積んでたWAVE製スコタコを爆速で組み上げているものの、バリ取りで相当時間がかかって執筆が遅延してしまっておりました……
さぁ、いよいよ風神録編に突入です!
今回からかなり物語に動きが出ます。
そして、この異変で主人公はあんまり活躍できません!()
え?なんで活躍しないんだって?
そりゃまぁ……彼が活躍すると不都合しかないですから
というわけで本編をどうぞ
一.妖怪の山
「……天魔様」
妖怪の山の天狗達が暮らす集落。
その中央に位置し、格式の高さを物語る荘厳な雰囲気の建物の中で、幾人もの天狗達が一人の天狗の前で跪いていた。
「山へと現れた例の外の神々ですが……
やはりと言うべきか、このような書簡を送りつけてきました」
恐る恐るといった様子でそのうちの一人……大天狗と呼ばれている天狗が天魔と呼ばれた者へと書簡を手渡した。
天魔はそれを受け取って内容を確認すると、その途端に溜息を吐きながらその書簡を放り捨てた。
「……だろうな。賢者め、厄介なモノを押し付けよってからに……」
天魔は御座から立ち上がり、天狗達を睥睨しつつ宣言した。
「この山は我々天狗……引いては、この地に住まう妖怪の物だ!断じて外様の神ごときにくれてやれるものではない!」
「各大天狗は全天狗と河童を掻き集めて戦の用意をしろ!それと、射命丸をこちらへ呼べ!」
「「「「「「はっ!」」」」」」
「……それと飯綱丸、貴様もここに残るように!」
「はっ、承知いたしました」
ぞろぞろと大天狗達が急ぎ戦の支度を整えようと建物から出ていく傍ら、ただ一人の大天狗だけがその場に残った。
しばしの沈黙が流れた後、一人の天狗が天魔と大天狗……「飯綱丸龍」がいるその部屋へと入室した。
「……天魔様、何用でございましょうか?」
普段の様子と打ってかわり、真剣な面持ちで天魔の前へと現れたのは文屋の射命丸文だった。
「先程大天狗達が触れ回っていたのを聞いているやもしれんが、我々妖怪の山と山頂へと現れた外の神共……守矢神社との戦が始まる」
「……しかし、神に挑むとなれば我々だけの力ではどうにもならん」
「そこでだが………そこの飯綱丸が河童や"奴"と共に進めている"例の物"を投じる」
天魔のその言葉に、文は訝しげな表情を浮かべていた。
「………お言葉ですが、確か"例の物"はまだ未完成と聞き及んでいます。いくらアレが強力な戦力になりうるとはいえど、まともに使えないのではハリボテ同然では……?」
「それについては問題ないぞ、射命丸」
文の疑問にそう答えたのは飯綱丸であった。
「確かにアレ自体はまだ未完成だが………その稼働に必要な動力については既に完成へと漕ぎ着けることができている」
「だが……完成させてアレに搭載するには"奴"のところからパーツを仕入れる必要がある」
「おそらくだが、連中は我々の動きを探知して妨害ないし、最悪我々への王手をかけるために"奴"を奪取しにかかる可能性もある」
「そこでだが………お前には秘密裏に"奴"から件の設計図か部品を河童たちの元へと輸送する任をまかせたい」
そんな飯綱丸の言葉に、文は何も答えることなく話を聞き続けていた。
すると、飯綱丸の後をつなぐように天魔が口を開いた。
「……手段ややり方は問わん。確実に河童たちに渡るように心得るように」
「………はっ!承知いたしました、天魔様」
「………そういえば、お前はまだ新聞の配達がまだだったな?山からは新聞の配達という体で出るといいだろう」
その言葉を聞くとともに文はその場から去り、すぐにある人物のもとへと向かうべく刷り始めたばかりの新聞を取りに出かけたのであった。
「………山が騒がしいですね」
「……?妖怪の山がですか?」
場所は変わって和人の自宅。
遠くを眺めるように空を見あげていた白狼天狗の少女……「犬走椛」がそんな言葉を呟いていた。
彼女は「千里先まで見通す程度の能力」という、いわゆる千里眼の能力を持っており、その能力で妖怪の山を観測していた。
「……大天狗様たちが慌ただしく動いてらっしゃいますね。
恐らくですが、危惧していた事態になったかもしれません」
「となると……作業を早めたほうがよさそうですね。
椛さん、後は頼みます!」
そう言うやいなや和人は工房の中へと入っていき、ガコンという音が聞こえた後は静かになった。
「……命令とはいえ、まさか外様の半妖を守ることになるとは」
そうぼやきつつも、彼女は新品らしい綺麗な状態の盾と剣を構えて玄関口へと立つ。
彼女は気づいていないが、その顔には笑みがこぼれていた。
「……ですがこれをいただいた以上、それなりに仕事はさせてもらうとしましょうか!」
やる気充分といった様子で武器を構えつつ、椛は能力で辺り一帯を索敵し始めた。
「……ククク、いよいよだ」
妖怪の山の山頂。
そこに建つ神社の敷地にそびえ立つ御柱の上で、一人の女が不敵な笑みを浮かべていた。
「天狗達が臆病風を吹かせると思ったが……
存外、幻想郷の天狗達は反骨心があるようじゃないか」
「う〜ん、できれば面倒だからさっさと明け渡してほしかったけど……まぁ、「神奈子」の鬱憤がそれで晴れるんなら良いか」
笑みを浮かべる女の隣でめんどくさそうな表情をしている少女は溜息を吐くが、相方の気が晴れるなら良いかと他人事のようにぼやいていた。
「……しかし、気がかりもある。一部の天狗と河童共が何かコソコソと動いているようだが……」
「私は手伝わないよ?そもそも、信仰さえ集まるなら幻想郷の支配だとかはどうでもいいし」
「あぁ、構わないとも。……これは私の遊戯なのだからな」
「……ほどほどにね?
経験を積ませるためとはいえ、"あの子"も巻き込むんだから」
「それぐらいわきまえてはいるさ。
……だがな、久方ぶりの戦ともなれば昂ぶるのが戦神よ」
ドシンと御柱から降りて着地し、神社の中へと女は入っていく。
「戦支度をする。しばらくその場は頼むぞ「諏訪子」?」
「はいはい……しっかり準備してきなよ〜?」
残された少女は溜息をまた吐きつつ、山頂の端から幻想郷を見下ろすようにして眺めた。
「……なぁんか妙な感じがするんだよねぇ?
信仰……ではあるみたいだけど、どうにも薄くてはっきりしないし」
彼女は薄く漂ってくるその気配に、心底不思議そうな顔をしていた。
自分たちはまだここにきたばかりで、少なくとも人間たちにはまだ認知されていないはずだ。
だが、非常に微弱ではあるものの「信仰」の気配がする。
「……人里にいる「外来人」って子たちの中に信者の子でもいるのかな?まぁ、いずれわかるよね」
しかし現状それを調べに行くわけにもいかないため、少女はひとまずそのことは置いておくことにした。
「ま、精々頑張りなよ幻想郷。神様の遊びに付き合うのは中々大変だからね?」
それだけを呟き、少女は境内へと戻っていった。
嵐の前の静けさか、山に吹く風がまるで戦の序曲であるかのように重く静かに音を立てていた
戦う者と助ける者、そしてそれを傍観する者
火種の香る妖怪の山は嫌な騒がしさに包まれていた
避けることなど夢のまた夢
なれば、生き残るための牙を研がねば食われるのみ
漂う戦の匂いに誘われ、調停する者が和人のもとへと集まりだす
次回「運び屋(上)」
そして、火種は博麗神社にも一つ