割と書き方とかにガバはありますが、今の私にできる精一杯の表現で書いてはみました。
ちなみに……今回は少しだけボトムズが混じります。
それでは、本編をどうぞ
――身体中が……痛い。
意識が少しづつ浮上する中、和人が思考して出力された呟きはそれだった。
――確か、僕は呪いに貫かれて……それで……
そこまで想起したところで、彼は今目に映っていると感じているその光景が現実のものではないことに気がつく。
辺りを見渡そうにも、身体が鉛でもまとわりついてるかのように重い。
思い通りに動かない身体。
霞んで見えるが、明らかに現実のものではないと認識できるおぞましい周囲の様子。
和人がそんな中で頭に思い浮かべたのは、自分がかばった魔理沙の事。
――魔理沙さんは……魔理沙さんは、無事なのでしょうか…?
自身の身が無事とは言い難い状況の中、彼は自分よりも身近にいた彼女の安否を気にしていた。
――忌々しい……
――……ッ!?誰です……!!
突如として頭に響いてきた声に対し、和人は叫ぶように声とならない言葉を返す。
和人は感じる。
その声のヌシの持つ力の悍ましさ……
得体のしれない強烈な悪意を。
――遂に見つけた宿主……長く探し求めていた理想の肉体……
――それを貴様が割り込んだ……!!
――愚かなる猿風情が……!!あれは我の物なるぞ……!!
和人にはその声が何を言っているのか理解ができなかった。
宿主?我の物?
しかも、それが指すのは自分ではなく……
――魔理沙さんに……何をする気ですか……?
他でもない、友人である魔理沙のことなのだ。
――決まっておろう……!
――あれは人には惜しい……。なれば、我があの小娘の肉体を有効的に使ってやろうと言うのだ。
――どうだ?実に光栄なことであろう?
……今、ソレはなんと言った?
有効的に使う?
口ぶりからして、それは……
――あの子の身体を乗っ取るつもりかッ……!!
――…実に品のない猿らしい言葉だ。
――下賤な猿にふさわしくないあの肉体を、この我が使ってやるというのだ。
――貴様のような薄汚い猿には理解できぬだろうがなぁ……!
この時、和人は確信した。
今自身に干渉しているソレは人知を超えた下衆なのだと。
そして……ソレは紛うことなき敵であるということを。
――ふざけるな……!あの子の身体はあの子のものです!
――断じて貴方のような下衆のものではない!!
――我を愚弄するか、不敬な猿風情が!
――……まあいい。手始めに、貴様の身体を乗っと……
――やらせは……しません……!!
和人は干渉を受け続ける精神を奮い立たせ、能力を使用。
自身に纏わりつくそれに対して妨害をかける。
――ぬぅ……!?おのれ、小癪な…!!
しかし、尊大な態度をとるだけはあってソレの干渉は苛烈であった。
――うぅ……意識が……
呪いの影響か、意識が朦朧としている。
まるで自身を喰らおうとするかのごとく、その呪いは彼を蝕んでいた。
能力を使って主導権を握ろうとしてはいるが、多少動きが鈍るだけで言うことを聞かない。
まるで暴れ馬であるかのように荒れ狂うその力に対し、天性とはいえかなりの期間抑え込んでいたが故に荒削りの練度しかない彼の能力では、太刀打ちするのもやっとであった。
――愚かな……素直に我へあの小娘を差し出せばそう苦しまずに済んだものを……!
――たとえ……苦しむのだと……としても……!僕は……ッ!!
意識がさらに霞む。
それでも、自身の身体の主導権を渡すまいと能力で抵抗する。
抗いつつも、彼は理解していた。
このままでは自分は為す術無くソレへと取り込まれてしまうのだと。
……また、大切なものを失ってしまうのだと。
――させ……ない……!!
――僕は……まだ……終われないんです……!!
彼は足掻く。
無駄であると分かっても……
自分の力では好転させることができないのだと理解していても……
そうであろうとも……
足掻いて、苦しんで、意識も霞んで……
それでも尚、足掻き続ける。
――えぇい、往生際の悪い…!!
――なれば、この呪いで終いと……!!
絶 対 に 生 き 残 る
――ぬぅぁッ……!?な、なんだっ……!?
この時点で、彼の意識は切れていた。
だが、彼が意識の切れ際に強く念じた思念……
なんとしてでも生きるという生存本能は生きて……
いや、その表現は正しくなかった
――な、何ッ……!?馬鹿なッ…!?
この現象を正しく表現するとすれば「暴走」
彼の能力はその制御を失い、逆にソレの権能を侵食して奪い始めていた。
――ありえぬ……!?たかが猿一匹の小細工が……!?
そして、その侵食は呪いだけでなくソレにまで及び始めていた。
―がぁッ!?お、おのれ……!!この我を何と心得てッ……!!
ソレは侵食を振りほどこうとするも、もはや手遅れであった。
既に、ソレが和人へと流し込んだ呪いは喰らい尽くされてしまった。
だが……意識なき獣と化している彼の暴走した能力はそれでも足りないとばかりにソレへと襲いかかる。
――ば、馬鹿な……!?いったい、これは……!?
そこでソレはあることに気がついた。
……それは和人の、魂。
そこに紛れるように存在するモノを。
――……まさか、それはッ……!?
――そうか……!!そういうことかぁッ……!!
ソレはそこで初めて、おのれの失策を知った。
既にこの時点で……いや、それよりも前に彼を取り込もうとした時点で自身は詰んでいたのだと。
自身が猿と見下したその人間は、触れるべきではない存在であったのだと。
――お……の……れぇッ……!!
もはや意識などというものはほとんど消えかかりながらも、ソレは怨嗟の声をあげていた。
――せめて……貴様に、永遠の……苦痛をォォッ!!
そして、最後にその命を削って生み出した怨嗟の塊のような呪いを放ったところで限界がきた。
――グァァッ!?ギィィィィギャァァァァァッ!!!!!!
遂にソレは彼の能力へと呑まれ、悍ましい断末魔だけががその空間へと響いたのだった。
一難は去った。
だが、その爪痕は深く刻み込まれた。
和人に、魔理沙に……
手遅れとなって、初めて動けた彼女も然りであった。
次回「変異」
変わりゆく状況に、彼らは踊る。