さて、ここから本格的に物語が始まります。
より一層、気合を入れて書いていかねばなりません。
今回からオリジナル要素マシマシで行きますが、しばらくしたらボトムズにも触れていきます。
それでは、本編をどうぞ
とある冬のある日。
雪の積もる幻想郷の空を一人の少女が飛んでいた。
「~~♪♪~~♪♪」
箒に跨り、かなりの速度で飛びながら魔理沙は鼻歌を歌っていた。
背中には大量の"何か"が入っているらしい風呂敷を背負っており、偶にチラリと魔法道具のような物や魔導書が見えるが……
中には明らかに彼女の物ではなさそうなものが混じっている。
まぁ彼女の事を良く知っている者は「いつものか」と思うだろう。
彼女の頭の中には反省という文字はあまりない。
そんなことよりも、今彼女の頭の中にあるのは和人の作るご飯の事であった。
もはや誰も何も言わないが、魔理沙やその親友の霊夢の二人は高頻度で和人に朝食や夕飯を作らせている。
和人は趣味と長らくの経験、それに加えて手先の器用さなどもあってか料理の腕が非常に良い。
長く一人暮らしをしていたことも影響しているのかもしれないが、それはそうとしてもそこら辺の料亭並みには美味しい物を作れる。
そのせいもあってか一度彼の手料理を食べて以来、彼女達は毎日のように彼に食事を作らせている。
作っている当人も彼女たちの食べっぷりを見て作り甲斐のような物を見出してしまい、ついつい甘やかして作ってあげている始末である。
これが少し前の日本だったら立場は逆のハズなのだが……
皮肉にも此処は常識が通じない幻想郷。
彼という存在によって「男は外女は家」という概念は、この幻想郷であっても否定されてしまうのだろう。
そんなこんなで魔理沙は自分の家に後ろの荷物を降ろし、いつものように和人に夕食をご馳走になる。
そのついでに彼が修理している品々を冷かすのもありかもしれない。
そんな事を企みながら進路を魔法の森の自宅へと向けていた。
その道中であった。
魔理沙が異様な雰囲気を感じ取ったのは。
(うん……?なんだ、この感じ……?)
急停止し、感じ取った妙な気配の元に進路を向けて飛ぶ。
その間に彼女は手の中に己の相棒ともいえるミニ八卦炉を握りしめ、いつでも自身の十八番ともいえる魔法をぶっ放す用意をする。
大体三キロほど飛んだところでその気配が強まり、箒の高度を落としていく。
そして、誰もいない空き地の端の方に"それ"はあった。
「…死体、か。」
白骨化したボロボロの白と紫のローブのような物を着た死体が、いまにも雪に埋もれてしまいそうな状態でそこにあった。
だが、先ほど感じた妙な気配は死体の方にはなかった。
降り立った彼女が死体を観察していると、不意に雪に埋もれた一か所の場所からなにやらおぞましい気配を感じ取った。
「これは…?」
雪を魔法で掻きわけてみると、そこには何重にも札が張られた小さな箱があった。
「…絶対、これって呪われたなんかだよなぁ。こいつはカズに知らせた方が良いか…?」
魔理沙は即座にこの曰く付きのナニカについての対応を頭の中で組み立て始めた。
幻想郷において、こういった危険物を安全に処理できる存在は少ない。
今までこそ人間側では、霊夢や人里の三流の術者ぐらいしかそういったことができる人材は居なかった。
しかし、和人がやってきてその能力が判明したことによって状況は一変。
今まで霊夢でも封印以外に対応が出来なかった、かなりやばめの呪物等の無力化処理が可能となったのは記憶に新しい話だ。
なんなら霊夢はそういった物の処理をほとんど和人に押し付けている。
押し付けられる側は大して気にしていないが……
それにしても酷い話である。
とまぁ話を戻すと、詰まる所はこういった呪われた物などは和人の担当であり、必然的に彼に頼るべきと魔理沙は判断した。
「えーっと……確かこれだな。」
魔理沙は懐を探り、そこから一枚のお札のような物を取り出す。
それに魔力を流し込むと、札が燃えて鬼火のような青白い火が現れた。
「よし。……んじゃぁ、カズのとこに行くか!」
魔理沙はサッと箒にまたがると先ほどまで向かっていた方向から進路を変え、和人の家がある方向へと飛び去った。
……アァ、ヤット……
……タノシミダ……
……ヒヒッ………
ヒィヒャヒャヒャヒャヒャァァァァッ!!!!
「……何かしら?」
博麗神社にて。
境内の掃き掃除を終えてお茶を啜っていた霊夢は突然、何か嫌な予感のようなものを感じ取っていた。
「魔法の森…?ということは魔理沙か和人かしら?」
気を張り巡らせて不穏な気配を辿り、その発生源を探り当てると同時に霊夢は陰陽玉や普段使わない高級な札をいくつか懐に入れる。
社務所に置いてあった大幣を拾い上げ、「ダンッ」という音を鳴らして地面を蹴り勢いよく空へと舞い上がった。
「魔理沙……和人……!!」
恐らくそこにいるであろう友人たちの身を案じつつ、音を置き忘れたかのような速度で彼女は空を駆ける。
軋む歯車。
その音の元凶たる箱はほくそ笑む。
「時は来た」と。
だが、それは新たなる混沌への序章に過ぎない。
歪な形へと変化して回る歯車は何を成すのか。
次回、「呪い〈上〉」
回る運命に刻まれたのは幸運か、はたまた不幸か?