転生先はガンダムの世界?え?生き残れ?は? 作:スウェーデンクラス
この先、主人公とシーマの性描写を匂わす表現があります!
苦手な方はこの話は読まずに、次の話から読むことをオススメします!!
……
……
……
いいんですね?!それでは!どうぞ!!
夜は深まり、基地の喧騒もすっかり影を潜めていた。イオリが静かに眠りについたことを確認すると、シーマは一度医務室を離れた。自室に戻り、長く張り詰めていた気持ちを解くようにシャワーを浴びるためだ。
熱い湯が頭から肩を伝い、全身を打つ。シーマはその感触に身を任せ、目を閉じた。イオリが意識を取り戻すまでのあの長い時間――祈るような気持ちで見守っていた記憶が、次々と胸に蘇る。あの不安と恐怖、そして後悔。それらすべてが、今この湯と共に少しずつ洗い流されていくような気がした。
シャワーを終え、タオルで髪を拭きながらふと鏡を見る。顔に浮かんでいたのは、安堵と疲労の入り混じった笑みだった。イオリが朝まで目覚めないことは分かっている。だからこそ、今夜は休息を取るべきなのだろう。だが――彼の隣にいないことに、妙な不安を覚えた。
「ふっ……何やってんだろ、アタシ」
思わず漏れた自嘲気味の笑み。まるで恋する少女のような思考に、シーマは頭を振る。しかしその胸の奥にある感情は、もはや否定できるものではなかった。
シャワー上がりの火照った身体に、軽く着崩した軍服を纏う。基地という場所柄、ラフな服装で出歩くわけにはいかない。それでも、首元のボタンを一つ外しただけで、どこか柔らかい雰囲気が漂った。
医務室へ向かう道すがら、何人かの若い兵士たちとすれ違う。彼らの視線が自然と彼女に引き寄せられるのが分かった。濡れた髪先から、仄かに香る石鹸の香り、そして整った軍服に滲む色香――彼女が放つその雰囲気は、戦場ではおよそ見かけぬ、妖艶で静かな美しさを湛えていた。
けれども、シーマの心はそんな周囲の反応に一切興味を持たなかった。ただ一つ――イオリの傍に、早く戻りたかった。
医務室の扉の前で立ち止まり、ひとつ息を整える。
静かに扉を開け、室内へと足を踏み入れた瞬間、胸の奥にひやりとした感覚が走る。
――いない。
ベッドが空っぽだった。つい先ほどまで確かにそこにいたはずの、彼の姿が、消えていた。
「……イオリ?」
室内を見回すが、気配はない。
足元に目を向けると、置かれていたはずの靴が、無くなっていた。
「……あの、バカ……!」
声が震えた。
まだ身体は万全ではない。無理をすれば、傷が再び開く可能性もある。
何より――また、自分の目の前から、いなくなってしまったことが、怖かった。
怒り、悲しみ、寂しさがない交ぜとなって、胸をかき乱す。
ふと、彼の私物を見やる。
いつも愛用していたタバコの箱が、そこから消えていた。
「はぁーー。全く世話が焼けるね…」
深いため息と共に、シーマは屋上に向かった。
彼が向かうとすれば、きっとあそこだ。
外は夏の夜――だが、アルプスの山中は、夏でも夜は冷える。
屋上の扉に手をかけると、金属のきしむ音と共に、静寂を破る夜風が頬を撫でた。
そして、そこに彼はいた。
肩に厚手の上着を羽織り、柵にもたれて夜空を見上げながら、煙草をくゆらせている。
静かな佇まい。
その横顔があまりに静謐で、美しくて、思わず息を飲んだ。
だが、すぐに足を踏み出す。
「部屋から抜け出して、タバコなんて吸ってんのかい?体に毒だよ」
振り返ったイオリは、まるでいたずらを見つかった子供のような顔をして、笑った。
「バレましたか。目が覚めたら、中尉がいなくて。寂しくて、吸いに来たんです」
シーマは、眉を寄せつつも、どこか呆れたように返す。
「すまなかったね。部屋にシャワーを浴びに戻ってたんだよ。アンタが寝てる間ずっと付いてたから、シャワーも浴びる時間がなかったんだ」
イオリは苦笑し、頭をかいた。
「それは…すみません」
隣に並ぶと、ほんの僅かに距離が縮まる。
火照った身体に夜風が心地よい。
少し躊躇ってから、シーマはぽつりと言う。
「アタシも貰えるかい?」
イオリは手元の箱を差し出す。
「俺の銘柄でよかったら、どうぞ」
「ありがと」
シーマが煙草を口にくわえると、イオリがライターに火を点ける。
ふたつの火が交差し、紫煙が夜風に乗って漂う。
その煙の中、彼女がふと身震いすると、イオリが黙って自分の上着を脱ぎ、彼女の肩に掛けた。
静かな時間が流れた。
やがて、イオリが口を開く。
「……俺、昏睡してた間の記憶が、朧げにあるんです。……暗闇の中にいました。どこまでも続く、果てのない闇でした」
シーマは黙って耳を傾ける。
「その中に、扉がひとつだけ現れたんです。開けば、違う世界に行けるような、そんな気がしました」
「それが、嫌じゃなかった。むしろ、心地よかった。……全部、終わらせられるような気がして」
シーマの喉が、きゅっと締まった。
あの時――彼は本当に、命の境を歩いていたのだ。
「でも、扉に手をかけたその時、貴女の声が聞こえたんです」
「……帰ってきて、待ってるって」
彼の視線が、まっすぐにシーマに注がれる。
「それで、走りました。貴女の方へ。必死に。……そしたら、光が見えて、飛び込んだら――目が覚めたんです」
言葉が胸を刺す。
彼の命が、あの声ひとつに引き戻されたことが、嬉しくて、怖くて、泣きたくなるほど愛しかった。
そして、イオリはそっと彼女を抱きしめた。
「……え?」
不意を突かれて、戸惑うシーマ。
「嫌だったら、突き飛ばしてください」
イオリは真剣な眼差しで続ける。
「今回の件で、はっきりしました。シーマ中尉、俺はどうしようもないくらい貴女が好きです。……愛しています」
その言葉は、真っ直ぐに、シーマの心の奥深くまで届いた。
「ア、アタシは……」
声が震える。感情が、涙が、あふれ出す。
「アンタから初めて上司と部下以上の関係になってくれって言われた時から、必死に考えてたんだよ?!」
「それをアンタは、こっちの気持ちも知らないで、勝手にアタシの気持ちを決めつけて、アタシから離れようとした!」
今まで我慢していた不安が溢れ出ていた。
「だから!アタシは自分で!この気持ちをアンタに伝えようとした!」
「それなのにアンタはアタシを守るために撃たれて、傷だらけになって……アタシは、もうダメじゃないかと、本気で考えたんだよ……!」
涙が、止まらなかった。
「もうこの想いを伝えることができないって、もっと早く伝えたらよかったって、後悔してたんだ……!」
その小さな身体が、イオリの胸の中でもがくように手をバタつかせる。
イオリはただ黙ってそれを受け止める。
やがて、少し落ち着いたように、力が抜けた。
「だから、アンタが目覚めた時……本当に嬉しかった。やっと伝えられる、そう思ってた……」
イオリは、そっと彼女の肩に手を置く。
ふたりの視線が、絡み合う。
シーマは少しだけ目を逸らしながら、囁くように言った。
「アタシだって……アンタのことを……その……愛してるんだ」
その瞬間、イオリはもう一度、彼女を抱きしめた。
「シーマ”さん”……もう、俺から離れないでください」
彼の声は、誰よりも優しかった。
そして――月明かりの下。
ふたりの影が、ゆっくりと、重なっていった。
ーーーーーー
医務室へと戻る道すがら、シーマとイオリは自然と肩を寄せ合っていた。
シーマはイオリにもたれかかるように、イオリはそんな彼女の肩に手を回して抱き寄せるように。
交わすことのできなかった想いが、今はたしかに胸の内で重なり合っている。
戦場の喧騒のなかで育まれ、痛みの中で芽吹いたその感情は、いつしか言葉という器を得て、ようやく互いの胸に届いたのだ。
夜風が廊下のガラス窓をわずかに揺らす。
その音すらも遠く感じるほど、二人の世界には静けさが満ちていた。
医務室の扉が静かに閉まる。
その瞬間、ためらいも、迷いもなく、二人の唇が重なった。
それは、長い沈黙の果てにようやく交わされた、魂の叫びだった。
それは、ひとつの命が、もうひとつの命を確かめるような、深く、熱を帯びていた。
イオリの手がシーマの頬をそっと包み、そのまま彼女の背を引き寄せる。
唇を離すことなく、彼は彼女の温もりを胸に抱き、そっとベッドへと導いていった。
彼女の身体がシーツに沈み、イオリの指が震えながら軍服のボタンにかかる。
だが、そのとき――
「……ちょっと待ちなっ」
シーマがその手を、そっと掴んだ。
そして、軽く力を込めてイオリの身体を押し戻す。
彼は戸惑いながらも、されるがままに仰向けになった。
「ダメだよ、イオリ。あんた、まだ傷が癒えちゃいないだろ」
シーマの声は柔らかかったが、その瞳には真剣な光が宿っていた。
彼女の視線は、イオリの胸元――包帯が巻かれたままの古傷へと向けられている。
「軍医だって、無理するなって言ってた。こんなこと……今やって、悪化でもしたら、どうすんのさ」
それは、恋人としての言葉ではなく、彼女がずっと背負ってきた“仲間を守る者”としての本能的な優しさだった。
だが、イオリは少しだけ困ったように笑って、首を振る。
「大丈夫ですよ、シーマさんがあまり……激しくしなければ」
その言葉を口にした瞬間――
「なっ……!」
シーマは顔を真っ赤に染め、思わずイオリの胸をこづいた。
彼女の声は裏返り、語尾は混乱のあまり千切れたように消えていく。
「ば、バカ言ってんじゃないよ! あたしがそんな……っ、あんたのほうこそ……!」
精一杯の照れ隠しに、彼女は顔を背ける。
だが耳まで染まった紅が、彼女の心の内を隠すには足りなかった。
その姿が、イオリにはたまらなく愛しく思えた。
不器用で、強がりで、でもどこまでも誠実なシーマの、まっすぐな優しさが胸に染みる。
「……それに……本当に、ここで……すんのかい?」
ふたたび紡がれた彼女の言葉は、拒絶ではなく、ただ戸惑いを含んだ問いかけだった。
イオリはその声に応えるように、ゆっくりと頭を下げ、耳元でそっと囁いた。
「……すみません、でももう……我慢できないんです」
その声は震えていた。
焦がれるような想いを抑えきれず、それでも彼女を傷つけまいとする葛藤がにじむ。
彼の指が、もう一度、彼女の軍服に触れる。
今度は何も言わず、シーマはその手を受け入れた。
ボタンが一つずつ外され、月明かりが彼女の肌を照らす。
シーマは胸元を両腕で覆い、そっと顔を逸らした。
「……わ、わかったから。部屋の明かりだけ……落としてくれないかい? ちょっと、恥ずかしいんだよ……」
イオリは小さく笑みをこぼしながら、静かに灯りを消した。
部屋は月の光だけに満たされ、蒼白の世界が二人を包む。
静寂の中、イオリの手がズボンの上にかかる。
彼女の体温が、ゆっくりと布越しに伝わってきた。
「……シーマさん、本当に……いいんですね?」
ふたたび尋ねたその声には、揺るがぬ誠意と、最後の確認の想いが込められていた。
シーマは頬を紅潮させたまま、瞳をそらさずにうなずいた。
「……あんたなら、いいよ」
その言葉で、ふたりの間にあった最後の壁が静かに崩れた。
イオリは彼女をそっと抱きしめる。
愛しさと、決意と、そして祈りのような想いと共に、そっとその身を重ねた。
やがて、医務室に小さく、ベッドの軋む音が響く。
その音とともに、シーマの微かな切なそうな吐息が漏れる。
「……んっ、はぁ、あっ」
「…イオリ…!んぅ…!おねがい……!もっと、ゆっくり……!」
熱を帯びた時間が、静かに流れていく。
互いの体温に包まれながら、ふたりは何度も確かめ合った。
傷を撫でるように、過去を溶かすように。
激しさよりも、優しさと赦しが、そこにはあった。
夜が深まるごとに、ふたりの鼓動は重なり、魂は一つになっていった。
やがて――
朝が訪れる。
医務室の小さな窓に、淡い陽の光が差し込む。
白いカーテンが風に揺れ、柔らかな光が室内を包む。
イオリの腕の中で、シーマは静かに眠っていた。
その寝顔は穏やかで、どこか無防備で――まるで、ようやく安息を得た者のようだった。
イオリはそっと彼女の髪を撫で、額に口づけを落とす。
「……守ります。何があっても」
その囁きは、彼女の耳には届かなかったかもしれない。
けれど確かに、彼の心から零れ落ちた誓いだった。
ふたりが繋がったこの夜は、決して一時の慰めではない。
戦火の中で出会い、傷つきながらも共に歩んできた者同士の、かけがえのない絆だった。
それは、戦場のただ中で見つけた――唯一無二の確かな光。
そしてふたりは、次の戦いを迎える朝へと、静かに身を寄せたまま――希望を抱いて、目を閉じた。
いやー、ラブラブ文章を書くのが難しい!!
あと、書いてるこっちが恥ずかしい笑
みなさんお気に入り登録と誤字報告ありがとうございます!
感想と評価どしどし待ってます!
高評価して下さると、作者のモチベーションが上がり執筆速度早くなります笑
物語の展開スピードをめちゃくちゃはしょっても良いですか?笑。じゃないとメチャクチャ長くなりそう笑
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いいよー
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いや、このままのペースで
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物語がぐだらない程度なら