東方死霊録   作:SCOPEWOLF

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どうもこんにちわ。
色々ゴタゴタしてて投稿が遅れに遅れました。
なんとか書き上げたは良いものの、ちょっと出来については不安ですなぁ………
そして、今回で永夜抄編は終了です。
というわけでまた次回予告は次の異変まで一時停止となります。
………ところで最近の次回予告ってどうでしょうか?
だいぶ無理くり頭からひねり出してますけど……完成度がイマイチな気が………
というわけで、本編をどうぞ


八.月見の宴会

あの異変……永夜異変と後に命名されたそれが解決して三日が経った。

 

僕が目覚めたのは解決の翌日だったが、直前の記憶があやふやでよくわからなくなっていた。

 

たしかあの時、僕は鈴仙さんと交戦していたはずだった。

 

だが何かの拍子に意識が途切れており、気が付けば知らない天井を見上げていた。

 

起きてからの展開は速く、通りかかったウサギ耳の少女……あの時僕にミサイルを撃ち込んだ犯人であるてゐさんが慌てたように廊下を駆けて行ったかと思えばそう立たないうちに鈴仙さんと二人の女性が菓子折りを持って現れた。

 

その後いろいろと説明を受けたのだが、どうやら僕は鈴仙さんと交戦中に彼女の能力によって暴走してしまったらしい。

 

具体的に何が起きたかについてははぐらかされたが、どうやらその影響でこの時の僕はかなり精神的に不安定な状態になっていたらしかった。

 

その後丸々一日永遠亭という名前らしいこの診療所を兼ねた屋敷で療養し、その間鈴仙さんと彼女の師匠である「八意永琳」さんによって治療を受けることになった。

 

どうやら暴走の原因が僕のトラウマを強く想起させたことだったようで、その治療として投薬による精神安定と鈴仙さんの能力で不安定化した精神を調整して元の状態へと戻してくれたらしい。

 

……僕のトラウマと聞いて一瞬動悸が激しくなったりもしたが、今では普通に生活する分には問題ないくらいまで立ち直れていた。

 

結局、その件についてはとりあえず鈴仙さんの判断ミスによる事故ということで手打ちにすることになった。

 

僕としては暴走した時に何かやらかしてないかと詳細を聞きたかったが、なぜか永遠亭の人達どころか見舞いに来た魔理沙さんや僕を鎮圧したらしい妖夢さんまでもがそのことについてはぐらかしていた。

 

唯一この件について話をしに来た紫さんも詳細を教えてはくれなかったが、今後暴走することがないように僕の死霊変化について修行をすることを言い渡された。

 

すでに諸々の手配は済んでいるらしく、数日後から白玉楼にて泊まり込みで行われるのだそうだ。

 

それまではゆっくりと体を休めて英気を養うようにと言い渡されているため、特に何かするでもなく時間が過ぎていった。

 

 

 

 

そして今日、諸々の後処理が終わって永遠亭で宴会が開かれることになった。

 

ちょうどこの日は中秋の名月が見られる日であり、月見の宴会と並行して開催されることになった。

 

普段僕は何かと仕事で忙しいと、滅多に宴会に参加することがないのだが……今回はその開催会場で療養していたために参加することが確定していた。

 

霊夢さんや魔理沙さんたち異変解決組から、実は今回の異変に関わっていたらしい紅魔館……

 

チルノさんやルーミアさんといった妖精や妖怪達等様々な人たちがこの宴会に参加していた。

 

その誰もが酒を片手に笑いあい、談笑し、そして空で弾幕を花火のように咲かせていた。

 

会場の端で僕はそんな彼女たちの様子を眺めつつ、ちびちびと酒を嗜むように呑んでいた。

 

……別に皆にはぶられたわけではない。

 

ただ……僕は静かに酒を飲みつつ遠巻きに彼女たちを見ているだけで、充分に楽しめていた。

 

この場に男が僕一人だけというのもあるのだが、どうにも彼女たちの暖かさは僕にとってはまぶしく映ってしまって落ち着かなかったのだ。

 

たまに魔理沙さんが絡んできて、酒を注いで中心の方へと引っ張っていこうとしてはなんとか躱すという流れを何度も繰り返していたりもする。

 

彼女的にはみんなで楽しみたいのだろうが、立場的にこの宴会の主役の一人である魔理沙さんが連れているのが僕というのはあまりよろしくはない。

 

あくまで僕はこの中では外様……添え物のようなものなのだ。

 

主役の横に立つべきは僕のような添え物ではなく、もっと華々しい面々であるべきだろう。

 

例えばそう……絶賛僕の横で今か今かとお酌をしようと酒瓶を構えている女性「蓬莱山輝夜」さんとか……

 

「……蓬莱山さん、いつからそこに?」

 

「さっきからよ♪なんか一人でさみしそうに飲んでし、せっかくならこの私がお酌してあげようってね?」

 

あと輝夜でいいわ、といいつつ彼女は目をぱちんとウインクをこちらに流していた。

 

どうにも不思議な雰囲気がする美女だが、彼女の正体はかなり有名な物語の登場人物……というより主役級の存在なのである。

 

竹取物語……あるいは現代の言語であらわすのであればかぐや姫という作品を知っているだろうか?

 

彼女はこの物語の中心人物であるかぐや姫その人なのだ。

 

竹取物語というお話のなかではかぐや姫は月に帰ったことになっているのだが……

 

どうやら実際のかぐや姫は月に帰ることを嫌がったらしく、従者であった永琳さんと共に月から逃げてここに隠れ住むことになったのだそうだ。

 

当たり前のように言ってはいるが、どうやら月には僕たちとはまた違ったルーツを持つ人類が住んでいるらしい。

 

月の人々は日本神話の神様に近しい存在らしく、元々は地上にいたが……「穢れ」と呼ばれる生命エネルギーが溢れ出した地上での生活が困難になり月へと移住したとのことだった。

 

もはやここまで来ると僕も理解が及ばないことが多々あるが、ひとまず現実の事実として外の世界では知り得ないような世界の真実というものが溢れているということがよくわかった。

 

……さて話は脱線したが、取り敢えずこの人は色んな意味で高貴な存在であり、僕みたいな路端の半端者に絡んでいていい方ではないのである。

 

「せっかくの無礼講なのに……そんなつまらないことを考えてるのかしら?」

 

「……声に出てましたか?」

 

「ふふ……女の勘ってやつよ♪ま、精度は大してよくないけどね〜?」

 

一瞬僕は心の中の考えを読まれたかと驚いたが、どうやらそうでもないらしい。

 

「あのね、こんなところで立場なんていちいち気にしてたらとにかく疲れるだけなのよ?

宴会は楽しむものであって、別に政だとかは気にする必要がないの」

 

「それは……」

 

「別に私の言葉を鵜呑みにして従う必要があるとかそんなんじゃないけど……楽しめる時に楽しんどかないと後で後悔するわよ?」

 

耳が痛い話だ。

 

だが………僕にそんな資格は………

 

 

 

「アハハハハハっ!!!!全員私の新技でぶっ飛ばてやるぅ!」

 

「ちょ、魔理沙酔いすぎよ!和人!ちょっと手伝ってぇぇぇ!!」

 

 

 

「………ほら、貴方を呼んでるわよ?」

 

「………ちょっとヘルプしてきます」

 

僕は彼女にそれだけを返し、二人の元へと向かう。

 

もっと宴会楽しみなさいよーという蓬莱山さんの声を背に、喧騒やまぬ宴会場を通り抜けていった。

 

そんな中ふと、僕は月を見上げる。

 

偽りの月はそこになく、ただ美しく妖しい光を放つ月が輝くだけであった。

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