東方死霊録   作:SCOPEWOLF

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どうもこんばんわ。
暑さに加えてやることが多すぎて、身体から紅いポリマーリンゲル液が身体から漏れそうなウルフです。
実際、仕事帰りに一回それで服が悲惨なことになったりはしましたが……
そんなことはさておき、本編をどうぞ


七.斬れぬものあまりなし

一瞬手を幽体へと変化させ、先ほど投げた短槍を「ポルターガイスト」を使って回収した。

 

ちょうど手元に戻ってきたタイミングで少女が斬りかかってきた為、すぐに手を実体化して迎撃する。

 

短槍と刀がぶつかり、金切り音にも似た甲高い音が響いた。

 

「はぁッ!!」

 

掛け声一つ、短槍を勢いよく捻って斬撃の軌道を流す。

 

「ふっ、やぁッ!!」

 

しかしすぐに彼女は流した刀を切り返し、横薙ぎに払ってきた。

 

僕は地を蹴って後ろに飛び退るとともに、短槍を立てて守りの姿勢になる。

 

カンッ、という音とともに刀と短槍の柄がぶつかり、大きく後ろに飛ばされた。

 

柄を見てみると霊力を纏わせて強化していたというのに、くっきりと見える程度の深さの切り傷ができていた。

 

「……なるほど、霊力を纏わせて固めたのですか!」

 

「それなりに、強化、したはず、なのですけどね!」

 

斬撃をこちらに飛ばしつつ、少女は僕の短槍に対して分析をかけてきた。

 

霊夢さん直伝の霊力による武器の強化術。

 

これは先程も言っている通り、武器に霊力を纏わせることでまるでエネルギーのシールドのようなものが付与されているかのように武器の頑丈さを補強してくれる技術だ。

 

霊夢さんはあの細い柄の大幣にそれを施し、妖怪の頭やら妖刀やらを叩き割ったりへし折ったりしている。

 

退魔術の一環で教えられたのだが、この技術に関してはスパルタ教育じみたやり方で教わることになった。

 

おかげで何回か骨を真っ二つにへし折られたりもしたが、少なくともお墨付きをかろうじてもらえる程度には身につけることができた。

 

そのはず、だったのだ……

 

「……これでは後で霊夢さんにしごき直されそうですね。」

 

一重に己の弱さが招いたことだ。

 

全てが収まった後に地獄を見ることは覚悟しよう。

 

だがまぁ……

 

「まずは、貴女を抑えることを考えましょうか。」

 

「この状況でそんな余裕ぶった態度を取るとは……愚かな!!」

 

ますます少女の斬撃の手数は増えていき、僕も少しづつ対応ができなくなってきている。

 

短槍も所々に傷ができ、まともに一撃を食らってしまえばへし折れてしまいそうだ。

 

「これで決めます!餓王剣「餓鬼十王の報い」!!」

 

そして、このタイミングで少女はスペルカードを発動した。

 

発動とともに少女は大きく後ろへと下がり、ほんの少しの溜めを入れた後に目にも止まらない速さであちこちを飛び回り始めた。

 

時折一閃の斬撃が見えたかと思えば、そこから楔型の弾幕が花開くかのごとく展開される。

 

前後左右、様々な方向から飛んでくる楔型の弾幕はそれなりに弾速が速い。

 

その上、その密度も高いために避けるのも非常に困難である。

 

……まだ実戦の訓練こそ無いが、しかたない。

 

僕は靴の魔法を発動し、ホバー状態で回避をしながら懐の"ソレ"を抜き取った。

 

そして、一瞬……

 

鋭く一呼吸し、時が止まっているかのように静止して見える視界の中で少女の斬撃の軌道を辿る。

 

右前30、左前20、左真横が一回からの右前40……

 

斬撃の切れ目を一つ一つ辿っていき……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………見えた!

 

 

 

 

「呪符「カーススパーク」!!」

 

 

 

 

「なっ……きゃああああッ!?」

 

 

 

 

一瞬、見えた少女の影に向かってスペルカードを発動する。

 

"ソレ"の引き金を引き、禍々しい一筋の極太レーザーを開放。

 

レーザーは少女の弾幕を飲み込みながら一直線に直進していき……

 

不意をうたれた少女はそのレーザーの直撃を受け、「ピチューン!」という音とともに残機を一つ失いつつ、大きく吹き飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なぁ、霊夢。」

 

長い階段を抜け、その頂上に座している屋敷へと足を踏み入れたところで魔理沙が口を開く。

 

「なんでカズだけに任せたんだ?私ら全員か、最悪お前一人で抑え込める相手だったろ?」

 

「……多分だけど、それじゃ足りないのよ。」

 

霊夢は魔理沙のその問いへと素っ気なく……しかし、どこか焦りのようなものを感じつつ返した。

 

「足りないって……何が足りないってんだよ。」

 

「時間よ。アレを相手する時間がないのよ。」

 

「あら、時間が無いのなら私が作ってあげても良かったのに。」

 

「咲夜、冗談を言ってる場合じゃないの。」

 

軽口を叩く咲夜に対し、霊夢はそう返した。

 

「それに、アイツだってアンタがそれなりに鍛えたんでしょ?足止めぐらいならアイツでもできるはずよ。」

 

「それは……そうかもだけど。」

 

霊夢の言葉に、魔理沙は納得しきれない様子で渋々と頷かざるを得なかった。

 

「……で、いつまで隠れてこっちを見てるつもりかしら?」

 

唐突に霊夢はそう言うと、弾幕を屋敷の桜に向けて展開した。

 

あわや桜に直撃する……その寸前で桜の木の裏から新手の弾幕が展開された。

 

まるで蝶のようにも見えるその弾幕は、霊夢の札状の弾幕を迎撃するかのように打ち消していった。

 

「あらあら……気づかれちゃったわ〜。」

 

「アンタがこの傍迷惑な異変の元凶ね。」

 

「う〜ん……そうなるのかしらね〜?」

 

間延びした緩んだ雰囲気の喋り方をする女性が木の裏から現れ、柔らかな微笑みを浮かべながら扇子を口元に当てていた。

 

「早い話、さっさとこの異変を止めてもらえないかしら?さもないとこっちも無理矢理止めなきゃなんだけど。」

 

「え〜、もう少し待ってくれないかしら?後もうちょっとで咲きそうなのよ〜。」

 

「咲くって……なんだ、春を奪ってなにか育ててんのか?」

 

「ううん、ちょっと違うのよ〜。」

 

そう言いながら女性が振り返った先……

 

そこにはどこにも花が開いている様子のない、巨大な枯れている桜の木があった。

 

「この子を咲かせるために地上から春を借りたの〜。後少しで咲きそうだし、止めるのはその後でも……」

 

「駄目よ。」

 

女性の懇願するかのような言葉は、霊夢の斬り捨てるかのような一言によって妨げられた。

 

「その桜を咲かせるわけにはいかないわ。悪いけど、力付くにでも止めてもらうわ。」

 

「あらあらぁ〜〜……それは仕方ないわね〜。」

 

女性は笑みを深めたかと思うと、扇子を開いて頭上へと掲げた。

 

「それじゃあ、貴女たちには永遠にこの桜の花見客になってもらうわ〜!」

 

「お生憎様、その桜には永遠に枯れててもらうわ!」

 

「ずっと花見をさせられるのは御免だぜ!」

 

「私が永遠に見続ける花は、血のように紅く美しい薔薇よ!」

 

四人は弾幕をそれぞれ展開し、白玉楼の戦いが幕を開けた。

 

迫る死の目覚めへのカウントダウン。

 

花開く弾幕花火の中で、命を散らす桜の花も一輪咲いた。




かつて、その兵器は兄弟たちとともに人ならざるものを狩るために世に送られた。
だが、彼のものは何者かの相方とはなれなかった。
しかし、幻想郷は彼のものを見捨てなかった。
変人店主によって生まれ変わった彼のものは半端者の為に牙を剥く
次回「穿つは信念」
回る回転弾倉に、八の力が灯る。
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