転生先はガンダムの世界?え?生き残れ?は?   作:スウェーデンクラス

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第15話 特殊海兵隊 シーウルフ

宇宙港に降り立った俺は、手荷物を担ぎながら艦が停泊されている区画へと足を向けていた。

士官学校を卒業したばかりの新任士官として、配属されたのは突撃機動軍所属の特殊海兵隊。

彼らは宇宙だけでなく、地上・水中とあらゆる環境での戦闘に適応する、精鋭部隊とされていた。

 

「特殊海兵隊か……聞こえはいいけど、実際はどうなんだか」

 

内心で呟く。

士官学校時代の訓練では、彼はモビルスーツの操縦技術や戦術理解に優れていたものの、特別なコネもなかったため、一般的な部隊への配属を覚悟していた。

だが、内示を受けた際、特殊海兵隊という部隊名を聞いた時、彼の中に疑問が浮かんだ。

 

──正直、聞いたことがない部隊だった。

 

突撃機動軍の傘下にあることはわかるが、どのような戦歴を持つのか、どんな指揮官がいるのか、士官学校でも詳細な情報は得られなかった。

「もしかして、まともな補給も受けられないような最前線の捨て駒部隊なんじゃ……?」と不安がよぎる。

 

そんなことを考えながら、指定された司令部の前に到着した。

 

制服の襟を正し、司令部の門をくぐり、一階のロビーのような場所にたどり着くと、1人の下士官の制服を着た兵士が話しかけてきた。

 

「本日付けで着任される、クローネ少尉でありますか?」

 

「そうだ、本日付けて着任するイオリ・クローネ少尉だ」

 

「お待ちしておりました、アサクラ大佐がお待ちです、ご案内します」

 

アサクラ大佐とは、俺が配属された特殊海兵隊の直属の司令官のことだ。

あまりいい噂は聞かないというが、実際に会ってみるまでは判断できないだろう。

 

下士官の案内のもと、一つの部屋の前に辿り着いた。

 

「アサクラ大佐は中でお待ちです、本官はこれで失礼します。」

 

下士官が立ち去った後、俺は再度身だしなみを確認し、扉をノックする。

 

「入れ」

 

中から壮年の男性の声が返ってきた。

 

扉が開くと、静謐な空気が室内に広がっていた。

 

司令部の中央にはデスクがあり、その向こうにはアサクラ大佐が座っていた。

年の頃は五十前後。

小太り体躯に冷徹な眼光を持つ男だ。

 

軍服は体型を隠すかのように着ており、机の上には書類が几帳面に積み上げられている。

そんな彼の横には、強面な男性が立っていた。

 

「失礼します。イオリ・クローネ少尉、着任しました」

 

俺は背筋を伸ばし、敬礼をした。

 

しかし——

 

「ふん」

 

アサクラ大佐は書類から顔を上げることもせず、鼻を鳴らしただけだった。

俺の着任など、取るに足らない事柄だとでも言わんばかりの態度。

 

「……少尉。お前は士官学校の成績優秀者だったそうだな?」

 

「はっ」

 

「だが、それが何だ?」

 

冷え冷えとした声だった。

まるで、こちらを見下すかのような響きがあった。

 

「貴様のような小僧に、前線で何ができる?」

 

「……」

 

「この部隊に必要なのは、結果を出せる兵士だけだ。貴様の学歴も、これまでの評価も、私には何の意味もない」

 

まるで、俺がただの”駒”でしかないかのような言い草だった。

 

いや、違うな。

こいつにとっては、俺だけじゃない。

この部隊そのものが、使い捨ての駒に過ぎないのだろう。

 

アサクラ大佐は俺をようやく見据え、鋭く言った。

 

「貴様に求められるのは、命令に従い、必要ならば死ぬことだ。……わかるな?」

 

「……はっ」

 

「今後は、ここにいるクラウス・シュレンケ大尉に従え」

 

「了解しました」

 

俺は表情を崩さずに応えた。

だが、内心では怒りが込み上げてくるのを感じていた。

 

この男は俺たちの命を何とも思っていない。

 

「よろしい。……以上だ、下がれ」

 

「失礼します」

 

俺はもう一度敬礼をし、踵を返した。

シュレンケ大尉も、何も言わずに俺の後をついてくる。

 

司令部の外に出た瞬間、シュレンケ大尉が小さく笑った。

 

「どうだった、“俺たちの司令官”の印象は?」

 

「……正直、最悪ですね」

 

俺はため息混じりに答えた。

 

「俺たちを使い捨ての駒としか思っていない」

 

「まぁ、そういうこったな」

 

シュレンケ大尉は肩をすくめた後に、俺に振り返り

 

「遅くなった、俺が突撃機動軍特殊海兵隊通称"シーウルフ隊"の隊長クラウス・シュレンケ大尉だ」

 

シュレンケ大尉が俺に敬礼を向ける。

俺はすぐさま答礼し、

 

「は!本日付けで着任致しました。イオリ・クローネ少尉です、よろしくお願いします」

 

「シーウルフは、確かに厳しい部隊だ。……だが、お前がこの部隊に”必要な人間”になれるかどうかは、あの男じゃなくて部隊の連中が決める」

 

そう言うと、シュレンケ大尉は少しだけ微笑んだ。

 

「"シーウルフ隊"ですか、聞き慣れない名前ですね」

 

「そりゃそうさ、なんせ非公式の部隊名だからな、俺たちが勝手にそう名乗ってるだけさ、特殊海兵隊なんて味気ないだろ?」

 

「陸でも海でも狼のように群れで敵を噛み砕く、それが由来だよ」

 

「行こうぜ、クローネ。お前の”仲間”になる連中に、挨拶しに行くぞ」

 

俺は頷き、シュレンケ大尉の背中を追った。

ザンジバル級機動巡洋艦「ヘルヴォル」に乗艦すると、すぐに軍服を着崩して着ている整備兵に声をかけられた。

 

「お、新入りの少尉さんか?」

 

そこで出迎えたのは、一人の大柄な男だった。

 

歳は四十手前といったところか。

短く刈り込まれた髪は整っているが、無精ひげが目立つ。

 

「この男は整備長のクルト・ヘルツァーだ、みなりはこんなだが、整備の腕はピカイチだ、この男なくして、この部隊のMSは一機たりとも動かせん」

 

「こんなのは余計だぜ、隊長さんよ」

 

クルト整備長は俺の前までくると

 

「随分とわかい少尉さんじゃねーか」

 

「はい、本日付けでお世話になります、イオリ・クローネ少尉です」

 

「ふん、礼儀はわるくねぇな、お前さん、機体の整備に口出しする気はあるか?」

 

まるで、こちらを試すような質問に、俺は

 

「もちろんです、機体は我々パイロットが命を預ける物です、その命とも言える機体を粗末にする程、私は馬鹿ではありません」

 

「そいつはいい」

 

クルトはニヤリと笑った。

 

「いいか、隊長。俺たちはてめぇの機体を万全に仕上げる。だが、機体のせいにするような野郎だったら、俺は遠慮なくぶん殴るぜ?」

 

「……心得ています」

 

俺がそう答えると、彼は満足そうに頷いた。

 

「よし、ならうまくやれるだろうよ」

 

「よろしく頼みます。ヘルツァー整備長」

 

「おう、少尉さんよ。しっかり俺たちのMSで結果を出せよ?」

 

彼は不敵な笑みを浮かべながら、そう言った。

 

------

 

案内されるままに艦内を進むと、メインブリーフィングルームの扉が開く。

そこにいたのは、屈強な男たち──そして、一人の女性だった。

 

「ここが俺たちのブリーフィングルームだ」

 

「んでもって、ここにいるこいつらは各小隊の小隊長を勤めている」

 

部屋にいる隊員たちを指した。

 

「エーリッヒ・ヴォルツ軍曹、ハンス・グリューネル軍曹。気さくな連中だが、気を許すと痛い目を見るぞ」

 

「おう、新入り! 俺はエーリッヒ!第4小隊の小隊長だ、よろしくな!」

 

「俺はハンス、第5小隊長だ、まさか士官学校上がりが来るとはな。大丈夫か? ビビって逃げるなよ?」

 

ヴォルツとグリューネルは俺の肩を軽く叩く。

そのフレンドリーな態度に少し緊張がほぐれる。

 

「そんで、こっちがグスタフ・ヴァール曹長。最年長で、俺の右腕だ、俺の第1小隊で副官をしている」

 

「よろしくな、坊主。お前もすぐに地獄を知ることになるさ」

 

白髪混じりの髭を生やしたヴァールが、不敵な笑みを浮かべながら言う。

 

「……そして、こっちがシーマ・ガラハウ中尉だ、第2小隊の小隊長だ」

 

正直に言うと顔面凶器な連中の中にいたたった1人の女性は、周りの男達に負けず劣らずな鋭利なナイフのような雰囲気を纏っていた。

 

身長は185センチくらいだろうか、俺と同じくらいだ、更に目につくのまるで見方によっては緑色のようにも見える、漆黒の黒髪だろう。

 

黙り込んでいた俺を見て、シーマは「なに見てんだい、新入り」と挑戦的な目を向けてきた。

彼女は紫がかった長い髪を後ろで束ね、鋭い眼光をこちらに向けている。

 

「シーマ・ガラハウだ。よろしくね、新入り」

 

「……イオリ・クローネ少尉です。よろしくお願いします。」

 

一瞬の沈黙の後、静かに返した。

シーマの目には、警戒と探るような光が宿っていた。

 

「なーんか、生意気そうなツラしてるじゃないさ、お坊ちゃん、ここは学校じゃないんだよ?」

 

「は、申し訳ありません。初めての実戦部隊での配備なので、緊張しているようです」

 

イオリが冷静に返すと、シーマは「チッ」と舌打ちをする。

 

「気に入らないねぇ……ま、すぐにわかるさ。ここは戦場に一番近い部隊だってことがね」

 

シーマはそう言い放つと、イオリを一瞥し、部屋を出て行った。

ヴォルツとグリューネルが「おっと、早速シーマの姐さんに目をつけられたか?」と笑う。

 

「気にするな。あいつは口は悪いが、腕は確かだ」

 

「イオリ、お前は第3小隊を率いてもらう、また後程、部隊員と顔合わせをしておけ」

 

「了解です」

 

シュレンケが満足そうに笑うと、どこからともなく酒瓶を取り出し

 

「まぁ、うちの部隊のことはこれからじっくり学んでもらうとして……まずは一杯、歓迎の酒といこうぜ」

 

酒瓶を差し出され、イオリは「……配属初日ですが?」と苦笑する。

 

「バカ言え、ここじゃ酒を飲まない奴の方が珍しいんだ」

 

シュレンケが豪快に笑い、周囲の隊員たちもそれに倣う。

 

──こうして、俺は「シーウルフ隊」の一員となった。

 

 

 




はいー!!
シーマ様降臨!!
海兵隊の内容ですが、ここは史実改変しています。
と言っても、史実には詳細が載っていなかったので、完全オリジナルと言っても差し支えないでしょう。
シーマ艦隊はいつからあったのか分からなかったので、シーマ様はまだ部隊の小隊長という身分にさせてもらいました。
あと、シーマ様以外は全てオリジナルです。
シーマ様の年齢は主人公に合わせていますが大体24〜26くらいだと思ってください。(僕は24歳と言うつもりで書いてます。)
史実なら29歳くらいでしょうけど、まぁね笑
今後の展開でアドバイスがほしいです。
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