はい、なんか投稿予定のない作品を唐突に書き始めて遅れました。
なんでこうなった………。
ここ最近両作品とも本筋のストーリー編外を書いてますが、どっちもネタが思いつかないのが………
まぁなんとか絞り出します。
というわけで、本編をどうぞ
「よし、これで……」
最後の一つをラッピングし、ちょっとした飾りをつける。
今日は妖精の子達……その中でも、特に仲の良い子達が遊びに来る日だ。
魔理沙さんからはそこまでする必要があるのかと聞かれることがあったが、それでも僕の趣味みたいなものなのだ。
あの子達が喜ぶ姿を見ていると、何処か心が温かくなるし……
……何よりも、僕の心に空いた穴を少しでも塞いでくれているような気がするのだ。
もちろん、忘れることなどあってはならないのだが。
……っと、どうやらあの子たちが来たらしい。
少し騒がしい玄関の戸が勢いよく開けられ、数人の妖精の子達が中へとなだれ込んできた。
「カズト、あそびに来たぞ!」
「お菓子♪お菓子♪」
「和人さん、コーヒー豆ある?今日も淹れたいのだけど……」
「あぁ、ちょっとみんな!?」
「あ、あはは……お邪魔しますね」
先頭から、いつも通り元気一杯のチルノさん。
僕の作ったお菓子に夢中らしい「サニー•ミルク」さん。
ここに来る度、紫さんから仕入れている外の世界のそれなりに良い豆でコーヒーを淹れている「ルナ•チャイルド」さん。
サニーさんとルナさんを諌める、妖精の中でも比較的しっかりとした性格の「スター•サファイア」さん。
そして、チルノさんの友人でかなり控えめな性格の……皆からは「大妖精」と呼ばれている妖精の子。
ここにいる子達は皆、チルノさんを中心として僕の手伝いをしてくれたり、逆に僕が何かしらを教えたりする関係性だ。
この子達はどうやら他の妖精の子達と比べても実力や知力が高い方らしく、縄や紐の編み方等を教えればスルスルと覚えて作ってくれたりして非常に助かっている。
紐は呪術で使うときもあるが、アクセサリー類を作るときにもそれなりに使うことがある。
縄についても消耗品になりがちな拘束用の呪具に使う為、それなりに数もいる。
彼女達の手伝いのおかげで、仕事をしながらでもそれなりにこれらの道具を揃えることができていた。
今日はそんな彼女達への労いも兼ねた日であり、彼女達の遊びに付き合ったり弾幕ごっこをしたり……あとは各々の趣味に付き合ったりと、とにかくこの子達と遊んであげる日なのである。
「よぉし、いくぞぉぉぉぉッ!」
「なんのぉッ!」
チルノさんが飛ばしてくる光弾を左右で小刻みに動いて回避していく。
僕は特に何を構えるでもなく、一直線に飛びながらただ避けて行くだけだ。
今僕たちがやっているこれは妖精式の鬼ごっこ。
弾幕に当たったら被弾者が鬼となり、誰かが一回休みになったら試合終了というクレイジーなルールの遊びだ。
元は普通の鬼ごっこだったそうなのだが、次第に飽きては改良しようとして今の形になったらしい。
ルール的に妖精しかできない遊びではあるが、僕の場合は妖精の平均的な所持残機数である3回しか当たれないという設定にすることでなんとか成り立っている。
残機自体はそれなりに用意しているものの、それを全部使ってしまってはフェアではない。
あくまでこの子達とは対等な関係で遊んでいるのである。
「ぬぉぉぉぉッ!あ〜た〜れぇぇぇぇッ!!」
「よっ、ほっ、はいっと」
最初のうちこそよく当てられてしまったが、今では回避の技術も上がって被弾率も目に見えて減ってきた。
「えぇい、こうなったら……!」
鬼であるチルノさんは何かを貯めるかのように一瞬動きを止めた。
そして………
「くらえサニー!」
「えっ!?なんでわた………のわぁぁぁ!?」ピチューン
突然後ろを振り向き、ちょうど近くを逃げていたサニーさんへと弾幕を放った。
急な奇襲にサニーさんは反応しきれず、そのまま残機を一つ無くしてしまった。
「ちょっとぉ!急に狙ってくるとか卑怯じゃない!」
「へへ、これがさくせんがちって言うやつだよ!」
「………なんかここ最近チルノの頭良くなってない?」
「う、う〜ん………多分、最近は和人さんと勉強してることが増えたからかも……?」
中々手段は汚いが、これも間違いなく作戦だ。
最近チルノさんは自分で考え、こういった策を講じる事ができるようになってきた。
未だに弾幕は真っ直ぐな事が多いが、搦め手をまだ荒削りとはいえ使えるようになってきたのは彼女の成長の賜物なのかもしれない。
因みに、チルノさんが特に興味を持って聞きに来たのは氷にまつわることであり、氷がどうやってできてどうすれば硬さなどが上がったりするのか等を頻繁に聞いてくるようになった。
そのおかげか彼女の能力の使い方の練度が高まっていたりするのだが、それはまた別の話。
「あー、もう!こうなったらやってやるわよ!」
そして、鬼はサニーさんへと変わって鬼ごっこが再開された。
最終的にチルノさんが一回休みとなり、復活するまで皆でお茶会を楽しむこととなった。
「次は負けないぞ!顔を洗って待ってろ!」
「チルノちゃん、それを言うなら首だよー!」
「和人さんバイバーイ!」
「……コーヒー、また貰いに来るね」
「ありがとうございましたぁー!」
日が暮れ始め、帰っていく妖精の子たちに手を振りながら見送った。
帰っていくあの子たちの手には朝方に作っていたクッキーの入った袋があり、お土産として皆に喜んでもらえていた。
彼方の空へと飛んでいったのを確認し、恐らくこのあと来るだろう魔理沙さん達の分も作ろうと台所へと戻る。
「………?あれ?」
ふと、僕は違和感に気がついた。
確か僕はラッピング用の袋を七枚用意し、五つだけ包んでいたはずだ。
しかし、今置いてある袋は一枚。
心なしかクッキーも一人分減っており、一つ分が丸々消えてしまっていた。
いつの間に……?
少なくとも、あの子たちは台所には近寄ってなかったはずなのだが……?
僕は不思議に思いつつも、幻想郷ではこういった事が度々あると魔理沙さんから聞いていたためとりあえず気にしない事にした。
そういえば………
遊んでいた時、もう一人誰かいたような気がするのだが………?
………深く考えるのはやめよう。
少しだけ背筋に冷たいものが流れる感じがした。
頭を振ってそのことをとりあえず忘れつつ、僕は足りない分のクッキーを焼き始めるのであった。