Z-ONE先生のブルーアーカイブ5D's   作:福留しゅん

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Z-ONE、キヴォトスで初アクセルシンクロする

 私のフィールドには《スターダスト・ドラゴン》と《フォーミュラ・シンクロン》。これであのカードを召喚出来ますが……果たして私にあのカードを扱う資格があるのでしょうか?

 

 かつて、私の世界は滅亡の危機に瀕しました。原因は人々の欲望によりモーメントが暴走し、人間を排除することで世界の秩序を取り戻そうとしたためです。世界はモーメントが作り出した軍勢により殺戮と破壊に満ち溢れてしまいました。

 

 私はかつて世界を救った英雄、不動遊星のように人々を正しい方向へと導くことでモーメントの暴走を抑制しようとしました。その時の概念は確かに有効でしたが……世界全体の危機を食い止めるにはあまりに時間が足りなかったのです。

 

 モーメントは自らを道連れとして人間を地球上から消去する最終手段に踏み切りました。結果、人類は殆どが死に絶えてしまいます。私もまた目の前で多くの人々を失いました。最後まで私に救いを求めながら……。

 

 その時に私は自分の無力さを思い知り、あのカードを握りつぶしたのです。

 それから私は過去の世界で不動遊星に渡すまで一切関わりませんでした。

 しかし何の因果か、この全く別の世界で私は召喚条件を整えていました。

 

 おそらくはあのカードを使うまでもなく勝てるでしょう。しかしキヴォトスにおいて既にアクセルシンクロの仮説が立てられて行き詰まっている今、その先を見せることが先生となった今の私のやるべき事なのではないでしょうか?

 

 覚悟は決まりました。

 共に行きましょう。再び私に力を貸してほしい。

 そして、生徒達の光差す道となれ――!

 

「クリアマインド!」

 

 私はDホイールを加速させ、内部のモーメントを正しい方向に回転させます。後ろでヒナが何やら言ったり反応を示しているようですが、水の一雫が見えた私が意識を向けることはありません。

 

「レベル8《スターダスト・ドラゴン》にレベル2のシンクロチューナー《フォーミュラ・シンクロン》をチューニング!」

「シンクロモンスター同士をシンクロ素材に……!?」

「集いし夢の結晶が新たな進化の扉を開く、光さす道となれ!」

 

 極限まで加速し、周りの風景が凄まじい速度で後ろへと流れていき、最終的に私は光となりました。

 

「アァクセルシンクロォッ!!」

 

 エクストラデッキからドローした白紙のカードが書き換わり、同時に私の見ていた景色は直前と少し違う、対戦相手のカンナの後方から飛び出す形で彼女を追い抜きました。召喚したあのカードと共に。

 

 現れたのは流星。翼翻し天を飛ぶその姿は人々の希望の象徴であり人には先があるのだという証。しかし逆に夢を見させすぎて破滅の要因ともなった元凶。そして……私が一度捨て去った救済の一手。

 

「生来せよ、《シューティング・スター・ドラゴン》!」

 

 今再び、白き竜が天を舞いました。

 

「アクセル、シンクロ……?」

「そう。これがシンクロを超えたシンクロ、アクセルシンクロです」

「……! で、ですが打点3,300でもこちらの布陣は突破出来ませんよ」

 

 確かに。カンナのフィールドにいる《ワルキューレ・エルダ》の効果で私のモンスターの攻撃力は1,000ダウンし、《ワルキューレ・フュンフト》と《ワルキューレ・ヴリュンヒルデ》それぞれの効果で相手のモンスターの攻撃力は上がっています。更に《ワルキューレ・ヴリュンヒルデ》の戦闘破壊されなくする効果はまだあと1回使えますから、《シューティング・スター・ドラゴン》単体では突破は不可能でしょう。

 

「それはどうでしょうか?」

「何ですって……?」

 

 しかし、あえてこう言ってあげました。

 カンナは警戒を顕に眉をひそめます。

 

 そう言えば、「それはどうかな?」とは決闘者なら誰もが一度は言ってみたい言葉だと聞きましたね。完全に自分のデュエルタクティクスの想定内だという歴戦の決闘者だと感じさせるんだとか。

 

「私は手札から魔法カード《セイヴァー・アブソープション》を発動。このターン、《シューティング・スター・ドラゴン》は直接攻撃出来るようになります」

「!?」

「更に私は《シューティング・スター・ドラゴン》の効果を発動。デッキからカードを5枚めくり、めくったチューナーの数だけ攻撃出来ます」

「複数回攻撃の効果ですか……!」

 

 デッキからカードを5枚めくります。チューナーは……《エフェクト・ヴェーラー》、《ジャンク・シンクロン》で2枚。デッキに残ったチューナーの枚数から考えれば確率的に及第点ですし、カンナのライフを削り切るには充分です。

 

「バトル! 《シューティング・スター・ドラゴン》でダイレクトアタック! スターダスト・ミラージュ!」

 

 《シューティング・スター・ドラゴン》が手足を折りたたみ、直線的な形態に変形した後、色とりどりな分身が現れてカンナへと突撃します。自分を守るはずだったワルキューレ達は身動きが取れません。

 

 カンナはリバースカードをオープンせず手札からカードの効果を発動しませんでした。敗北が決まった彼女でしたが、悔しさを顕にしながらも納得したように笑みをこぼしていました。

 

「……次はヴァルキューレ指定のデッキではなく自分のデッキで再戦を挑まさせてもらいます」

 

 決意表明と共にカンナは《シューティング・スター・ドラゴン》を攻撃を受けて失速、姿が遠くなっていきます。私は構わずにDホイールを加速させ、ハイウェイを駆け抜けていきました。

 

「お疲れ様、先生。もう追手は来ないみたい」

「ではデュエルレーンがしまわれる前に距離を稼いでおきましょう。飛ばしますからしっかり掴まりなさい」

「分かった。指示に従う」

 

 どうやらワルキューレの生徒達を相手している間にD.U.地区から離れたようです。ハイウェイを往来する車の数も目に見えて減ったため、スピードが出しやすくなりました。ハイウェイの左右に広がる光景も都心部のものではなくなり、自然や畑の中に家屋が点在する落ち着いた雰囲気に変化しています。

 

 この調子ならヒナが向かう先、アビドスまでそう時間は要らなそうですね。

 

 

 ◆三人称視点◆

 

 

「ユウカ。後でZ-ONE先生のデュエルのデータは私にも送って頂戴」

「分かりました」

 

 Z-ONEのデュエルが終わり、しばらくの間タブレットを操作していたリオだったが、一連の作業を終えると指示だけ伝えて足早に部屋をあとにしていった。

 

 残ったノアとユウカは最初のうちは感想戦で話を弾ませたが、次第に口数が少なくなっていく。それほど目の当たりにしたデュエル……いや、正確にはアクセルシンクロに彼女たちは衝撃を受けていたのだ。

 

「リオ会長の仮説は正しかったのね……。本当に"透き通った世界"が見えることが条件だったなんて」

「モーメントのエネルギー源に使われる遊星粒子が人の心を読み取って性質や力を変えるのが原因のようですね」

 

 ユウカは自分のデッキから一枚のカードを抜き出した。

 シンクロチューナー《水晶機巧-クオンダム》。この先が自分にもあるのだろうか?

 




OCGオリジナルのアクセルシンクロモンスターもそろそろ出してほしいと思うのは自分だけでしょうか。

◇尾刃カンナ
本来の使用デッキは「極星獣」主体の【極星】
エースモンスターは《極星邪狼フェンリル》。ただしデュエルよりもっぱらリアルファイトで相手を鎮圧する用途でしか使わない。
切り札は《極神皇トール(アニメ版とOCG版の良いところどり)》。
他の極神はOCG版でしか召喚できない。

◇早瀬ユウカ
使用デッキは【クリストロン】
エースモンスター兼切り札は《水晶機巧-エレスケルタス》
クリアマインドもバーニングソウルも目覚めてないので《グリオンガンド》と《フェニキシオン》は使えない。

ご意見、ご感想お待ちしています。
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