βテストが始まった。
「んーダンジョン人多すぎ問題」
「仕方ねーだろ」
「でも3年間はきちっと面倒みるって言ったからね」
よし、と琥珀は宣言した。
「ダンジョンがどこも満員だからさ、新しいダンジョン作ってみる? 夏休みダンジョンって奴。統制が多少でも効いてる今しかできないと思うし」
「出来んの!?」
「俺はコアを沢山持ってるからね。出来立てダンジョンだから敵は弱いけど、メンバー内で遊ぶにはちょうどいいでしょ」
「沢山!? コアってどうすれば手に入んの?」
「大きなダンジョンのマスターから譲ってもらうしかないかな」
「そんなことできるんだ」
「ダンジョンコアは命に直結してるんだよね」
「そう。接続したコアを壊されたら死んじゃう。接続を切るのにはどんなに急いでも一時間は掛かっちゃうし、接続を切った途端制御は不能になる。その辺のサポートは俺がするよ。葵、雅、静流、桜花、都の順で五日ずつ、使用ダンジョンポイントは5000ポイントずつ、準備時間は二十四時間でどうかな」
「「「「「やる」」」」」
そんなこんなで、ダンマス体験がされる事になったのだった。
「ダンジョンマスターに就任する! じゃあみんな、ゆっくり来てね」
五日分のお泊まりセットを背負った葵はコアを掲げる。
そして、しばらくしてドアが出現した。
「じゃあ、一日経ったらまた来ようか。宿題しよう」
「はーい」
そうして、俺達は解散した。
一日後、俺達はマッチョマンのモンスターに笑い転げた。
とても葵らしかったからだ。時空魔法で回復してくる結構面倒な奴で、割と楽しめた。そして、三日後……深夜に緊急救難信号が来て、飛び起きた。泊まりに来てた雅達がおきる。
「どうしたんだ、琥珀?」
「葵から緊急救難信号が来てる。すぐに行く」
「は!? 俺も行く!」
転移の魔法を使って扉の所に行く。扉の近くには、物々しい車が何台も来ていて、一種異様な雰囲気を醸し出していた。外国の言葉を話している。なんだこれ。
「スリープ!!!」
バタバタと人が倒れていく。
俺達はダンジョンに突入した。
全力のスリープをしながら進んでいく。
入り口の近くで、ボロボロで拘束された葵とコアが見つかった。
「すぐに葵とコアの接続を解く。危なかった。後ちょっとで葵が死んでたかも」
「そんな……」
「解くのに一時間掛かる。守ってくれるよね」
「ああ!」
「任せてください!」
しばらく雅と都は外部と連絡を取ったり犯人を縛ったりしていたが、政治的に非常に難しい感じらしい。
コアとの接続が切れると、すぐにコアはダンジョンの緊急再構築モードに入った。
ダンジョンが広がっていく。
俺達は葵を抱えて慌てて脱出した。
その頃、全てのダンジョンから葵の緊急通報を受けて人々が弾き出されていた。
葵はコアが所定の位置から外され、移動された上に怪しげな薬を使われてダメージを負っており、しばらく治療中である。他国の悪漢がダンジョンで狼藉を働いたというのは、大変な事件である。報復のスタンピードを、という話も出たが、他国人が入り込んでのそれは可哀想すぎる。それに、既に俺達の手を離れたダンジョンが報復の準備をしている。
『ここは穏便に、日本人しかゲートに入れないってとこでいいんじゃないか』
『次に日本人がやらかしたらスタンピード解禁で』
「ダンジョン組合でそうする事になった。幸い、日本人は人種がはっきりしてるから選別しやすいし」
「遺伝子で決めるってこと?」
「そう」
「それは……揉めそうだな」
「先に揉め事を起こしたのはあっちだからな。ダンマスに危害を加えようとした時点で、報復なしはあり得ないよ」
「そっちだって不法入界者だろ?」
「ま、ね。だから政治的には凄く難しい舵取りを要求されるだろうね。それに、俺達の制御を離れたあのダンジョンなら入れるよ」
それからしばらくして、ダンジョンで初めての死者が出たというニュースが出るのだった。そのダンジョンはもちろん、放棄されたダンジョンである。