転生先はガンダムの世界?え?生き残れ?は?   作:スウェーデンクラス

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第21話 カルガモ

「第3小隊、前へ!相互の距離を維持しつつ、中央突破の支援に回れ!」

 

訓練宙域にイオリの声が響く。第3小隊のカールとエリックが呼応して機動し、その動きを見計らって俺も加速する。

前線の押し上げが順調に進んでいると判断したからだ、

だが──

 

『バカ!あんたが前に出すぎたら、後ろのエリックが孤立するだろ!』

 

通信回線に割り込む鋭い声。すぐ隣で僚機として並走していた女性パイロット──シーマ・ガラハウ中尉だった。

 

「は、申し訳ありません!視界が開けたのでチャンスだと……!」

 

『言い訳なんざ聞いてないよ。状況がどうだろうが、部下の安全と隊全体の流れを読まなきゃ、小隊長の意味がないんだよ!』

 

横合いから、シーマのザクが勢いよく割り込み、カールの進路をクリアにする。

 

『……エリック、右旋回だ、あんたも後詰めな。新人!次の波に備えて少し後退するよ』

 

イオリは素直に頷き、機体を引いた。彼女の迅速な判断と即時対応に、思わず感嘆の吐息が漏れる。

 

シーウルフ隊の訓練は連日のように実施された、俺はシーマ中尉の指導のもと、なんとか訓練に食らいついていた。

 

『第3小隊、散開して左から回り込めって言ったじゃないか!カール、そっちは遮蔽物が少なすぎる! 撃たれるよ!』

 

ヘルメット越しのシーマ・ガラハウの声が、冷たく鋭くイオリのコクピットに飛び込んでくる。

戦術データをモニターで確認しながら、イオリは慌てて指示を修正する。

 

「了解! カール、エリック、回り込め! 座標を送る!」

 

『了……了解っす!』

 

『さすがシーマ中尉、指摘が正確だ……!』

 

エリックの呟きに小さく笑いそうになるも、イオリはすぐに気を引き締め直す。

すぐ隣、ほぼ密着するような距離で僚機として動いているのが、今や指導役を任されたシーマ中尉だった。

 

『新人、今の指示――悪くはなかったけど、あと三秒早ければ撃墜判定は取れてたよ』

 

「すみません、中尉」

 

『別に謝れって言ってんじゃないよ。気にしてほしいのは“間”だ。指示を出す側は、後手に回ったら終わりだろ? 自分の視界だけじゃなく、部下の視野、行動の癖、相手の誘導も読まなきゃ』

 

「……はい」

 

『それと、あんた――他の小隊の動き、ちゃんと見てんのかい? クラウスはアンタの隊に左翼の援護を指示してたんじゃないのかい?。なのに、孤立して先行させるとはどういう了見?』

 

「……!」

 

痛いところを突かれ、イオリは歯を食いしばる。

 

『戦場じゃ、“気づかなかった”じゃ済まないよ。……連携ってのはね、指示を受ける側の問題じゃない。指示を出す側の“責任”だ』

 

その声は冷たくも、どこか優しさを含んでいた。

 

『それでも……あたしが側についてるうちは、ちゃんと見ててやるさ。だから、しっかり学びな。アンタは機体な扱いは上手いんだ、広い視野を持つ事を考えな』

 

「はい……ありがとうございます」

 

何気に、今褒められた気がして、内心喜んでいると、視界の端に映る彼女のザクが、ふっと軌道を変えて背後の死角に回り込む。

そのまま、訓練用標的へ流れるようマシンガンを指向すると、撃墜判定を獲った、直後に通信が入る。

 

『こうやって、味方の死角も意識してカバーするんだよ。見て覚えな』

 

「……了解!」

 

上手くはいかないものだと、実感させられる。

 

ーーー訓練後、俺たちは艦内のブリーフィングルームにおいて、訓練結果のミーティングを行っていた

 

「今日の第三小隊、動きは悪くないが――他との連携はやはり課題だな」

 

クラウス大尉がそう評価を下す中、俺は他の小隊長たちの視線を背中に感じながら、自身のモニターを見つめていた。

 

「焦りすぎなんだよ、坊主」

 

そう声をかけてきたのは、第5小隊長・ハンス。軽口ながらも含みがある。

 

「まあ、よくある新任士官の罠ってやつだ。隊の動きばっか気にして、全体が見えなくなる」

 

「次から少し余裕持って動こうな、少尉さんよ」

 

第4小隊長・エーリッヒも皮肉まじりに笑いながら肩を叩く。

 

「はい、先輩方にご迷惑をおかけしてすみません。次こそはやってみせます」

 

ベテラン勢のその言葉には、年下の士官であるイオリを揶揄うような励ますような、どこか温かみが籠っているように感じられた。

 

そのやり取りを横目に見ながら、シーマは不機嫌そうに腕を組んでいた。

 

「……甘やかすんじゃないよ。アンタらも、まだまだ動きが硬いくせして」

 

「おっとぉ、怖ぇなぁシーマの姐さん、けど、その“怖い鬼教官”がついてるからこそ、イオリ坊やも伸びるんじゃね?」

 

「はっ、誰が“姐さん”だって?」

 

そう言いつつも、口元はどこか笑っていた。

 

ーーーーーー

 

ザンジバル級機動巡洋艦「ヘルヴォル」の格納庫。

作業灯の下、機体の影が黒々と浮かぶ空間には、他の整備員が休む中一人、整備を続ける男がいた。

 

「……こんな時間に女の子が来るとはねぇ。惚れられたかと思ったよ」

 

ギシ、と金属のハッチが開く音に顔を上げたクルト・ヘルツァー整備長。

酒瓶を片手に振り向いたその目に、見慣れた女性の姿が映る。

 

「バカ言ってんじゃないよ、あたしが誰かに惚れるかっての」

 

現れたのは、パイロットスーツ姿のシーマ・ガラハウ中尉。

スーツの胸元を軽く開け、髪を簡単にまとめ、顔にはいつもの不遜な笑みを浮かべている……ように見えるが、その奥にわずかな疲労が見え隠れする。

 

「……ちょっと頼みがあるんだ、整備長。今夜、少しだけ訓練宙域に出たい」

 

「またかい。最近、ちょくちょく来るじゃないか。あんた、指導役になってから昼間はイオリ坊やの面倒で手一杯だろ」

 

「だからさ、勤務中はあたしの訓練時間なんざ取れやしない。クラウスに命じられた手前、投げ出すわけにもいかないしね」

 

シーマは、やれやれと肩をすくめながら、機体の横に立つ。

その横顔に、不器用な誇りと、隠しきれない焦りが滲んでいた。

 

「自分の腕が鈍るのはごめんだ。誰かの後ろに立ってるだけの女にはなりたくないんだよ、あたしは」

 

クルトはしばし無言のまま、瓶を置くと立ち上がり、彼女の目をまっすぐ見た。

 

「……イオリには黙っててくれって言うだろうな?」

 

「当たり前さ。あいつに気ィ遣われるのも、哀れまれるのも御免だよ。あたしは“教える側”なんだからね」

 

ふっと、少しだけ寂しげに笑うシーマ。その強がりを、クルトはよく知っていた。

 

「……わがままを言ってすまないね。このことは、みんなには内密に頼むよ」

 

「ったく。面倒見のいい女ってのは、こっそり努力まで抱え込むんだな」

 

ぼやきながらも、クルトは工具箱を肩に担いだ。

 

「さあ、さっさと済ませちまいな。みんなが起きる前に帰ってこいよ?俺の記憶が飛ぶ前にな」

 

シーマは「フン」と鼻を鳴らすと、ザクのコックピットに向かって歩き出した。

 

「感謝してるよ、整備長。ほんとにね」

 

そう言った彼女の背は、いつもより少しだけ小さく見えた。

 

「シーマ・ガラハウ、ザクでるよ」

 

『シーマ中尉、また今日も訓練ですか?、たまにはゆっくり休まないと身体を壊しますよ』

 

「すまないね、あんたたち管制官にも無理いっちまって。…このことは…」

 

『わかってますよ、部隊のみんなには内密に……でしょ、でもクラウス大尉くらいは気付いてると思いますよ』

 

「ふん、そうだろうね、ま、みんなの足は引っ張らないようにするよ」

 

『了解、シーマ中尉お気をつけて』

 

「あいよ!」

 

バシュン!!

 

シーマが駆るザクは1人で漆黒の宇宙に白銀の線を残しながら消えていく。

 




あれれぇーーーー?
主人公もしかしてポンコツ?笑

シーマ様の性格について

  • これ位が丁度いい、デレるのが待ち遠しい
  • もっとツンツン、デレはいらない!
  • もっと包容力がほしい
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