いやほんと……すごく投稿遅れて申し訳ない。
実は資格試験の都合でちょっと執筆が遅れまして……
この作品、だいたい土日に執筆してることもあって丸つぶれすると相当執筆が遅れちゃうのです。
とりあえず試験も終わったので、あとは作文時に表現で迷わなければなんとか……?
とりあえず、本編をどうぞ
西行妖の頭上……
そこから光のない怪しい瞳で少女たちを見下ろす西行寺幽々子を模したナニカ。
ソレは腕を振り上げ、先ほどまで彼女たちが戦っていた幽々子とよく似た弾幕を展開し始めた。
まるで蝶を模しているかのような、光弾に羽のようなものが付いた弾幕。
大量にばら撒かれて襲い掛かってくるそれに加え、魔理沙や紅魔館のパチュリーが使うような多方向に照射するタイプのレーザーを展開してきている。
「…とりあえず、何にしてもアレを無力化するわ!咲夜!」
「こんな大きいと……剪定するにも一苦労ね。こんなことなら美鈴もつれてくればよかったわ。」
彼女の合図に合わせて霊夢は陰陽玉と大幣を、咲夜は時計と複数の投げナイフを構えた。
「霊符「夢想封印」!」
「幻世「ザ•ワールド」!」
二人の放ったスペルカードが炸裂し、大量の大きな光弾と無数のナイフが西行妖の放つ弾幕を打ち消していく。
「クソ、こうなったらヤケだ!魔符「スターダストレヴァリエ」!」
前線で弾幕を展開する二人を追うように、魔理沙もまたスペルカードを一枚発動して援護に入った。
三人の弾幕は無数に展開していた蝶型弾幕を打ち消していったが、いくら手数をどうにかできたとしても三人だけでは決定打にかける。
ナイフが蝶たちを貫き、巨大な光の大玉がレーザーを巻き込んで蝶たちを消滅させ、そして無数の星屑のように散らばる星型弾幕が撃ち漏れた残りを消滅させていく。
しかし、そうして迎撃する矢先から西行妖によって蝶たちが補充される。
「紫……さっさとしなさいよ…!!」
霊夢達が西行妖に立ち向かう中、妖夢は未だ絶望に飲まれ続けて地に膝をついていた。
「幽々子……様……」
彼女の中で今目の前で起きているソレは己が引き起こしたもの。
主人を止めることをせず、ただ彼女の言うとおりに春を集めた。
その結果がこれだ。
こうなって初めて分かった。
彼女が咲かせようとしていた、白玉楼の奥に鎮座する枯れた桜の巨木。
これは……この化け物は目覚めさせてはならないものだ。
本能的に感じるこの感覚……その正体を妖夢は知っていた。
彼女の主である西行寺幽々子の能力。
「主に死を操る程度の能力」もしくは「死を操る程度の能力」と呼ばれている、文字通りすべての生命に死を与えることができる力。
彼女の能力から放たれるその気配……いわゆる死の匂いや死の気配と呼ばれるソレがあの桜から放たれているのだ。
幽々子が能力からその気配を漂わせているのはまだいい。
彼女には理性があり、その能力を乱用することはない。
だが、この桜は違う。
西行妖に理性などというものはない。
あるのは妖怪としての本能……人を死へと誘おうとすることだけだ。
あの桜が満開になってしまえば、幻想郷はあの侵入者の言うような永遠の冬どころか生命の息吹も感じない死の大地と変わり果てるだろう。
今はまだ八分咲きといったところだろうか?
だが、もう満開までそこまでかからないだろう。
「私は……わたしは、どうすれば……」
何もすることもできず、項垂れ続ける妖夢。
そのすぐ側に、一つの影が差す。
「……妖夢。」
「……っ!?紫……様……?」
その影……八雲紫は妖夢のすぐ前へと歩み寄る。
「……紫様、申し訳ありません。すべては私が幽々子様を……」
「いいえ、それは今重要じゃないの」
紫は妖夢の前で屈み込み、その両肩を優しく持つように手を置いた。
「妖夢、よく聞きなさい。まだ幽々子は助かるの」
「……!?そ、それは……本当なのですか……!?」
「えぇ。……でも、それには貴女の力が必要なの。」
紫のその言葉に、妖夢は困惑する。
自分の力が必要……?
一体、何をすればいいのだろうか?
そんな感情を抱えながら、妖夢は紫の説得を聞くのであった。
「チィ、キリが無いわね」
「どうすんだよこれ……!?こんなんでほんとに封印とかできんのかよ…!!」
ところは変わって霊夢たちだが……
西行妖の展開する弾幕の対応に苦戦していた。
反魂蝶も相変わらず展開されているが、その動きや密度はますます苛烈になっている。
「……妖怪の賢者は策があるって言ってたけど、一体これをどうするつもりなのかしら?」
「分かんないけど……紫のことだし、間違いなく何かあるわ」
「まぁ、こんなヤバいバケモノが解き放たれるのはあいつも望まないところだろうし、な……っ!!」
そう言い合いつつ、魔理沙はミニ八卦炉からマジックミサイルをばら撒いた。
ミサイルは西行妖をめがけて飛んでいくも、すべて反魂蝶で迎撃されていった。
「クソ……こんなのどうすりゃ良いんだ……!!」
「とにかく、アレに弾幕を叩き込むのよ!アレに当たったら死ぬと思いなさい!」
霊夢はそう叫びつつ、結界を展開して咲夜の背後に飛んできていた反魂蝶から彼女を守った。
「……ッ!?助かったわ、ありがとう」
「次から気をつけなさい」
咲夜にそう返しつつ、霊夢は陰陽玉を操作して次々に飛んでくる反魂蝶を迎撃していく。
(……でも、私たちもそれなりに消耗してる。そこまで長くは持ちこたえられないわ)
手を止めることなく弾幕を展開しつつ、霊夢はそんな弱音を心の中で呟いていた。
いくら彼女達が幻想郷でも上澄みの強者と言えど、人間である以上は疲れもある上に弾幕に使う触媒……退魔具や魔道具、投げナイフなどにも数に限りがある。
ナイフに関しては再利用もできるが、何本かはこの戦闘中に破損して使えなくなってしまったらしい。
(これじゃジリ貧よ……紫、早くして……!)
表面上は冷静さを保っているように見せているが、彼女もまた一人の人間……それもうら若い少女。
博麗の巫女という役職とそれを担うための力はあれど、その精神にはまだ青さが残る。
修羅場もそれなりに潜ってはいるが、それでもやはり不安も恐怖も拭いきれていない。
それ故にか、彼女には多少なりの焦りがあった。
そして……その焦りが命取りになる。
――ブォン、ドシャッ!
「がッ……!?」
突然、霊夢は何かになぎ払われた。
まるで蹴られたボールのごとく吹き飛ばされ、勢いよく地面に叩きつけられた。
「「霊夢っ!?」」
霊夢が吹き飛ばされ、思わず二人は叫ぶ。
霊夢はと言えば、意識こそ残っているものの体をうまく動かせなかった。
(ぐっ……骨が……それに、内臓も……)
痛みを堪えつつ、霊夢は自分の状態を確認する。
薙ぎ払いのせいで腹のあたりにかなりの激痛が走っており、そのうえで叩きつけられたときにぶつけた場所の骨にヒビが入ったらしい痛みも感じていた。
「ぐッ………がぁぁッ…!!」
なんとか大幣を杖代わりに立ち上がるが、上手く霊力を練れない。
宙に浮こうにもこれでは回避もままならないだろう。
……そんな満身創痍な彼女を、このバケモノ桜が見逃すはずもなかった。
地に堕ちた彼女を狙い、何本ものレーザーと無数の反魂蝶が襲いかかろうとする。
「霊夢!今助けに……おわぁッ!?」
「これは……っ!?」
そんな彼女を助け出そうと魔理沙たちは霊夢のもとに向かおうとしたが……それを阻んだのは先ほど霊夢を叩き落した元凶。
まるでムチのように空を切るソレ……西行妖の太枝が彼女たちめがけて襲いかかっていた。
霊夢は飛び上がることもできず、魔理沙と咲夜も西行妖の妨害によって動けない。
そして、動けない霊夢を狙って西行妖は弾幕を集中……
前線が崩れるのはもはや目に見えていた。
ただ一つ、西行妖にとってのイレギュラーが現れなければの話だったが。
「お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッッッ!!!!」
人とは思えないその叫びと共に霊夢の前へと一つの影が飛び出し、それと同時に西行妖の弾幕が着弾した。
「霊夢ぅぅぅぅっっ!!!!!」
着弾の瞬間を目にした魔理沙は親友の名を叫ぶ。
仕留めたと判断したか、西行妖の弾幕が途切れた。
土煙が舞う着弾地点……
生きるものなど残っているはずもないその場所に、突然異変が起きる。
土煙が晴れる様子がない中、その中から土煙とは違うナニカが蠢いて噴き出す。
その正体は、まるで黒い霧のようにも見える瘴気のような謎の物体。
土煙を飲み込み晴らすように、そのナニカは着弾地点から現れていた。
それをどう認識したかは分からないが、西行妖は再度弾幕を展開した。
その展開先は……謎の瘴気のようなナニカ。
レーザーと反魂蝶が次々にナニカに向けて襲いかかる……が、その効果は薄い。
反魂蝶はナニカに飲み込まれ、レーザーはナニカを穿ちはするもののそれを晴らすには至らない。
ならばと言わんばかりにか、先ほどまで魔理沙を襲っていた太枝の一本がそのナニカの発生源へと振り下ろされた……
しかし、それは通らない。
「ぅ゙があ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッッ!!!!!」
再び雄叫びが上がり、太枝は何かに掴まれたかのごとくその動きを止められた。
「あれは一体……というより、あの雄叫びどこかで……?」
その光景を見た咲夜は何かに感づく。
そして、それと同時にその根元を覆っていたナニカと土煙が晴れた。
「あれは……!?」
「カズ……っ!!」
「お゙お゙ごあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッッッ!!!!」
覆っていたものたちが晴れた先。
まるで理性を感じない目と雄叫びを上げる和人が西行妖の太枝を抑え込み、まるで霊夢を守るかのように西行妖へと真正面から立ち向かっていた。
失われた命は戻ることはない
それはこの世の理である
だが、それに逆らう愚かな反逆者も存在する
死してもなお動き、死を恐れず生者を憎む
それすなわち死霊
死して生きる不死者である
次回、「西行妖〈下〉」
死したものは再び死を得るものか?