Z-ONE先生のブルーアーカイブ5D's   作:福留しゅん

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Z-ONE、アロナとデュエルする③

 現在はアロナのターン中。

 私のフィールドには《時械神サディオン》、《虚無械アイン》、セットした《くず鉄のかかし》、伏せカードが1枚。そして手札が3枚。

 アロナのフィールドには圧倒的な攻撃力を持つ《夢幻虚神ヌメロニアス》、厄介な《ヌメロン・ネットワーク》。手札は2枚。

 私のライフポイントは4,000。アロナは5,800ですか。4,000ライフ制だったら私は敗北していましたね。

 

「なら1枚伏せてターンエンドしますね」

 

 アロナはバトルこそしませんでしたが、バトルフェイズ終了時に発動する《夢幻虚神ヌメロニアス》の全体除去効果で容赦なく襲いかかりました。時械神は破壊されませんが、それでも毎回派手な演出ですね。

 

「ではその前に私は《虚無械アイン》の効果を発動。手札の《時械神ハイロン》を墓地に送り、1枚ドローします」

「ただでさえ手札に時械神があまりいないのに時械神を墓地に送ってしまって大丈夫ですか?」

「勿論です。そして相手のメインフェイズ中、私は《虚無械アイン》を墓地に送り、永続罠《無限械アイン・ソフ》を発動します」

 

 黄金のリングが消え、∞の形をした黄金の二重リングが出現しました。《虚無械アイン》もそうでしたが《無限械アイン・ソフ》の効果もキヴォトスに来た際に変わっています。中々便利で良いものですよ。

 

「他はありませんので私のターンです。ドロー」

「次のスタンバイフェイズで《時械神サディオン》はデッキに戻るんですよね?」

「ええ」

 

 《時械神サディオン》は去り、再び私のフィールドはがら空きになりました。……時械神は何体か手札にありますが、この状況を打開出来ませんね。しばらく時間を稼ぐ他ありませんか。

 

「私は《時械神ザフィオン》を召喚します」

「来ましたね、新しい時械神」

「バトルです。《時械神ザフィオン》で《夢幻虚神ヌメロニアス》に攻撃。さて、どうしますか?」

「私は……何もしません。攻撃を受けます」

 

 《時械神ザフィオン》が発生させた水の渦の直撃を受けても《夢幻虚神ヌメロニアス》はやはりびくともしませんでした。逆に《夢幻虚神ヌメロニアス》が全体除去効果を発動しても《時械神ザフィオン》は揺るぎません。

 

「気を取り直して、《時械神ザフィオン》の効果により相手フィールドの魔法・罠カードを全てデッキに戻します」

「……。フィールド魔法カードも?」

「ええ。フィールド魔法カードも」

「そ、そんなぁ!」

 

 アロナは泣く泣く発動中の《ヌメロン・ネットワーク》をD・パッドから外してデッキに戻しました。これで厄介だった「ヌメロン・リライティング」カードが発動される心配はひとまず無くなりましたか。

 

「メイン2に移行。私は《無限械アイン・ソフ》の効果を発動。墓地の《時械神ハイロン》をデッキに戻し、デッキからあるカードを1枚サーチしてそのままセットします」

「……読めません。なんですか、そのカードは?」

「発動してからのお楽しみということで。このままターンエンドです」

「ユウセイ先生は意地悪です! 私のターン、ドロー」

 

 ふくれっ面をしながらアロナはデッキからカードを1枚引き、フィールドの状況を改めて確認。独り言をいくらか呟いてから意を決した強い眼差しで私を見つめてきました。どうやら勝負を仕掛けてくるようです。

 

「《夢幻虚神ヌメロニアス》の効果を発動します。オーバーレイユニットを1つ使い、フィールド上のモンスター1体を破壊しますよ」

「時械神は破壊されません。それとも耐性を無視する破壊効果だとでも?」

「私は《夢幻虚神ヌメロニアス》自身を選択して、破壊しますから!」

「なにっ!?」

 

 アロナの宣言と共に《夢幻虚神ヌメロニアス》は内側から光を発し、爆発して散っていきました。まさかあれほど強力なモンスターを自害させるだなんて驚きを隠せません。まさか、それをトリガーとして更なる一手を……!?

 

「その通りです! 《夢幻虚神ヌメロニアス》が破壊されたことで、このカード1枚でオーバーレイネットワークを再構築します!」

「まさか、ランク12より高みに進化させる、ですって……!」

「カオスイマジナリーエクシーズ・チェンジ! 降臨しなさいCiNo.1000! 私の天は久し、地は長し。人の青春は一場の幻にあらず。虚無の大神よ! 希望をもて! 絶望に鉄槌を!」

 

 アロナが初めて唱えた召喚口上は普段"先生"との雑談から受ける彼女の印象と全く異なっていました。まるで大いなる決意、そして覚悟がこもった気迫が感じられます。それはまるで世界を背負って私と戦った不動遊星のような……。

 

 出現したのは《ヌメロニアス》をも凌駕する巨大なモンスターでした。もはや人型をとどめておらず、世界を滅亡させる神にも見えますし、唯一の絶対の存在としてそこにあるオブジェクトにも見えます。

 

 もしかしたら私がこれまで出会ってきた全ての神々をも凌駕するほどの力を秘めているかもしれません。それこそ時械神や赤き竜すらも。それほどの恐怖……いえ、畏怖を感じてしまいます。

 

「《夢幻虚光神ヌメロニアス・ヌメロニア》!」

 

 ランク13のカオスエクシーズ……。一体どれほどの能力が、と思わずカードテキストを確認しましたが、やはり理解が及ばない文字で記載されています。諦めて攻守だけを確かめましたが……思わず目を疑ってしまい、擦ってもう一度凝視しましたが、見間違いではありませんでした。

 

「攻撃力……100,000ですって……!?」

「ユウセイ先生、このモンスターを攻略出来ますか? 私は魔法カード《ヌメロン・ストーム》を発動して、相手の魔法・罠カードゾーンにあるカードを全て破壊します!」

「私は《無限械アイン・ソフ》を墓地に送り、伏せていた永続罠カード《無限光アイン・ソフ・オウル》を発動します。《無限光アイン・ソフ・オウル》は相手の効果では破壊されません」

「でも《くず鉄のかかし》は破壊しますよ!」

 

 ぐ……。これで《時械神ザフィオン》を守るのは自身の破壊耐性のみになりましたか。これで《ヌメロニアス・ヌメロニア》に攻撃対象のカード効果を無効にする効果があれば一巻の終わりです。

 

「このまま何もしないでターンエンドします」

 

 しかしそんな不安と裏腹に、アロナはあっさりと自分のターンを手放しました。

 

「……攻撃は仕掛けないのですね」

「《ヌメロニアス・ヌメロニア》は攻撃出来ませんから」

 

 攻撃が出来ない強大な力を持つ神……。だとしたらその攻撃力を活かす効果があると見なしていいでしょう。放っておけばこちらに致命的な一打を与えてくるかもしれませんから、次のターンで勝負を決めなくては。

 

 ∞の形をした黄金のリングの代わりに現れたのは三角形の配置をした3つの重なる黄金のリング。無、無限を経て無限光に至ったことで生命の樹が誕生しました。つまるところ、これは時械神の起源であるとも言えます。

 

「私のターン、ドロー」

「時械神はデッキに戻る、でしたよね?」

「その効果は《無限光アイン・ソフ・オウル》の効果によって封じられます。時械神は無限光の下で現世に顕現し続けるのです」

「え!? で、ですが妥協召喚出来なくなりますから、時械神が2体並ぶなんてことは無理ですよね」

「ええ、ですので役目を終えた時械神にはご退場願いましょう。私は魔法カード《アドバンス・ドロー》を発動し、《時械神ザフィオン》をリリース。デッキからカードを2枚ドローします。そして《時械神ザフィオン》が墓地に送られたので1枚追加でドロー」

 

 《時械神ザフィオン》は本来ならフィールドから離れる際に大量にドローする効果があったのですが、私にはキヴォトスではその効果を発動出来ませんか。その分《虚無械アイン》の効果を内蔵した妥協召喚や特殊召喚の制限が無くなっていますので、一長一短ですね。

 

 これで私の手札は6枚。ちょうどいい感じに揃いましたね。

 

「アロナ」

「はい、何でしょうか?」

「覚悟は良いですね?」

「え……!?」

 

 私は、手札6枚中5枚のカードをフィールドに並べました。

 

「私は《無限光アイン・ソフ・オウル》の効果を発動し、手札のレベル10以上のモンスターを可能な限り特殊召喚します」

「えぇええ~~っ!?」

「現われろ、5体の時械神!」

 

 私が特殊召喚したのは《時械神カミオン》、《時械神ミチオン》、《時械神ハイロン》、《時械神ラフィオン》、そして《時械神ガブリオン》です。時械神を同時に5体召喚したのは不動遊星相手に続いて2人目ですか。

 

「ででで、でも! ミチオンとラフィオンとガブリオンはミカさんたちに貸してたんじゃないんですか!?」

「その3体のカードは今も彼女たちに預けています。これらは依代。したがって私にはカードテキスト以上の効果は発動出来ないでしょう」

「あ、本当ですね。その3体はこちらのD・パッドからカード効果が確認出来ます」

「存在感も……やはり本物には敵いませんか」

 

 姿形はそのままですが、やはり依代の時械神では神秘性が感じられません。不動遊星を相手した時とも雲泥の差。かと言って彼女たちから「時械神」カードを取り上げるような真似をするつもりは一切ありませんがね。

 

「バトルです。《時械神ミチオン》で《ヌメロニアス・ヌメロニア》を攻撃」

「ふっふっふっ。返り討ちですよユウセイ先生!」

「なに……?」

 

 なぁ~んちゃって、と言わんばかりに狼狽えていたアロナがこれでもかと言うぐらい「どやぁ」って顔をしてきました。

 

「罠カード《アブソリュート・バスター》を発動します! これでこのターン、お互いのモンスターの「戦闘では破壊されない」効果は無効になります!」

「しまった……!」

「戦闘ダメージは与えられませんけれど、これで《時械神ミチオン》は撃破です!」

「ぐ……っ!」

 

 羽を飛ばして攻撃した《時械神ミチオン》でしたが、《ヌメロニアス・ヌメロニア》から放たれた光と闇が混ざった混沌の波動が放たれ、《時械神ミチオン》が消し飛ばされてしまいました。

 

 時械神は戦闘で破壊されないことが前提で全能の効果を発動する神々。このまま自爆特攻させても意味がありません。やむを得ません。他の時械神での攻撃は諦め、バトルフェイズを終了させますか。

 

「今、バトルフェイズを終了しましたね?」

「? ええ、しましたが、それが?」

 

 その途端、アロナが満面の笑みをこぼし、次にはジャンプしてはしゃぎだしました。本当に無邪気なもので微笑ましい限りですが、対戦相手にそうされると身構えてしまいます。

 

「やりましたよ! これで私の勝ちです!」

「……! まさか、《ヌメロニアス・ヌメロニア》の効果は……」

「そうです! このカードが相手フィールド上のモンスター全てから攻撃されなかった場合、エンドフェイズで私はデュエルに勝利します!」

「特殊勝利効果……!」

 

 やられましたね……。既にバトルフェイズを終えている以上、《ヌメロニアス・ヌメロニア》を攻撃するすべはなく、勝利条件を満たしてしまっています。あとアロナは勝利のゴールテープを切るところまで行っているわけですか。

 

 ……仕方がありません。デカグラマトンはデュエルとは非情だと言っていました。モモイはケイの機皇帝を汎用カードで処理していました。ここはキヴォトスの流儀に習い、私も矜持に一時目をつむり、勝利をリスペクトしますか。

 

「現われなさい、未来を導くサーキット」

「……へ?」

「アローヘッド確認、召喚条件は効果モンスター4体以上。そして相手フィールドのモンスター1体も素材に出来ます」

「ま、まさか……!」

 

 時械神を《アイン・ソフ》等で多数召喚した際に効果を無効化された時のため、起死回生の一手にエクストラデッキにリンクモンスターを何体か入れてましたが、まさか本当に使うことになるとは……。何が起こるか分からないものです。

 

「私はアロナの《ヌメロニアス・ヌメロニア》と私の時械神4体をリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン。リンク召喚!」

「ああぁぁああっ!? 私の《ヌメロニアス・ヌメロニア》が! そんなぁ~」

「リンク5、《閉ザサレシ世界ノ冥神》」

 

 互いの神はリンクマーカーへと消え、冥界の女王が姿を見せました。除外耐性もあるかもしれなかったので《ジーランティス》は使いませんでしたが、さすがにリリース耐性は無かったようです。

 

 ちなみに《閉ザサレシ世界ノ冥神》のカードがいいよと私に勧めたのは"先生"なので、非難は先生にしてどうぞ。

 

「ひ……酷すぎます……」

 

 そう涙を浮かべられたって情けはかけられませんからね。




時械神はセフィラの順番通りに召喚させたかったですが、無理でした。あとリンク召喚抜きでの突破も諦めました。架空デュエルってやっぱり難しいです。

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