(完結)ヘスティア・ファミリアに犬と猫が居るのは間違っているだろうか   作:景田

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夢はアポロン戦直ぐに見たものだよ


番外編
妖精殺人のアイズ1


怪物は殺す。

 

殺さなければ…殺さなければ…殺さなければ…

 

怪物は敵、怪物は仇、怪物は化物…

 

ならばあの子は?私が殺してしまったあの子…私が間違って殺しちゃったあの子

 

 

 

『そうだよ、お前のせいで、ボクこんなになっちゃった…』

 

金縛りにあったかのように動かせない体と眼球、目を逸らすことがどうやっても出来ない。まるで罪から逃げるなと言ってくるように。

 

ベチャベチャと音を立てながら…私がぐちゃぐちゃにした心臓から血を出しながら真っ赤な手足と虚ろな目…

 

 

 

『ねぇ、君は何故ボクを殺した?そんなに憎かったのかい?酷いねぇ、ボクは何もしていないし怪物じゃないのに…まるで君が怪物みたいじゃないか!泣くな、笑うな、怖がるな、殺せなく成るじゃないか!躊躇ってしまうじゃないか!どうして感情があるの?どうして意思があるの?必要ないだろう、君の様な怪物に!』

 

 

気持ち悪い、喉の奥に込み上げてくる何か、頭がガンガンする…涙が溢れてくる…責任感、罪悪感、後悔…様々なものが溢れ出てしまう。

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ………うっ…」

 

 

翌日…

 

 

「どうした?大丈夫かアイズ。もしかしてまたあの夢を見たのか?」

 

「リヴェリア…私…」

 

「どうしたんですかアイズさん!そんなに苦しそうにして…」

 

「レフィーヤ…私は大丈夫…」

 

「でも…そんな顔色して大丈夫な訳無いじゃないですか!」

 

「大丈夫だから…」

 

 

 

今ではレフィーヤの声すら気持ち悪い…気持ち悪い…頭に響く…気持ち悪い…

 

 

 

「レフィーヤ、その辺にしておけ。アイズ、お前は部屋で休んでいろ。」

 

「…うん。」

 

「で、でもリヴェリア様…」

 

「レフィーヤ、その辺にしておけ」

 

「はい…」

 

リヴェリアの言葉により、レフィーヤは止まり、アイズは自室へトボトボと帰っていった。

 

「リヴェリア様!一体アイズさんのあの様子は何なんですか!」

 

「其れは「おぉ!リヴェリアとレフィーヤやんけ、どしたん?」ロキ…アイズの事だ。」

 

「アイズたん?………あれか!レフィーヤ、今からウチの部屋行くで」

 

「え?えぇ…」

 

 

ロキの真剣な表情により、そんなに此処では話してはいけないのだと悟るレフィーヤは素直にロキに従った。

 

ロキの部屋に着くと、酒の瓶やらが床に多少転がっており、酒の臭いもする相変わらずひどい部屋だった。

 

そんなロキは、散らかっている部屋を見て少し罰の悪そうな顔をしながら徐ろに椅子に座り話し始めた。

 

 

 

「アイズたんはなぁ、度々悪夢を見るねん」

 

「悪夢?」

 

「せや、アイズたんは其の悪夢に苦しんどんねや」

 

アイズさんが悪夢何て見るはずがないだとかと一瞬思ったレフィーヤだったが、流石に其れはないかと直ぐに否定する。今度は其の悪夢の内容が気になり尋ねてみた。

 

「アイズさんはどんな悪夢をみているんですか?」

 

「………過去で悪人でも無い奴を…殺した出来事を追体験して、その相手に罵倒されたり責められたりする夢らしい」

 

「…え?………ど、どういう事ですか?!もっと詳しく説明して下さい!」

 

「せやな…先ず悪夢を見る原因…きっかけの事を話そか」

 

 

 

その日アイズは一人で、ダンジョンへ潜った。理由は怪物を倒して強くなる為だ。

 

ダンジョンへ入り、上層から直ぐに中層へ向かおうとした所、視界の端に武装を付けた『コボルト』の様な怪物が目に見えた。

 

(武装を付けた怪物?歩き方がフィン達の様な凄いさを感じる…其れに加えて色とかがちょっと変だし小さい…まさか強化種?念の為【エアリアル】を発動してから殺そう)

 

「【目覚めよ(テンペスト)】!」

 

するとその『コボルト』は歩き始めた瞬間に、此方に気付き、驚いた顔をした。

 

(気付かれた?!この距離で?やっぱり強化種!他の冒険者が危なく成るから直ぐに殺さないと…でももうすぐ胸…魔石を砕ける!………?何か違和感…が………)

 

 

ッ―――!!!グホッ!」

 

「?!(魔石がない!?其れにこの顔、気配…もしかして『コボルト』…じゃない?………なら私は何を刺して…)武装…狼…うぅん犬………なら獣………人…

 

「ナン…デ?」

 

その瞬間、アイズの頭は現実を否定しようとした、ガツンと頭を殴られたかのような痛みが襲い、周りの時間が引き延ばされる。

 

(怪物は殺す、ならばこの子は?魔石がないなら獣人………そうだよ魔石があれば良い)

 

其処でアイズは更に許されざる行為を始めた。何と刺突で刺した剣を使い、また心臓に剣を突き刺したのだ。

 

何度も何度も、その偽『コボルト』…妖精犬(クー・シー)の胸…心臓に剣を突き刺し、あるはずの無い魔石を何度も何度も無いと困るかのように探していく。それに伴って次第にぐちゃぐちゃになっていく見るも無残な妖精犬(クー・シー)の心臓付近。

 

彼からすれば急に全力全開で問答無用に襲ってきた奴が何か絶望した顔で、それから無表情に変わり【探さなきゃ…魔石】とうわ言の様に呟きながら更に剣を何度も何度も同じ箇所にぶっ刺してきて痛みを与えてくる悪魔だ。

 

無駄に綺麗な顔をしている12歳前後の美少女が、ほぼ無表情でほぼ無心で何度も痛みを与えてくるのが更に恐怖心を募らせる。

 

刺していった結果、最初は突き刺して妖精犬(クー・シー)の体はビクンビクンと痙攣していったが其れも無駄に早い数十回の突きをした頃には失くなり、完全に目から光が消えそうな所で…

 

 

 

妖精猫(キャット・シー)、LV.4成り立てのディポーが猛スピードでこっちに来て妖精犬(クー・シー)を抱きかかえながら手で触れ、魔法で回復させる。

 

その光景を見ても今のアイズには、怪物として否定し、言い逃れようとした者の仲間が必死に治す所は苦痛でしか無かったので、勝手に脳内変換され目の前の者達は怪物だと認定する。

 

自身が怪物でない、恐らく善人であろう獣人を殺したという事実を頑なに認めたくないアイズは其処でもまた許されざる行為をした。

 

「(怪物は殺す!)あ、あ、あぁ…ああ…あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ア゙ア゙ア゙!」

 

何と錯乱状態になりながら剣を振り回しディポー達に襲いかかったのだ。

 

治療に夢中だったディポーは其れに気づかず背中にその剣を受け切り傷を刻み、血を大量に流す。

 

「ッ!!!お前は何がしたいんだ!【人形姫】!【ビッグ・ポー】!

 

全体式の【ビッグ・ポー】により、泣きながら魔力の手で態々精神を平静状態に治してあげながらアイズ・ヴァレンシュタインを吹き飛ばすディポー。

 

その攻撃により、壁に打ち付けられて気絶するアイズだが、冷静さを取り戻した考えにより、自身が何ということをしているんだと自覚し罪悪感やらネガティブな感情が湧きながら意識を落とした。

 

 

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