転生先はガンダムの世界?え?生き残れ?は?   作:スウェーデンクラス

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第20話 訓練、自責、教示

漆黒の宇宙に、シーウルフ隊のMS部隊が各小隊に分かれて散開していた。

ヘルヴォル艦内の演習管制室からの音声が、各機の通信に響く。

 

『これより、模擬戦訓練を開始する。敵機想定:無人標的型戦闘機及び大型艦艇型、数は40。全小隊は索敵、撃破、拠点制圧を目的に行動せよ。実弾の使用は禁止、センサーヒットによる評価とする』

 

機体を駆る隊員たちの顔には、それぞれ緊張と集中が浮かんでいた。

それも当然だった。部隊長クラウス・シュレンケが主導するこの訓練は、過去の事例を元にした実戦さながらの厳しい内容だ。

 

 

 

第1小隊:クラウス大尉

クラウスのザクIIが先頭を切って進む。その無駄のない軌道は、まさに熟練の軍人のものだ。

 

「第1小隊、前方宙域を制圧する。第3と第5の援護を受けつつ、中央拠点に取りつく。標的は20秒後に浮上してくる、射線に入るな」

 

「グスタフ、いつも通り脇を固めてくれ」

 

『はいよ、まかせときな』

 

即座にグスタフ以下ベテランの隊員がフォーメーションを整え、後方支援機が狙撃ポジションへ移動。クラウスはすでに標的の次の行動を読み切っていた。

数秒後、標的機が出現。クラウスが正確に標的を捉え、命中判定が走る。

 

 

 

第2小隊:シーマ中尉

「突っ込むよ! 遅れるんじゃないよ!」

 

『了解、姐さん!』

 

「だれが姐さんだい?!あんた達の方が年上だろ?!」 

 

シーマのザクが一瞬で加速し、隕石帯の間をすり抜けながら敵標的群へと接近。

僚機たちも息の合った動きで続き、横合いからの奇襲を仕掛ける。

 

標的機の一部が反応し、シーマ機をロックオンするが──

 

「そんなものが当たるかい!」

 

シーマの反射的な姿勢制御により、たやすくロックを外す。

続いて放たれた彼女のマシンガンが標的を捉え、命中判定となる。

第2小隊は見事な連携で側面からの突破を果たす。

 

第4小隊:エーリッヒ軍曹

「無駄な動きはしない。索敵波形の変化に注意を払え。目視と感覚で判断すること」

 

隕石帯の陰に身を潜めながら、エーリッヒと部下たちは静かに進む。機体の推進音すらほとんどない。

彼らが選んだのは、“見つからずに全標的を撃破する”という難度の高いプラン。

 

見事に背後から回り込んだ第4小隊は、1機も撃たれることなく5機の標的を連続撃破。

その無音の狩りに、クラウスもモニター越しに「見事」と唸った。

 

第5小隊:ハンス軍曹

「突っ込めー!撃ちながらでもいい!数を減らせば味方が楽になる!」

 

陽動と撃破を兼ねたこの小隊の動きは実に派手だった。

標的が集中砲火を浴びながらも、一部がハンス機へ向かう。そこへ仲間たちがタイミング良くカットインし、挟撃。

 

「ハンス軍曹、ナイスカバーです!」

 

「ヘヘッ、俺の作戦ってのはこういうのだよ!よし!引き続き敵を屠るぞ!」

 

第3小隊:イオリ少尉

イオリ少尉は、初めての部隊訓練ということもあり、緊張した面持ちで訓練に挑んでいた。

 

「……第3小隊、中央宙域の制圧に向かう。索敵優先、標的を見つけたら、カールは側面から囲んでくれ」

 

「了解、少尉!」

 

カールの声はまだ緊張を含んでいたが、イオリの指示に迷いはなかった。

だが、問題は別にあった

 

「カール、回り込め!」

 

『了解っす!』

 

カールがイオリの指示をうけ、標的の側面へ即座に移動、続け様にマシンガンを標的に向け命中判定となった。

 

『一機撃墜したっすよ!』

 

「よくやった!……?!エリック!2時の方向に敵機だ、頼めるか?!」

 

『大丈夫、視えてます』

 

エリックのザクⅡは、後方支援用に対艦ライフルを装備し、イオリとカールの援護の為、後方に配置されていた。

エリックのザクが標的を捉え、命中判定となり、標的は沈黙した。

 

『敵機撃墜』

 

「よくやった!」

 

そのチームワークの結果に満足し、指示を続ける

 

「このまま敵拠点へ向けて前進する!」

 

その時だった、

 

『待て、第3小隊、突出するな!ほかの小隊とあわせろ!』

 

クラウスの怒声が無線を叩いた。イオリがレーダーマップを確認すると、第3小隊だけが、他部隊より突出している状態になっていた。結果、

 

『第3の突出で、連携崩れてるぞ! 第2がカバーに動いたが、こっちも予定より遅れちまった!』

 

『第5も配置ずれちまったよ! 標的の艦艇型に接近を許しちまった!何やってる新人!!』

 

全体連携の調整に亀裂が入っていく。イオリの判断は、迅速だった。しかし、それは「小隊」として正解であっても、「部隊」全体の動きからすれば早すぎた。

 

結果、突出した第3小隊の"穴"を、各小隊がカバーしたことにより、配置が間広くなり、一時的に持ち場が乱雑する危険な状態が生まれた。

 

『なにをやっている!?今は部隊全体で動いてんだ!独りよがりで動いてんじゃねぇ!お前の勝手な判断が部隊全体を危険に晒すんだぞ!』

 

クラウスの強い叱責が、鼓膜を叩く。

 

ーーーーー

 

──一時間に及ぶ訓練が終了し、デブリ帯の奥から、母艦ヘルヴォルへの帰投信号が点灯した。

 

訓練後、MSを降りた隊員たちは整備区画近くのベンチやコンテナの上で思い思いに腰を下ろし、水を飲みながら会話に花を咲かせていた。

 

「クラウス隊長、今日のシーマ中尉すごかったですね。あのデブリ帯の隙間を抜けて奇襲するとか、やっぱ本物だわ」

 

「エーリッヒ軍曹もすげぇ静かに敵落としてたし……俺、あの隊じゃなくてよかったよ」

 

「あいつらはベテランだ、シーマに関しては戦闘のセンスは部隊一だろうな」

 

そんな中、イオリも小隊の面々と共に休憩していた。

 

「俺たちだけなら問題なかったっすよ。指示も明確でしたし、速さも悪くなかった」

 

「分かりやすい指揮でしたよ、少尉。俺らにはちょうどよかったです」

 

が、それが逆に俺には痛かった。

――「俺らには」。つまり、全体には合っていなかったのだ。

 

自分の頭を冷やすように水をひと口あおると、静かに立ち上がった。

 

「少尉?」

 

カールの困惑したような声が聞こえるが、俺は

 

「すまないな、先に部屋に戻って休んでくれてていぞ」

 

と言い残すと、クラウスのもとへ向かう。

 

「……大尉、少し、よろしいでしょうか」

 

「ん? どうした、少尉」

 

「今日の訓練で、自分の判断が原因で部隊を危険にさらしました。指揮に関して、もっと学びたいんです。教えていただけませんか」

 

クラウスは少し目を細めた。

 

「……そうか。まあ、気づいただけでも大したもんだ。だがな俺は、教えるのは苦手なんだ。実戦で覚えろ、が主義でな」

 

俺がが何も言えずにいると──そのとき。

 

「クラウス、今日の訓練のことで……って何だい?人の顔をジロジロ見るんじゃないよ」

 

ツカツカと歩いてきたのはシーマだった。ジャケットの前を無造作に開け、腕を組みながら眉をひそめている。

 

クラウスはニヤリと笑って、指差した。

 

「ちょうどいい。シーマ、お前が教えてやれ。小隊長の指揮の基礎、実戦での判断、指示の出し方。お前なら実戦向けの教え方ができる」

 

「……は?!なんであたしがそんな面倒なこと…」

 

「命令だ」

 

ピシャリと言い切るクラウスに、シーマは口を噤み、数秒の沈黙のあと、渋々と返す。

 

「はあ……くそ!なんで、あたしが……わかったよ。面倒だけど、やればいいんでしょ」

 

その口調は冷たいが、どこか諦めたようでもあり、受け入れているようでもあった。

 

こうして、イオリはシーマの指導を受けることになる──

指揮官として、本当の意味で“部隊を導く”ための学びが、今始まったのだった。

 




うーん、このシーマ様のツンツン具合どうですか?笑
僕が考えているシーマ様の性格と皆さんが思ってるシーマ様の性格が噛み合ってるいることを願います笑
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