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「んぁ~、暑い。……ハーゲン〇ッツ食べたい……」
「駄目ですよ、ルリちゃん。一昨日アイスをひと箱丸々食べてお腹壊したばかりじゃないですか」
「………ッくく」
アビドスの校舎の正門前、アビドスの生徒達から話を粗方聞き終わり、散らかして来たヘルメット団の様子を見るため戻って来た私とリリア、それと背中に引っ付き口を押さえるハクアは砂に塗れるアビドスの黄色い大地を眺めながら駄弁っていた。
尤も、来た頃にはヘルメット団はもぬけの殻。おそらくアビドスの借金事情を聴いている内に目が覚めてどっかに行ったんだろう。まぁ、最初から捕まえた後は裏洗ってから元居た場所に返すつもりだったから別にいいけど……。
「結局、
「そうですね……」
……さて、ヘルメット団の山を放置してアビドス廃校対策委員会の部室へとやって来た私たちに語られたアビドスの9億の借金の詳細をまとめるとコレに尽きる。
アビドスの自治区内の砂嵐による砂漠化の進行から前世代のアビドス生徒会は多額の資金で対策を講じようとしたらしい。……だが、アビドスという僻地に存在する学校。そんな場所に巨額の投資をするという酔狂な存在は現れず仕方なく借金をしたようだ。
後は度重なる砂嵐で更に広がる砂漠と、雪だるま式に膨れ上がった借金――この二つの波状攻撃で現在の借金9億円を越え、全校生徒5名の学校の完成という訳……。
……これは、想像以上にどうしようもないね。
いや、これが借金やギャンブルとかの所謂人や組織の関わるものなら、謎の脱獄犯Rを名乗ってちっとばっかそこを襲g……ゲフンゲフン――潰して有耶無耶にしようとか思っていたりしたけどさ。
自然災害相手じゃその手は取れない……。しかも、歴代のアビドスが積み重ねてきた借金となると、これまた
まぁ、一旦この問題は置いておこう。
それよりも今は目を向けないといけない現実がある――
「リリア、今の今まで言い出せなくて本当に申し訳ないんだけどさ。
……何その恰好?」
「…………?」
私の目の前に佇む、
そう、リリアだ。
……リリアなんだ。
泣いてもいいかな?
こんな意味不明な状態、出来る事なら現実逃避したかったよ。
アビドスの子達からの説明が終わって、昼飯食べに行くかぁとか思いつつ……ほんのちょっと、ほんのちょっとだけ眼を離したら――その隙にリリアがドレス風に改造されたいつもの制服姿からどこから突っ込めばいいのか分からない恰好に変わっていた。
誠って書いているなら羽織り
しかし、それでいてリリアが極々自然に接してくるものだから突っ込んでいい物なのかと悩んでいたわけだが……。
取り合えず、私の背中でそれをチラチラ見て笑いを堪える狐がいるため誰が原因でこんなドアホな恰好をしているのかは理解した。
「……ハクア?」
「ふは……ッくッ……んくくくッ……あはははは!もう限界じゃ!傑作!傑作じゃよッ……ふははははは!」
ハクアが堰を切った様に大声で笑い出す。
……ハクア、執念深いから――何らかの方法で確実にリリアに無理やり連れてこられた仕返しをすると思ったけど、今回はまさかのこういう形ね。
でも、良かったよ本当に……先生やアビドスの皆と別れた後、それにアビドスで……少なくとも私たち以外の目撃者はいないわけだし。まぁ、これから味わうであろうリリア当人の羞恥も押して図るべしだとは思うけど。
「ルリちゃん。……どうしてハクアちゃんは笑っているんですか?」
「あー、端的に言うなら………リリア、騙されてるよ?」
「……え?」
「だからその服装だよ。ハクアに何を吹き込まれたのかは知らないけど、その服装普通におかしいからね?」
「っえ?……これはアビドスに伝わる由緒正しい砂漠渡りの服装だって、ハクアちゃんが……」
アビドスは奇天烈新選組じゃないんだからさぁ……
そんなカスみたいな嘘に引っかかるリリアもリリアだねコレ。流石の箱入りお嬢にもほどがあるでしょこのレベルは。
「は、ハクアちゃん!?」
「ひひッ…そんなのが、
リリアが私の先――私の背中にいるハクアの方へ視線を向ける。当の嘘をついた狐は若干笑いながら自分が嘘をついていたという事を認めた。
その瞬間、恥ずかしさから真っ赤に染まるリリアの耳。目撃者は私たち以外には幸運にも存在しなかったとはいえ、世間一般で変と呼ばれる格好をしていたと知ってしまった花の女子高生の気持ちは計り知れない。
よって、リリアがその手に握りしめる
「__ぐあッ……」
人形の動きと連動するようにしてハクアの体が私の背から下へと垂直に落ちて、そのまま頭から地面に衝突する。
あー、ハクアやっちゃったな。リリアが能力まだ使っているのに煽るから……。
今のはリリアの能力『
リリアの能力ややこしいんだよなぁ……リリアのさじ加減で全部決まる上に、想いの尺度で規模が変わる分、場合によっては当のリリアでさえ結果的にどうなるか分からないと来てるし。
「おーい、ハクア。大丈夫かー」
「……ぐぅ……」
頭から衝突したくせに幸せそうに寝てるね……ハクアの思考が分からん。
いや、地面に接したから眠る場所だと誤認して反射的に寝たのか……。
…………誤認して反射的に寝るってなんだよ。
「リリア、私がコレ背負っていくからお昼食べに行こっか」
「ちょっと……待ってくださいッ。これを脱いでから行きますの…ッで」
リリアが赤色の羽織りを苦戦して脱ぎながら答えてくる。
羽織りに引きずられてお腹辺りの服がチラリと捲れ、平常時ならさぞ煽情的なんだろうが、腕を羽織りの中に突っ込んでごそごそしているその様子には色気も何もあったもんじゃない。私の率直な感想として「なんか非常に憐れ」……ただそれだけが私の脳内に残っていた。
◇◇◇◇◇
「いらっしゃいま__ってあなた達!どうして来たのよ!?」
昼飯を食べるために暖簾をくぐり、ラーメンの香しい匂いに満たされる店の中に入って来た私たちを迎えたのはアビドスの黒にゃんこ――黒見セリカのそんな元気いっぱいの声。
「『どうして』って言われても……しょうがないじゃん、近場のご飯食べられるところが此処ぐらいだったんだからさ」
「それにしたってコンビニとか……」
「そんなことよりおススメのメニューとかある?もうお腹ペコペコで――」
何かと言ってくるセリカちゃんの言葉を突っ切って私は血走った眼で聞く。もう限界なんだ、朝っぱらからトロピカルジュース飲んだ時以外は常時限界状態みたいなものだったからまともなご飯で栄養補給を早くさせてください……切に。
「分かったわよ。……テーブル席とカウンター席がありますけど。どちらにしますか?」
「テーブルの方でよろしく……」
そのまま、私は倒れかかるようにして椅子にダイブする。ついでに私の背中にずっと引っ付いていたハクアも分離して椅子に座った。
そんな私たちを見て、セリカは呆れたような顔をするがそこは店員。きちんと接客した上、オーダーを丁寧に聞いていった。
「楽しみですね!ルリちゃん!」
「おお……何時にも増してテンション高いね、リリア」
「はい!それはもう!
闇を出すな闇を。
確かに、私たちシャーレにいる時は麵と言えばカップ麺しか食べてなかったし、矯正局でもラーメンが出た時なんて片手で数えられるけどさ……私は脱出した時とか偶に食べてたけど。
というか、矯正局で一部の囚人が開催してる賭けに参加したらリリアもラーメンぐらい食べれたからね?まぁ、『規約違反』っていう注意書きはご愛敬。因みにスポンサーは私です――賭けがしたいとか言ってた重ギャンブル中毒者に賭けの景品として色々横流ししてたなぁ……懐かしい。
「お待たせしましたー、チャーシューメン大盛と……え、本当にこれ食べるの?」
「うん、こっちの人がね?」
「えッ!?あなたが!?」
セリカが持ってくるのはチャーシューメンと――コーン、もやし、チャーシュー、卵……その他多くのトッピングが山盛りに盛りに盛って最早麵どころかスープも見えなくなっているラーメン。
それを、私が
「……食べられるの?」
「安心して、あのリリア……胃袋がブラックホールだから」
リリアは大食らいだ。
と言っても、常日頃から暴食を繰り返すわけではない。本人曰く「食べる量をストックできる体質」だとか……だから偶に鬼の様に喰らってそれ以外は小食だ。ついでに太らない。
……羨ましい。
逃亡時代にその体質があれば喰い溜めが出来たのに……。
「んじゃ、いただきまーす__」
「いただきます!」
「……横から失礼するのじゃ」
いつの間にか起きていたハクアが私のラーメンに横から箸を伸ばす。そのまま麺を器用に掴み取り、口の中に数本の麺が吸い込まれていった。
「あー!ハクア取らないでよ!」
「別に良いじゃろ、お主の大盛なんじゃから少しぐらい喰ろうても」
言い争っている内に4分の1程のラーメンが消えていく。そこまでいってハクアはようやく満足したのか、箸を置いて水を飲む。
はぁ……替え玉頼まないといけなくなったじゃん。
ハクア小食だからこれで満足したでしょ……場合によっちゃお子様ランチの量でも満足する女だからな、ハクアは。
……やーい、外見どころか中身まで幼女な不完全詐欺ロリババa__
ゴスッ
「――い、痛っつー!?」
「すまぬ、阿呆がバカな事を考えている気配がしたのでな、つい手が出てしもうた。……さて、もう一啜り」
「ああー!これ以上食べるなハクア!……あ、それチャーシュー。……それをやったら戦争だぞ!」
「ずずーー。本当に美味しいラーメンですね!替え玉3つで!」
「……はい」
ラーメンを食べながら漫才の様に掛け合いをするゴスロリ服の少女と半分目が閉じながらも箸を素早く動かす狐耳の少女、それを我関せずと一心不乱に山盛りのラーメンを啜り更に替え玉までしようとする桃色髪の少女。……目の前で繰り広げられる異様な光景にセリカは現実逃避しつつも、この場に先輩達がいなくて良かったと真に思った。
・
・
・
・
・
・
「ふー、美味しかった!」
「美味しかったですね」
「美味かったのぉ……」
あれ?ハクアが店の味を誉めるなんて珍しい。
本当においしいラーメンだったよね、クーポン貰った大将もいい人そうだったし……また来よっと。
「さて……んじゃ、どうする?これから私たちはアビドスの問題を解決する為に初めての長期任務な訳だけどさ。護衛の役割も先生に『影』のマーキングはしてあることだし、多分先生の方も主にアビドスの子達と行動を共にするんでしょ?……だから、一人ぐらい先生の近くにいて他のメンバーは自由行動って感じでどうかな?」
「私もそれでいいと思いますよ。……寧ろ、私がその先生の近くにいる役割をしましょうか?」
私は突然のリリアの提案に驚く。
先生の近く――というよりアビドスの子達の近くにいる役割としては……横でもう既に食後の午睡と取ろうとしているハクアはホシノちゃんの一件からして論外だとして、リリアがここで護衛してくれると私も今
でも――
「……え、いいの。リリアって確かホシノちゃんのこと怖がっていなかった?本当に大丈夫?」
「――はい、大丈夫ですよ……そんなことよりもアビドスの生徒と一緒に行動する。それが何よりも楽しそうですから。ルリちゃんも言っていたでしょう?『楽しそうなことは何があっても絶対に逃すな』って」
リリアが朗らかに笑い、そう語る。
――そうか、『楽しそう』か。
リリアが半年前、私たちの牢屋に来た時には絶対聞けなかった言葉を聞いて嬉しくなって私の顔にも笑みが浮かぶ。
あの時のリリアはなんと言うか……酷かった。酷いというか、最早死にそうな顔をしていた。ハクアが連れてきて数日は自傷行為すら繰り返そうとしたぐらいだ。……今のリリアからは想像すらできないが不安定で今にも崩れそうな精神状態だった。
それから私が出来るだけの事をした結果、なんとか持ち直してくれたが――私には一体リリアに、元居た場所で何があったのかは分からない。だけど、こうして笑って過ごして……これからもそうしてくれるなら――それがリリアの幸せとなってくれれば良いなと、中身が年上な分そう思っている。まぁ、尤も最近は肉体に精神が引っ張られてる感じがするから"大人"としての視点とはちょっとばかし違う感じがするんだけどね。
「それじゃあ、私達――連邦生徒会所属シャーレ護衛部隊『夜顔』の初めての大きな仕事を全うしようか!」
「はい!」
「……了解、じゃ……眠……」
Tips:ルリの認識としては自分は女だけど純粋な女じゃないし、女らしさとか……まぁ、いっか!と言う感じなので男っぽい行動がよく漏れます。ただし、それはそれとして偶に自分の出したかわいい声とかに驚くことがあり、その場合高確率で近くにいる某狐が悦んでいます。
Data NO.7:仲が良い(と思っている)人 *原作キャラ限定
ルリ:連邦生徒会長、給食部と美食研、カスミ、ユウカ
ハクア:現状特になし
リリア:今まで会ってきた人全員
次回「気まぐれな夜と素直なにゃんこ」
どのキャラが"癖"だい?
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男口調が偶に漏れる黒ゴスロリTS転生者
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可愛いもの大好きピンク髪世話焼きお嬢様
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堕落ヤンデレ和服ロりのじゃ狐