東方死霊録   作:SCOPEWOLF

40 / 61
どうもこんばんわ
まさかの一週間という大遅刻をかまして投稿です。
年末のもろもろで忙しかったとはいえ、本当に面目ない。
さて、今日のこの話で今年の書き納めとなります。
いやあ、去年のこのころは今は亡き打ち切り作品「東方幻怪伝」を書いてましたが……
まああの作品やよりは長く続けられてるなあって思います。
やはりモチベがないとネ……
というわけで、本編をどうぞ
それと、よいお年を


四.迷いの竹林②

自機組が一組を除いて接触し、バチバチにやりあうその一方。

 

一人アテもなく竹林へと乗り込んだ和人であったが、案の定迷っていた。

 

行けども行けども目の前に広がるのは代り映えのない竹林の光景。

 

妖精すらいない竹林の中をただひたすらに進み続けていた。

 

「……参りましたね」

 

目印に置いていた鬼火もいつの間にか霧散してしまっており、引くにも引けない状態である。

 

そんな中和人はため息をつきながらも歩き続けた。

 

……そして、その姿を後ろからじっと見つめる影が一つ。

 

「おやおや、なにか紛れ込んでるかと思えば……半妖が迷い込んでるなんてねぇ?」

 

見た目は少し幼い少女だが……

 

その頭には、彼女が人ならざるものであることを示すもの……ウサギの耳が生えていた。

 

「ふ〜ん……そっちに行かれると少し困ったことになるけど、どうしようかなぁ…?」

 

普通の妖怪であればすぐに彼に襲いかかろうとするのだろうが、この妖怪……「因幡てゐ」は少し事情が異なった。

 

彼女はほかの妖怪に比べても長く生きており、それゆえに相手を軽く見定めただけでその脅威を測ることができる。

 

その点で言うと、てゐにとって和人はあまりにも分が悪い相手であった。

 

能力や妖力の程度としては大したことはないのだが、問題は彼の装備と身体の動かし方。

 

背中に背負っている槍は何の変哲もないただの短槍なのだが……

 

彼の腰に付いている"それ"が問題であった。

 

てゐも遠巻きに見たことがある程度だが、その形状からして恐らくだが幻想郷が閉ざされる前に異邦人が持ち込んでいたらしい「短筒」とよく似ていた。

 

小さいながらも人を容易に殺して見せていたその武器に対し、当時からてゐは危機感を覚えていた。

 

なにせ簡単に携行できるうえに、下手をすれば小動物から自分たちのような比較的弱い妖怪までもを殺すことができる武器だ。

 

最近やって来た"新顔"も似たような物を持っていたが、それはそれでおっかない思いをしたばかりなのである。

 

(……ま、馬鹿正直に真正面からやり合わなければ何とでもなるか)

 

そう思考してすぐ、てゐはこっそりと彼を追跡するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……誰かがつけてる?)

 

和人はふと、誰かが自分の後をつけていることに気が付いた。

 

気配こそ全く感じないが、ほんの少しだけ生命の反応を感じ取っていた。

 

半分死霊という種族柄なのか、彼はソナーのように他者の生命の反応を感じ取ることができる。

 

もちろん虫や小動物の反応も混じってはいるのだが、人や妖怪……もしくは大型の動物の反応の場合はそれ相応の大きな反応がある。

 

(妖怪……でしょうか?しかし、反応の割には気配が薄い……?)

 

追跡に気づいていることを悟られないように歩き続けているが、これといって何かしてくる気配がない。

 

しかし、油断はできない。

 

こんな状況、こんな場所で気配を消して追跡してくる輩がまともな味方なわけがない。

 

一体、どこで仕掛けてくるのか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ブオンッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な……ぁッ……!?」

 

突然嫌な予感が体を駆けまわり、和人はすぐに上半身を大きく後ろへと倒すように仰け反る……いわゆるマトリックス回避をする。

 

その瞬間、風切り音と共に先の尖った丸太が振り子のごとく飛んできた。

 

丸太は彼の腹をかすめるように通り過ぎていき、いくつかの竹を巻き込んで近くにあった岩へと突き刺さった。

 

「……尋常じゃない殺意ですね」

 

背中に走る冷たいものをこらえつつ、和人は再び歩きはじめる。

 

だが、これはあくまで始まりでしかなかった……

 

 

 

 

「おわッ⁉お、落とし穴の中に竹槍……!?

ここ、東南アジアじゃないですよね……!?」

 

 

「ひぇッ!?た、大量の矢が!?」

 

 

「ちょッ、これ全部殺傷能力の高い爆竹……のわぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

 

「ま、待ってください!?ここピラミッドとかじゃないのに何でこんないかにもな岩が……

Nooooooooッ!?!?!?!?」

 

 

「またこの丸太!?しかもこの量は………ギャァァァァァァァッ!?!?!?!?」

 

 

 

行けども行けども罠ばかり。

 

何とか致命傷こそ避けたが、弾幕戦を一切してないはずなのに全身ズタボロである。

 

しかし奥に行けば行くほど罠の苛烈さも上がっている。

 

もしかするとだが、この先この方向に黒幕のいるという屋敷があるのかもしれない。

 

最悪、和人としてはたどり着けることができればそれだけでいい。

 

たどり着いた屋敷の上空に信号弾を上げてしまえば、霊夢や魔理沙達がすぐに駆け付けて後の解決を任せることができる。

 

もちろん彼自身もできる限りはやるが、あまり無茶をしすぎるとまた魔理沙を泣かせることになる。

 

そうなるとアフターケアもそうなのだが……霊夢からきつい説教を受ける上に地獄の修行が始まる。

 

具体的に言うと、千枚単位での霊夢基準の退魔の札の制作や博麗神社の掃除三週間……そのほかもろもろ霊夢の下で無給の雑用をやらされることになる。

 

これ自体はあまり苦ではないのだが、あんまりいろいろと彼だけでやってしまうと紫から厳しい言葉をもらうことになる。

 

つまるところ全方位からいろいろな圧力を食らう精神的な責め苦が待っているのだ。

 

さすがにそれは彼としても勘弁願いたいゆえに無理しすぎない程度に彼女たちを助けることとする。

 

……まあ、それもこのトラップの山から脱出してからの話なのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きひひひひ、いやぁ見事に引っかかってるねえ!

見ていてほんとに飽きないよ!」

 

けらけらと笑いつつ、てゐは和人の無様な逃走劇を専用に掘っていた塹壕から鑑賞していた。

 

「でも、そろそろ遊びは終わりなんだなぁ……。

ちょーっと、そこから先行かれるのはマズイしねぇ」

 

そう小さく呟き、てゐは塹壕へと潜る。

 

 

 

 

 

 

「さてさて、とどめはコイツで逝こうか!」

 

和人が通るであろうと想定したのだろうポイントを見下ろす崖の上。

 

てゐは一本の幻想郷にあるまじき"兵器"を下に向けた。

 

筒状のそれは作りこそ粗雑だが、推進器と推進用のあれこれを搭載した筒状の胴体……

 

そして、あからさまにドクロマークが描かれた弾頭。

 

それはまごうこと無いミサイルであった。

 

「へへへ、鈴仙から聞き出した月の武器……

あいつは古臭いとか言ってたけど、ここじゃあこんなのでも最新鋭の武器なんだよねぇ……!」

 

和人が竹林の間を縫って目標の空き地へと近づいていく。

 

「もっと……もっと近づけ……!!

そしたらこいつでドカーンだ……!」

 

迫りくる発射までの一刻一刻が彼女にとって長く感じられた。

 

あと少し………あともう数歩……もうあと一歩……

 

「………いまだ!星になりな、半端者の侵入者!」

 

「バシュウッ!」と音をたて、ミサイルが放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この音は……?」

 

どこからか聞きなじみがあるようで異質に感じられる音が聞こえてきた。

 

「……?……?………ッ!?あれは……!?」

 

振り向いた先から飛んできていたのは……ミサイル!?

 

回避はサイズからすぐに想定できる爆発範囲から考えると間に合わない……だが。

 

「これなら……!」

 

僕は懐の八卦銃を取り出し、すぐに"とある仕掛けを"起動する。

 

 

――カチャンッ、ブオン!

 

 

八卦銃の陰陽玉が反転し、それと同時にホログラムのように魔法陣が立体的に展開された。

 

展開された魔法陣は平行に何枚にも並び、まるでスコープのように照準線を和人の目に映した。

 

「狙いは点、威力も貫通重視で……」

 

八卦銃の弾倉部、八卦図を模した装飾のうち二つが点灯して銃口に青白い光が集まりだす。

 

「……よし!」

 

一言、確認するように言葉を漏らして彼は引き金を引いた。

 

八卦銃の銃口に集まったエネルギーが収束し、ついに放たれた一筋の光の線に空が鋭く穿たれた。

 

ミサイルはというとちょうど半ばまで近づいたところでど真ん中を撃ち抜かれ、着弾することなくその場で爆散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「げぇぇぇぇッ!?う、うそでしょ!?」

 

撃ち抜かれた!?

 

たしかにそこそこ距離はあったし速度もそんな早くはなかったけど……

 

とはいっても、それなりの速度で飛んでたし確実に爆発で仕留めきれるはずだった。

 

……まさか弾幕で撃ち抜かれるとは思わなかったが。

 

「……って、そんな場合じゃない!」

 

虎の子がこうなってしまっては打つ手はない。

 

弾幕ごっこ自体もあまり自信があるわけでもないため、下手をすればあの半端者にも負けかねない。

 

となると、すぐにでも逃げださねば……

 

「……うん?何の光……」

 

唐突に、私の胸の辺りに光の線が当たった。

 

特に何か痛みがあるわけでもなくただ照射されている。

 

だが……妙に嫌な予感が……?

 

「え……ちょっとま………」

 

途端に禍々しい光に私は包まれ、意識もまた吹き飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……何とかたどり着けた。

 

まだ誰も来ていないらしい。

 

まだ弾幕戦をすることができる程度の余裕はあるが……まずは魔理沙さんたちにここのことを知らせなければ

 

僕は八卦銃を操作し、信号弾へと切り替える。

 

――バシュン!

 

天高く飛んで行った妖力弾がさく裂し、緑色の光が屋敷の上空に滞留する。

 

「……さて、お待たせして申し訳ありません」

 

「……へぇ?よく気付いたわ……ね!」

 

――バギィィッ!!

 

どこからともなく飛んできた蹴りを腕で受け止める。

 

普通だったら骨が折れる威力だろうが、すんでのところで霊力を腕に展開したおかげで無傷で済んだ。

 

そして、その蹴りを入れてきた足を辿った先にいたのは……ブレザーを着たウサギ耳の少女…?

 

「……珍しい格好をしていらっしゃいますね?」

 

「あら、あなたも似たようなものじゃないかしら。

まあこっちではこんな服は出回ってないでしょうけどね」

 

……たしかに、僕の軍服のようなこの服もあまり幻想郷では出回っていないのは確かである。

 

しかし……この人が着ているブレザーは外の世界のそれともどこか違うものだ。

 

彼女の先ほどの蹴りも含めて考えると、もしかしてこの人は……

 

「その恰好的にあなたも……いや、違うわね?

その守り方に体の動かし方……我流か型のない格闘術?」

 

「どちらかといえば後者です。

そういう貴女は……たぶんですけど軍の……?」

 

「えぇ……まあ、ね」

 

なにか歯切れの悪そうな様子でそう返してきたが、すぐに気を取り直したのかこちらに銃の形を模した人差し指を向けてきた。

 

「私は「鈴仙・優曇華院・イナバ」!

地上の半妖さん、あなたに月の玉兎仕込みの技を見せてあげるわ!」

 

ウサギ耳の少女……鈴仙さんはそう宣言し、銃弾を模した形状の弾幕を展開してきた。




月とはかねてより人を惑わす
その光も、満ち欠けするその様も……
それはまさに、魔性の幻覚
偽りの月の光の下、人を惑わす二つの紅い瞳が怪しく光る
次回「鈴仙・優曇華院・イナバ」
和人の目に映る彼女は夢幻か?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。