はい、またまた遅刻でございます。
スマヌ、ちょっと歯を親知らずにやられて色々とありましてな……
まぁなんとか書けましたが、ちょっと間に合わなかったです…。
それでは、本編をどうぞ。
今日は珍しいことに、香霖堂では僕と霖之助さんの二人が店番をしていた。
最近はこれといって依頼の品があるわけでもなかったが、その代わりに僕と霖之助さんは長期的な依頼に関わる作業を代わる代わるで行っていた。
故に二人揃って店に立っているのはここ最近ではかなり珍しく、僕が品出しと掃除をしている傍ら霖之助さんが茶を啜りつつ新聞を読むという光景が久方ぶりに見られた。
「……っと、これで商品の補充は完了ですね」
「お疲れ様。……とはいっても、ここ最近はあまり古道具の売り上げはなかったからほとんど和人の作った小物だけだったね」
「あはは……まさか、余った材料で作った装飾品とか小道具とかがこうも売れるとは思ってもみませんでした」
僕は思わず乾いた笑いをこぼした。
古道具の修理や機械類の修理の過程で、どうしても余剰なパーツの在庫や不要な材料などが生まれる。
パーツの中には新造やニコイチの分解含めて規格外の物もあるため、そういったものはどうしても置き場所を圧迫してしまうのだ。
廃棄するのもありだが、ただでさえ材料を入手するのが難しい金属類は捨てるには惜しい。
というわけで余った材料などを加工して小道具やちょっとしたアクセサリーにして販売することになったのだが……
これが予想外の売り上げだった。
香霖堂に置いてる分も含め、それなりに需要があったらしい。
まあ幻想郷ではあまり宝飾品や飾りについては生産量が多くないらしいからなのだろう。
様々な形状やデザインのアクセサリーを制作して販売したが、植物や雪結晶等を模したものは女性を中心に。
不揃いだったねじや歯車を使用した無骨なものは男性を中心に人気が出た。
中には独自にデザインを発注したり材料を持ち込む客もおり、さすがにそれに関してはかなりの高額での依頼という形で引き受ける旨を伝えてある程度は絞ることができた。
ちなみに魔理沙さんと霊夢さんも僕にオーダーメイドを頼んできたが、額が額なのとツケが効かないこともあって早々にあきらめていた。
心苦しいが僕も装飾品作りでだけで生きているわけではない。
あくまでこれはおまけの小遣い稼ぎである以上、その線引きはしっかりとすべきだろう。
さて、そんなこともありつつ今日も廃材から作った小物を店に並べていると……
「よっす、香霖にカズ!!」
「はーはっは!このあたいが来てやったぞ!!」
ドアが勢いよく開かれ、その向こうから魔理沙さんとチルノさんが上機嫌な様子で入店してきた。
「……騒がしい冷やかしが二人も来ちゃったね」
「あー……僕が対応してきますよ」
霖之助さんが面倒そうにしていたため、僕が彼女たちの対応をすることにした。
この二人は香霖堂にやってくる人々の中でも特に物を買うわけでもなく居座る者たちの筆頭であり、なんなら魔理沙さんはツケで買っていくことが多いためにその返済についてもいろいろとあるのだ。
「お二人とも、今日はいかがなさいましたか?あと、魔理沙さんは早くツケの精算をしてくださいね?」
「うっ……い、今はそれに関しては置いとけよ!今日はちゃんと客として来たんだからよ!」
「……?魔理沙、ツケってなんだ?」
「あ〜……それはだな「お金は後で払うからと代金を支払わずに持っていった分の支払いですね」……おい!」
魔理沙さんがチルノさんに何か吹き込もうとしている気配があったため、言葉をかぶせるように妨害をかけた。
「なるほどな!……あれ?つまりは魔理沙は今香霖堂から物を盗んでるってことなのか?」
「ちげぇよ!?ちゃんと支払いはするって……「約3ヶ月分で合計三十円*1を滞納してらっしゃいますが、いつ払われるんでしょうかね?」うっ……」
僕の追撃に思わず声を詰まらせる魔理沙さん。
まぁこれに関しては彼女が支払いを滞納しているのが悪い。
こちらとしては返済させるアテはあるが……今はまだ準備が整っていない段階だ。
もう少しそれについては泳がせておくことにしよう。
「なら丁度いいじゃん!あれを買い取ってもらって山分けした金を払えばしはらいっていうのもできるな!」
「ぐっ……仕方ないかぁ……」
チルノさんの言葉にがっくりと項垂れる魔理沙さん。
どうやら今回は冷やかしでもなく何かを売りに来たらしい。
しかし山分けとは……
「……もしかして、チルノさんが見つけて魔理沙さんが運んできたんですか?」
「おう!あたいじゃあんなの持っていけなかったからな!丁度運好く魔理沙が飛んでて助かった!」
「……ったく、私は荷車かっての。アレ以外にもいろいろと運ばされたんだからな!分け前は少しぐらい上げろよ!」
珍しいこともあるものだ。
チルノさんが人を頼るなんて、今までに見たことがない姿である。
前にいろいろと教えたのが影響したのか、あるいは自力ではどうにもならないと学習して頼ることを覚えたのか。
いずれにしても良い傾向だ。
「では、買い取りですね。品物は……」
「あっ、それなんだが今は外の方に置いてるんだ。ちょっとばっかし店にいれるには困る品でな」
ふむ…?
店内にいれるには困るもの……
つまりはそれなりに大きい物なのだろうか?
「まっ、見たほうが早いだろ。おい、香霖!!お前も見に来いよ!」
「……こうも騒がしいと落ち着いて新聞も読めないね。和人、先に査定作業の準備をしといてくれ」
「承知しました」
霖之助さんからの指示を受け、僕は店の勝手口から出て倉庫へと入る。
中には様々な機材が置かれており、僕はそのうちの一つ「アプレイザーmk.Ⅰ」を死霊変化の一つ「ゴースト」の力で浮かせて外へと運び出す。
このアプレイザーmk.Ⅰはかなりサイズの大きな鑑定用の魔道具なのだが、ゴーストの能力の一つである「ポルターガイスト」を使うことによって短距離ではあるが移動させることができる。
そして、これと霖之助さんの能力「道具の名前と用途がわかる程度の能力」を併用することにより、より高い精度で道具などの鑑定を行うことができる。
因みにだが、これを発案したのは実は霊夢さん。
古い分析機械が香霖堂に持ち込まれた時、「霖之助さんの能力と併用したら鑑定できないものはないんじゃないかしら?」という何気ない様子で零したその言葉に触発されて制作されたのである。
これさえあれば年代測定から機械の内部構造の検査まで大体のことはできる。
今回持ち込まれたのがなにかは知らないが、これで調べれば大体のものは完全に解析して見積もりを取ることができる。
そういう訳で香霖堂の表までこれを運び出したのだが……
「……………………」
「お、お〜い、香霖?急に固まってどうした〜?」
「反応がないぞ!死んでないよな?」
「馬鹿、香霖がそう簡単に死ぬわけねぇだろ!」
「なんだと!!バカと言ったほうが(以下略)」
何故か驚愕に染まった表情のまま、目の前にあるバイク……バイク?らしき物の前で固まる霖之助さん。
その周りでは魔理沙さんとチルノさんが馬鹿馬鹿と連呼する言い合いをしていた。
「えーっと……霖之助さん?アプレイザー持ってきましたが……「和人!」わっ!?ど、どうしたんですか!?」
ガシッと肩をつかみ、僕の顔に焦点を合わせる霖之助さん。
これは珍しいことに霖之助さんが相当興奮しているらしいが……一体何があったのだろうか?
「すまないが、これの取引は僕に任せてもらう!」
「えっ?あっ、はい。」
有無を言わさないと言わんばかりの気迫に僕は押され、とりあえず取引の方については霖之助さんに任せることにした。
一体、どうしたのだというのだろうか?