東方死霊録   作:SCOPEWOLF

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どうもこんにちは
はい……また遅刻です。
すまない……すまない……
これも全てはミアレに行ってた故……
それはさておき、本編をどうぞ


日常:香霖堂②

買い取りの取引が終わって魔理沙さんとチルノさんが帰った後……

 

僕達は何とか買い取ったバイクを店内へと入れ、作業場へと運ぶ準備をしていた。

 

「……霖之助さん、本当にあれでよかったのですか?」

 

「値段の事かい?この子の価値を考えればあれでも少しぼったくった方だと思うよ」

 

「確かに、僕も見たことがないデザインですが……それでも、ただのバイクなら幻想郷だと……」

 

そう、これがバイクであるというのなら幻想郷では使い道が少ない。

 

燃料動力云々は魔道式に改造すればどうにでもなるが、問題は道。

 

幻想郷は整備がされた道というものがそこまで多いわけではなく、オフロードに適しているというわけでもないのなら移動手段としては行動範囲が限られる。

 

そのうえ、幻想郷では空を飛ぶという移動手段がある。

 

需要もない上に、改造したところで扱えるのは僕や霖之助さんぐらい。

 

価値としては人里にいくらばかりか流れている土木の重機の一つ下ぐらいだろう。

 

だが、これの買い取り額として霖之助さん提示したのはその十倍の金額……

 

おかげで香霖堂の金庫がかなりさみしいことになった。

 

そこまでしてでも高く買い取ったということは……それほどに彼を惹きたてる何かがこのバイクにあるということなのだろうか?

 

「…半分は僕の興味もあるけど、うまくいけばこの子の力は"例のアレ"にも応用できるかもしれない」

 

「アレにですか…?いったい何が……」

 

「とりあえずこれを工房に運び込むよ。アプレイザーは?」

 

「倉庫の搬入口からすでに運び入れてます」

 

「じゃあ、僕たちも行こうか。……スイッチを入れてくれ」

 

霖之助さんの合図を聞き、僕はカウンターの裏に仕込んである仕掛けのスイッチをおして戸棚の前へと移動する。

 

カチリという音と共に棚のロックが外れ、下の方へと降りる形で収納された。

 

その奥には扉がついており、その奥には昇降機……つまりエレベーターが設置されている。

 

霖之助さんがバイクをエレベーターへと詰め込み、僕達も乗り込んだところでエレベーターのスイッチを操作した。

 

扉が閉まり、棚がせり上がる音を置き去りにしながらエレベーターが降下し始めた。

 

「和人。例のアレは幻想郷で運用するにいたって何が問題だと思う?」

 

「そうですね……やはり、地形でしょうか?」

 

「そのとおり。幻想郷はあの手の大きな機械が地を走るのには不向きな地形だ」

 

これは真っ先に思いつく。

 

幻想郷は細かな起伏や高低差のある地形であり、その上狭い間隔で生い茂る森林がそこら中にある。

 

こういった地形だと人が駆け抜けたりする分には良いのだが、乗り物が駆けるには不向きな地形である。

 

「アレは確かに陸上を駆け抜けるのに適しているが、それだけだと幻想郷で配備するには問題も大きい」

 

「……ですが、あれの特性を考えるとブースターを取り付けて無理やり浮かせたとしても大した機動力は得られないはずです」

 

「まぁそうだね。……だからこそ、この子が革新をもたらしてくれるはずだよ」

 

霖之助さんがそこまでいうのはなかなかに珍しい。

 

この人は確かに技術者や商人としての一定の熱量はあるものの、基本的に保守的な姿勢をとっている面が大きい。

 

彼の口から「革新」という言葉が出ること自体、普通ならありえないはずだ。

 

「……ところで、和人はこれを普通のバイクとして見てるようだね?」

 

「そうですね。ところどころ違和感はありますが、模型やかなり特殊な電動バイクとしてみるのであれば燃料タンクやマフラーが省略されてても納得はできます」

 

「電動……確か、外の世界の電気を用いた機械だったね。多分だけどこの子はそれに近しいものだよ」

 

近しい?

 

電動に近しい……ということは、これは厳密に言えば電動とは違うものということになる。

 

一体、どういうことだろうか?

 

「まず、このバイクというものだけど……正確な名前は「魔導式自動二輪」となってたんだ」

 

「魔導式……!?ということは、これはもしかして……」

 

「多分だけど、例のルートから流れてきた魔道具じゃないかな?」

 

例のルート……それは、ごく一部の者にしか知らされていない幻想入りした道具たちの出処。

 

幻想郷が存在しているこの世界とはまた違う時空に存在するとされている世界……と、僕達は紫さんから聞かされている。

 

「しかも、この名前は僕達の言語と全く同じ文法で付けられている。つまり……」

 

「……日本人。あるいは、同じ文化を持つ文明の産物ということですか」

 

「そういうことになるね」

 

……それを考えると、これは向こう側を深く知ることができる貴重な資料かもしれない。

 

「もちろん、それだけじゃないさ。この子の用途もまた面白い事になっててね……」

 

そう霖之助さんが語る途中でガタンッという音ともにエレベーターが止まった。

 

どうやら工房に着いたらしい。

 

操作盤を少しいじると、ドアが開いて薄暗い闇が僕たちを出迎えていた。

 

霖之助さんがバイクを押して工房に運び入れる中、僕は薄暗い中でこの部屋の照明のスイッチを探す。

 

ふと、見られているような気がして僕は横を振り向いた。

 

しかし、その先には力なく吊り下げられた三つ目の鉄巨人しか存在していなかった。

 

気のせいかと思いつつ、僕はスイッチを捜索する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巨人に意識というものがあるかはわからない。

 

だが、彼のものの再誕は近い。

 

かのものは見下ろした先にあるバイクをその瞳に映し、静かにその時を待っていた。

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