東方死霊録   作:SCOPEWOLF

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どうもこんばんわ。
そういえば前回の話で長老というオリキャラを出しましたが……
私の中では筋肉モリモリマッチョマンのクエント人の老人みたいな感じでイメージしてます。
彼がまた再登場するか?
そんな先のことは分からない。
そんな訳で、本編をどうぞ


日常:人里③

「さて、誰が裏切り者だって?ことと次第によっちゃあただじゃおかんぞ」

 

鋭い眼光で過激派の里人達を見下ろす長老。

 

かつて里を襲った非常に凶悪な妖怪を素手で懲らしめ、地底へと通じる穴へと投げ落としたと言われている豪傑を前に、彼らは冷や汗を滲ませながら震えていた。

 

「ち、長老……これは、その………」

 

「言い訳は要らん。大方、テメェらが気に食わねぇ野郎を巫女様に妖怪退治の名目でシメさせようとしたんだろ?」

 

「で、ですが長老……!」

 

 

「ですがもなにもないわ、この戯けがぁぁッ!!」

 

 

「ひぃぃっ!?」

 

凄まれてもなお言い訳を並べようとする老人に雷が落ちる。

 

そのあまりの迫力に、その場の空気が震えた。

 

 

「いいか!そもそもアレが人里に入れてるのは村の顔役連中で決めた事……つまり、里の総意と言うことだ!」

 

 

「それにだ!人里に呼びつけたのも、俺たちが頭下げて頼んだこと……わかるな?」

 

 

「そ、それは……」

 

 

「里の者では手を出せんからくりに呪物……これを貴様らはどうするつもりだ?」

 

 

「お、お言葉ですが長老!」

 

ドスを効かせて問いかける長老に対し、過激派の男が食ってかかった。

 

「そんな訳の分からないからくりなど捨て置けばよいではないですか!!それに、呪物だってそこにおられる博麗の巫女様に頼めば……」

 

「……悪いけど、私はそういうのはやらないわよ」

 

ぎょっとした顔で男は声の主の方を振り向く。

 

男の進言に対しそう返していたのは、他でもない霊夢であったのだ。

 

「な、なぜですか…!?なぜ……」

 

「あんたねぇ……私を何でもできる超人だとでも思ってるの?私はそういうのを扱うのは苦手なのよ」

 

「ま、がさつな霊夢じゃ精々力技で叩き壊すぐらいじゃないか?絶対原型も残さず粉々に……「余計なこと言うんじゃないわよ」……あだっ!?」

 

茶化すようにケラケラと笑う魔理沙に霊夢の手刀が振り下ろされる。

 

それなりに痛かったらしく、魔理沙は涙を浮かべて霊夢へと抗議の視線を向けた。

 

が、そんな魔理沙の抗議など気を止めることもなく、霊夢は過激派達に向き直る。

 

「それに、壊れた機械を捨てたとして……それが付喪神にでもなったらどうするつもりよ?アンタたちでそれの対象ができんの?」

 

「そ、それは巫女様が……」

 

 

「戯けぃ、この愚か者がぁぁッ!!!!」ブォンッ、ゴシャッ!!

 

 

「ごべぁッ!?」

 

雷の如き怒声が響いたかと思えば、過激派の男の身体が宙を舞った。

 

青筋を浮かべ、少し肌に赤みがかかり始めた長老が拳を振りかぶった状態でそこに立っていた。

 

どうやら彼がぶん殴って吹き飛ばしたらしい。

 

 

「黙って聞いてりゃ……テメェらは巫女様のガキかッ!!この恥さらしどもがッ!!」

 

 

「「「ひ、ひぃッ!?!?」」」

 

そのあまりの気迫に、過激派達は震え上がっていた。

 

 

「テメェの不始末ぐらい、テメェらが片付けろッ!!何でもかんでも巫女様に頼るなど、恥を知らんか!!」

 

 

「だ、だが長老!儂らに妖に対抗する術は……」

 

 

「だから貴様らはアホなのだ、この愚か者どもが!!」ブォン、ゴスッ!!

 

 

「ぐぁぁぁッ!?!?」

 

言い訳をする老人に対し、長老の手刀が振り下ろされた。

 

流石に加減されたのか、首がへし折れるなどということはなく普通に沈んで気絶した。

 

 

「そもそも、巫女様にばかり負担は強いられんからアレを呼んだのだ!!そんなこともわからんのか貴様らぁ!!」

 

 

「そ、それは……!!」

 

長老の言葉に過激派達は口ごもる。

 

そう、彼らは何があっても博麗の巫女……つまり霊夢に任せるつもりでこのような抗議をしている。

 

そこに彼女を一人の人間……一人の少女として見るものまったくなく、あくまで役職とその強さから妖怪に対する圧倒的な戦力とだけしか見ていないのであった。

 

 

「いくら巫女様が圧倒的な力をお持ちでも、この方もまだお若いのだぞ!!テメェらは自分の都合で女子供に負担を押し付けるつもりかッ!!」

 

 

「………………。」

 

長老のその怒りの声に対し、過激派達は口を閉ざした。

 

もはや彼らに弁解の余地はなく、長老へと言い返すこともできなかったのであった。

 

丁度そんな時……

 

「霊夢さん、魔理沙さん、おまたせしました……って、何があったんでしょうか?」

 

「………ッ!?」

 

和人が自警団員とともに彼女たちの元へと戻ってきた。

 

どうやら後片付けや瓦礫の撤去が終わったらしく、その後方では大量の木材や石材を運ぶ人々が見える。

 

「お、カズ。おつかれさん」

 

「……おつかれさま。別に気にする必要はないわ」

 

突如現れた憎い半妖が現れたことに過激派たちが顔をしかめる一方、霊夢と魔理沙は気さくに彼へと返事を返していた。

 

「み、巫女様!!今こそ好機です!!忌々しいその妖怪を……」

 

 

「くどいぞ貴様ら!!」ブォン、ゴチンッ!!

 

 

「くぼぉあッ!?」

 

早速和人に敵意むき出しになって霊夢に嘆願しようとする過激派に対し、長老の拳骨が炸裂した。

 

頭を少し地面にめり込ませる過激派をよそに、長老は溜息を吐きながら和人へと向き直る。

 

 

「すまぬなお客人。里の者が迷惑をかける」

 

 

「……いえ、お気になさらないでください。僕もそのような視線で見られることは承知でここにいますから」

 

少し哀しみの混じる目になりながらも、和人は長老へとそう返していた。

 

「……魔理沙さん、依頼はこれで最後ですよね?」

 

「え?あ、あぁ。まぁそうだな」

 

「では……これ以上人里にお邪魔するのもご迷惑になるようですし、撤収することにしましょうか」

 

「え!?いや、その……もうちょっとゆっくりしていかないか?ほら、せっかく来たんだからよ?」

 

 

「それについては儂の方も同意見だな。こちらとしては礼をしたいことが山ほどあるからな。」

 

 

さっさと帰ろうとする和人に対し、魔理沙と長老は引き留めの言葉をかける。

 

しかし、和人はそんな二人に首を横に振った。

 

「……いえ。これ以上僕が理由もなく滞在していたら、彼らのように妖怪におびえている人達を刺激してしまいます。報酬は頂いていますし、僕はそれで……」

 

 

 

 

「じゃ、残る理由があればいいのよね?」

 

 

 

 

そう言って和人の肩をつかんだのは霊夢であった。

 

「……霊夢さん?」

 

「長老、宴会場って今からでも準備できるかしら?」

 

 

「ん?まぁ、できるというか……元々ソレをそっちで呼ぶためにここに来たんだが……」

 

 

「なら決まりね」

 

長老の言葉に、霊夢はにやりと笑いながら和人の目に視線を合わせる。

 

「和人、あんたには宴会に参加してもらうわ。もちろん答えは聞かないから」

 

「……えっ?で、ですが……」

 

 

「い い わ ね ?」

 

 

「あ……はい……」

 

断ろうとした和人の肩が強く掴まれ、霊夢の顔には圧力全開の笑みが浮かんでいた。

 

もはやこうなっては和人に拒否権など無かった。

 

立場的にも力関係的にも、和人は霊夢に逆らうことができないのだから。

 

「……じゃ、決まりね。長老、宴会の方は任せたわよ!」

 

 

「お、おう。それはいいが……」

 

 

「ほら、和人も魔理沙も何ボーっと突っ立ってんのよ?せっかくなんだし、里の商店でも見に行くわよ!」

 

そう言って、霊夢は和人と魔理沙の手を掴んで引きずっていく。

 

「ちょ、まっ、霊夢!?せめて勘定ぐらいは……」

 

 

「あー……霧雨の嬢ちゃん、それは儂のほうでやっておく。せめてもの迷惑料だ」

 

 

「だ、そうよ。ほら、グズグズしてんじゃないわよ!」

 

「…………魔理沙さん、ここは大人しく従いましょう。こうなった霊夢さんはだれにも止められません」

 

「お、おいカズ!?なんでそんな諦めたかのような………アダダダ!?れ、霊夢!?痛い!?腕が引っこ抜けそうだからぁぁぁっ!?!?!?!?」

 

魔理沙の抗議も虚しく、二人は霊夢に引きずられて何処かに連れて行かれた。

 

 

 

 

後に長老は語る。

 

 

 

――……あの時の巫女様は見たことないぐらい生き生きした顔だった、と。

 

 

 

ついでに、大人しく引きずられていく和人を見た里の人々は彼をこう認識した。

 

 

――いくら妖怪の力を持っていようとも博麗の巫女様には逆らえないのだな、と。

 

 

この日以降、和人の人里での脅威度はそこら辺の妖怪とは比べようがないほどに下がったのだった。

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