東方死霊録   作:SCOPEWOLF

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どうもこんばんわ。
はい、また予定をオーバーしました。
人は過ちを繰り返すとはいいますが……
これは繰り返しすぎでしょう。
まぁこの作品も含めて、保険で不定期とはしているんですがねぇ……
それはそうとして、今回で大きく例のアレについての進歩が出ます。
まぁアレをこの世界で運用するにしても、アレを動かすのに必要な「ある物質」がこの世界では入手が難しいですからねぇ……
そのあたりも含め、今回の話で大きく進展していきます(なお、アレ本体が出演するのはまだ先です。基礎からコツコツやらないと色々瓦解するからね仕方ないね)
というわけで、本編をどうぞ


日常:新たな進歩

「~~♪」

 

ある日の魔法の森の奥。

 

魔理沙はキノコを大量に入れた籠を背負って自宅に帰還していた。

 

中には魔法の森でよく見られる魔法のキノコが大量に入っており、そのうちのいくつかは瓶の中に何かしらの溶液と一緒に詰められている。

 

変える道中でもめぼしいキノコがあれば収穫し、適切な処理を施してからかごに入れていた。

 

若干道草を食いつつも大量のキノコと共に無事帰還し、早速魔理沙はいくつかのキノコを手に取って研究を始めた。

 

大鍋にいくつかのキノコを刻んで放り込み、先ほどまでキノコと共に瓶に漬けていた溶液を流し込んだ。

 

時折鍋をかき混ぜつつ、様子を見ながら干しキノコの粉末を少量ずつ加えていく。

 

最初中の溶液は茶色っぽかったが、かき混ぜつつ様々な触媒を加えていくごとに透明感が上がりつつ黄色みがかった色に変色し始めた。

 

「ふむ……ここまではいつも通りだな。あとは……」

 

小さくうなづきつつ、魔理沙は次の材料を用意する。

 

……その時、事故が起きた。

 

 

――ゴンッ!

 

 

「いってぇぇぇぇぇぇッ!?」

 

不注意で足を机にぶつけてしまい、魔理沙は絶叫しながら痛みに悶えた。

 

足がぶつかった衝撃に加え、魔理沙が悶えつつ飛び跳ねてしまったのが原因だろうが……

 

 

――カタッ、カタッ……ポチャン!

 

机の上に設置されていた棚にまで振動が届いてしまったらしく、その棚に置かれていた材料の一つが鍋の中へと落ちてしまった。

 

しかし、魔理沙は今はそのことに気づけなかった。

 

たとえ結果的に大事に至るような怪我はないのだとしても、痛いものは痛いのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後の香霖堂。

 

 

 

「カズぅぅッ!!居るかぁぁぁ!!」

 

 

 

「うわ、どうしたんだい魔理沙?」

 

バタンと大きな音を立てて香霖堂の扉を乱暴に明け放ち、魔理沙が何かの魔法薬が入っているらしいフラスコを持って店内に駆け込んできた。

 

「香霖!カズをしらないか!?」

 

「和人かい?今は確か玄武の沢にいるはずだけど……」

 

「玄武の沢だな!?サンキュー香霖!」

 

霖之助が魔理沙に和人の居場所を教えると、またしても乱暴に扉を明け放って空へと消えていった。

 

「……なんだったんだ、今の?」

 

霖之助は小首を傾げたものの、すぐに新聞へと目を落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……と、こんな感じですね」

 

「ほうほう……中々面白いアイディアの設計だね。

うん、これなら私たちでも作れるよ!」

 

「お気に召したようで良かったです」

 

ところはまた変わって玄武の沢。

 

沢の辺りには和人ともう一人……妖怪の山に住む河童のエンジニア「河城にとり」の姿があった。

 

「しっかし、外の世界の技術も相当だけど……

あの店主も中々凄いものを作ったね?」

 

「あはは……僕はもう、霖之助さんが何を目指しているのか全くわからなくなりましたよ……」

 

「技術屋なんてそんなもんだろ。

盟友も似たり寄ったりな所はあるんじゃないかな?」

 

「……それを言われると否定しきれませんね」

 

にとりの返しに何かしら心当たりがあったのか、和人は天を仰ぎつつため息を吐いた。

 

彼も父親譲りというべきか技術者としての心得自体はあり、幼い頃から工場の職人や現場主義の父親に囲まれて育ったこともあってか、彼らの気質を少なからず受け継いでしまっている。

 

つまるところ、和人にしろ霖之助にしろにとりにしろ……皆揃って似たり寄ったりなのである。

 

「……ところで、例の動力は順調かい?」

 

「シリンダーと動力部本体は解析とかもできたんですが……問題はその中身ですね」

 

「うーん、やっぱそうなる?アレ私らでもさっぱり分からなかったしねぇ……」

 

今度は二人揃ってため息を吐き、遠くの空を眺めだした。

 

「……まさか、地球では見つかってない未知の物質が使われてるとは思いませんでした。

しかも、見つかってないのも地球上には存在していないから、というのが理由みたいですし……」

 

「それにしたって代替品すら見つからないってどゆことよ?

外の世界の技術誌までいろいろと取り寄せたのに、できたものといえば原子とかを観測するための機械ぐらいだったし」

 

さらっとにとりが技術レベル的にとんでもないものを作り出したことを漏らしているが、それでこの話がどうにかなるわけでもなく二人は頭を抱えていた。

 

「確か……ポリマーリンゲル液、だったっけ?

電気を当てると化学反応で収縮とかを起こすっていう話だけど……」

 

「その化学反応を起こす条件も含めて再現が難しいんですよね……。

前にパチュリーさんにも似たような性質の物がないか聞いてみましたが、近しい性質の「高濃度魔力液」も色んな意味で似て非なるものでしたし……」

 

「はぁぁ……それさえどうにかなれば、こっちもそれに合わせた規格で組めるんだけどねぇ……」

 

「ままならないものですね……。

いっそ、もう駆動系をモーターに変えます?」

 

「それやろうとしたけど、私らの作れる規格のモーターじゃまともに動けないどころか乗っけるのも一苦労なものだったしねぇ……」

 

互いに遠くの空を死んだ目で眺めつつ、口々に生産性のない言葉のキャッチボールを続ける二人。

 

しかし、そんな空気は突然の乱入者によってぶち壊された。

 

 

「いたぁぁッ!!カズゥゥゥゥッ!!」

 

 

「……へ?おわぁぁぁッ!?!?!?」

 

 

――ヒューー………ズドォォォォンッ!

 

 

「め、盟友ぅぅぅぅッ!?」

 

 

突然遠くから和人を呼ぶ声が聞こえたかと思うと、ものすごい勢いで突っ込んできた何かに大きく吹き飛ばされた。

 

慌ててにとりは彼が吹き飛んでいった方向へと駆け寄った。

 

土煙が漂うそこには、半ば馬乗りになるようなかたちで和人を押し倒す魔理沙の姿があった。

 

「カズ、しっかりしろ!とんでもない魔法薬ができたんだ!」

 

「ちょ、ちょい魔理沙!?あんた一体何してんだ!?」

 

「………へ?にとり?なんでここに………って、あぁぁぁッ!?

すまん、カズ!!」

 

「うごぉぉ………お、お腹が………」

 

どうやら魔理沙の突撃がもろに腹へと刺さったらしく、和人は苦しげに呻きながら悶えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――少年再起中………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………それで、魔理沙さん?

一体何があったんですか?」

 

「あ、あぁ………。こいつなんだが………」

 

なんとか和人を再起動させ、早速魔理沙は彼に自身の成果物……フラスコに入った輝きを薄く放つ透明な液体を差し出した。

 

「これは……?」

 

「実はな、研究用に高濃度魔力液を製作してたんだが……うっかりミスって本来使わない材料を混ぜちまったんだ」

 

「何やってるのさ魔理沙……。

で、この妙に光ってる液体がその失敗作と?」

 

「確かにそうなんだよ……だがな、こいつはただの失敗じゃないんだぜ!」

 

和人は彼女の話を聞きつつ、手に持つ高濃度魔力液を観察していた。

 

本来、高濃度魔力液というものは薄く何かしらの色を含んだ粘性の高い液体になるはずだ。

 

というのも、この魔力液というのが製作者の魔力に反応する性質を持っている。

 

理由は確定したものがないものの、一説には魔力を液体として構築する際に製作者の魔力を少なからず取り込んでしまうからとも言われている。

 

そもそもの作り方自体、魔力を限界まで込めた水の瓶のなかに魔力を多く含むキノコだとか鉱石だとかをつけ込んだものを使うのだ。

 

まぁそんな理由もあるのか基本的に魔力液……そしてさらに魔力を圧縮するように加工した高濃度魔力液は何かしら色がついてるのだ。

 

だが、この魔力液は多少光りつつも透明……

 

魔理沙の作る魔力液は黄色か薄い青になるはずなのだが、これは全く違うものになっているようだ。

 

「カズ、ちょっとそいつに魔力を流してみろ」

 

「……?こうですか?」

 

魔理沙に言われ、和人は手に持つフラスコに魔力を流してみる。

 

すると、どういうことだろうか。

 

「……!?魔力液が……!?」

 

「なっ……へっ、減ってる……!?」

 

そう、突然魔力液の水嵩が減りだしたのだ。

 

「それだけじゃないぜ!流すのをやめると元に戻るんだ!」

 

「これは……!?」

 

試しに和人は魔力の流入を止めた。

 

するとどうだろう、先ほど三分の二ほどまで下がった水嵩が急激に戻りだしたのだ。

 

「いやー、うっかり間違って干しマンドラゴラの粉末をぶち込んじまったときにはどうなることかと思ったが……これはこれでなんかの魔道具に使えそうだと……」

 

「「魔理沙さん/魔理沙 ッ!!」」

 

「のわっ!?ど、どうしたんだ二人とも!?」

 

突然和人とにとりが詰め寄り、そのあまりの圧力に魔理沙はたじろいだ。

 

完全に目の色が変わっており、にとりに至っては目が血走っている。

 

「その高濃度魔力液のレシピ……記録してありますか?」

 

「へ?あ、あぁ………それならここにあるが。」

 

静かに穏やかな口調だが………目がガン開きでとてつもない圧力を生み出す和人の雰囲気に驚きつつ、魔理沙は懐から外の世界のメモ帳を使った研究ノートを取り出した。

 

途端ににとりが懐から電卓*1を取り出し、ものすごい速さで何かを計算して魔理沙へと差し出した。

 

「そのレシピ……こんぐらいで買いたいんだけど、どうだい?」

 

「ん?どれどれ……うぇぇぇッ!?」

 

魔理沙はにとりから提示されたその数値を見て驚愕した。

 

「……マジで?正気かにとり!?」

 

「魔理沙ぁ……私は正気だよ……!なんなら権利ごと買い取るならもっと高くつけても良いぐらいだ……!」

 

「お、おい!正気に戻れ!

か、カズ!にとりを正気に戻すのを手伝っ……」

 

「にとりさん、僕の方からも予算を出します。というか出させてください…!」

 

「うっそだろカズ!?お前もか!?」

 

二人の尋常ではないその気迫に魔理沙は押されてしまい、思わず後退りしてしまう。

 

がしかし、彼女のすぐ後ろには岩しかなかったためにこれ以上下がることができなかった。

 

 

 

「魔理沙さん……!」「魔理沙ぁ……!」

 

 

 

「ひ、ひぃッ!?」

 

追い詰められた魔理沙の目に映る二人の姿。

 

そこにいるのは見知った二人のものではなく、なにかに取り憑かれた幽鬼の如き恐ろしい姿だった。

 

「ま、待て二人とも!?と、ととととりあえず落ち着けぇぇッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「そのレシピ、買わせろぉぉ/買わせてくださぁぁい ッッ!!!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、うわぁぁぁぁぁッッッ!?!?!?!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、すごく羽振りがいい割にどこか疲れ切った様子の魔理沙の姿が目撃されたのだとか。

*1
1970年代に発売されたカシオミニという骨董品の改造機。

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