転生先はガンダムの世界?え?生き残れ?は? 作:スウェーデンクラス
アルプス基地のブリーフィングルームには、深い静寂が満ちていた。
分厚い扉が閉ざされたその空間に、鋼鉄のような緊張感が張り詰めている。
ブリーフィングルームの正面の演壇には、シーウルフ隊を率いるゲルハルト大佐がモニターを背にして立ち、クラウス少佐、そして各小隊の小隊長たちは、静かに座していた。
彼らの表情は一様に真剣で、目の奥に戦場を見据える冷徹な光を宿している。
ゲルハルトは、しばし手元の資料に目を落とし、それを閉じると、厳しい声で口を開いた。
「集まってもらったのは、現在の戦況に重大な変化が生じたためだ」
重低音のように響く声が、静まり返った室内に確かな重みを持って広がる。
誰も言葉を挟まない。
全員が大佐の一語一語に集中していた。
「連邦軍の新造艦が、モビルスーツ部隊を搭載し、先日北米大陸に降下した。搭載数、詳細な編成、いずれも不明。ただし、搭載されたモビルスーツの情報と、降下後の動向から見て、ジャブローへの進軍が濃厚だと示唆される」
ざわり、と空気が揺れる。北米戦線は、ジオン公国地上軍の若き司令官――ガルマ・ザビが率いる精鋭部隊が掌握している地域だ。
その制空権と戦力は揺るぎないとされてきた。
だが、それに挑もうとする連邦の新たな艦隊。
その挑発に対し、ゲルハルトは淡々と続けた。
「とはいえ、北米戦線はガルマ殿下の直轄地だ。それに、この新造艦を追って、我が軍、宇宙攻撃軍の特務隊も地球に降下し、既にガルマ殿下の部隊と降下した特務隊が共同で新造艦を攻撃し、ジャブローへと直接航路は阻止したとのことだ」
ゲルハルトは、一瞬間を置くと、視線をイオリへ向ける。その視線には、かすかな鋭さがあった。
「イオリ少尉。その特務隊だが、貴官の同期であるシャア・アズナブル少佐の部隊だそうだ」
名を告げられたイオリは、一瞬だけ目を細めた。
記憶にある赤い彗星の姿が思い浮かぶ。
「アイツなら大丈夫でしょう。実力は……間違いなく本物です。俺が保証します」
静かだが確かな信頼が、イオリの言葉ににじんでいた。
だが、ゲルハルトは首を横に振り、その表情を引き締める。
「だが、その特務隊が既に三度、四度と攻撃を試みたが、全てが失敗に終わり、甚大な被害を受けたそうだ」
その一言で、室内の空気が一段階、さらに重くなった。
「この新造艦の戦力は、我々が想定していた水準を遥かに上回っている可能性がある。無論、直接的な交戦命令は下っていないが、連邦が本格的にモビルスーツ戦力を投入してきたのは間違いない」
重々しい沈黙を破ったのは、クラウスだった。
「それで……大佐。我々に何をしろと?」
クラウスの声には、焦りも不安もなかった。むしろ、獲物を前にした獣のような静かな気迫を宿していた。
ゲルハルトは頷き、手元の地図をタッチ操作で展開させる。
映し出されたのは、各地で点在する戦線――そこには無数の赤い点が灯され、そこが戦闘の火種となっていることを示していた。
「直接の交戦命令はない。ただし、この新造艦が降下して以降、明らかに連邦軍の動きが活発になっている。そして各戦線で、我々への支援要請が立て続けに寄せられている。シーウルフ隊として、これを無視するわけにはいかん」
「つまり、転戦して各戦線の支援を行え、というわけですな?」
クラウスの問いに、ゲルハルトは再び頷く。
「その通りだ。だが、目的はそれだけではない。この新造艦と時を同じくして、各地で“リアルツリー迷彩”を施したモビルスーツ部隊の目撃が相次いでいる。……言うまでもないな」
全員の表情が引き締まる。憎しみと因縁に満ちた名――シルバーバレット隊の影が、再び濃くなってきていた。
「奴らも、我々と同様に戦場を渡り歩いていると見て間違いない。ならば、我々が転戦すれば、いずれ必ず奴らとぶつかる」
そう言ってゲルハルトは、唇の端を僅かに吊り上げた。
あの厳格な大佐の顔に、獰猛な獣のような笑みが浮かぶのを、イオリは初めて見た気がした。
「――総員、奴らの喉を食い破ってやるぞ」
静かな戦慄が走った。その言葉には威圧も叫びもなかった。
ただ純粋な、確信に満ちた声がそこにあった。
クラウスもまたその意志を受け継ぐように、席を立ち上がると、隊員たちに命じる。
「了解しました、大佐。よし、聞いたな?各小隊はこれより機体の最終チェックに移れ。整備完了後は、速やかに『ヘルヴォル』へ格納。準備が整い次第、即時出撃とする。いいな?!」
その言葉に、各小隊長たちは一糸乱れず「了解」と答えた。
声は大きくはなかったが、その一つ一つには揺るがぬ決意と覚悟が込められていた。
イオリは、静かに立ち上がった。
その眼差しには、燃えるような闘志と、かつて自分を打ちのめした敵への、果たすべき宿命が滲んでいた。
その横で、シーマは黙ってイオリの横顔を見つめていた。その表情は、軍人としての冷静さを保ちながらも、どこか痛ましいほどに優しかった。
ーー再び、戦場が動き出す。
ーーーーーー
灼熱の太陽が容赦なく荒れ果てた大地を焼き尽くす中、風は乾いた砂を巻き上げ、無数の閃光と爆発が地平線を揺らしていた。荒野地帯に展開していたジオン公国軍・トップ小隊は、かつてないほどの猛攻に晒されていた。
「こちらトップ隊!敵の攻撃を受けている!!繰り返す、至急応援を要請する!!」
緊迫した通信が司令部に飛ぶ。荒涼とした地平線の向こうから迫り来るのは、数え切れぬほどの連邦軍車輌群。その隊列の中には戦車部隊が多数確認され、さらに空からは戦闘機編隊が轟音とともに旋回していた。
「くそっ……数が違いすぎる!!」
小隊の隊長である女性士官のトップが、前方に陣取って望遠レンズを光らせる。
「隊長!!右手にも増援です!戦車部隊が接近中!!……もう、キリがありません!」
咄嗟に背後から叫ぶデル軍曹の報告。
続くように、爆音が地面を震わせ、視界の端に友軍のモビルスーツが爆散する様が映る。
火花と爆風が空を裂き、濛々と上がる黒煙に、死の気配が染みついていた。
「クソッ!押し切られる……!味方の戦車隊はなにをしている!?」
怒声を発しながら、トップは再び通信回線を開いた。
「司令部!!状況が逼迫している!至急、増援を!」
しかし、返ってきたのは無慈悲な応答だった。
『現在、その区画に対応可能なモビルスーツ部隊は貴隊のみだ。頼む、なんとか持ち堪えてくれ』
「なんだと……!」
トップは歯噛みし、即座に判断を下す。
「このままだと、すり潰される!全機、いったん後退だ!味方の退却を援護するんだ!」
その瞬間、閃光がトップ機を貫いた。装甲を砕く衝撃とともに、警告音が一斉に機内を満たす。
「隊長ーッ!!」
デル軍曹が悲鳴を上げ、トップ機へと機体を走らせる。
「…っ!このダメージでは、戦えない……っ!」
血の気が引く中、再び開いた通信。
「司令部!もう限界だ!退却を!」
しかし、返ってきたのは冷たい拒絶だった。
『退却の要請は却下する。そのまま――』
「不可能だ!!全機が既に被弾している!このままでは全滅するだけだ!!退却させたくないなら、応援をよこせ!」
怒声を吐き捨てたその時、司令部の音声が一瞬だけ沈黙し、そして――
『……なに?本当か?確認は――よし、了解した』
途端に、司令部の声が明らかに変わった。
『トップ隊及び周辺の部隊に告げる、退却を許可する!応援が来たぞ!……しかも、あの“狼部隊”だ!!』
一瞬、意味を理解できなかった。
「……狼部隊だと……?」
通信に重なるように、別の声が割り込む。
『現在戦闘中のモビルスーツ部隊へ。こちらシーウルフ隊。至急、後退されたし。この区域の制圧は我々が引き受ける』
静かで、しかし確信に満ちた声。戦場において、命を預けられる者だけが持つ冷徹な威厳――
その瞬間だった。乾いた空に、影が差す。トップが思わず空を仰ぐ。
そこには、無数のパラシュートを背に降下する影があった。
大気の中を裂いて降下してくる、それはジオンの鋼鉄の獣たち――
狼の紋章を携えた、シーウルフ隊のモビルスーツ群であった。
「……来てくれたのか、あの部隊が……!」
トップの声に、恐怖はなかった。そこにあったのは、奇跡に似た安堵と、同胞の誇り――そして、燃え上がる希望の火であった。
荒野に、逆襲の狼が降り立つ。
戦場の流れが、ゆっくりと変わり始めていた。
ーーーーーー
ヘルヴォルの格納庫に、重く張り詰めた空気が流れていた。
緑色を灯すランプの下、鋼鉄の巨体が鎮座し、整備兵たちが最後の点検に走り回るなか、シーウルフ隊のモビルスーツパイロットたちは整列していた。
隊の前に立ったのは、クラウス少佐。
その眼光は鋭く、だがどこか静かな怒りを宿していた。
「いいか、聞け!」
その一声に全員が背筋を伸ばす。
「味方のモビルスーツ隊が、いままさに敵の猛攻を受けている。敵の数は圧倒的だ。だが――それだけだ。奴らは数だけの雑兵。俺たちの敵じゃない」
凛とした声が、格納庫に響き渡る。
クラウスの言葉に、全員の眼差しが引き締まった。
「味方はもう限界寸前だ。助けるぞ。俺たちが行く。狼の牙で、奴らを引き裂いてやる」
「オオオッ!!」
隊員たちが一斉に叫ぶ。
戦場へ向けた魂が、叫びとなって噴き出した。
グスタフが前に出て問いかける。
「クラウス、シルバーバレット隊はいんのか?」
それはこの戦場における最大の不安要素――イオリに深手を負わせた因縁の部隊であった。クラウスは静かに首を振る。
「今のところは確認されていない。だが、あいつらはいつも裏をかいてくる。気を抜くなよ。奴らは影に潜み、喉元を狙う連中だ」
その言葉に、場の空気が一層引き締まった。
「質問は?……ないな。よし、総員、搭乗だ!!」
クラウスの号令が響いた瞬間、格納庫が沸騰した。
整備兵たちが走り、各小隊のパイロットたちがそれぞれの機体へと駆けていく。
イオリは、仲間であるエリック、カールに向き直る。
「エリック、カール、装備はいつも通りだ。今回は俺が先頭に立つ。イフリート――こいつの性能、戦場で試すぞ」
カールが快活に笑って答える。
「了解っす。じゃあ、少尉の背中は、俺が守るっすよ!」
エリックも落ち着いた表情で頷いた。
「初陣には最適ですね、少尉。俺も万全です」
その返答に頷き、イオリが新型機に歩を進めようとしたその時――
「イオリ」
柔らかく、それでいて芯のある声が、彼の背後から聞こえた。
振り向けば、そこにはシーマがいた。
彼女は、どこか穏やかな眼差しでイオリを見つめていた。
「イオリ、大丈夫だろうけど……新型機の初陣だ。浮かれるんじゃないよ」
イオリは一瞬たじろぐが、すぐに真剣な眼差しで答えた。
「大丈夫です。任せてください、中尉」
その返事に、シーマは微笑む。そして、彼の耳元で囁いた。
「よろしい。うまくいったら――ご褒美をあげなきゃね」
唐突な言葉に、イオリは思わず頬を染める。
「が、頑張ります……!」
シーマは吹き出しそうになりながらも笑いを堪え、
「なに、期待してんだい。ほら、さっさと乗りな!」
と、イオリのお尻を思い切り叩きながら、いつもの調子に戻って送り出した。
イオリは笑顔で頷き、機体へと登る。
コックピットに滑り込むと、無数の計器類に手を伸ばし、操作を始める。
「さあ、頼むぜ。初陣だからって緊張するなよ、俺も、お前も」
計器をコンッと小突く。
そして、彼は胸元から、かつての愛機ザクの装甲片を取り出し、チェーン付きのお守りのように計器に吊るした。
そして、出撃ランプが緑から赤に変わった。
「よし! 出撃だ!! 全機、行くぞ!!」
クラウスの号令が下ると、シーウルフの狼たちが空へと躍り出た。
次々に発射されるモビルスーツ。荒野の空を、狼の群れが駆けていく。
「イオリ・クローネ、イフリート・"マーナガルム"、出るぞ!!」
灰色の機体が火を噴き、空を斬って降下していく。敵の戦闘機が迫るが、シーウルフ隊は降下中すら攻撃を緩めなかった。
「エーリッヒ! ハンス! 敵戦闘機を落とせ!!」
「任された!」
「派手にいくぞ!!」
空中で展開する戦闘。マシンガン、ミサイルが火線を描き、敵機が次々と撃墜されていく。
「着地後は速やかに展開! 第2、第3小隊は前方! 第4、第5は左右から援護だ!」
クラウスの指示は明快だった。
まるで、戦場全体を掌握するかのような統率力。
シーウルフ隊は完璧に連携し、着地と同時に地上戦へと移行していく。
イオリの第3小隊も砂塵を巻き上げながら着地した。
「第3小隊、着地確認! エリック、カール、来てるか?」
「大丈夫っす! ちゃんと後ろにいますよ!」
「少しだけ離れましたが援護開始します!」
「よし、エリックは援護だ。カールは俺と行くぞ!」
敵戦車、砲台を切り裂きながら、前進する第3小隊。火花が散り、爆炎が舞う。シーマの第2小隊も並走しながら突き進む。
「全小隊そのまま攻撃続行だ!蹴散らすぞ!……!」
その時、後方からの通信が入った。
『気をつけろ、シーウルフ隊! 敵の中にモビルスーツサイズのタンクがいる! 奴の砲撃で甚大な被害を受けた!』
クラウスはすぐに応じる。
「了解した! 助言に感謝する!――聞いたな、シーマ、イオリ! 気を抜くなよ!!」
「了解! だけど、まだそんな奴らは見えないよ?」とシーマが
「こちらもです」イオリが続く
その瞬間――
猛烈な爆音が地を揺らし、シーマの機体のすぐそばに土煙が上がる。
咄嗟にシールドを構えた彼女の機体が衝撃で大きくよろけた。
「シーマ中尉!?」
「アタシは無事さ! だけど今の、何だい……?!」
スコープで望遠を覗き込んだ彼女の瞳に、その姿が映る。
そこにいたのは――
巨大な砲を構えた、まるで動く要塞のような「モビルスーツサイズのタンク」だった。
その砲口が、再びこちらを狙っている。
イオリの目が鋭く光った。
「――あれか……!」
荒野に、新たな脅威が立ち塞がった。
だが、狼たちは恐れはしない。
戦場において、彼らは狩る側であると、全員が信じていた。
狼の牙が、再び唸る――。
ーーーーーー
荒れ果てた大地に、乾いた風が唸りを上げる。陽光は照りつけ、吹き上がる砂塵が視界を覆う中、イオリの機体――イフリートのセンサーが前方を捉えた。
「隊長!前方にタンク擬きが3機!こっちを狙ってます!」
通信機越しに響くイオリの声は、焦燥を帯びながらも明確だった。
「了解だ!イオリ、行けるか!?」
クラウスの一喝が返る。
その声音は苛烈な戦場においても、部下にとっては確かな拠り所だった。
イオリは即座に叫んだ。
「了解!!」
ペダルを踏み込み、スラスターを全開に解き放つ。
イフリートが爆音と共に大地を蹴った。
荒野を突き抜け、地を這う獣のように、灰色の巨躯が敵陣へと突進していく。
ーーーーーー
一方、その先で陣を張っていたのは、連邦軍の試作ガンタンク部隊であった。
「スペースノイド共が!」
兵士の一人が、冷笑交じりに吐き捨てる。
キャノン砲が轟き、大気を震わせる。砲弾は地を抉り、熱波を撒き散らしながら標的へ突き進んだ。
隊長がヘッドセット越しに部隊へ命令する。
「降下してきた奴らも狙い撃つぞ!この距離だ、こっち来るまではだいぶ時間がかかるはずだ。落ち着いて狙っていけ!」
彼らが駆るこのガンタンクは、正式量産には至っていないが、反攻作戦の切り札として試験的に配備された数機の中の一部だった。
現に、ジオンの部隊はこの位置からの一方的な砲撃でいくつも撃破されている。
「ふん、ジオンの奴らめ、相当驚いてやがるな」
「当然だ。我々連邦もモビルスーツを作れるってことを教えてやれ!」
兵士たちは口々に勝ち誇る。
戦況の優位に甘んじ、油断すら垣間見えていた。
だが、突如、異常を知らせる声が無線を貫いた。
「隊長!敵機が単騎で突撃してきます!は、早い!なんだアイツは?!」
「……!」
隊長が視線を向けると、前方から砂煙を切り裂いて迫る灰色の巨影が見えた。
スラスターを限界まで吹かし、熱砂を蹴散らして突き進むその姿は、まるで戦場に放たれた狼。
「ふん!1機で何ができる!狙い撃ちだ!」
隊長の命令に従い、各機が砲身を向ける。
その一瞬、スコープの視界に、異様な光景が映った。
灰色の機体が――グレネードを撒いていた。
「なんだ?アイツトチ狂ったか?そんなものが当たるか!」
兵士が鼻で笑う。
しかし、その弾道は明らかに意図的だった。
イフリートの左右、そして敵部隊の周囲――まるで“道”を描くように撒かれたグレネードが、次の瞬間、一斉に破裂した。
「これは……煙幕か?!」
濃厚な白煙が、一気に戦場を飲み込む。
視界は一瞬で奪われ、連邦兵たちはパネルに釘付けになる。
「隊長!スモークで敵機を見失いました!野郎!スモークの中に突っ込みやがりました!」
「な、なんだ、アイツは何がしたいんだ?!」
戸惑う隊長の声など意にも介さず、煙は地表を這うように広がっていく。敵の視界は完全に死んだ。
「2番機、3番機、離れるな!!まとまって――」
だが、それはあまりにも遅かった。
「な、なんでこいつこんなところに?!……や、やめろーーー!!」
次の瞬間、無線が絶たれた。
雑音だけが返る通信に、隊長が叫ぶ。
「3番機?!大丈夫か?!応答しろ!!」
返ってくるのは、沈黙。
そして、耳障りなノイズのみ。
「く……2番機、こっちに来い!固まるぞ!」
命令を出すも、応答はない。
不安が背筋を這い上がる。
「おい、2番機!どうし――ひっ……!?」
煙の隙間から、視界に飛び込んできたのは、自機の隣で立ち尽くすガンタンク。
そのコックピットは貫かれ、まるで串刺しのようにヒートソードが突き立っていた。
恐怖に駆られた隊長は、パニック寸前の状態でトリガーを引く。
「くそが!!来やがれ!相手してやるよ!!どうした?!出てこいよッ!!」
無秩序に放たれる砲撃。だが、後方のセンサーはすでに“敵機”の存在を警告していた。
灰色の機体は、無言で背後に立っていた。
ーーーーーー
やがて、煙が晴れる。
白煙の中から現れたのは、破壊されたガンタンクの残骸。
そしてその傍らに、蒼穹を背にして静かに佇むイフリートの姿だった。
戦域もいつのまにかシーウルフ隊が制圧していたのだ。
全身に戦火の痕を纏いながらも、鋭く光るモノアイがまだ戦意を宿している。
遠くでそれを見守っていた友軍の兵士たちが、呆然としながら呟いた。
「あれが……“狼部隊”の実力か……」
その声は風に乗り、誰に届くでもなく戦場を流れていった。
イオリの機体は、なおも静かに剣を構えたまま――戦場の亡霊のように、ただ一人、風を切って立っていた。
誤字報告ありがとうございますー!
主人公とシーマのイチャラブの度合い
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もっといれろ!
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大人な描写がもっと欲しい
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こんなもん
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いらん!