東方死霊録   作:SCOPEWOLF

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どうもこんばんわ。
というわけで今回から日常編(平穏とは言ってない)が始まります。
理由としてはあれなんですが……
次の異変として予定している、原作では永夜抄に当たる物語の時系列までに期間が開くことになります。
で、その間に彼は前章の最後に出たアレに関わる物も含めていろいろな経験をすることになります。
全部すっ飛ばして軽く後の話で「そんなことがあったなー」という展開にすることもできますが、後付け設定みたいなことになっちゃうのでここでいろいろと言及していきます。
そういうわけで、本編をどうぞ。


幕間:幻想郷での日常(春雪後)
日常:人里①


ある日の人里の一角。

 

人が集まって壁を形成しているその中央にて、二人の少年少女による治療が行われていた。

 

『ガァァァァッッッ!?!?!?!?ハナセェェェッ!!!!ハナセェェェェェッッ!!!!!』

 

「はいはい、解呪が終わったら放してやるからな。カズ、まだかかるか?」

 

「少々お待ちを……なかなか厄介な悪霊に憑かれてるみたいでして」

 

魔理沙によって取り押さえられているその少女……

 

鈴奈庵の看板娘「本居小鈴」の手には一冊の妖魔本が握られていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は数日前にさかのぼる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あ、お~いカズ!こっちだこっち!」

 

「お待たせしました。今日からよろしくお願いします」

 

この日、魔理沙と和人は人里の前で待ち合わせをしていた。

 

本来、半分だけではあれども妖怪である彼が人里に入ることはあまり歓迎されたことではないのだが……。

 

「よ、門番のおっちゃん!例の腕利きを連れてきたぜ!」

 

「お、魔理沙ちゃんか。なるほど、そこのあんちゃんがねえ……」

 

合流した矢先、魔理沙は人里の入り口に立つ門番へと声をかけた。

 

声をかけられた門番の男性は気さくに片手をあげて挨拶を返し、魔理沙の横に立つ和人へ好奇と若干の畏怖や恐怖の混じる視線を向けていた。

 

「霊宋寺和人と申します。今回は……」

 

「あー……坊主、そんなお堅い挨拶は無しだ。どうにも調子が狂っちまう。」

 

和人が挨拶をしようとすると、門番の男性は少し嫌そうにそう答えた。

 

男性のその返しに彼が困惑していると、魔理沙が苦笑いを浮かべながら口を開いた。

 

「カズ、このおっちゃんは敬語とかが苦手なんだよ。口調を崩すのは……難しいか」

 

「……まあいいさ。むしろ若いのにずいぶんとしっかりとしてるもんだよ」

 

そういって男性は指を入口の方へと指し示し、通過するように促した。

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、そろそろ彼が人里へと来た理由について語ろう。

 

簡単な話だが、彼は呪術師としての仕事と修理屋としての仕事……その二つを纏めて消化するためにこの場所に足を踏み入れることになった。

 

普段であれば人里でのその手の仕事の斡旋や持ち込みは魔理沙が請け負っていたが、彼女一人で運ぶのが難しい依頼品……大型のアンティークな機械類や運搬が様々な理由で困難な呪物については実際に現地まで行かないとどうしようもなかった。

 

そこで魔理沙の方から人里の重役の人物たちに許可を取り付け、魔理沙と里の自警団員の監視の下であることを条件に立ち入ることができるようになったのだ。

 

元々魔理沙が人里で上手いこと商売をしていたうえで、里の人々に悪い印象を抱かれないように立ち回っていたのが功を奏したのだろう。

 

そういった事もあって、本来であれば妖怪と同じように扱われて忌避される半妖である彼であってもここに来ることができたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここの部品をこれに取り替えて……魔理沙さん、5番の収納からパーツを取ってください」

 

 

「……あぁ、なるほど。魔理沙さん、殺鼠剤ってあります?中にネズミが巣を作ってるせいで動作不良が起きてたみたいです」

 

 

「この刀……相当にやばい呪物ですね。どれだけ怨念を溜め込んでたのでしょうか?」

 

 

「……仕方ありません、能力で呪いを喰らい取ります。魔理沙さん、危険ですのでそこの方々を下がらせてください!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして数日間、人里で和人は仕事漬けになっていた。

 

幸いにも半分が死霊である故か彼には睡眠の必要がなく、ぶっ通しで何軒も回ってようやく全てに片が付いた。

 

この間、魔理沙と自警団員の人たちが交代で見張り番をしたり、和人が無休で働き続ける姿を見て一部の里人に畏怖と恐怖の混じった目で見られたりしたりと色々とあった。

 

結局のところ、和人に人を害する意思がないことやその危険性の低さから、普通に話したりやりとりをしたりする分には安全であるという認識が人里に広まった。

 

そのかわりに休まず動き続けられる点や、その物腰の丁寧すぎる点からからくり人形のように見られてはしまったが。

 

そして、最後の依頼主がいる鈴奈庵へと足を踏み入れた時に事件は起きた。

 

「おーい、小鈴いるかー?」

 

人里に存在する数少ない貸本屋である鈴奈庵。

 

依頼はここの蔵から発見された、人外の存在が制作したと思われる呪われた古い本……いわゆる妖魔本と呼ばれる物の封印であった。

 

依頼主はここの店主なのだが、今日は別の用事があるということで店主の娘である本居小鈴が対応するとあらかじめ聞いていた。

 

そのため魔理沙は店に入るや否や彼女の名前を呼んだのだが……一向に返事が返ってこない。

 

「小鈴ー?……寝てるのか?」

 

「……いえ、それにしては静かすぎます。それに、この気配……」

 

静まり返る鈴奈庵の中で和人はある"モノ"に気づいていた。

 

その時だった。

 

 

―――ガシャーンッ!!!!

 

 

「「……!?」」

 

 

突然、店の奥から大きな物音がした。

 

それと同時に嫌な予感がよぎり、二人は地を蹴って店の外へと退避した。

 

二人が鈴奈庵から退避した瞬間、禍々しい気配が建物内からあふれ出す。

 

「これは……!?」

 

「ま、魔理沙ちゃん!?いったいなにが……」

 

「……すまん、あんちゃん達。周りの里の人達の避難誘導を頼む」

 

外で待機していた自警団の男性たちに指示を出し、魔理沙はミニ八卦炉を構えた。

 

和人もホルスターから自身の得物、銃型魔道具「八卦銃」を引き抜いて空へと一発発砲した。

 

発砲された魔力弾は空高く飛んでいき、人里上空で赤い光を放ちながら滞留し始めた。

 

「魔理沙さん、結界と支援射撃は任せてください」

 

「おう、任せたぞ」

 

軽く二人が言葉を交わすと、倒壊し始めた鈴奈庵からソレが飛び出してきた。

 

黒い影のような名状しがたきナニカを纏った少女……

 

鈴奈庵の看板娘、本居小鈴が二人めがけて弾幕のような攻撃を繰り出し始めた。

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