東方死霊録   作:SCOPEWOLF

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どうもこんばんわ。
そういえば、「風景やキャラクターの描写を省いたほうがスムーズに展開が進むのではないか」という質問がありました。
これに関してはまぁ好みだとは思いますが……
私の場合、これを入れないとほんとに序盤とかは作風的に超薄味になってしまうんですよね。
実はこの作品に関してはあらかじめ箇条書きを並べただけのプロトタイプを上書きする方式で執筆しているのですが……
その箇条書きの内容だけを肉付けして整えた場合、とんでもなく酷い構文の駄作になってしまいまして。
具体的には、主人公やその他視点主から見たその作品世界の光景的なものがあまりにも分かりづらくなっていました。
内容だけで勝負するならまぁそれでもいいんですが、それでは本当に私が書きたいものは書けないのです。
そんなわけで、長文とはなりましたが本編をどうぞ


三.再走

「わは~、待つのだ~!!」

 

後ろから色とりどりの光を放つ何かが飛んでくる。

 

その何かは容易くそこら辺の木を抉り取り、地面を穿ち……そこら中を穴だらけにしてしまう。

 

とてもじゃないが、後ろから追いかけてくる謎の少女が放っているとは考えられないほど恐ろしい威力だ。

 

そして何より……彼女は空を飛んでいる。

 

飛行速度はそこまでだが、宙を浮いて地形に左右されずに追いかけられるのは脅威でしか無い。

 

「グッ……!!」

 

思わず呻きながらも足を止めずに走る。

 

先程の逃走でかかった肉体の負荷がまだ取りきれていないのだ。

 

命の危機故になんとか体を動かせてはいるが、このままでは力尽きるのも時間の問題だろう。

 

そんなことを考える間もなく、次々と光のソレが絶え間なく飛んでくる。

 

「わは~、まてまてぇ~!!体置いてけぇ~!!」

 

「置いたらッ……死んじゃうッ……でしょうッ!!」

 

そんな軽口こそ叩いているが、そうでもしていないとやっていられない。

 

時折ビームのようなものまで撃ってきており、本当にこれは現実なのかと疑いたくなる。

 

だが……偶に掠めていく光の弾らしきものが与える痛みが、それが現実のものであると知らせてくる。

 

なんとか右に左にと蛇行で走り抜け、光るソレが掠めるたびに感じる痛みと衝撃に耐えて足を動かす。

 

偶に何処からか同じような光の弾が飛んでくるが、弾速そのものは結構遅い為、どうにか避けて逃げれている。

 

よく見れば、羽のような何かを生やした幼い少女達が木々の間から飛び出して光の弾を連射してきているのが見えた。

 

いくつかは後ろから追いかけてくる人喰い少女へと飛んでいくが、彼女はそれをあっさりと宙を舞うように回避して反撃までいれていた。

 

お陰で真っ直ぐこちらばかりを狙ってるわけではないのが幸運と言える。

 

とは言え、このままと僕の体力が尽きて捕まってしまうだろう。

 

幸いにも少女の飛行速度は遅い。

 

今のところは少しづつ引き離せてはいる。

 

どこか……どこかで隙を作れれば……!!

 

そんな願いが届いたからなのか。

 

しばらく走った先の急カーブ。

 

そこを曲がった先に二つに分かれた道があった。

 

(ここです…!!)

 

僕はさっきまで背負っていたバッグを掴み上げ、片方の道に投げ飛ばす。

 

それと同時にその反対の道へと逃げ込んだ。

 

その逃げた先には丁度良い感じの茂みがあった為、その中にに息を殺しながら隠れこんだ。

 

隠れこみ間もなく角を曲がってきた少女が現れたが、僕がバッグを投げた方の道へと飛んでいった。

 

木の間から僅かに見えるが、完全に僕を見失ったのか辺りをキョロキョロと見回していた。

 

「ぬあ〜っ!!どこ行ったのだ~!?」

 

ここまで聞こえるほどに叫び、彼女はその場で地団駄をふむ。

 

獲物にまんまと逃げられ、相当に悔しいのだろう。

 

しばらくするとようやく諦めたかのようにおとなしくなった。

 

彼女は何かを拾い上げるかのように一度屈み、立ち上がるとそのままどこかへと飛んでいった。

 

恐る恐る慎重に見てみれば、バッグが丸ごと持っていかれてしまった。

 

(さて、此処からどうしましょう……?)

 

参ったことに、あのバッグには万が一のGPSとか通信端末を入れていたが、丸ごと無くしてしまった。

 

携帯も、山を降りるときに邪魔になると考えてあの中だ。

 

だが、あの状況で確実に逃げ切るにはアレを囮にして隠れるしか方法が思いつかなかったのだ。

 

本当に途方に暮れるしかなくなったが、一先ずは茂みから抜け出し、逃げ込んだ方の道を歩いていく。

 

道は本当に辛うじて道と言えるだけの状態であり、むき出しの土の所々に草が生い茂っている。

 

そのまま歩いて、歩いて、歩き続けて……

 

何度も小道に曲がり、もはやどの道を通ったかもわからなくなっても進み続け………

 

全身がもはや限界と言えるレベルまで痛んで、日もほとんど暮れ始めた頃に一つの建物がやっと見えた。

 

和風家屋……のような建築様式だが、所々に西洋っぽい造りが目立つ建物。

 

その正面には「香霖堂」と大きく漢字で書かれた看板が飾られている。

 

場所が場所な為に怪しく感じるが、仕方ない。

 

もう何度目になるかもわからない藁にもすがる気持ちで、その正面口へと歩み寄る。

 

年季は……そこまで古くは感じない。

 

その造りは新しいとは言えないが、建材の風化は全く見られない。

 

よく見ればそこら辺に古びたガラクタ……

 

具体的には根っこから抜けた状態の錆びた標識や、大量の金属製スクラップ……中にはもう粗大ごみみたいなものである旧式の洗濯機みたいな家具家電まである。

 

廃墟、というわけではなさそうなのにこの荒れようはなんなのだろうか…?

 

中には……一人、だろうか?

 

なんとなくだか人がいる気配がする。

 

……普通であれば、こんないかにも怪しい人気のない場所の建物なんて怪しすぎる。

 

まず、わざわざ入ろうと思う人は居ない。

 

だが……もう日は沈みかけている。

 

暗くなった山や森で野宿するのはあまり良くない。

 

特に、何もかもを持っていかれた無一文の状態ならなおさらだ。

 

もう、これで駄目なのであればもはやこれまでである。

 

意を決し、建物の正面口……その扉のドアノブを掴んだ。

 

カランッとドアが開く。

 

鬼が出るか蛇が出るか……果たして。




忘れさられ、楽園へと漂着した物達は望む。
また人の手元へと置かれ、再びその生を謳歌することを。
だが、来る日も来る日も……己が主は来ない。
そこに集うものは、数多の同胞たちとやる気のない商人ばかりである。
次回「香霖堂」
流れ人は彼らの救世主たるか。
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