東方死霊録   作:SCOPEWOLF

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どうもこんばんわ。
えー本作を読んでくださってる皆さんなら恐らく知っていらっしゃると思いますが………
ボトムズ新作キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
えぇ、そりゃもう興奮しすぎて目からマスタースパークが出るかと思いましたわ。
もうねぇ、そりゃ楽しみに待つしかないですよこいつは…!
気になることといえば監督ですけど………まぁ多分何とかなるでしょう。
というわけで、本編をどうぞ


七.要塞

『オオオォォォォォォッッッ!!!!』

 

 

「あらあら……随分と見覚えのある妖力だと思ったけど、あれって……」

 

「西行妖……なるほど、そういえば彼はあれの力を取り込んでましたね」

 

救出された鈴仙を妹紅が抱え、安全な場所に避難させているその一方。

 

幽々子と妖夢(幽冥の住人チーム)は暴れ回る化け物を各複雑な心境で見ていた。

 

というのも今の彼の姿は暴走状態とはいえど、力のルーツとなっているのは先の異変……

 

解放されかけた西行妖の妖力なのである。

 

和人の死霊変化はあくまで死霊……幽霊や亡霊のような亡者由来の存在になる力だ。

 

しかし死の定義の見立て方や能力との併用により、半ば強引ではあるものの新たな概念での死霊へと変化することを可能にした。

 

「……なるほど、西行妖とは違ってあの木は死んでますね」

 

「あら?確かに……よく見たらあの赤い花も生気のない作り物ね」

 

「死んでもなお生きてるかのように動く大木ねぇ……随分と燃えそうなこったなぁ」

 

妖夢の庭師としての観点での分析に対し、幽々子と妹紅の二人も各々に和人への有効打を考えていた。

 

その間の攻撃は藍が結界や狐火で対応しており、よくよく見てみれば和人は狐火を優先して防いでいる。

 

どうやら妹紅の推測は当たっているらしい。

 

「藍〜?彼の本体が何処にあるかわかるかしら〜?」

 

「恐らく、ですが!中央の部分に!強い妖力の!反応!あります!」

 

後ろの者たちに当たらないよう全力で防ぎつつ、藍は妖力の流れを辿って化け物の弱点を確認していた。

 

どうやら中央の部分……ちょうど木のコブが突き出ている辺りから、妖力を木全体に回しているらしい。

 

「はっ、弱点がわかりやすくて助かる!

蓬莱「凱風快晴-フジヤマヴォルケイノ-」!!!」

 

早速妹紅がスペルカードを発動してコブを狙ったが、それを遮るかのように地面から木の壁が出現。

 

弾幕の着弾地点から派手に火の手が上がったが、壁との接続部を全て切り離されたのか本体には一発も当たらなかった上に延焼しなかった。

 

「ちぃ、硬い!」

 

「幽々子様!妹紅さん!とにかく弾幕を張って消耗させましょう!」

 

「うーん、私は能力的に相性が悪いのよね〜」

 

そこからは泥沼の消耗戦であった。

 

妖夢の斬撃が無数の弾幕と蠢く根や枝を伐採し、妹紅の炎が乾ききった木を燃やす。

 

幽々子は能力の影響が強く出ている蝶型弾幕を展開することができず、レーザーによる援護に専念していた。

 

もちろん、藍も可能な限りの攻撃を引き受けてそれを防ぎ続けていた。

 

斬っても斬ってもすぐに再生し、燃やしまくってもすぐに斬り捨てられて再生される。

 

それに加え、時が経つごとに衰えはしているがかなり苛烈である化け物からの攻撃。

 

破壊と再生を繰り返しているうちに妖夢たちもかなりの消耗を強いられていたが……

 

 

『ヴオオオォォォッ!?!?!?』

 

 

遂に限界が来たのか、大きく怯んだうえに急に再生しなくなった。

 

「……ッ!!今です!!」

 

「おっしゃぁ!派手に燃やして木炭にしてやる!」

 

全員がスペルカードを取り出し、そして………

 

 

「人鬼「未来永劫斬」ッ!!」

 

 

「「フェニックス再誕」ッ!!」

 

 

「死蝶「華胥の永眠」〜♪」

 

 

「幻神「飯綱権現降臨」ッ!!」

 

 

一斉に放たれた弾幕が化け物の体をえぐり、遂に弱点が丸裸になった。

 

「………ッ!そこぉぉぉぉッ!!!!」

 

そこに生まれた隙を逃さず、勢いよく妖夢が突撃。

 

化け物は苦し紛れに弾幕を展開しようとするが、突然上空に大きな隙間が開き………

 

 

「恋符「マスタースパーク」!!」

 

 

一人の少女の声とともに極太のレーザーが照射された。

 

 

『オオオオォォォォォォッッッ!?!?!?!?』

 

 

レーザーの直撃で弾幕を放とうとエネルギーを溜めていた部位がえぐり取られ、化け物は苦しげな叫びを上げた。

 

そして………

 

 

 

 

 

「待宵反射………衛 星 斬 ッ!!!!!

 

 

 

 

『オオォォォォォォ………………』

 

 

 

 

 

 

化け物のコブが切り取られ、中から和人の身体が宙を舞うようにこぼれ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらあら、安らかに眠っちゃってるわねぇ〜♪」

 

「あ、あの………幽々子様?一体何をなさってるのです?」

 

「う〜ん?ただの膝枕よ〜?」

 

和人の変化が解けた数分後。

 

苦悶の表情のまま眠り続けている彼を幽々子が膝枕し、己が主のその行動に困惑する妖夢の姿があった。

 

近くには藍も控えており、周囲の警戒をしつつ戦場となった竹林の一角で後始末を行なっていた。

 

「ふふ、紫から聞いてはいたけど………こうしてみるとまだまだ子供ねぇ〜」

 

未だ苦しげな表情をする和人の頭を幽々子は撫で続け、次第に彼の表情も少しづつだが和らぎ始めていた。

 

「………今にして思えば、かなり異常ですね。

この歳であれほどの練度の技能や能力を扱えるなんて……」

 

「でも、まだまだ力の制御の方は甘いわよ〜?

何が原因かは分からないけど、さっきまで暴走してたみたいなのよねぇ〜」

 

妖夢の目には、彼のその力は過ぎたものであるというように映っていた。

 

通常、能力にしろ術にしろ身の丈に合わない力はまともに扱うことができない。

 

というのも能力や術は使用の度に肉体への負荷も激しく、ある程度の行使の時点で身体にかかっているリミッターのようなものによって使用が制限される。

 

もちろん一時的に限界を突破することもできるが、それをすると反動も凄まじいことになる。

 

そのため基本は長期間の修練や修行等による身体の鍛錬や、長い歳月を送るなかで力を安定化させることによって上限を解放していくのだ。

 

だが………彼のそれは歪であった。

 

詳細に表現をするのは難しいが、例えるとするのならば……

 

まるで生き急いでるかのように、突貫で器を作り上げて詰め込んだかのようだった。

 

それに本人が耐えられるのであれば良いのだが、今回以上に本来使えないはずの力を無理やり使ってしまうようであれば………

 

それに、能力だけではなく彼の技能だってそうなのである。

 

妖夢は前に死合った事がある故に分かる。

 

……彼の戦闘技能は平和と聞く外の世界の住人と言う割には洗練されており、これもまた何か生き急いで習得したかのような歪さがあったのだ。

 

意識して………というわけではなさそうだが、そうだとするとなぜこんな育ち方をしたのだろうか?

 

妖夢は興味半分、残りは心配といった感情を抱いていた。

 

「う〜ん、でもこのままだとまずいかもしれないわねぇ〜………」

 

「……?幽々子様、一体何がマズイのですか?」

 

「あっ、妖夢にはちょっと関係ない話だから忘れてくれると助かるわ〜♪」

 

「は、はぁ………?」

 

主の唐突な呟きに、妖夢はさらに困惑していた。

 

あくまで彼女は庭師兼剣術指南役であり、主のやっている行動や考えていることについてはいまいち理解できないことが多い。

 

(そういえば紫様も彼を気にかけていらっしゃるみたいでしたが………彼に何があるのでしょうか?)

 

なんともみょんな話だと心で呟きつつ、思案する幽々子の横顔を見続ける妖夢。

 

そうしていると、いつの間にやらか日の光が差し始めた。

 

「………あら、どうやら無事に終わったみたいね」

 

ふと、幽々子は空を見上げてそう呟いた。

 

妖夢もまた彼女につられて空を見た。

 

偽りの月はいつの間にか消え去り、空にはうっすらと本物の月がほのかに輝いていたのであった。




永い夜は遂に明けた
しかし、遺恨は大きく残る
だれ゙が始めた物語、だれ゙が生み出した地獄の悲劇
恨みも恐怖も杯に注がれ、たった一口飲み干せるものか
次回「月見の宴会」
和人が飲む幻想郷の酒は苦い
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