東方死霊録   作:SCOPEWOLF

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どうもこんばんわ。
最近様々な事情でお財布がさみしい今日この頃です。
何か改善策はないかと考えてはいるものの、これといって何も思いつかないですわな…
せめて和人みたいに手先が器用だったらと思わずにはいられませんけど、無い物ねだりしても仕方ないのが現実ですねぇ……
そんな訳で、導入に困って近況の愚痴をこぼしながらも本編をどうぞ


三.運び屋(中)

「………で、それで僕の家に来る途中で射命丸さんを見つけて襲いかかったと」

 

「しかも連中の手下と勘違いしてだろ?お前は通り魔かよ……」

 

「う、うるさいわね!こっちだって喧嘩売られて気が立ってたのよ!」

 

現在、僕たちは射命丸さんの手当てをしつつ霊夢さんから事情を聞いていた。

 

どうやら例の外の世界から来た神社のところから使者が来たらしく、一方的に博麗神社へと要求を叩きつけて宣戦布告してきたらしい。

 

その要求というのが「博麗神社の譲渡」だったらしく、抗議する間もなく敷地内に張り紙付きの御柱を突き立てられてしまったらしい。

 

それにブチギレた霊夢さんは早速乗り込もう……としたところで問題にぶち当たった。

 

というのも張り紙に書かれた外の世界から来た神社の位置というのが妖怪の山……

 

天狗や河童を含め、幻想郷の約半数以上の妖怪たちが居住する大規模なコミュニティが存在する場所だった。

 

妖怪の山は居住する妖怪たち間での繋がりが強く、それ故に下手に乗り込めばたちまち囲まれて袋叩きにされる。

 

いくら霊夢さんがデタラメに強いとはいえど、本丸に乗り込む前に大きく消耗させられてしまうのは避けられない。

 

というわけで数合わせと足止めを兼ねて僕と魔理沙さんを巻き込もうとここを訪れたらしいのだが……

 

「……流石に博麗神社のためとはいっても、妖怪の山と敵対するのはあまり気乗りがしませんね」

 

「同感だぜ。やったところで私らにあんまり旨味がない話を持ちかけられてもなぁ……?」

 

「うッ………それは………」

 

僕達の答えに、霊夢さんはバツが悪そうに顔を背ける。

 

どうやら断られる事をあまり想定していなかったらしく、特にこれといって交換条件だとかを用意していなかったらしい。

 

それに、だ。

 

「……今、妖怪の山はその神社と睨み合ってる状態なので真正面から乗り込んだら余計状況が悪化しますよ?

射命丸さん曰く山全体が殺気立ってるみたいですし」

 

「そうですねぇ………今霊夢さん達が攻めてきたら山の方も神社側の刺客と勘違いして襲いかかるかと」

 

「ぐぬぬ………」

 

霊夢さんの弾幕でズタボロになった射命丸さんの服を修復し終え、彼女が着替えるその合間に僕は霊夢さんの計画の穴を突いた。

 

それに被せるように射命丸さんも衝立の奥から補足したため、霊夢さんは唸りつつ頭を抱えた。

 

恐らくはどうやって山の神社へと殴り込もうかと思案しているのだろうが………

 

「………あっ、でもそういうことならちょうどいいかもですね!」

 

と、そこで着替え終わったらしい射命丸さんが何かを思いついたかのように手を鳴らして僕達のほうへと歩み寄って来ていた。

 

「いやぁ……実は私どもも少し手を貸していただきたい案件がありましてねぇ?」

 

そう言いつつ、射命丸さんは僕へと書簡を手渡した。

 

書簡は妖怪の山からのものらしく、内容は僕の予想通りのものだった。

 

「……やはり、例のアレを使うつもりなんですね?」

 

「えぇ、その為にもあの部品の設計図と試作品を運びたいのですが……」

 

なるほど……

 

確かに、状況を考えるならただ持って行ってもらうだけでは不安要素しかないだろう。

 

「……とりあえず、霊夢さんと魔理沙さんもついてきてくれませんか?諸々の事情はそこでお話しします」

 

「……まぁいいわ。なんかそのほうがうまくいきそうだし」

 

「ん?私もなのか?

まぁ暇だし付き合ってやるけどさ」

 

二人の合意も一応は得られた為、僕は霊夢さんと魔理沙さん……そして射命丸さんを連れて工房の中へと入った。

 

椛さんには変わらず門番を頼んでおり、今も辺りを能力を使って見渡しながら警護してくれている。

 

工房の中へと入ると僕は奥の方へと仕込んでいたスイッチを押し込む。

 

その直後に工房の床の一部が迫り上がり、横へとスライドして梯子付きの地下室への入り口が出現した。

 

「おぉ……にとりから聞いてたけど、なんか秘密の入り口みたいだな!」

 

「まぁこの中の物はある意味表には出せない秘密の物ばかりですからね」

 

そう言いつつ僕は梯子の支柱をつかんで滑るように下へと降りた。

 

魔理沙さんも僕を真似て降下し、霊夢さんと射命丸さんは普通に飛び降りてから着地前に宙へと浮いて勢いを殺してから中へと入ってきた。

 

工房の仕掛け扉が閉じるのを確認しつつ、僕は通路の向こうにある扉のロックを遠隔操作で開放した。

 

 

――ガチャン!ギュイィィィッ……ガコンッ!

 

 

まるで核シェルターのような重厚感のある扉のロックが音をたてて外れ、横にスライドするかのようにして開いた。

 

「ねぇ……これって河童の連中が作ったの?」

 

「半分正解でしょうかね?僕もですけど、個々の設計と製作にはもう後数人の有志の方々が関わってます」

 

そうして開かれた扉の先へと進む。

 

中に入ると、金属で作られた床と木目調の壁で構成された少し古風ながらも近代的な雰囲気も感じる内装のエントランスが出迎えた。

 

「こちらです」

 

三人を先導しつつ、僕は通路を通ってとある部屋の前に立った。

 

通信室と書かれた扉を開くと、中には幾らばかりかの古いコンピューターたちに加えて一台の大型の機械が鎮座していた。

 

「少々お待ちを……」

 

三人に一旦待ったをかけつつ、僕は大型の機械を操作した。

 

 

 

――トトトトツートンツートト

 

 

 

 

――ツーツーツーツートンツー

 

 

合図が帰ってきたため、機械のダイヤルといくつかのツマミを回して調整した。

 

そして、そう間もなく……

 

 

 

『……あーあー、こちらにとり。繋がってるかい盟友?』

 

「こちら和人、問題無しです」

 

あちらからの接続が繋がり、機械のスピーカーからにとりさんの声が聞こえてきた。

 

「……何これ?なんか知らない声が聞こえてくるんだけど」

 

「こりゃ外の世界の「通信機」ってやつでな。

幾つか幻想入りで流れ着いた奴をカズと香霖が繋ぎ合わせたりしながら修復した奴なんだ」

 

「今繋いでるのは多分河童のにとりさんですねぇ〜。

確か複製品が山の方にもあるって聞いてますから」

 

困惑する霊夢さんに対し、魔理沙さんと射命丸さんが軽い説明をしてくれていた。

 

まぁ厳密にはこれに使われてる部品のいくつかは自作したり外の世界から新品を取り寄せたりしているのだが……

 

それは一旦置いておくとしよう。

 

『こうして連絡してきたってことは、何か異常事態でもあったのかい?』

 

「それがですね…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――少年説明中――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『なるほどねぇ……あいつら、相当な命知らずだよ。

よりにもよって博麗の巫女さんに喧嘩を売るとか、命がいくつあっても足りないよ』

 

にとりさんに事情を軽く掻い摘みつつ説明すると、通信機越しにもわかるほどの呆れ混じりの溜息を吐きながらそう返してきた。

 

『……ま、そういうことなら話は早いや。

実はこっちも状況が更に複雑化しててねぇ……』

 

「……まさか、私がここに来て伸びてる間に状況が悪化したんですか!?」

 

にとりさんの言葉に射命丸さんが愕然としながらそう答えた。

 

『文の方については仕方ないよ。

まぁ……でもおかげでこっちも色々とやりやすくはなったんだけどね』

 

『なら、そこから先は私が答えるとしようか』

 

突然、通信機からにとりさん以外の女性の声が聞こえてきた。

 

確かこの声は……

 

「……もしかして、飯綱丸さんですか?」

 

『いかにも。話は後ろですべて聞かせてもらっていたよ』

 

――飯綱丸龍

 

妖怪の山を治めている天狗達のなかでもかなり上の立場にいる、所謂上級幹部に当たる大天狗の一人。

 

僕も一度だけお会いした程度だが、ドライながらも人を見て活かす事に長けた人望のある女性……というのが僕なりの彼女への印象だった。

 

抜け目無く山の利益を追求しつつも、下の方への負担を減らすような立ち回りをする策士でもある女傑なのだが……

 

それ故に、読めないところの多い人だった。

 

『……そこで聞いているだろう巫女。

貴様に言っておくが、我々妖怪の山の天狗と河童は連中とは現在抗争状態だ。

少なくとも、我々からそちらに対して敵対的な真似はしていない』

 

「……あーもう!それについては悪かったわよ!

事情を知らなかったとはいえ、アンタのところの天狗を叩いたのはこっちも反省しているわ!」

 

「逆ギレかよ…」

 

顔を真っ赤にしながらキレ気味に謝る霊夢さんに対し、魔理沙さんは呆れたようにため息をついていた。

 

『まぁ、たいした怪我にもなってないのならこちらとしても穏便に済ませたいところだ。

……とはいえ、何も賠償がないというのも少々不公平故、こちらの話に付き合ってもらうことで手打ちにしたい。

それで構わんかな?』

 

「……もう、それでいいわ。で、私は何をすればいいの?」

 

『まぁ待ちたまえ。事には順序というものがある。

……ここから先の話は、例の魔法使いの人間にも付き合ってもらおう』

 

「ん、私か?別にそりゃ構わないが……」

 

『……なるほど、どうやら全員揃い踏みだったようだな?

なら話は早い』

 

魔理沙さんの答えを聞いて一息を入れた後、飯綱丸さんは話を切り出した。

 

 

 

『例の外の世界から来た神社に一泡吹かせる計画……

お前たちにはそれに協力してもらいたい』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃の地上。

 

「ごめんくださ〜い。和人さんはいらっしゃいますか〜?」

 

大きな木箱を背負い、軽く声を上げながら一人の少女が和人の家へと足を踏み入れていた。




避けられぬ争い
撒かれた無数の火種
今や幻想郷の一角では久方ぶりの戦火の火蓋が切られようとしていた
しかし、それに屈する我らではない
この日、山は争いの喧騒へと飲まれていく
次回「運び屋(下)」
いよいよキャスティング完了
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