さて……こんな人気のひの字もない程過疎ってる本作をお読みいただいている皆様も任天堂ダイレクトをご視聴していたことでしょう。
まさかの東方原作、「東方紅魔郷」がコンシューマ版でリメイク決定!
いやぁほんとにめでたいですね。
なんせ現在の環境では遊びづらいうえに、そもそも肝心のソフトが手にはいらないというプレミア仕様。
私も一応原作は時折やってますが、遊べても風神録が精々。
これを機に東方原作をやってるファンが増え、おまけで二次創作も盛り上がってくれたら良いですねぇ。
……そのお零れで少しでも読者が増えてくれたら良いんですが、いかんせん需要が薄いのが……
というわけで、そんなネガティブな本音はさておき本編をどうぞ
『……三号機ロスト。
どうやら自爆したみたいです』
『うそ〜ん……。
まぁでも無事にイーグルちゃんは脱出してるんでしょ?
データが残ってるだけまぁまだマシかな』
ドガガガと音を立てて制圧射撃を行う二両の戦車。
ファイティングドッグ一号機と二号機を操縦するにとりと和人は、機体のスピーカー越しにそんなやりとりをしていた。
二人は現在、主戦場となっている神社直前の広場に展開する妖怪や神々を相手に戦闘中。
前線の維持に一号機と二号機を使い、鈴仙の駆る三号機を遊撃に回していたのだが……
その三号機は目を潰された隙に近づかれて袋叩きにされてしまい、これ以上はマズイと悟った鈴仙によって放棄&自爆によってロストしてしまった。
……しかしどうやら肝心の運用データなどは別口で保管していたらしく、痛手ではあるもののそこまで悲壮的な雰囲気ではなかった。
『……戦況もあと一押しといったところですね』
『私たちも結構やってるけど、やっぱり天狗の勢いもすごいねぇ』
今しがた顔を覗かせた妖怪の頭を主砲で撃ち抜きつつ、和人は戦況を見渡してそう呟いた。
現在、妖怪の山勢力の損耗は三割。
神社側は推定七割程の戦力が失われている。
神社側については数十人程度の死者が出ているが、そのいずれもが名もない弱小の妖怪。
その妖怪たちも人型というよりは獣型の割合が多いらしく、死亡原因は弾幕の被弾によって吹き飛ばされた際に打ち所が悪かったというのが主を占めていた。
そしてそれほどの戦果の三分の一は和人達のものだが、残りのほぼ全ては天狗達による手柄だ。
天狗達は数もそうだが、そこら辺の妖怪に比べるとその戦闘技術の練度も非常に高い。
一番下の白狼天狗ですら妖怪三体を一人で捌いており、時折入る烏天狗たちの弾幕や大天狗の指揮によって段々と相手側の戦力を削っていた。
ここまでくれば、もはや勝利も目前。
二人はこのまま牽制しつつ、霊夢が神社側のトップである神を降すのを待つだけだった。
……この時までは
『よぉし、このまま押し込んで………』
――ヒュゥゥゥ………
『うん?何この音………ってかなんか暗いような……?』
『……ッ!?にとりさん、上です!!』
『へ?』
――ズゴォォォンッッ!!!!!
『のわぁぁぁぁッ!?!?!?』
突然にとりのゴーグルに映る景色が暗くなり、そちらに気が逸れたせいで和人の声が届いた直後に一号機の後ろ半分がぺしゃんこになった。
『ま、まず……!?
一号機、イジェェェクトッ!!!!!』
音声コマンドに反応し、ハッチが開いて中から鷹型のゴーレム「ホーク」が飛び出した。
ホークの脱出から間もなく、中に充填されていた高濃度魔力液が突然の化学反応を起こして小爆発を起こす。
そのまま次々に引火していき、最終的には大量の弾幕をまき散らしながら大爆散してしまった。
『にとりさん!?一体、何が……』
和人がそう思うも束の間、今度は彼の方にも一号機を潰した犯人が迫っていた。
『くっ、これは……!?』
辛うじて後方へとローラーダッシュで緊急回避した直後、二号機が先ほどまでいたところにソレが突き刺さる。
その正体は……注連縄が付いた巨大な丸太。
いわゆる御柱であった。
次々に振ってくるソレを回避しながら上空を見る。
戦場の上空では二つの影が交錯しており、片方の周りから振ってきている御柱がこちらへと流れ弾のように振り注いでいたらしい。
そう……戦場の上空では今もなお霊夢と八坂神奈子が激突しており、周辺被害などお構いなしに放たれたスペルカードの影響によって下の戦場も大混乱の様相へと変わっていたのだ。
あるだけのミサイルを放ちながらガトリングで振ってくる御柱を迎撃していると、天狗の本隊側から一人の人影が近づいてきた。
「そこな絡繰!聞こえているか!?」
寄ってきたのは壮年の雰囲気を漂わせるいかにもな見た目の天狗……
この戦場の指揮を預かっていた大天狗であった。
「聞こえているなら一旦ここから離脱し、こんなふざけた物を落としてる神にその大筒をぶちかませ!!
前線は我々天狗で抑えてやる!行けッ!!」
『……ッ、了解しました!ご武運を!』
大天狗は和人に指示を出した直後、気絶した部下から借りてきたらしい白狼天狗用の盾で御柱を弾くかのようにして交代に入った。
和人はそこで生まれた隙を縫うかのようにファイティングドッグを走らせ、戦場を抜けて神社へと足を踏み入れた。
『……ッ!?ここは………』
神社に踏み入れた直後、和人の脳裏に浮かんだ既視感。
鳥居は吹き飛び、本殿も半壊してるが………
和人はここを………この神社を知っていた。
……しかし今はそんな感傷に浸っている時間はない。
脚部のピックを石畳へと突き刺し、機体を固定化する。
ターレットレンズが回転し、狙撃用のレンズへと切り替わる。
『主砲チャージ開始、圧力上限90%』
ボイスコマンドで手早く出力を設定しつつ、和人は操作系を精密射撃モードへと切り替えてターゲットの方向を見る。
ズタボロになりながらも高笑いを浮かべ、次々と御柱を発生させては霊夢ごと押し潰さんと下の戦場へと振り注がせている。
敵味方などそこには関係なく、振り注ぐ御柱は戦場にいる者たち全てに牙を剥いていた。
――圧力50%
ターゲティング用のレティクルが現れ、同時に機体のエイムアシストプログラムが作動する。
――圧力70%
主砲の先から光が漏れ、まるで渦巻くかのように一点へと集中して収縮していく。
――圧力80%
トリガーに指をかけ、ターゲットを完全に神奈子へと固定する。
――圧力90%
――発射準備完了
『当たれぇぇぇぇぇッッ!!!!』
――カチッ………バシュゥゥゥゥンッ!!!
特徴的な発射音を轟かせ、主砲の圧縮された霊力弾がレーザーのごとく真っ直ぐに神奈子へと飛んでいく。
「………!」サッ
「なに……!?なんの光………」
――ズゴォォォンッ!
「ギャァァァァァッッッ!?!?!?」ピチューンッ!!バーンッ!!
不意をつくような形で主砲は神奈子へと直撃し、彼女の体勢を大きく崩させながらスペルと共に残機を一つ消し飛ばした。
……そして、そこで生まれた彼女の隙を逃さないかのように霊夢が一枚のスペルカードを取り出した。
「ないすよ、和人!霊符「夢想封印」ッ!!!!」
使い慣れない賛辞を和人に送りつつ、霊夢はスペルカードを発動。
未だ態勢を立て直せていない神奈子の周りを覆うように、いくつもの巨大な光弾が展開した。
「………まさか、これほどとは。
くく、私も鈍ったか?」
自身の敗北を悟りながらも、神奈子は清々しいほどの笑みを浮かべ……
色彩に満ちた弾幕の光の中へと姿を消した。
戦は終焉に向かい、束の間の平和が訪れる
ある者は勝利に、ある者は宴の酒に、またある者は戦で得た利益に酔いしれる
しかし、それこそが幻想郷
それこそが忘れられた者たちの楽園
争い終われば次にはハレの日
騒げよ、謳えよ、酔いしれよ
ケの日に戻るその時まで
次回「和平」
いつ何時も、再開は突然やってくる