色々あって大遅刻でございます。
やること増えすぎて困りますなぁ……
これではターボカスタムのスコタコ組むのがいつになることやら……
それはそうと、そろそろいい頃合いなのでついに物語を動かします。
それに付随して次回予告も復活します。
というわけで、本編をどうぞ
ある日のことだった。
「ごめんくださ〜い!」
外の世界から流れてきたコンピューターを修理していると、誰かが声を張りながら戸を開けて入ってきた
「あっ、和人さんこんにちわ!文々。新聞でーす!」
「……僕、新聞は取ってない筈ですけど?」
「まぁまぁ細かいことはお気になさらず〜」
ハッキリとした口調で売り込みをかけてきているこの女性は「射命丸文」さん。
妖怪の山に住む烏天狗であると同時に、文々。新聞という新聞を発行している記者でもある。
偶に香霖堂にやってきては新聞を配達するついでに撮影や執筆、印刷関係の商品を買っていってくれるお得意様の一人なのだが……
……正直に言うと、僕はこの人が苦手なのだ。
「では早速なのですが、取材のご協力を……!」
「お断りします」
「即答ですか!?」
流れるように射命丸さんは話をきりだして来たが、僕はすぐに拒否の旨を伝えた。
というのも……
「射命丸さん………数日前のあの記事について覚えてますよね?」
「数日前………あっ、魔理沙さんと一緒に魔法の森の上を飛んでいた時のことですか?」
「それですね」
数日前、僕と魔理沙さんは魔法の森を並走する様に飛んで移動していた。
例の透明な高濃度魔力液を大量生産するにあたり、その材料となるキノコの生育条件等を調査して栽培を行なう必要があった。
とはいえその辺のノウハウが僕にあるわけもなく、いろいろと誤魔化しつつ魔理沙さんへの協力を仰いだのだ。
それで、その調査の為に飛び回っていたのだが………
その時にどこからともなく現れた射命丸さんが突然僕たちを撮影して飛び去っていったのだ。
あまりにも急すぎるその展開に僕たちは頭が追いつかず、何かを察したらしい魔理沙さんがいち早く立ち直りつつ顔を真っ赤にして彼女を追いかけた。
が、それも虚しく逃してしまい……
翌日霖之助さんに渡された新聞の内容を見て、僕は顔を手で覆うしかなかった。
その内容なのだが……
『香霖堂の店員と普通の魔法使いの逢引か!?
誰も居ない森で二人きり』
というものだった。
……どこか見覚えがある内容だと思えば、外の世界の週刊誌とかにたまに流れてくる熱愛報道とかいう記事の内容とそっくりであった。
その後調べてみたところ、この新聞は人里の方でかなり売れてしまったらしい。
その影響で僕は人里になおさら近づきづらくなった上、魔理沙さんも恥ずかしさのあまりに自宅にしばらくこもり続ける始末であった。
さすがにこの事態が許されるはずもなく、射命丸さんは霊夢さんの手により八つ裂き一歩手前までボコボコにされ、新聞についても彼女主導で回収が行われた後にデマの記事であることを彼女の口伝で里に広めて貰うことになった。
おかげでその話題については下火になっているものの、この前来店した鈴仙さんによると里の井戸端では噂として未だに流れ続けているらしい。
そんな事もあって、僕の中での射命丸さんへの評価というか印象は最悪と言ってもいい程に酷い。
これで懲りるなら良かったのだが……
良くも悪くも、彼女は心の芯が強すぎた。
「むむむ……それを言われるとこちらも強くは出れませんが……そこをなんとか!」
「駄目です。せめてもう少しマトモな記事とか情報とかを用意してから来てください」
「うぅむ……て、手ごわいですね」
二度目の拒否にも関わらず、それでもなお彼女の説得は続いた。
こういうめげない根性は称賛したいところなのだが、いかんせんともこの人に変に情報を与えると尾ヒレどころか背ヒレと胸ヒレまでついてきそうで油断ならないのだ。
霊夢さんからも……
『あの烏天狗にはよほどのことがない限り情報渡しちゃ駄目よ。絶対に話が脚色されて新聞に載る羽目になるから』
と忠告されている。
実際に似たようなことをされているために説得力しかなかった。
「……では、せめて弾幕だけでも撮影させていただけないでしょうか?」
「弾幕をですか?」
突然の射命丸さんの提案に、僕は少し呆気にとられながらもすぐに聞き返した。
「はい!実はですね……」
その後射命丸さんが語った内容なのだが、要約すると新聞のミニコーナーで幻想郷中の強者や妖怪たちの弾幕の写真を解説付きで紹介しているそうだ。
彼女から差し出された今日の新聞にはチルノさんが紹介されており、内容的にも見た限りそこまで酷い書き方などはされていなかった。
「……なるほど、弾幕の紹介ですか。
確かにこの程度なら問題はないですね」
「ほんとですか!では早速……「ちょっと待ってください」……ん?なんですか?」
早速外の方へと勇み足で向かおうとする射命丸さんを引き留めた。
「射命丸さん、その記事の原稿ですが……僕にその大まかな部分を書かせてくれませんか?」
「……ほほう?なるほど、そう来ましたかぁ……」
射命丸さんは少し考えるように顔にペンを当てつつ黙した。
やがて思い至ったのか、こちらに微笑みながら了承の言葉を返してくれた。
「……では、早速参ります」
「はい!それでは取材、よろしくお願いします!」
自宅から少し離れた空き地、空を飛ぶ射命丸さんを見上げるように僕は地上から彼女に向き合っていた
合図とともに僕は一枚の新たなスペルカードを取り出し、フルパワーで発動させた。
「要塞「呪い聳える樹木子」!」
「……!なるほど、これが例の……!」
発動とともに僕を中心として大量の黒い靄が発生し、その靄たちが何かを形取るように集合し始めた。
集まった靄が霧散すると、そこには暴走したときの物よく似た動く太枝が大量に僕の身体から生えていた。
……多少身体に違和感というか全身が妙な感覚になってしまうが、これで良いのだ。
「外装展開、迎撃用弾幕撃ち方用意……!」
あらかじめイメージを取りやすいように号令を唱えると、それに合わせて太枝が僕を守るように前面に壁として展開し始めた。
それと同時にその隙間を縫うようにして幾つもの小型弾幕用の発射口が取り付けられ、周囲には無数の槍型のジャベリン弾幕を無数に展開された。
「対空迎撃砲火、撃ち方始めぇぇッ!」
最後の号令とともに壁についた無数の発射口が火を噴き、連装ミサイルのように槍型弾幕が連続して掃射された。
「なるほど……これは……!」
何かに納得するかのように頷きつつ、射命丸さんはすいすいと弾幕の中を突っ切るような動きで回避していく。
そして……
「……シャッターチャンス!ここです!」
――カシャリ
その一音が小さくその場に響くと同時に、無数に展開されていた弾幕と壁の一部がその部分だけえぐり取られたかのように消え去った。
なるほど、これが対弾幕用の撮影方法らしい。
しかし、この弾幕の真骨頂はこれからだ。
「再展開、主砲用意!」
空いた穴を塞ぐように枝たちが集まりだし、それと同時に空いていた大穴に太いパイプ状の発射口を三本つくった。
「……あやや?なんか形が変わって……」
「出力最大……
先ほど作ったパイプ……主砲に魔力が集中して集まり、それをまた号令と共に放った。
主砲から放たれたのは一回り小さくなったマスタースパーク……
だが、砲身は一本ではなく三本なのだ。
「うわぁッ!?こ、これはぁぁッ!?」
三本のレーザー弾幕が照射され、一気に逃げ場が減った為にか射命丸さんが悲鳴を上げる。
だが、これで終わりではない。
「ジャベリン装弾!モード、近接起爆!」
先ほど展開していたものとはまた違う形状と色の槍型弾幕を生成し、その矛先を全てそれぞれ違う場所へと向けた。
「制圧射撃、開始!」
そして、また号令を唱えてそれを放った。
槍型弾幕たちは先ほどと打って変わって射命丸さんを追尾せずに空へと飛んでいき、彼女の飛んでいる高度直前で爆発して小型弾幕を大量に撒き散らした
「なぁぁッ!?ま、まず……ッ!?」
焦る様子を見せながらもギリギリで回避していく射命丸さん。
しかし、既に彼女は詰んでいる。
彼女が逃げた先には一本だけ紛れ込ませていた通常の槍型弾幕……追尾して近距離で爆発する対空ミサイル式のものが飛んできていた。
「あ……アギャァァァッッ!?!?!?」
――ピチューンっ!
カメラを直前で構えるも間に合わず、小型弾幕の爆発に巻き込まれて射命丸さんは被弾した。
被弾の衝撃でそのまま墜落しだしたが……
「おっと」
――ヒュッ、ガシッ!
すぐに太枝の一本を走らせ、地面への墜落直前でなんとかキャッチした。
「ゴフッ!?た、助かりましたが……もうちょっと優しく受け止めてくれませんかぁ……?」
「ご無事のようで何よりです。これ以上優しくとしたら直接抱きとめるしかなくてですね……」
ゆっくりと地面に降ろしつつ、射命丸さんの抗議の声にそう答えた。
「……私も一応乙女ですし、そういう展開はやぶさかではないんですけどねぇ?」
「ご冗談を。それをネタに揺さぶりかけてくるつもりですよね?」
「あっ、バレました?」
ケロッとした顔でそんな言葉を吐く射命丸さんに思わずため息が出た。
したたかなのは良い事なのだが、この人はどうにもそれが強すぎる。
こういう人はどうにも扱いに困って苦手になりがちなのだ。
「えぇっと写真は……おっ、いい感じに撮れてますね!」
「……消滅した分の妖力とか魔力を含んでますね、そのカメラ。いったいどこでそんな代物を?」
「う〜ん……まぁ、そこは企業秘密ということでお願いします!」
そうこう話している間に僕は筆を紙に走らせ、使用したこのスペルカードの大まかな概要を話せる限りで纏め上げた。
「……大体こんな感じの内容のスペルカードですね。
これでよろしいでしょうか?」
「おぉっ、ありがとうございます!では私はこの辺で!」
纏めた内容を書いた紙を渡した瞬間、射命丸さんは慌ただしく空へと飛び上がって空の彼方へと消えていった。
「……やっぱり、嵐みたいな人だなぁ」
僕はそれだけを呟き、家へと戻って作業を再開するのだった。
翌日発行された文々。新聞だが、それなりに売れたらしい。
特に外の世界出身者や一部男性陣、さらには幻想郷の一部勢力や強者たちが買っていったのだそうだ。
スペルカードの内容自体はほとんど僕の書いた通りなのだが、射命丸さんの私見的な意見の加筆によってそれなりに注目されてしまったらしい。
その後しばらく僕は花の大妖怪さんや妖精たち、おまけで紅魔館のレミリアさんに勝負を挑まれる機会が増えたとだけここでは語ろう。
幻想郷を愛するのは、何も妖怪の賢者だけではない
人が妖怪が……そして神々がそれぞれに幻想郷を愛している
なれば、幻想郷は誰のものか?
否、誰のものでもない
なれば我が統一してみせよう
現世より現れたのは信仰を失いしかつての戦神
幻想郷へと戦の序曲が鳴り響く
次回「妖怪の山」
狼煙を上げるは何者か