そういえば、ここ最近YouTubeでTV版ボトムズが無料配信されてますが、皆さんは毎週見ていらっしゃいますでしょうか?
私は毎週楽しみに見ております。
あれですね、リアタイで視聴してるかのような楽しみがありますねぇ。
そして、今回から原作の異変に介入し始めます。
まぁ毎度のごとく原作ままの展開ではなく、多少自分なりの流れで書いていくことになります。
解釈違いがあっても笑って許していただければ幸いです。
それはそうと、本編をどうぞ
一.春雪
時は四月の頃。
例年であれば雪が全て溶け消え、野の花々が芽吹き出す。
辺り一面の白い景色から緑溢れる色のついた春へと、完全に移り変わる頃だ。
しかし、今日の工房の通気口から見える外の景色は……一面真っ白な雪景色。
これが一日二日続いてるだけならまだしも……この景色が冬からまったく変わらないというのはあまりにも妙な事だ。
そろそろ暖かくなる頃合いの筈だが、今も尚人が白い吐息を吐けてしまう程に空気は冷え込んでいる。
故に、これは……
「異変、ですか。」
ポツリと、火の燃える炉のすぐ横で蓄音機を修理しながら呟きを漏らした。
幻想郷において、異変と呼ばれる事件はそう珍しいものではない。
妖怪や妖精たちが何かしらの理由で暴れたり、幻想郷特有の不思議な現象が起きたりと……些細なことからでも発生し得る事件達を、そう総称している。
最近でもっとも大きな異変と言えば、幻想郷が紅い霧に覆われた「紅霧異変」だろう。
あの異変の解決後、その首謀者である紅魔館は幻想郷の一勢力として認知されている。
外からの新参勢力であるかの組織が認知されたこともあって、幻想郷にも様々な変化が訪れた。
例えば、人里や香霖堂にて西洋系の品が多く取り扱われるようになった。
これは紅魔館が展開した事業によるものであり、幻想郷では滅多に手に入らなかったチーズやワインといった物が広く流通し始めた。
人里でも、最初のうちはあれだったが……今では一つの文化として受け入れられている。
良くも悪くも即物的と言うべきなのだろう。
話を戻すが、幻想郷において大きな異変と言うのは全体的な変革……
幻想郷全体での大きな変化の前触れという考えが浸透している。
……今回の長すぎる春雪。
これもまた、その前触れだとでも言うのだろうか?
「……霊夢さん、これについてどう思います?」
「さぁね。……あっ、そこのせんべい頂戴?」
……ただし、その変革と言うのは解決されなければ形にすらならないのだが。
さて、なぜ霊夢さんが僕の工房に居るのか?
答えは簡単だ。
……彼女は、ただ暖をとるためだけに僕の工房に居座っているのである。
それも、僕のロッキングチェアを勝手に占領したうえで家の毛布を強奪。
今現在にいたっては、取り置いてある嗜好品のせんべいを片手に緑茶を飲んでいる始末だ。
「霊夢さん……いくらなんでもだらけ過ぎなのでは…?」
「別にいいでしょこれぐらい。」
そう言いながら茶を啜っているが、それは僕が休憩のときに飲もうと思っていたお茶なのだ。
同じく手に持つせんべいも含め、勝手に食べられると僕の少ない楽しみがもっていかれることになるのだが……
「それとも何?退治されたいの?」
「はぁ……。わかりましたから、その大幣を下ろしてください。」
「分かればいいのよ、分かれば。」
この通り、退治すると脅しをかけてきているので下手に拒否することもできないのだ。
まだ人間であった頃であれば聞く耳もあっただろうが、半妖となって以来はずっとこの調子である。
よくルーミアさん達が「博麗の巫女は理不尽」とは言っていたが、まさにそのとおりであった。
「ところで、魔理沙はどうしたの?今日は来るのが遅いわね。」
「魔理沙さんならこの異変の調査をしてますよ。誰かさんがまったく動く気配がないので、自主的にこの異変の解決に乗り出そうと張り切ってました。」
「へー、あいつも大変ね。」
その誰かさんは目の前でぐうたらしている怠惰な巫女さんなのだが。
しかしそんな事を気にするわけもなく、まるでここが我が家であるかのように霊夢さんはくつろいでいた。
もうこうなった霊夢さんは僕ではどうすることもできない。
僕は大人しくやりかけの作業へと向き合い、再び手を動かすのだった。
時はそろそろ昼になる頃。
修理していた蓄音機の動作確認を終え、梱包作業に入っていた時だった。
――トッ、トンッ
外の方から足音……
恐らく着地音だと思われるものが二つ程連なって聞こえた。
入口の方に目をやると、ガラガラと引き戸を開けて魔理沙さんが工房の中に入ってきていた。
「カズ、やっと調査が終わったぜ!」
「お疲れ様です、魔理沙さん。」
「おつかれ〜魔理沙〜。」
僕の言葉に続くように、軽く労いの言葉を贈る霊夢さん。
そのだらけっぷりに対し、魔理沙さんは大きくため息をついていた。
「霊夢……いくら寒いからって巫女がそんなだらけてていいのか?またどっかの賢者やら仙人やらにどやされるぞ。」
「別にこれぐらいはいいじゃない。」
まったくその態度を変える様子もなく、霊夢さんはそんな事を宣っていた。
「……まぁいいさ。それはそうとだが、カズ。客が来てるぜ?」
霊夢さんに呆れた顔をしつつ、魔理沙さんは誰かを手招きするように工房へと入ってきた。
「お邪魔いたしますわ。」
「あっ、十六夜さん。」
魔理沙の後ろから入ってきた人……
秋葉原とかで見かけるようなデザインのメイド服を着た正真正銘のメイドさん。
紅魔館のメイド長「十六夜咲夜」さんがそこにいた。
雪上にて舞うその姿。
それは瀟洒で華麗なる殺意の織りなす一つの芸術。
美しい薔薇につくトゲのごとく、触れたものを切り裂けと白銀の刃が襲いかかる。
次回「メイド」
その凶刃は何者へと刺さるか