そういえば、今のところガッツリはボトムズ要素は出してないんですよね。
でも、しっかりこの話までの中でほんの少しだけ混ぜてはあるんですよね。
もしおわかりになられたら是非とも感想とかへどうぞ(かなり露骨なコメ稼ぎ)
そんなことはさておき本編をどうぞ。
追記:因みに、この話の先しばらくはボトムズ要素はほとんど無いです。
クロス作品ではありますが、それはあくまでストーリー全般見たらの話ですので。
カランという音と共に開いた扉の奥は、最低限の明かりがついている程度の若干薄暗い感じの物置みたいになっていた。
その雰囲気としては、恐らく古道具屋が近いのだろうか?
骨董品だと思われる様々な品が立ち並び、よく見れば値札…?のようなものも付いている。
ただ、そのほとんどが非売品と書かれていたが。
奥にはメガネをかけた、大体二十代前半くらいの和服のような服を着た青年が腰かけながら新聞のような物を読んでいた。
僕が店に足を踏み入れた時になって僕の存在に気づいたようで、新聞を畳んで青年は僕の方を向いた。
「おや、いらっしゃい。珍しいお客さんだね…って、君大丈夫かい?」
此方の方を向いて僕の姿を見た途端に、青年は少し驚いた様子を見せながらも問いかけてきた。
「…すいま、せん。さっき……まで、ちょっと……追いかけられてまして…。少し……此処で、休ませて……貰えないでしょうか…?」
息はある程度整ったものの、全身が痛い為に上手く口が動かない。
青年は
「…なるほど、誰かに襲われて逃げて来たのか。分かった。取り敢えずこっちに来なさい。」
そう言って彼は手招きしながら奥の居住スペースへと僕を誘導した。
殆ど最後の力も言えるぐらいにしか体力が残っていない体でどうにか靴を脱いで畳に上がり、そこで力が抜けてしまったのか僕は崩れ落ちるかのように畳に倒れこんだ。
「…大丈夫かい?意識失ってないよね?」
「す、すみません…。体にもう力が…。」
「かまわないよ。その様子だと、結構な距離を逃げてきたみたいだね。」
そう言いながら、彼は僕に肩を貸して敷かれた座布団まで運んでくれた。
「本当に……ありがとう、ございます。」
「気にしなくていいよ。どうやら君は外来人みたいだしね。」
がいらいじん?
何の事だろうか?
僕が頭に疑問符を浮かべていると、青年は苦笑いしながら先程まで飲んでいたらしいお茶を持ってきて対面に座った。
「まずはそこからだったね。君、急に見覚えのない森の中に迷い込んだかして此処に来ただろう?」
かなり思い当たる節があった為、頷いた。
「此処はね、忘れられた者たちが流れ着く最後の楽園……[幻想郷]って言う所さ。」
……店主説明中……
成程、大体は理解できた。
詰まる所、此処は日本の山奥に結界で隠された秘境ともいうべき場所で、現代社会で淘汰されつつある「妖怪」や「神」といった「存在を忘れ去られた超常的な者たち」が流れ着く最後の楽園なのだそうだ。
そして、この幻想郷には偶に外の世界の人間が迷い込み[幻想入り]するそうで、そういう人間は運よく人里に保護されるか、道中で妖怪に食われて死ぬかのどっちかの道を進むことになるらしい。
そういった幻想入りをした人々を表す言葉が「外来人」………今の僕がそれにあたる。
因みに僕を食べようとした少女はこの地に住む「妖怪」という種族であり、名を「ルーミア」という闇を操る人食い妖怪とのことだった。
色々と説明してくれた青年こと「森近霖之助」さん曰く、彼女は油断さえしなければ腕に自信のある人間でも追い払える程度の強さだそうだ。
が、それでも決して弱いわけでもないらしい。
霖之助さんは僕が彼女から逃げて此処にたどり着いたことを聞くと、若干苦笑い気味に感心する様子を見せていた。
最後に、霖之助さんからは[博麗神社]と言う所に行けば元の場所に帰れるという事を教えられたが……今の所僕としてはあっちに戻るメリットも特に無い為、どうしようか迷っている。
「…取り敢えず、僕から教えられるのはこれぐらいだ。」
そう言って彼は一口お茶を啜った。
彼からは様々な事を聞くことが出来たが、正直に言って、いまだに信じがたいところがある。
だが、これがとんでもない規模のドッキリでない限りは信じざるを得ないだろう。
"奴ら"のようなものは話を聞く限りではいないようだが……それを思うと妖怪の存在という事が何でもない様に思えてきた。
「…因みにですが、残ると決めた人間はどれぐらいいらっしゃるのでしょうか?」
「ん?そうだねぇ…」
霖之助さんはしばらく視線を彷徨わせて、「大体の外来人は元の場所に帰っている」そうだ。
曰く、幻想入りした外来人のほとんどは家族や恋人がいるからと帰る選択をするらしく、残る人間は訳アリか変人のどっちからしい。
中には言語が通じない故に帰る人間もいたらしいが、偶にその言葉の通じない人間と似た容姿の特徴を持った人間でも意思疎通が行え、残る事があるらしい。
話を聞いた感じだと、十中八九話が通じないのは外国の人たちだろう。
やはり日本に幻想郷がある分日本人が迷い込むことが多いようだが、外国にも幻想郷の入り口ともいえる場所が点在しているのだろう。
因みにだが……外来人は元の世界に戻されるとき、此処での記憶などを消されるのだそう。
理由は色々とあるそうだが、その辺りの事については霖之助さんはあまり詳しくないのだそう。
記憶云々の話も、その博麗神社の巫女さんがポロリと零したのを聞いたことがある程度なのだそうだ。
「…ところで君はこれからどうするんだい?帰るのなら早めに博麗神社に行くのを進めるけど…。」
「これから…ですか。僕は…」
体の痛みもマシになり、やっとまともに動くようになった頭を回して考えをまとめる。
…霖之助さんの話を聞くたび、僕はこの世界で残る事に対して割といいのかもしれないと思っている。
家族はもういない上に、自分を心配する親族など知る限り殆どいないも同然だ。
学校も数日前に卒業し、高校もまだ入学すらしていない状況の為に学業の方も気にすることは無いだろう。
さらに、あちら側に未練も何もない。
もう、生きる意味を探すこともできない無機質なあの生活に戻るより、誰も自分を知らないこの世界で命がけで生きていくほうがよっぽどマシだ。
その点、此処はあちらと勝手の違うことなんてたくさんあるのだろう。
特に一番の問題ともいえるのが、やはり衣食住の確保と金銭の問題だ。
特に金は必要だ。
ただ、職を探そうにもぽっと出の身元不明の子供一人では働き口を探すのは厳しいだろう。
(…やっぱり、この手しかないでしょうか。)
かなり絶望的な状況ではあるが、僕の頭の中には一つだけ解決策に成り得る手があった。
大変厚かましいことこの上ないだろう。
もし、これがだめならどん底からのスタートになってしまうが……イチかバチかだ。
僕は霖之助さんに対して改めて向き直る。
「霖之助さん、助けていただいた上で差し出がましいですが……一つだけお願いがあります。」
「…なんだい?僕はあまり、店を空けるわけにはいかないから、博麗神社まで送ることはできないけれど…」
僕はそれに対して首を振って否定した上で痛む体に鞭打って正座に直り、土下座に近い形で頭を下げてその「願い」を口にした。
「僕を、どうか此処で働かせてください」
安住の地は得た。
もはや、おのれの生を疎む者もいない。
死と隣り合わせの楽園は彼を迎え入れた。
忘れ去られた楽園は少年……「霊宋寺和人」を歓迎する。
次回、「幻想郷」
香霖堂へと迫りくる影。
万引き、強盗、ご用心。