヒマリはそれ以降シャーレの事務処理に専念し、デカグラマトン調査をすることはありませんでした。なお、ヒマリのお陰で順調に書類をはけたので、久しぶりに早く帰ることが出来ました。カードショップに行って新弾のパックでも買いますか。

 

 なお、トキが追跡したデュエルディスク装備のオートマターの出荷先はホド。しかしホドの警護ではなく何らかの作戦準備でもなく、オートマターたちは屋内の一角に整列して待機するばかりでした。その写真を見て連想したのは兵馬俑ですか。




デカグラマトン編では預言者たちの相手は誰がしたのでしょうね? ゲーム的には先生が大人のカードを使ったのかプレイヤー手持ちの生徒が戦いますが、ストーリー的には?

ご意見、ご感想お待ちしています。
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