転生先はガンダムの世界?え?生き残れ?は?   作:スウェーデンクラス

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第8話 友情、モビルスーツ

士官学校での日々は、想像以上に過酷だった。

 

朝はまだ薄暗いうちに起床し、すぐに基礎訓練が始まる。

ランニング、筋力トレーニング、格闘訓練――まるでエリート部隊の養成所のような厳しさだった。

 

それでも、俺は食らいついていった。

 

「うおおおおおっ!!」

 

ある日の訓練で、鉄棒にぶら下がりながら必死に腕を引き上げていた。

懸垂100回――基準を満たさなければ、教官の怒号と追加メニューが待っている。

 

「……はぁ、はぁ……チクショウ、もう腕が……!」

 

隣で同じように訓練を受けていたシャアは、涼しい顔をしている。

汗ひとつかかず、まるで遊びのように懸垂をこなしていく姿に、イオリは何度も歯を食いしばった。

 

(なんでこんなに余裕なんだよ……!)

 

シャアの身体能力は群を抜いていた。

何をやらせても一級品。

俺はそれに並ぼうと必死に努力するが、なかなか追いつけない。

 

それでも、時間が経つにつれて、少しずつ成果が出始めていた。

 

走る速度は次第に速くなり、射撃訓練では正確に的を撃ち抜けるようになってきた。

格闘訓練では、かつてはシャアの動きをまるで捉えられなかったが、今ではギリギリでかわすことができる程度にはなっていた。

 

ある日、模擬戦の訓練が終わった後、シャアがぽつりと呟いた。

 

「……最近、動きが変わったな」

 

「お、やっと気づいたか?」

 

イオリは肩で息をしながら笑う。

模擬戦は相変わらず負け続けているが、以前のように圧倒的な差ではなくなっていた。

 

「努力の賜物ってやつさ」

 

シャアは無言でイオリを見つめた後、フンと鼻を鳴らした。

 

「少しは認めてやる」

 

「おい、素直に褒めろよ」

 

「俺を超えてみせたら、考えよう」

 

シャアのその言葉が、何よりの励みになった。

 

 

 

士官学校での訓練が進むにつれ、モビルスーツの座学も本格化してきた。

 

「ジオン公国が誇る新型兵器『モビルスーツ』は、これまでの戦車や航空機とは一線を画す存在だ。二足歩行による高い汎用性と、戦場での即応性……」

 

教官が黒板に書きながら説明するのを、イオリは食い入るように見つめていた。

 

「まるで戦国時代の騎士だな……」

 

「ほう?」

 

隣のシャアが興味深そうに目を向ける。

 

「騎士ってのは、戦場を駆ける精鋭だろ? モビルスーツも、そんな存在になるんじゃないかって思っただけさ」

 

「……面白い発想だな」

 

座学だけではなく、シミュレーター訓練も本格的になっていく。

 

MSのシミュレーター訓練は日ごとに厳しくなっていった。

何故なら適性が無いものはMSに乗ること自体ができないからだ。

学校での訓練は適性訓練から実戦を想定したカリキュラムに変更され、候補生たちは互いに腕を競い合っていた。

 

ある日、イオリはシャアと再び模擬戦を行うことになった。

 

「いくぞ、シャア……」

 

「手加減はしないぞ、イオリ」

 

「最初から期待してねぇよ」

 

二人はシミュレーターのコックピットに乗り込み、画面が戦場を映し出す。

 

『模擬戦、開始』

 

カウントダウンの後、二機のザクがバーチャルな戦場に立つ。

 

イオリは初動から攻めに出た。

 

(前回の戦いで分かった……こいつに対して守勢に回るのはダメだ)

 

最短距離で距離を詰め、接近戦を挑む。

 

マシンガンを撃ち、牽制しつつヒートホークを振るう。

 

しかし――

 

「遅い」

 

シャアは容易くかわし、カウンターの動きを見せた。

 

(やっぱり……!)

 

俺はその動きを読んでおり、即座にブーストを噴かして回避する。

 

「ほう……」

 

シャアのザクがわずかに動きを止めた。

 

「前よりはやるようになったな」

 

「お前の動き、少しは学んだからな」

 

それでも、結局勝負はシャアに軍配が上がった。

 

シャアの圧倒的な動きの正確さと速さにはまだ及ばない。

 

だが、模擬戦が終わった後、シャアは微かに微笑んでいた。

 

「本気で俺に勝つつもりで来ているな」

 

「そりゃあな。勝てるかどうかは別として」

 

「……ふっ、面白い」

 

シャアが純粋に戦いを楽しんでいるように見えたのは、初めてだった。

 

 

士官候補生としての訓練は、なにもMSの操縦だけではない。

 

体力維持のためのランニングや筋力トレーニングも毎日のように課せられていた。

 

ある日、訓練が終わった後の休憩時間。

 

イオリは寮のトレーニングルームで、黙々と腕立て伏せをしていた。

 

「……ふぅ」

 

「イオリ、まだやってるのか?」

 

気づけば、シャアが隣に立っていた。

 

「シャアか、余裕そうだな」

 

少しの皮肉を込めて言うと

 

「この程度で音を上げるほど、俺は軟弱ではない」

 

皮肉で帰ってきた

 

(この野郎)

 

「……なら、お前もやるか?」

 

ニヤリと笑いながら言うと、シャアはわずかに目を細め、隣に寝そべった。

 

「いいだろう。どちらが先に限界を迎えるか、試してみるか?」

 

「望むところだ!」

 

二人は競うように腕立て伏せを始めた。

 

お互い無言で回数を重ねる。

 

汗が額から落ち、腕が悲鳴を上げる。

 

「く……そ……」

 

「どうした? もう限界か?」

 

「……バカ言え……!」

 

結局、二人とも100回を超えたあたりで倒れ込んだ。

 

「……くそっ、引き分けか」

 

「意外と粘るな」

 

ゼェゼェと息を切らしながらも、二人はどこか笑っていた。

 

(この男には、勝てる気がしないな……だが、負けるもんか)

 

俺の闘志は、ますます燃え上がっていた。

 

 

士官学校における成績優秀者にはいくつかの特典がある、

 

それがモビルスーツの実機見学だった。

 

「成績上位十名のみが、この機会を得られる」

 

教官の言葉に、士官候補生たちの間でどよめきが起こる。

 

モビルスーツはジオン公国軍が極秘裏に開発を進めている新型兵器だ。

 

未だ一般には公表されておらず、その詳細を知ることができるのは一部の士官や技術者に限られている。

 

士官候補生の立場で、直接実機を目にできるのは極めて稀なことだった。

 

イオリは無意識にシャアと視線を交わした。

 

「……これは、面白いことになりそうだな」

 

「だな」

 

シャアは薄く笑い、イオリも頷く。

 

この時点で、二人の成績はすでに上位に入っていた。

 

後は、この機会を無駄にしないよう、しっかりと目に焼き付けるだけだった。

 




長なった!
だから分ける!
史実だといつ頃からシャアがザクになってるのか資料がなかったので、士官学校でシミュレーターで経験済みってことにしました。
実際問題、あんな馬鹿でかい兵器をいきなり現場で「これ今度から使うから、使えるように訓練してて!」なんてことはないと思うので
あと、主人公はシャアの友人ポストです。
シャアには友人といえる人物がいないので、そのポストになりました。
ちなみに、主人公はただの人です、ニュータイプとかじゃないので、アムロとかにあったら多分瞬殺されます笑

ヒロインは誰でしょうー!

  • ニナ・パープルトン
  • トップ 08小隊のザク部隊の隊長
  • モニク・キャデラック
  • ケルゲレンの女性オペレーター
  • シーマ・ガラハウ
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