ポチポチとオリジナル小説の試作品を作りつつ書き上げました。
さて、今回は少しだけグロ……というより暴力的表現が多いです。
まぁ……この辺でいくらか退場させないと後が大変なので許してヒヤシンス。
というわけで本編をどうぞ
――ピチューーンッ!!
「へぶぁぁぁぁッ!?!?」
突然のことに反応しきれず、諏訪子はもろに大量の小粒弾幕に被弾した。
残基を一つ失いつつミジャグジの上から落ちていく彼女の姿を確認しつつ、文はすぐさま逃走の構えを取った。
(ああああぁぁぁぁやっちゃったやっちゃった予定ではこんなはずじゃないのにィィィッ!?!?!?)
どうやら投げつけるかして彼女を足止めするだけのはずだったのだが、予想外なことに残基を一つ奪ってしまったらしい。
この後の展開など、文にとっては手に取るように分かる。
彼女の予想でしかないのだが、おそらくはブチギレた諏訪子の手により八つ裂きも生ぬるい姿へと加工されてしまうだろう。
スペルカードルールはあくまで妖怪と人間との力の均衡のためにあるものであり、妖怪と神の間でわざわざこのルールを馬鹿正直に守る必要があるかといえばかなり微妙。
ましてや相手はつい最近まで外にいた新参者。
こちらのルールを無視してやられてしまう可能性が大いにある。
既にほかの準備が終わっているのは確認済みだ。
一刻も早くこの場を離脱しなければ…………
「どこに行くんだい?」
――ガシッ
「ゑ……?」
突然足を掴まれ、文の思考が停止する。
いや……まさか、そんなはずは……
そう思いつつ、文は自分の足元を確認する。
するとそこには……
「いやぁまさか妖怪風情に一本取られるなんてねぇ?」
笑顔なのに目が笑っておらず、獲物を見定めたかのような目をして文の足を掴む諏訪子の姿があった。
「ピィィィィッ!?!?」
思わずというべきか、文は奇声をあげながら振りほどこうと足を振り回す。
しかしそれで離す諏訪子でもなく、立ち上がった諏訪子の手によって軽々と持ち上げられた。
そして……
「はぁいよいしょぉ♪」
――ズダンッ!
「ガッ!?!?」
「そぉれもういっちょ〜♪」
――ゴスッ!べキャッ!!
「ギャァッ!?!?」
その小さな体から想定できないほどの力で、まるでおもちゃのように文を振り回しだした。
ブォンブォンと風を切るかのように振り回された文は何度も地面やそこら辺の木へと叩きつけられ、その度に痛々しい悲鳴が上がる。
「ほらほらほらほらぁッ!!」
「ギャッ!?ゴバッ!?!?い゙あ゙ッ、やめ゙ッ!?」
――ベギッ!ゴギャッ!!ズドンッ!メギャッ!!ゴスッ!ズデンッ!ゴシャァァッ!!
叩きつけられる度に骨が折れ、内臓に衝撃が走り、そして口から血を吐き出す。
涙を目に浮かべて必死に命乞いをするも、諏訪子の耳には一切入らない。
ある程度満足したのか、幾らばっかりか地面に叩きつけた後に文を近くの岩へと投げ飛ばした。
――ズゴォォンッ
「ガッ!?は、ぁ………」
ボロ雑巾のようにズタボロにされていた文は岩との衝突の衝撃でついに意識を手放し、その場にドサリと音を立てて崩れ落ちた。
「おっと、ついやりすぎちゃったかぁ〜」
地面に崩れ落ちたズタボロの文を傍目に、諏訪子はその場で思考を回し始めた。
恐らくだが、これは陽動……時間稼ぎのはずだ。
本命は恐らく別にあるのだろうが………何が目的だろうか?
いまいち相手の目的がわからないが………
いや、一つだけ思い当たることがあった。
「なるほど、河童のところか」
可能性があるとしたらそこしかない。
陽動役に目を奪われてる間に、どこからか本命が山に侵入して河童の下へと行ってしまったのだろう。
どこから入り込んだかは分からないが、どうせ河童たちのことだ。
どこかに秘密の通路があってもおかしくはない。
「そうと決まればさっさと河童のところに………」
「……いまだ!捕えろぉぉッ!!」
「なっ!?」
突然雄たけびが聞こえたかと思うと周囲の木陰から一斉に無数の白狼天狗たちが現れ、何やら錫杖らしきものを地面に突き刺した。
「「「「四方封陣、展開!!」」」」
「「「「「五行滅力陣、展開!!」」」」」
「「「「「「「「八卦封力結界、展開!!」」」」」」」」
白狼天狗たちがそう叫ぶとともに地面に複数の陣が現れ、それと同時に諏訪子を妙な脱力感が襲った。
「ちぃ、足止めの理由はこれか!
ミジャグジ様……って、あれ?」
とっさに先程から顕現されたままのはずのミジャグジへと指示を出そうとしたものの、何故か一切反応がない。
不審に思い諏訪子が後ろを振り返ると……
「――――――――ッッッッ!?!?!?!?」ガタガタガタンッ!!
「おー、こりゃ立派なヘビだべ。捌いたら食えるか?」
「いや、流石にマズイだろう。
見た感じだが、これは呪いの塊だ。食えば下手すりゃ死人が出るだろうな」
見知らぬ妖怪達と数名の白狼天狗たちがミジャグジを縛り上げて押さえ込んでおり、何なら今にも手に持った鉈で首を切ろうとしている妖怪を天狗がたしなめていた。
「……なるほど、こりゃ一杯食わされた訳か」
「済まないが貴女には大人しくしてもらおう。
そちらの戦神殿が敗北を認めるまではな」
どこか諦めたかのような顔でそうボヤく諏訪子に対し、先ほどまで妖怪たちを指揮していた天狗……大天狗の飯綱丸がそう声をかけた。
事実上の降伏勧告に対し、諏訪子は両手を上げて降参の意思を見せていた。
「まぁこの辺が私の潮時かなぁ?
そもそも私、この戦はあんまりやりたくはなかったしね」
「協力に感謝しよう。
このまま夜までかかるようなら食事もこちらで用意させる」
「おや、そりゃありがたいねぇ。
私は神様だけど、実に人道的じゃないか」
「我々としてはこの件を穏便に済ませたいのだ。
いい落としどころを探るためには捕虜の安全ぐらいは担保してやるさ」
そんな会話を交わしつつ、飯綱丸はズタボロの状態で地面に伏した文を拾い上げた。
「……とりあえずコイツには休暇を与えてやるか。
よく頑張ったな、射命丸」
抱きかかえられても意識の戻らない部下に対して労いの言葉を掛けつつ、飯綱丸はその場を部下の天狗たちへと任せて立ち去った。
「……あんな無茶をやらせておいても、ちゃんと部下は大切にしてるんだね。
意外と天狗達も昔の頃よりかは柔くなったかな?」
飯綱丸たちを見送った諏訪子はそうつぶやきながら地面に寝転がる。
所々に文の血が飛び散ってはいるものの、そこまで汚れのなかった岩の上から空を見上げていた。
――時刻は現在16:10
沈みゆく日の光が空を薄く赤く照らし、仄かな夕焼け空を覗かせていた。
古来、河童とは河に住む人ならざる異形
しかしこの幻想の地において、かの妖たちは新たなる自己を得た
彼らが行く道は技術の道
彼女らが手にするはレンチと金槌
人よ、恐れおののけ
我ら妖怪もまた科学の徒なのである
次回「河童の里」
棺桶は未だに未完成