ダンジョンアドバイザーとしてマスターに召喚され、オタクとしての知識を総ざらえして仕えた。頑張った僕は、沢山の褒美をもらい、できる限り似たような世界へ才能付きで転生をさせてもらった。嬉しいことに、友人やマスターの子供達も一緒に転生や転移をしてきてくれている。この世界にダンジョンを作るのだそうだ。
大々的にダンジョンをお披露目するのは転移後20年、僕らが19歳になった時という事になっている。今はαテスト期間だ。
僕もダンジョンは作るつもりだ。構想を練って、せっせとコアに力を溜めている。
今は少しずつαテストで解放されているダンジョンで鍛えてもいる。
今日も今日とて、早くダンジョンに行かねばと急いで帰路についていると、蜘蛛のモンスターが暴れていた。そして同級生が戦っていた。あれは、玉泉 雅と風井 葵?
「は? 雅? 葵?」
「琥珀! 逃げろ!」
咄嗟に襲われ、蜘蛛を殴り飛ばす。
僕を庇おうとした雅と雅を庇おうとした葵が目を丸くした。
「うっわ全然効いてないし」
僕が困惑すると、声をかけてくる雅。
「妖魔は呪力でしか倒せない」
「二人はあるの? 呪力」
「あるよ」「ある」
「じゃあ、僕がなんとか取り押さえるからサクッと倒しちゃってよ」
それから10分もしないうちに、蜘蛛は倒れた。
呪力に身体強化的な力はないのかな? 二人とも鍛えているけれど、人間の域だった。
「琥珀、お前、何者だ? 呪力はないし」
「それはこっちの台詞なんだけど? 俺はまあ、鍛えてるからね」
「鍛えてどうにかなるレベルを超えているよね」
「特殊な鍛え方をしてるからね。ここはお互いノータッチということで。僕、忙しいんだよね。誰にも言わないから言わないでよ」
そうして、僕は帰路についた。
翌日、葵くんに話しかけられた。
「特殊な鍛え方って何かな。興味があるんだ、私は力が欲しい」
「秘密厳守、指示厳守、3年間の夏休み全日合宿、費用30万円、報酬別」
「うっ」
「イケる? 鍛えられると言えば鍛えられるけど。あ、呪力は鍛えられないよ、多分。でも単純に早く動けるだけでもプラスになるんじゃないかな。もちろん変な指示はしない。損はさせないよ」
「報酬は」
「君が決めていいよ。終わった後でね」
「ちょっと相談させてもらってもいいかな。夏休みもがっつり仕事があるんだ」
「良いよ。夏休みまで日があるし、じっくり考えて。僕も両親に言わなきゃだし」
夏休みは友達が来ると伝えねば。両親にもダンマスにもね。
それと、費用5万円で野営セットを作るぞい!
ちなみに残り5万円は食費としてお母さん行きである。
それから、雅と葵が二人で僕の所に来た。
「俺ら、強くなりたいんだ」
「その為なら何だってするよ」
「了解。一緒に頑張ろう。まずは服と靴のサイズを聞くよ」
そして夏休み。
なんとか準備が間に合った!
家に荷物を置くと、僕は野営セットをお披露目した。
肩掛けカバンと着替えを渡す。
「黒狐が葵で白豹が雅で俺が黒猫ね! 必要なものは全部そこに入ってるから、着替えて財布だけ持っていって。交通費はこのお財布から出してね」
「お、おお」
「ありがとう……。ず、ずいぶん凝ってるね。服まで作ったんだ」
戸惑いつつも着替える。トイレを済ませ、いざ出発。
朝早く、電車で30分ほど揺られて郊外の森へ。
僕はサクサクと森に入り、鍵を取り出した。
αテスト用の鍵である。それを宙に刺すと、扉が出現する。
「!?」
「さ、人が来ないうちに早く入って」
ダンジョンに入ると、洞窟階層を歩く。
広場のような場所に出た。テーブルと椅子があり、本棚にはダンジョン系の小説や漫画が並んでいる。
奥には扉があり、扉の上にはハロワダンジョンと書かれている。
「何これ」
「この魔石を投入すればドアが開くよ。大体の使い方は行けばわかると思うから、行ってきて。あっ トイレの仕方だけ教えておくね。トイレをした後に、このポッケに入ってる小瓶から青い錠剤を一個出して上に投げるの。水筒も入ってるから。1人ずつ行ってきてね」
まず葵が扉を通り、ついで雅が通った。
僕はカバンからテキストを出し、勉強を開始した。
丸一日掛かるんだよな、これ。だがジョブを選ぶのにここ以上の場所はない。
19時、ようやく2人が出てきた。
「いいジョブとれた? あっ 言わなくてもいいよ。個人情報だから。教えてくれればアドバイスできるとは思うけど」
「魔闘家と仕立て屋」
「魔闘家と彫金師」
嬉しそうに答える。
「魔闘家ビルドかぁー。すご。俺は中級魔法使いと初級クラフターだよ。改めて宜しく」
2人は省略していたが、それぞれのジョブには初級、中級、上級、マスタークラス、スペシャルクラスの五つのクラスがある。
上級職への条件になってくるのは中級クラスか上級クラス。
マスタークラスとなると滅多にいないし、スペシャルクラスは才能のある一部の人間のみがたどり着けるクラスだ。よっぽど才能がないのでなければ理論上上級クラスには誰でもいけるが、才能及び努力の壁を越えられず、大体の人間が中級クラスで満足する。
「ああ、宜しくな。すげーなここ。なんなんだ?」
「ダンジョン。各地にこういう秘密の場所があるんだよ」
「私、こんなところがあるなんて知らなかったよ。クラフターってもしかして上位職?」
「さあ帰ろうか。もう19時だよ」
家に帰ると、お母さんがご馳走を作ってくれた。
食事とお風呂の間に洗濯機に服を入れ、乾燥機に掛ける。
一着しか用意できなかったんだよね。
「明日もダンジョンに行くのかい?」
「昨日とは違うところ?」
「そうだよ。明日はあると便利なスキルを取りに行くよ」
その後、2人はずっとはしゃいでいた。斧武器の適正ランクが幾つだとか、杖武器が幾つだとか。
ムキムキな葵の方が魔法適正高いのね。
翌朝。
2人は俺の用意した着替えを嫌がらなかった。
葵が仕立て屋を取ったので、いい服と収納系魔道具だとわかったのだ。
でももっと好みの服が作りたいからと電車の中で色々調べ物をしている。
ファッションの世界はこだわり始めると地獄ぞ……。
生産職で修羅じゃない道なんてないけどね。
自然公園で鍵をかちゃり。
「すげー!」
草原に声を出す雅。
葵も呆然と見ている。
「これから2人には、採取スキル、採掘スキル、解体スキル、伐採スキル、調理スキル、調合スキル、鑑定スキルの七つ便利スキルを取ってもらいます。ついでに気配察知、危険察知スキル、騎乗スキルを取れたらさらに良し。牛さん、兎さん、鶏さん、にんじんさん、じゃがいもさん、いちごさん、メロンさん、スイカさん、よもぎさん、ハニービーさん、ゴーレムさん、トレントさんをスキルスクロールが出るまで只管狩って狩って狩り尽くすこと。スキルスクロールが出たらすぐに使って、今度はスキルの使用を意識して倒すこと。ドロップアイテムはカバンに入れてね。それが終わったらこれはという物はなんでもカバンに入れて見よう。シャベルもあるから」
「とにかく倒せばいいんだな」
「初めは弱そうなのからね。レベル1が牛を襲うなよ」
「「了解!」」
それから、僕も狩りを始める。
解体の短剣を使って牛に切り掛かる。
2人はウサギ相手にワイワイやっている。
まあ、一応プロっぽいし目を離しても大丈夫だろう。
「なあ、いちごとかいねーんだけど」
「頑張って探してね。違う階層行ってもいいし、なんでも倒していいよ。迷子になったら緊急って書かれた袋の中の白い球を使うって念じてね。ダンジョンから出られるから。帰還は19時ね。遠くに行きたい場合はそこらにいる馬に乗るといいよ」
「乗せてくれんの?」
「スキル頼みでロデオ。ここのダンジョン大サービスで手綱付きの馬しかいないから、頑張れ」
「スパルタ〜」
「意外とウサギが手強いんだよね。レベルは上がったけど」
「必要スキルが揃ったら、カジノダンジョンに連れてってあげる」
「面白そう!」
「ええ、ギャンブルかい……? ぜひ連れて行ってくれ」
その後、牛の肉を葵からの差し入れと偽って母に持って行った。
葵の親戚に牧場主が生えた。
八月半ば、家を出た所で女の子2人と少年が襲ってきた。びっくりした。
レベルが上がっていた為、軽く受け流す2人。
「はぁー!? 本当に強くなってるし!」
「ずるいぞ、2人とも。私らも混ぜろ」
「本当に強くなっているのですか?」
「どちら様……?」
「焔 桜花。隣のクラスよ。で、そいつらの同僚」
「姫宮 静流。私はクラスメイトだぞ」
「玉泉 都。兄がお世話になってます」
「宝城 琥珀だ。一応、2人はお金払って守秘義務契約結んでるんだけど」
「30万円でしょ。持ってきたわよ!」
「ええ……。まあいいけど、明後日にここでこの時間集合な。こっちも準備があるし、今日からは無理。あ、それと宿題済ませてこいよ」
「わかったわ」
「済ませてある」
「ぐ、ぐぬぅ」
「じゃあ、こっちも今日明日は宿題デーな」
「りょーかい。弟がすまない」
「宿題も大事だからね」
桜花さんは鷲、静流さんは白猫、都が狼にした。
なんと桜花はジョブが吟遊詩人だった。生産職は木工職人。
静流は魔法使いで料理・調合である。
都は剣士で鍛治職人。
ちょうどよくバラけたな。
夏休み最後の5日はダンジョンに泊まり込んだ。
雅と葵に調理スキルで料理を作って貰った。
静流は来年ね。
最後に、美容ダンジョンで一夏の間に出来た細かい傷やら汚れやらをエステで綺麗にして終了!
そうして、夏は終わったのだった。
マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/lucaluca
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