転生先はガンダムの世界?え?生き残れ?は?   作:スウェーデンクラス

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第9話 その名はザク

見学当日、士官学校の成績上位者十名は、軍の輸送車両に乗せられた。

 

目的地はジオン公国軍・グラナダ基地。

 

ザビ家の支配する軍部が、宇宙戦争に向けた軍備を着々と整えつつある、最重要拠点のひとつだった。

 

車内では、候補生たちが興奮気味に囁き合っていた。

 

「本当にモビルスーツが完成してるのか?」

 

「いや、まだ試作機の段階らしいが……」

 

「でも、実機を見られるんだろ? すげぇよな」

 

そんな中、イオリとシャアは黙って窓の外を眺めていた。

 

(モビルスーツ……)

 

俺は、少し落ち着かない気持ちを抱えていた。

 

本来ならば、自分はその名をアニメの中でしか知らないはずの兵器。

 

それを今、自らの目で見ることになる。

 

(アニメと同じなのか……それとも……)

 

自分が知る未来と、実際の歴史にどれほどのズレがあるのか。

 

それを見極めるための重要な機会でもあった。

 

一方のシャアもまた、どこか考え込むような表情をしていた。

 

「……シャア?」

 

「ん?」

 

「お前は、モビルスーツに興味があるのか?」

 

シャアは一瞬、答えを考えた後、静かに言った。

 

「当然だ。こいつが、戦場の主役になるのならな」

 

「……そうか」

 

それ以上は聞かなかった。

 

シャアの言葉には、ただの士官候補生とは違う、何か別の想いが込められているように感じた。

 

だが、それが何なのかは、まだ分からなかった。

 

グラナダ基地に到着すると、厳重なセキュリティゲートを通り、地下施設へと案内された。

 

「この先に、お前たちが見るべきものがある」

 

担当教官の言葉に、候補生たちはごくりと息を呑む。

 

知らず知らずのうちに拳を握り締めていた。

 

(……いよいよ、か)

 

金属製の巨大なシャッターが開き、照明が点灯する。

 

その瞬間――

 

「っ……」

 

思わず息を呑んだ。

 

そこに立っていたのは、巨大な人型兵器。

 

淡い緑色の装甲。

 

無骨なシルエット。

 

独特の頭部形状。

 

試作型のモビルスーツ――ザク

 

「でけぇ……」

 

誰かが、驚嘆の声を漏らした。

 

俺もその巨大さに圧倒されていた。

 

アニメで見ていたはずのモビルスーツ。

 

だが、実物の存在感は、まるで別物だった。

 

「これが、モビルスーツ……」

 

隣に立つシャアもまた、静かにその姿を見上げていた。

 

「こいつが……戦場を変えるのか」

 

その言葉には、明確な確信が込められていた。

 

シャアは一歩前へ進み、ザクの足元まで近づく。

 

俺もまた、その後を追った。

 

(これが、ジオンの未来を左右する兵器……)

 

「これがジオン公国軍が開発した、人型機動兵器モビルスーツである」

 

教官が説明を始める。

 

「こいつはザクIと呼ばれる機体で、現在試作機の運用試験が進められている。実戦配備にはまだ時間がかかるが……いずれ、戦場の主役となるだろう」

 

(……本当に、アニメと同じ歴史を辿るのか?)

 

心の奥底で僅かな不安を抱えながら、目の前の巨体を見つめ続けた。

 

この世界は、本当に自分が知る『ガンダム』なのか。

 

それとも、何かが違うのか。

 

(……それを確かめるのは、俺自身だ)

 

ふと、隣から声が聞こえた。

 

「イオリ……」

 

「ん?」

 

シャアが、珍しく真剣な顔をしていた。

 

「お前は、こいつに乗れると思うか?」

 

少し考えた後、答えた。

 

「……正直、まだ想像できないな」

 

「……フッ、そうか」

 

シャアはわずかに笑いながら、再びザクを見上げた。

 

その表情には、確かな興味と野心が滲んでいた。

 

そして俺は、この時確信する。

 

(シャア……お前は、絶対にこのモビルスーツに乗ることになる)

 

そう遠くない未来で。

 

それが、どんな結末を招くことになるのかは分からない。

 

だが、少なくともこの時の俺には、シャアが戦場でその名を轟かせる未来が、はっきりと見えた気がした。

 

俺が呆然と立ち尽くしている間にも、彼は冷静に機体を観察していた。

 

「イオリ、想像と違ったか?」

 

「ああ……正直、想像以上だな」

 

「ふん、まあそうだろうな。画面の向こうで操るのと、実際に運用するのとでは全く違う」

 

シャアは腕を組みながら、じっとザクを見つめている。まるで、すでに自分が乗ることを確信しているかのような態度だった。

 

「搭乗体験は……さすがにないか」

 

「あるわけがない」

 

俺の呟きに、シャアが即座に否定を返す。

 

「これはまだ機密扱いの技術だ。実際に運用される部隊の兵士ですら、まだ全員が乗れるわけではない。我々のような士官候補生が簡単に触れられるものではないさ」

 

「まあ、そりゃそうか……」

 

「だが、いつか乗ることになる。俺はそう確信している」

 

シャアはそう言い切った。

 

その自信に満ちた口調を聞きながら、俺もう一度、目の前のザクを見上げた。

 

これは、戦争を変える兵器だ。

 

俺たちの時代を象徴する、巨人。

 

そして、俺はそれに――乗ることになるのだろう。

 

 




もうすぐ、学校編は終わります!

ヒロインは誰でしょうー!

  • ニナ・パープルトン
  • トップ 08小隊のザク部隊の隊長
  • モニク・キャデラック
  • ケルゲレンの女性オペレーター
  • シーマ・ガラハウ
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