東方死霊録   作:SCOPEWOLF

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どうもこんばんわ。
遂に東方の新作が出ましたね。
私もやりたかったですが、現在私はコロナでダウン中なのでSteam版を待っております。
まぁ、しばらくはやれそうにありませんわな…。
因みに、投稿が遅れたのは普通に難産だっただけでコロナはあんま関係ないです。
それでは本編をどうぞ


九.西行妖〈上〉

妖夢は和人との戦場から離れた後、白玉楼への階段を駆け上がっていた。

 

この距離であれば、あまり得意ではない飛行よりも駆け足のほうが断然速い。

 

そうして最後の石段へと到達した途端、妖夢は力強く地を蹴った。

 

駆け上がった際の勢いも合わせ、大きく跳躍した妖夢は白玉楼の表門の上を通過し、そのまま全速力で主の元へと飛行する。

 

(あいつら……まさかもう既に幽々子様と……!!)

 

飛行していく中、妖夢は変わり果てた白玉楼の有様を目にして焦る。

 

屋敷はいくらか欠損や倒壊、焼け焦げた跡があり、それ以外でも己が整えた枯山水の庭や丁寧に手入れしていた木々までもが悲惨と称せる状態にあった。

 

その破壊跡を辿っていくと、その終着点らしい場所が見えてきた。

 

今回の異変の発端……西行寺幽々子が満開にさせてみたいと望んだ桜の巨木「西行妖」。

 

まだ満開とまではいかないものの、それなりに花をつけだしたその桜の麓には三人の人影があった。

 

そこに……西行寺幽々子はいなかった。

 

「ああああぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!!」

 

もはや狂乱していると言ってもいい雄叫びを上げ、妖夢は人影……侵入者たちへと斬りかかる。

 

「……ッ!?」

 

 

 

 

 

 

――ガギャァァァッッッ!!!

 

 

 

 

 

 

侵入者の一人……霊夢の大幣と妖夢の楼観剣が交差して甲高い悲鳴を上げる。

 

「あんた、いつの間に……ってかその血って……!!」

 

「貴様ぁぁぁッ!!よくも、よくも幽々子様をぉぉぉッ!!」

 

怒り狂う妖夢はただ、己が主を手に掛けたのだろう目の前の巫女へとがむしゃらに刀を振り回していた。

 

「死ねぇぇぇぇッ!!!侵入者ァァァッ!!」

 

「くッ……ふぅ、はぁッ!」

 

しかし、そこは博麗の巫女。

 

最初こそ気圧されたが、すぐに立て直してその一撃一撃を正確に迎撃し始めた。

 

「あんた、どういうつもり…!!」

 

「どういうつもり……だと?」

 

妖夢は霊夢のその言葉に再び怒りの炎を燃やした。

 

「貴様……幽々子様を手に掛けておいてただで帰れると思うなぁぁぁッ!!」

 

「……ッ!!あんたもその血、和人を斬ったんでしょ!」

 

「黙れ、侵入者め!!お前もあの男の元に送って………」

 

「そこまでにしなさい。」

 

霊夢に再び斬りかかろうと妖夢は刀を振るう……が、その斬撃は弾かれた。

 

その原因はいつの間にか二人の間にいた咲夜。

 

霊夢を片手で静止しつつ、本来は投げるのに使うナイフで刀を弾いたのだ。

 

「霊夢、今はそれどころじゃないでしょ。それと貴女……アレが見えてないのかしら?」

 

「知るものか!!お前も今ここで………」

 

昨夜の言葉を無視し斬りかかろうとした妖夢。

 

しかし、それは思わぬ形で妨害されることとなった。

 

 

 

 

―――……ゾっ

 

 

 

 

「……!?」

 

一瞬、怖気のようなものが妖夢の身体に走った。

 

「一体、何が…………ッ!?」

 

妖夢は思わず、その怖気を感じた原因があるらしい方向を振り向いた。

 

西行妖が……満開になろうとしている。

 

それは、己の主が望んだこと。

 

だがそれは………

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか……幽々子様は……!?」

 

 

 

 

 

 

 

彼女は気づいた……いや、気づいてしまった。

 

己がやったこと。

 

自身がしでかしてしまったことにも。

 

こんなことになるのであれば、主を止めるべきだった。

 

無知であった過去の己を呪う妖夢は、その光景に絶望していた。

 

気づけば西行妖の上には人影のようなものが一つ。

 

西行寺幽々子……いや、それを模した"ナニカ"が浮かんでいた。

 

「……今は和人のことについては後回しよ。まずはあれを止めるわよ!」

 

「分かってるわ。………魔理沙!」

 

「あいよ、咲夜!!」

 

霊夢と咲夜の声を受け、いつの間にやらか上空に待機していた魔理沙はミニ八卦炉をより強く握る。

 

既にミニ八卦炉は多量のエネルギーをチャージしていたらしく、普段彼女がマスタースパークを撃っている時のそれよりも大量の魔力が集約していた。

 

「……カズのことは気になるが、いまはこの化け物をどうにかしないとな。じゃなきゃあいつに申し訳が立たねぇ…!!」

 

誰も聞くことのないその呟きもそこそこに、魔理沙はミニ八卦炉にある触媒を重ねる。

 

 

 

本来、史実通りであるのならば魔理沙のマスタースパークの上位互換技であるその「魔砲」はこの時期には存在していない。

 

だがこの世界線において、その理論自体は既に彼女の中で組み立てられていた。

 

今はまだ名も無き技だが、それでもこの時ばかりはスペルカードという範疇を超えて放つことになる。

 

「耐えれるもんなら耐えてみやがれ、この化け物!!」

 

「恋符「マスタースパーク」!!」

 

その叫びとともに放たれた一本の極太レーザー……

 

通常のマスタースパークよりも二回り以上は大きいその光は、西行妖のど真ん中に直撃した。

 

しかし……

 

「嘘……だろ……!?」

 

その表面にかすり傷をつけることも叶わず、それを見た魔理沙は絶句していた。

 

「おいおい……冗談きついぜ?」

 

「まったくよ。アレでやれないってなると、私もちょっとお手上げに近いわ。」

 

「あの桜、ほんとに退治や封印ってできるのかしら?少なくとも私は何もできそうに無いのだけれど。」

 

魔理沙がそうぼやくと、霊夢と咲夜が彼女のすぐ近くまで上昇してきた。

 

どうやら妖夢は戦意喪失したらしく、その場に放置してきたらしい。

 

「まったく、ホント余計なことをしてくれたわね……。アンタならこうなることぐらい予想できたんじゃないの……紫?」

 

霊夢のその言葉に、魔理沙と咲夜の二人は周囲を見渡す。

 

「……霊夢?なんで今紫が……」

 

 

 

 

「まさか、気づいてるなんてね。」

 

 

 

 

「「……ッ!?」」

 

どこからともなく聞こえてきたその声。

 

もしやと思い後ろを振り向くと、そこにはいつの間にかスキマが開かれていた。

 

思わず二人が飛び退ると、その中から一人の少女が姿を現した。

 

「アンタ、あの妖怪桜についてなんか知ってるんでしょ?」

 

「話が早くて助かるわ。……でも、それについて話す前に一つ約束してほしいの。」

 

「あ?なによ、なんか面倒なことじゃないでしょうね?」

 

「……面倒じゃないかどうかはこの際関係ないの。」

 

 

 

 

「お願い、幽々子を……西行妖を封印して幽々子を助けてあげて。」




少女は願う、友の救済を。
賢者は願う、封じられてきた怪物の再封印を。
誰がための異変か、誰のための戦いか。
舞い散る死の桜の中で巫女と魔法使いとメイドが踊る。
次回「西行妖〈中〉」
折れた刃は牙を剥くか
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