「本当にこの先にいるんでしょうね!先生の協力者っていう人は!!!!」
バラララと、銃撃音が鳴り響く戦場にて叫び声が木霊する。あちらこちらで爆発による火災が発生し、ボロボロになった道路には、塞ぐように屯する不良たちとそれを薙ぎ倒しながら進む五つの人影。
「いるかどうかはわかりません。ですが、この状況ではむしろいなかった方がありがたいですね……!」
ライフルを放ちながら後ろの方を走っていた少女が叫ぶ。不良たちが放つ弾丸を、壊れた看板を盾にしてやり過ごし、少しづつ前へ進む彼女たちの顔には焦りの表情が浮かんでいた。
『皆さん、あとどれほどで鎮圧できそうですか!?そろそろ私一人で抑えておくのは限界が......あ、ちょっ!先生!!!!』
その原因たる通信は、今も耳元から流れ続けている今日出会ったばかりの少女の焦り声だろう。後ろに待機し、怪我人の手当などを行ういわゆる衛生兵のような立ち位置の彼女は、この急造チームでもそのポジションに居たのだが、今日ばかりはいつもの役割ともう一つ、重要な役割を抱えていた。
「本当にあの人がこの状況を打破する鍵なのでしょうか……」
綺麗な白髪の少女が、髪を爆風でたなびかせながら、どこからともなく取り出した閃光弾を投擲しつつそうこぼす。ふと、後方に視線をやれば大人......ということを加味しても背の高い男が拘束されているのが目に入る。
“先生”。連邦生徒会長が連れてきたキヴォトスの外の大人。ヘイローを持たない彼は、その身体能力や耐久性がヘイローを持っている少女たちと比べると大きく劣る。それ故にわざわざ護衛まで雇ったらしいが、その護衛の人との合流場所が火の海になってるのはどういう運命のイタズラだろうか。更に彼女たちの頭を悩ませたのは
「これくらいなら俺一人で大丈夫かな」
現場に着くなりそう呟き、そこら辺の瓦礫からおもむろに鉄パイプを引っこ抜いて突撃しようとする先生の姿だ。ただ散歩に行くかのように、ごく自然と行われた一連の動作に対応が遅れたが、このまま突撃させても死ぬ未来しか見えないため、死に物狂いで引き止め、それでも止まらなかったので後方で拘束してもらってる次第である。
「敵前線、さらに後退するようです」
「よし、このまま押し切るわよ!」
閃光弾でまとめて目をくらませ、昏倒させたのが効いたのか、敵は瓦礫を盾にしてさらに後ろへと後退していく。事前に見せられた地図通りであれば、この先は広場になっていて、そこを超えれば目的の建物のはずである。もしかしたら敵が建物の中に籠城しているかもしれないが、その時はその時だろう。そう考え、一行がその先へ足を進めると
「嘘でしょ......」
そう呟いた誰かの声すら塗りつぶす程の音を立てながら、ソレは視界に入ってきた。
『気をつけてください、巡航戦車です......!』
「クルセイダー1型......!私の学園の制式戦車と同じ型です。」
絶望。その2文字が頭をよぎる。どう考えてもこの人数で対応できる代物では無い。敵も、それを見越していたのか広場に充分な戦力を残していたらしく遮蔽物の裏や、それこそ戦車の裏から火力を集中させてくる。一度引くべきか、誰もがそう考え、口にだそうとした時。
『皆さん!伏せてください!降ってきます!』
通信から焦った声が響いた。降ってくる?と頭の中にハテナを浮かべながら遮蔽物の影に伏せ、上を見上げると
「え......」
昼間だというのにはっきりと一つ一つを認識できる流星群、そのうちの一つが、黒い光を帯びながら降ってきていた。
「っ......!!!!!!!」
思わず顔を伏せたその次の瞬間、爆風が起こる。少しでも伏せるのが遅れていたらという恐怖と、何故今流星群がはっきり見えるのだろうという疑問が脳内を埋めつくしかけるが、それを抑え込み、状況を確認しようと遮蔽物から顔を出す。
「......え?」
そして飛び込んできた光景に、脳内は今度こそ完全に活動を止めた。
「いっったたたた......いささか乱暴がすぎないか......?」
大人が、爆心地に立っていた。
ご指摘をいただいたので、直前2話含めちょっと試行錯誤中です。
話の流れに変更はないです。