サバゲーやら普通に仕事やらでこの通り遅れました()
それはまぁ申し訳ないですが………
それはそうと、今回から新章!
永夜抄編こと「二章.永夜異変」が始まります!
さて、今回は珍しく和人が積極的に異変解決へと乗り出す話です。
春雪異変の時もそうですが、彼は基本的に自分から異変に首を突っ込んで解決に向かうことはほぼありません。
それはまぁ彼の立場的に自然とそうなったのですが………
今回はそういうわけにもいきません。
それは自分のためなのか、それとも………?
というわけで、本編をどうぞ
一.終わらぬ夜
ふと、僕は目を覚ました。
今日は珍しく睡眠をとっていた。
まぁそれなりにハードな作業を先ほどまでしていた故、それについては仕方ない。
ただ……どうにも胸騒ぎがする。
少し蒸し暑さを感じる空気になっている工房の戸を開く。
空はまだ暗く、空を見上げれば月の光が僕を照らしている……はずだった。
「これは……!?」
空に浮かび僕と夜闇を照らすその光。
それを放っているはずの月はそこになかった。
――ドンドンドン!
「カズ、起きてるか!?」
「……!!
今開けます!」
魔理沙さんの元へ異変を知らせに行こうとしたその矢先、当の本人が戸を叩きながら叫んでいた。
すぐに玄関へと降りて戸を開けると、魔理沙さんに加えて魔法の森のもう一人の魔法使いであるアリスさんが中に入ってきた。
「すまんカズ、また手を貸してくれ!」
「……人出を確保するって言ってたけど、まさか店員さんを連れてくつもりなの?」
「あはは……まぁそれについては僕としても願ったり叶ったりといいますか……」
いつもの異変であるならば僕は手伝うだけなのだが、今回は少し事情が異なる。
基本、異変というものは人間によって解決される。
だが例外も存在しており、『人間に影響がないか軽微である代わりに妖怪に多大な悪影響をもたらす場合、妖怪が率先して異変解決に乗り出すことが可能』ということになっている。
春雪異変の際はあくまで補助という形であり、率先して参加していたわけでは無かった為に特に問題は無かった。
例の宴会の異変についても、僕自身は異変解決そのものには特に貢献もしては居なかった為に基本的には異変解決の原則には則っていた。
……しかし、今回のケースは違う。
今回のこれは妖怪にとって……僕自身は半妖ではあれど、種族の特性としてどうしても関係性が切っても切れない月を隠されたのである。
流石にこれを放置するわけにもいかないため、専門家の意見の元解決に乗り出そうと考えたのだ。
まぁ、この様子だと魔理沙さんも今回のこの異変に気がついた様子で……
「よし、じゃあカズも連れてこの『夜が明けない異変』を解決するぞ!」
……………え?
――少年少女移動中……――
「……ほうほう、そんなことになってたのか」
「なるほど、確かにそれならこの夜の異変についても何となく納得はできるわ。
人間や魔法使いの私たちにとっては些細なことだけど、妖怪にとっては死活問題でしょうしね」
現在、僕達は魔法の森上空を飛行して人里周辺へと向かっている。
その道中、二人に月の異変について説明をした。
説明をしたあたりで二人はすぐに状況を理解し、今回の異変についてすぐに推測や原因などを考察していた。
まず、魔理沙さん達が言う『夜が明けない』という異変についてだが……
これはおそらく、紫さんのような大妖怪が何かしらの干渉をして夜の時間を操作しているのだろう……という考察に落ち着いた。
そして、二人はその事実に気がつくと同時に理解した。
そう……今回の『夜の明けない異変』は連鎖的に発生したものであり、その元凶である『月が隠された異変』を解決しない限りまた同じような異変が発生してしまうのだということに。
それはそうだ。
いくらいま夜の方の異変だけ解決したとしても、月を奪われて怒りに燃える妖怪たちを抑えることができるはずもない。
そういったこともあり、二人は取り敢えず方向を転換して月についての異変解決に乗り出すこととなった。
魔理沙さんとしては霊夢さんも誘おうと思ってたみたいなのだが……行き違いになったのか神社には居なかったらしい。
おそらく紫さん辺りを退治しに行ってるのだろうとの話だが……そうなるとあまり余裕はないのかもしれない。
このまま夜が続いているのであれば、元凶たる首謀者を探すこともかなり楽になるのだが……
もし霊夢さんが先に乗り出しているのであるのならば、早く痕跡を追わなければ時間を止めている妖怪が退治されて手遅れになってしまう可能性が高い。
というわけで、その情報を求めて僕達は人里に向かっている。
魔理沙さんいわく、人里にはなんと月に関わる力を持つ半妖が住んでいるらしいとのことであった。
その人物であれば今回の異変について何か掴んでいてもおかしくはないとのことだが……
正直、僕としてはにわかには信じられない話であった。
あの人里で半妖が普通に生活しているとのことが多少なりともその考えを後押ししている。
だが魔理沙さんがそんな嘘をこの状況で言うわけがない。
まぁ手がかりがほぼないような今を考えるのであれば、藁にも縋る気持ちでその人物に助けを求める他ない。
「……しっかし、本当に全く見分けがつかないな。
私の目にはいつもの満月にしか見えないぜ」
「それも仕方ないと思いますよ。
妖怪以外の存在にとって、月は本来大した影響を及ぼさないものですからね」
そう、これは妖怪としての側面があるからこそ僕は気づけた。
だが、それ以外の存在……人間や妖精のような妖力とは無縁の者たちにとっての月はそこまで重要な意味を持たないことが多い。
例外として月にまつわる能力を持っていたり、そもそも月にルーツがある者がいるが……
今のところそのような存在が動いているという情報もないため、これについてはなんとも言えないところだ。
それはともかく、僕達は魔法の森を抜けた。
道中でホタルの妖怪の「リグル•ナイトバグ」さんや夜雀の「ミスティア・ローレライ」さんと遭遇したが、彼女たち以外で誰かに遭遇することもなかった。
まぁ彼女たちについても異変解決に向かっている旨を伝えて弾幕ごっこは回避できたので、これと言って特筆することはない。
………だが、それは目の前の光景によって転換することになる。
「これは………一体……?」
たどり着いた人里。
その一帯が、謎の結界のようにも見える力によって覆い隠されていることによって。
認識
それは、人が感じて記憶することで生まれる存在である
であれば、その記憶を隠されればどうなるのか?
あるはずの無いものはそこに存在していようとも存在せず、虚像やまやかしと疎まれる
だが、隠すことにも限度がある
隠しきれぬ我が子を背に、怒れる獣が牙を剥く
次回「上白沢慧音」
例え人の形を持とうとも、獣の牙は抜けきれぬ