諸悪の根源って?……えっ、私ィ!?   作:不死穴

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投稿遅れて申し訳ないです……イソガシカッタンダ。
流石にもう少し投稿頻度早くしていこうと思うので、これからもどうか拙作をよろしくお願いします。


バッド・ラック・コミュニケーション

「……ふぁあ~……むにゃ、眠いのじゃ」

 

 

 ――時は、ハクアとリリアの両名がホシノに襲撃される事となる10分前まで遡る。

 ルリと先生を追って遠路遥々アビドスまで来た二人であったが……偶然正門の前にいた奥空アヤネから聞くにどうやら自分達より先に行ったはずの二人は未だ高校に着いていないらしく、詳しい話を聞くために対策委員会の教室へと付いて行く次第となった。

 

 ……だが、そんな『事情を聴く』などという面倒臭い行為、面倒事が大嫌いな狐が許すわけもない。案の定というべきか、ハクアは奥空アヤネについていくリリアの隙を見計らって離脱し、良い昼寝場所はないものかとアビドス高等学校の校舎を歩き回っていた。

 

「リリアも面倒事を持ってきおって……はぁ……」

 

 おそらく窓から入ってきたであろう砂粒が廊下を薄く黄色に覆いつくす――そんな廊下をちらりと見てハクアはまたも溜息を吐く。

 

「何処も彼処も、砂ばかり……ルリがおれば寝床を取り出させて眠ることもできたのじゃが……」

 

 

 そんな風に、アビドスの砂に辟易してぶつくさと不満を口にしつつ歩いていたハクアはいつの間にか階段を上り、アビドス高等学校――その校舎の屋上にまで来てしまっていた。

 

 群青に輝く空に囲まれ、砂を運ぶ心地のいい風の吹く屋上、ハクアは校舎内から外へと出た時の日の光に目を細めて辺りを見渡す。

 

 ――屋上には少女がいた。

 

 ピンク色の鮮やかな長髪を、屋上に簡易的に設置したのであろう大きいマットに広げて、目をつぶり小さくお腹を上下させる少女。――アビドス廃校対策委員会の委員長たる小鳥遊ホシノがハクアの目の前で無防備に眠っている。

 

「……すー、……むにゃ……」

 

 ハクアは寝息を立てるホシノをチラリと見やった後、その視線を少しずらしてホシノの眠るマットを見つめた。ハクアが見る限りそのマットにはもう一人は眠れそうなスペースが空いており、これ以上動き回るのも面倒だし、そこで眠らせてもらうか……とハクアは思案する。

 

 そして、ハクアはいつも通りのゆったりとした足取りでホシノへと近づいて行く。

 ホシノとハクアの間の距離が数メートルを切った時、ハクアのカラコロと鳴る小気味良い下駄の音で目が覚めたのかホシノがゆっくりと身を起こし、のんびりとした声で言葉を発した。

 

 

「うへー、おじさんを起こすのは誰かな__」

 

 

 ――キヴォトスの生徒、その頭上には例外なくヘイローという名の輪が存在する。

 これは生徒の意識がある限り頭の上に在り続けるものであり、生徒によってヘイローの形は様々――しかし、生徒は他の生徒のヘイローの形状を認識できない。……そんな、正に摩訶不思議な物体、それがこのキヴォトスにおける天輪(ヘイロー)である。

 

 そんなヘイロー、――ホシノが起きてその頭上に浮かんだヘイローをハクアは()()

 円の周りにいくつかのパーツが浮かぶ、例えるなら眼にも見えるそのヘイローを。

 

 そして、ルリに言わせてみれば3人の中で一番運に嫌われているハクアは不幸にも――この場に於いて、最悪と言える言葉を紡いでしまった。

 

 

「……なるほど、神秘の形は()()()()()()――嗚呼、()()()()()()か。

 しっかし、これまた面倒な神秘じゃのぉ、わしの神秘との相性が最悪……。

 しかも、なんじゃこの神秘の量、天然物としては異常なほどの大きさとかふざけとるじゃろ」

 

 ハクアの与り知らぬ所ではあるが、ホシノは先日悪い大人と接触していた。

 その大人はホシノの事を『()()()()()()()()()()()()()()()』と呼んだ。

 そして、その大人は――黒服は、こう提案してきたのだ。

 『暁のホルスが学校を退学し、私に協力してくれるなら、アビドスを助けましょう』――そんな、如何にも怪しい提案を。

 

 

「つーか、あれじゃな。こやつも不定期っぽいが、何らかの心因で熟睡できておらぬな。ヒナといい、トリニティの三人といい……どうして学園に一人はこうも心労の限りをつくす人間がおるのか……」

 

 ――ホシノの雰囲気が一変する。

 ぼやくハクアをよそに、ぼんやりとした優し気な雰囲気は一片の残りも無く消え失せ、ナイフを走らせる様な鋭い空気にその場は支配された。

 

「誰、()()の仲間?なら__」

 

「黒服……、誰じゃ?……いや、生徒へと積極的にちょっかいを出すとなれば彼奴か、『黒服』という存在……名を変えおって、そんなに気に入ったのか……」

 

「何を、ぶつぶつと……!」

 

 ホシノがショットガンと盾を構えてハクアの方に――ハクアの立つ()()()()()()()()走る。

 数瞬の内にホシノはハクアの懐へと入り込み、ショットガンの引き金に指をかけ未だに動き出せないハクアに対して牽制を行った。

 

(…………動かない?)

 

 牽制とはいえ、指一本動かさすことなく目の前に迫るショットガンの銃口の先を、ただぼんやりと眺めるハクアにホシノは困惑する。だが、ホシノは引くわけにはいかない。先日黒服から提案された『ホシノがこの学校を退学すれば、アビドスを助ける』という事について――また、黒服そのものについても問いたださなければならない――ここで黒服の関係者が来るのは、ホシノにとって渡りに船でしかなかった。

 

「さあ、話して貰うよ。黒服について__」

 

 

「……嫌じゃ、面倒臭い」

 

 

 ハクアに銃を突きつける()()()()()()から、気だるげな声が聞こえる。

 ホシノが驚き、振り返ったそこには、フェンスの上で座り煙管(キセル)を吸いながらしかめっ面をするもう一人の孤落ハクアの姿があった。

 

「ッ!?」

 

「はぁ……どうしてキヴォトスの生徒は激情のままに銃を突き付けてくるのか……態々能力を使う羽目になったんじゃぞ……嗚呼、本当に面倒臭い」

 

 そう怠惰に、やる気なくハクアは語る。

 煙管に溜まった灰を屋上の地面に落とすと、それと同時にホシノの目の前にいるハクアの姿が砂が風に吹かれるように崩れ去った。

 

「……帰るか」

 

「ま、待って!私は聞かないと__」

 

 屋上のフェンスからドアの方へ、ハクアは茫然としたホシノの横を通り過ぎる。ハクアが屋上のドアに手をかけてようやく動き出したホシノが再び声を上げたが、その瞬間、ホシノの目の前が――黒い煙によって埋め尽くされた。

 

 光を失ったその光景にホシノは困惑し、周りを見渡す。

 しかし、残っていたのはハクアが離れていく時に聞こえるカランコロンという下駄の音と自身の意識が薄れていくというボンヤリとした認識だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――先輩!  ――ノ先輩! ……ホシノ先輩!

 

「んぁ……」

 

 眼を開くと目の前に広がるのは雲一つない屋上の空。

 起きたばかりの未だ働かない頭でホシノは顔を横に向ける。すると、そこには自らのアビドス廃校対策委員会に所属する可愛い後輩である黒見(くろみ)セリカが己の体を揺すっていた。

 

「……セリカちゃん、どしたの~?」

 

「先輩、寝ぼけてないで!お客さんが来たから教室に行かないと!」

 

 寝ぼけるホシノと対照的にはきはきとセリカは喋り、ホシノの腕を持ってマットの上から動かそうとする。

 

「……お客さん?」

 

「連邦捜査部『シャーレ』の先生、その護衛の人らしいって、確か――」

「――ピンク色の髪の人と、()()()()()()()()()__」

 

 瞬間――ホシノの脳内に蘇る、狐耳の怪しい子と出会ったという記憶。

 今まで寝起きだとはいえ、何故忘れていたのかも分からない程鮮烈な光景がホシノの頭を駆け巡る。

 ホシノはそれを思い出すのと同時に素早く立ち上がり、怪訝な目で見てくるセリカをよそに屋上のドアを目掛けて駆け出した。

 

「ちょ、ちょっと!ホシノ先輩!?」

 

 

「知らないと……私が、アビドスを護るために……」

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 さて、遠方でホシノがハクアへ向かって猛ダッシュしていることなど露知らず、移動を先生とシロコに任せ、到着するまで悠々自適に休憩しようとする浅ましい思考のアホ――禍溟ルリは飲み物の入ったグラスを片手に、日陰の縁石に腰掛けて休んでいた。

 

 

「ん~!美味しい!」

 

 やっぱり砂漠で飲むなら100%トロピカルなジュースだよねぇ。

 半年前にオデュッセイアで補充しといてよかったよ。オデュッセイアに居を構える名店、そこでしか作られないとされる期間限定、伝説のトロピカルジュース――これを手に入れるために美食研とかと色々共闘したりしたけど……あの時は、やばかったなァ。

 まさかあそこで船が変形して巨大ロボットになるとは……。

 

 因みに、流石の私とて半年前――通常なら消味期限を超えて土に還ってそうなジュースを気にせず飲んでいるわけではない。

 度重なる私の犠牲と矯正局にいる親切な子(モルモット)のおかげで影の空間内部には物理的時間が流れていないことが実証済みだ。半年前のジュースであっても何時でも何処でも新鮮、搾りたてのまま飲むことができる。

 

 いやー、本当に便利な能力だよ。

 荷物入れとけるし、遠出するのに交通費かからないし……。

 

「……よっと、ジュースも飲み終わったことだし……先生とシロコちゃんもアビドスに着いた頃かな?」

 

 そんなくだらないことを考えている内にそろそろ先生達もアビドス高等学校に着いただろうと思い至った私は、立ち上がって日向へと移動し足元の影にグラスを放り投げる。すると影が不自然に形を変え、グラスを捕まえて泥に沈むようにして私の影の中へと消えていった。

 

 

「さて、私も行きますかッ!」

 

 

 

 私は躊躇せず自身の足元から伸びる影に飛び込む。

 泥に沈みこむような感覚を感じたのも束の間、私の体は――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の影に転移した。

 

 

「は?えッ…………グベッ……!」

 

 

 なに、コレ?影から出た途端、途轍もない速度で地面に叩き落とされたんだけど?

 しかも、そこそこの速度が出てるからグルグル回った挙句、上半身が砂に埋まって相当無様な姿を晒しちゃってると思うんですが……。

 

「ぷはぁ!…………うん、なるほど?……まだ、アビドス高校に到着していないのか。

 能力的にできそうなのにできないからなぁ……転移先の様子を見るの」

 

 砂漠の砂から顔を引き抜き、誰に聞かせるというわけでもなく只、独り言を呟く。

 現在の私の状況を一言で表すなら、「自動車のドアを急に開いて飛び降りたのと同じ状況」だろう。キヴォトス人はやけに防御力が高いから幸運にも傷はないが、おそらく生身の人間であれば真っ赤な鬼おろし確定だ。

 しかし、私はこんなことでへこたれない……というかへこたれる云々以前に、これより酷い状況になったことは星の数ほどある――いやー、あれはやばかったね転移した先がヒノム火山の火口目の前だったときとか……。

 

「……んで、シロコちゃんと先生は……、気づいてないね」

 

 私は顔についた砂粒を手で払いのけ、私の転移先――先生とシロコちゃんの乗っているロードバイクを見る。ロードバイクは私が転がり落ちた位置より遥か先に行っているが、地平線のちょっと手前にポツリと存在する学校らしき建造物。おそらくアレがアビドス高校なのだろうと何となく直感的に思う。

 

 それと、嬉しいことに先生とシロコちゃんはどうやら私がロードバイクから☆ゲッダン☆して犬神家になったのには気づいてないみたいだ、二人の性格上転がって砂漠に埋まる私を見捨てるはずがないから間違いない。

 ……正直、かなり恥ずかしかったから助かったよ。だって今の私黒ゴスロリ着てるから砂埃が目立つし、思いっきりスカート捲れあがっていたから見られなくて割とマジで救われたまである。

 

「……先生とシロコちゃんは私に気が付いていない、しかもアビドスは目前となると……。ここは私が全力でついて来たことをアピールする為に此処からでも全力で追いかけるのが良いかな?」

 

 そう言って、マラソン大会の校舎目前の最後だけ本気で走り見栄を張ろうとするのと酷似した思考で、私はロードバイクに向かって走って行く事を決める。

 決意さえしてしまえば、迷うことはない。

 足場の悪い砂の上で自身の影を踏みしめ、滑らすように力を込め全力をもって走り出した。

 

「っと、シロコちゃん!良い汗かいてる?」

 

「……本当に走ってついて来た」

 

 シロコちゃんが眼を丸くして、軽い自動車並みの速度で疾走するロードバイクと並走する私を見る。……そう、()()()()()()()()()()()()()だ。

 いくら比較的身体能力の高いキヴォトス人とは言え、生身の体で自動車レベルのスピードを維持するのなんて到底不可能。だから、勿論種も仕掛けもある。

 勿体ぶらず先に言っちゃうと、自分の影を使って超高速版『動く歩道』を創った――そんな感じ。どうやら夜天(ニュクス)の転移の際、勝手に影が蠢く現象を頑張れば自分の意志で制御できるらしく、その制御を完璧にこなすと成功する応用技だ。なお、使用すれば脳の糖分を吸い尽くす勢いで処理に負担のかけるという、ある意味自滅技なので長時間使うことは無理。

 

 今だって、態勢だけ走りながら頭の中では頭痛と戦っている。

 ……正直辛い。

 

「あそこに見えるのがアビドスなんだよね?」

 

「そう、だけど……大丈夫?頭を押さえて」

 

「……うん、ちょっと頭痛くなっただけ」

 

 シロコは少しスピードを緩め、こめかみの辺りを右手で抑える私に心配そうに問いかける。それに対し私は笑みをもって答えるが……だいぶキツイ、頭の中で10倍速10倍音量の除夜の鐘が響き渡ってる感じだ。

 ……でも、あそこに見えるのがアビドスならあともう少しだし――まぁ、何とかかなりそうだね。

 

 

 

 

 そんな具合で、私は頭痛と、先生は高い気温と戦っていると、すぐにアビドス高等学校その正門がはっきりと見えるところには辿り着いた……だけど__

 

 どういう状況?

 正門前でピンク髪の女の子がショットガンと盾構えて、ハクアとリリアに向かって今にも発射しそうな険悪な雰囲気が流れているんだけど?

 

「……ホシノ先輩?」

 

「「"ホシノ先輩?"」」

 

「ん、アビドスの3年生の先輩。誰に銃を構えて……?」

 

「二人の方は私の仲間だね…………なんでアビドスにいるのか分からないし、それにそっちのホシノ先輩と一触即発な感じだけど」

 

 あの二人……というよりハクア、何故来た?

 いや、リリアまでなら分かるんだよ。置手紙残してきたから薄々来るとは思ってたし……でもさ、ハクアは来ないと思ってた。だってハクアだよ?「面倒臭いのじゃ~」とか連呼して拒否ること間違いなしのハクアだよ? 

 

「"取り敢えず、話を聞かないと……"」

 

「そうだね~。……そういや、先生。リリアに怒られる事確定だからそこの所は今の内に覚悟しようね」

 

「"…………え!?"」

 

 うん、正直先生を一緒に此処に連れてきたの「先生の護衛だから離れられない」の9割と「リリアの説教を二人で受けることで負担を減らす」1割だし……。ごめんね、リリアの説教辛いんだ……逃げられないし。

 

 困惑する先生を他所に私は移動のスピードを更に上昇させる。

 高速故の強い風圧を受け、眼の中に砂粒が入らないよう眼を細めてハクアとリリアの元へ向かっていった。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「どうして、こうなったんでしょうねー。ハクアちゃん?」

 

「……知らん」

 

「『知らん』じゃないんですよ。目の前の怖い人の反応からして確実にハクアちゃんの__」

 

「……教えてよ、そっちの狐の子。黒服について……」

 

「はぁ……」

 

 正門の前にいる一人の少女から放たれる途轍もない重圧。

 小鳥遊ホシノの何度も繰り返される同じ質問――――否、尋問により狐耳の少女は辟易、その隣に立つ全身ピンクの少女は困惑と恐怖の感情を持ちつつ、状況が膠着していた。

 

「どうして、そんなに黒服について知りたがるのじゃ。あいつを知って得になる事なぞありはせんぞ……?」

 

「それでも、私は知らなくちゃならない……。アビドスを護るために……!」

 

 同じことを機械の様に繰り返すホシノにしびれを切らしたハクアが溜息と「面倒臭い」以外の言葉を吐く。

 しかし、ハクアの言葉を聞いても意見をホシノは変えない――変えることなどできない。そのアビドスを()が護るという意志を実現するために、ホシノは己の所持するショットガンの引き金に手を掛け__

 

 

 

 パチンッと指が鳴った。

 

 

 

「はい、注目~!」

 

 

 

「……ホシノ先輩、どうしたの?」

 

 緊迫した空気に正門の外からのフィンガースナップ音が響き渡る。

 その音を追いかけるようにしてホシノの意識が後ろへと向いた。

 

 そこには、汗をかきながらロードバイクから降りるシロコと先生。右手で頭を押さえつつ、左手で指を何度も擦り合わせるルリの姿。

 

「先輩!待ってって…………銃!?もしかして、またヘルメット団が……」

 

「どういう状況ですか~?」

 

「皆さん、待って……」

 

 ホシノに置いて行かれた為、急いで追いかけてきたセリカ。更に急いで走るセリカが気になり追いかけてきたノノミとアヤネ。

 ……アビドス高等学校正門――アビドス高等学校対策委員会及びシャーレの先生、とその護衛が奇しくも一同に会すこととなった。

 

 

(なんかホシノって人が銃撃ちそうだったから取り敢えず指パッチンしたけど……どうしようこれ)

 

(面倒臭い……)

 

(このみんなが黙る、空気に耐えられる気が……)

 

 現在どういう状況なのか点でわからず――皆が困惑する……その中でもルリ、ハクア、リリアの護衛たちの零れた心の内がこれである。

 

「あの~、どういう状況なのか分かる人は……」

 

 誰も彼もが気まずさで口を噤む中、どうしてもこの空気感に耐え切れなくなったリリアがそう切り出した…………が、ホシノが戦闘態勢である理由を完璧に説明できるのは当事者であるホシノとハクアのみである。

 しかし、ホシノは「黒服の事をアビドスの皆に伝えて心配させたくない」という一心、ハクアは「ただただ、面倒臭い」という理由で口を開こうとしない。

 

 誰も何も言えない現状に、沈黙が続いていると溜息を吐きつつハクアが口を開いた。

 

「はぁ……わしがいらんこと言うたから、それについてこやつが怒っただけじゃ……もうこれでよいじゃろ。何故わしがフォローに回らんといけないのじゃ……さっさと眠らせてくれんかのぉ……。

 ほれ、先生。早く進めてくれ」

 

「"えーと、じゃあ……私はシャーレの先生。アビドス高等学校の依頼を受けてここに来たよ。リリア達がいるってことはもしかしたら話を聞いているかもしれないけど、よろしくね?"」

 




(ある意味、その場の空気が)ギスギスアビドス

クソ長くなりそうだったので本話と次話、二つに分けました。だから繋ぎが中途半端だけど許してください、全責任はルリに取らせます。

Tips:キヴォトス内部の存在はヘイローの形状を基本的には認識できません。……ハクアはキヴォトスの『外』の存在ではありません、純度99%キヴォトスの内部で生まれ、育ち、生きた『生徒』です。変な能力もってるのも、ヘイローの形を認識できるのも――連邦生徒会長さんが言った通り、護衛のメンバーはそれぞれ、色々と"特異点"ですから。
 因みにホシノパイセンが屋上で寝ていたのはちょっとした原作との相違点です。作者が執筆するその瞬間までストーリーをド忘れしていたとかそんなのじゃありません……ホントダヨー()


 時系列

ルリ、先生シャーレを出発
  ↓ 数時間後
リリア、ハクアシャーレ出発
  ↓ 数時間後
ルリと先生がシロコに見つけられる
  ||
ハクアの屋上行き
  ↓ 5分後
ハクアが偶々トイレに行っていたリリアを捕まえて
追ってきそうなホシノから逃亡(描写外)
  ||
ルリの無様転移
  ↓ 5分後
全員集合


Data NO.5:特技

ルリ :〇び太並みの射撃、逃走、自分にとって都合の悪い事柄をすぐ忘れること

ハクア:の〇太並みの就寝速度、話術(詐術)、お手玉

リリア:のび〇並みのあやとり、速読、料理

次回「虚を突けば勝てるだなんて……その安易な考え、致命的だよ」

どのキャラが"癖"だい?

  • 男口調が偶に漏れる黒ゴスロリTS転生者
  • 可愛いもの大好きピンク髪世話焼きお嬢様
  • 堕落ヤンデレ和服ロりのじゃ狐
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