東方死霊録   作:SCOPEWOLF

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どうもこんばんわ。
さて、今回は待ちに待った人もいるだろう戦闘回です。
とはいっても、今回の相手は1面ボス。
そこまで長くならない故に少しボリューム少ないかなとは思いますがお許しください。
それはそうと本編をどうぞ


四.レティ•ホワイトロック

幻想郷における決闘である弾幕ごっこ。

 

その性質は競技性を持たせた一種の芸術とも表現される。

 

「ふふふ、避けてばかりじゃ私は倒せないわよ。それ〜!」

 

「くっ……!」

 

その攻撃は主に二つの種類に分けられる。

 

一つは弾幕ごっこの基本となるルールの名前に使われているスペルカード。

 

弾幕ごっこの華形であり、展開する弾幕の美的なセンスやそれに含まれた表現力を競うものだ。

 

もう一つが通常弾幕。

 

特に名をつけるような特徴は多くないものの、不規則に変化を入れることで回避側の感覚をずらすことができる基本の弾幕だ。

 

この弾幕は展開者本人の技量によって美しさや緻密さを競う。

 

まぁ言ってしまえば自身の素の実力での表現を魅せるものだ。

 

妖怪……レティ•ホワイトロックさんの場合、弾の弾速やその密度はあまり無い。

 

全方位にばら撒くように低速の小型球弾が放たれているが、その展開密度はかなり広いおかげで避けること自体は容易い。

 

だが……魔理沙さんに稽古をつけられていたとはいえ、実戦自体はこれが初めてだ。

 

妖精の子たちはこういった弾幕ごっこになる前に無力化しているが、妖怪となるとそうもいかない。

 

「はぁッ!」

 

「あらあら、危ないわね。」

 

僕の投げた拘束術の札はそのほとんどを避けられてしまっている。

 

隙が多い妖精の子たちならいざ知らず、こういった札は追尾性を持たせない限りは中々当たらないのだ。

 

そして霊夢さんがよく使う退魔の力を込めた札とは違い、僕が使っている拘束の札は一枚一枚のコストが高い。

 

つまるところ、あまり無駄遣いができないのである。

 

「……まずいですね。」

 

このまま耐久戦へと移るとしても、あまり時間はかけていられない。

 

この後異変の元凶のところまでいくことを考えると、消耗はできるだけ避けたいのだ。

 

となれば……

 

「……あら?」

 

ホワイトロックさんの張る弾幕を避けつつ、僕は地上へと急降下を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか……もう終わりなのかしら?」

 

「いや、違うな。」

 

咲夜はカズが地上に降りだしたのを見て降伏するのかと考えたみたいだが……それは違う。

 

むしろ、カズが本気で勝つつもりならあれで正解なのだ。

 

頭から地上へと突っ込んでいくカズ。

 

あと少しで地面に突き刺さる……その瞬間だった。

 

まるで猫が木の上から飛び降りて着地するかのごとく、カズは身体を捻って地面へと着地するような体勢をとった。

 

瞬間、カズの履いてる履物……確かみりたりーぶーつ?とかいう外の世界の靴から魔法陣が出現。

 

着地したように見えた次の瞬間、ものすごい速度で地面を滑るように移動し始めた。

 

「……なにあれ?」

 

「カズの自作魔法だよ。外の世界のほばーとかいう技術を参考に作ったらしいぜ?」

 

霊夢は知らないだろうが……

 

カズは空中戦が苦手だ。

 

元々アイツは飛行する技とか魔法に適正がなかったが、それは半妖化してからも変わらなかった。

 

半妖になってからのアイツの飛行自体も、"飛ぶ"というよりは"空中をすり抜けて移動している"というのが正しい。

 

まぁつまり、カズにとって従来の弾幕ごっこのやり方である空中戦ではかなり不利な状態になってしまうのだ。

 

だがその一方で地上であればその条件も変わる。

 

地上を走るカズを追いかけ、弾幕を地上に降らすように展開する雪女。

 

しかし、その弾幕は全くと言っていいほどに当たらない。

 

そもそもの速度もそうだが、ほばーという状態で地面を滑っているカズは前後左右に加え、片足を軸にした急旋回も交えた最低限の回避行動で避け続けている。

 

そのすばしっこさたるや、まるで地面スレスレであっちこっちに飛び回る羽虫のようだ。

 

「呪撃「フェイタルズジャベリン」!!」

 

回避行動を取りつつ、カズが懐から取り出したスペルカードを宣誓した。

 

カズが手に持ったスペルカードから光が放たれ、その光が5つの槍のような形状へと変わってアイツの周囲に展開。

 

カズはほばー移動をしながら後ろを振り向き、雪女の方へと手を振り下ろした。

 

カズの腕の動きに合わせて撃ち出された槍たちは雪女を追尾するように飛んでいき……

 

「ふふ、そんな弾幕には当たら……きゃぁっ!?」

 

雪女が避けようとした、その真横で槍が炸裂。

 

大量の彩り豊かな小型球弾へと分裂し、まるで爆発のように広く拡散した。

 

弾の彩り故に花火のような美しさを持つ、シンプルながらも実用的な弾幕。

 

私らの弾幕とは毛色は違うが、それでも特有の美しさを持つスペルカードだ。

 

雪女は辛うじて一発目の方は避けれたが、偏差で飛んできた二、三発目の槍の爆発を避けきれず……

 

 

―――ピチューンッ!

 

 

独特な音をたて、雪女を覆っていた結界……残機が一つ消し飛んだ。

 

どうやらあまり残機を持っていなかったらしく、そのまま後続してきた四、五発目の爆発が雪女を直撃。

 

大きく吹き飛ばされ、雪女は少しだけ吹雪く雪空の向こうへと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっ、おつかれさん。」

 

「ありがとうございます、魔理沙さん。」

 

ホワイトロックさんに勝利してすぐ。

 

魔理沙さんがこちらの方へと降下し、僕の肩を持ちながら労いの言葉をいただいた。

 

「アンタ、意外とやれるのね。よくやったわ。」

 

「ふふ、中々面白いものを見せていただきました。お疲れ様です。」

 

「お二人とも、ありがとうございます。」

 

続いて霊夢さんと十六夜さんも降りてきた。

 

霊夢さんが意外そうな顔をしていたが……まぁそれも仕方ないだろう。

 

実際、僕は今まで霊夢さんと手合わせをしたことがないどころか、そもそも弾幕ごっこをしているところを見せたことがない。

 

弾幕ごっこについては魔理沙さんが熱心に教えてくれていたのもあるが、そもそも霊夢さんは極度のめんどくさがり。

 

見ていてもつまらない訓練風景を見るよりも、煎餅片手にお茶を飲みながらくつろぐことのほうを優先する人なのだ。

 

最初の基礎訓練をしているところは見ていてくれたが、あとはもうめんどくさがってほとんど魔理沙さんに押しつけていた。

 

まぁそれでも霊力の扱い方などは彼女のおかげで習得できたので、そういった点では彼女も僕の師ともいえる存在なのだが。

 

……年下に教えを乞うことについては少し思うところもある。

 

が、何もできずに死ぬよりはマシだ。

 

「んじゃ、さっさと先に進もうぜ。またあの雪女に絡まれたら面倒だ。」

 

魔理沙さんのその言葉に全員が頷き、僕達は再び空へと戻った。

 

過ぎゆく雪景色を見下ろしつつ、僕は先ほどの弾幕ごっこの反省点を考えるのであった。




寒空の下で鳴り止まぬ三重奏。
それは、誰に奏でられた鎮魂歌か?
そこには生者の声など無く……
鬱と躁、それを調和する幻想のみが存在する
次回、「騒霊」
和人に奏でられるものは何か。
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