脇役として頑張るだけ   作:ラン乱

1 / 13
転生サイヤ人 風翔

僕の名前は、風翔《フウト》。

 

第一の人生は、唐突に終わりを迎えた。

近所の工場で起きた事故──燃料タンクが爆発し、巻き込まれた僕は、あっけなくこの世を去った……はずだった。

 

でも、人生ってのは案外しぶといらしい。

次に目を覚ましたとき、僕は見知った景色の中にいた。

 

……そう。僕の大好きだった、あのアニメ。

「ドラゴンボール ゼノバース」――その世界の「コントン都」に、僕は転生していた。

 

***

 

???「君……気の流れからして、どうやらサイヤ人みたいだね」

 

青年の声に振り向くと、そこには紫の髪を後ろで束ねた、あの有名キャラ──トランクス(青年期)の姿があった。そしてMAD動画でも有名なトランクスルー・・・おっと、この話はやめておこう。

 

彼によると、僕のような「前世の記憶を持った一般人」がこの世界に現れること自体、かなり稀らしい。

そんな中で、彼が僕に放った一言。

 

トランクス「もし良かったら修行してみない? 安全とは言い切れないけど、君のような存在は頼もしくなれるかもしれないから」

 

どこかで聞いた台詞だな……とか思っていたら、その後に追い打ち。

 

「ちなみに修行の相手は……俺の父さん、ベジータです」

 

\オワタ\(^o^)//

 

***

 

それから3年が経った。

 

……正直、地獄だった。

 

風翔「ちょっとずつで良いですよね?」

ベジータ「ああ、多分な(ニヤリ)」

 

トランクス……あの「多分」を信じた自分が愚かだった。

ベジータのスパルタは、想像を遥かに超える凄まじさだった。何度気絶しかけたことか。だが、その地獄の果てに──

 

スーパーサイヤ人3に変身出来るまでの力を手に入れた僕がいた。

 

それでもベジータの口から出る言葉は厳しく、でもどこか誇らしげで……

 

ベジータ「…貴様の成長ぶりは、悪くない。俺の修行に耐えたのは、貴様含めて2人だけだ」

 

風翔「もう1人って誰なんですか?」

 

ベジータ「貴様には関係ない」

 

相変わらずのツンデレ王子だった。

 

***

 

そんなある日の組み手。

 

背後を取られ、背中に激痛が走る。

 

風翔「……っだあああ!? いってぇぇ!!」

 

膝をつきかけた僕に、ベジータは腕を組んで言う。

 

ベジータ「貴様の気の使い方はまだ甘い。だが、確実に伸びてはいる」

 

──そんな矢先。

 

???「君、見かけない顔だねぇ」

 

声の主に振り返ると、目に飛び込んできたのは破壊神・ビルス。

 

隣には天使ウイスまで。

 

「ビ、ビルス様ぁっ!?」とベジータが声を裏返し、即座に最敬礼。

緊張が走る。

 

僕も頭を垂れ、丁寧に挨拶した。

 

風翔「ビルス様、初めまして。ベジータさんの教え子の風翔と申します」

 

ビルス「……へぇ。君、意外と礼儀正しいんだね。サイヤ人にしては珍しいよ。しかも僕に先に挨拶とは」

 

どうやら機嫌は良さそうだ。

そしてウイスが言った。

 

ウイス「ベジータさん、ブルマ様から連絡が。新しい重力室が完成したそうです」

 

ベジータ「なにっ!? では失礼します!!」

 

ベジータ、速攻で飛び去った。

あれだけ余裕ぶってたのに……ブルマには逆らえないのか。

 

残された僕に、ウイスが言った。

 

ウイス「さて、風翔さん。質問です。戦うことは、お好きですか?」

 

風翔「……嫌いではないですが、好きというわけでも。自分を守るために修行しただけです」

 

ビルスがニヤリと笑う。

 

ビルス「面白い答え方するねぇ。じゃあさ──僕と戦ってみない?」

 

さすがにびびったけど、断れるわけがない。

 

風翔「……承ります」

 

軽くストレッチしていると、ビルスが不意に訊いてきた。

 

ビルス「君、普段何かしてるのかい?」

 

風翔「ええ。本を読んだり料理したり……」

 

ビルス「料理!? 君サイヤ人だよね?」

 

風翔「ダメですか?」

 

ビルス「いや、驚いただけだよ。ベジータが包丁握ってるとこ、見たことないでしょ?」

 

言われてみれば、たこ焼き以外見た記憶ない。

 

ビルス様、興味津々で話してくるので、ふと思いついて言ってみた。

 

風翔「ビルス様、少しお腹が空いてませんか? よければ僕の手料理を……」

 

ビルス「!! それは……美味しいやつ?」

 

そこから先は早かった。

 

バッグから取り出した「3種のチーズ牛丼弁当」。

冷めていたので気で温め、手渡す。

 

一口食べたビルス様が、箸を止めた。

 

ビルス「風翔……君、自分でこれを作ったのかい……?」

 

風翔「は、はい……」

 

ビルス「──この料理、美味すぎるっ!!!」

 

肩をガシッと掴まれ、称賛されまくる。

おまけにウイスにも食べさせないという独占欲まで。

 

ビルス「ウイスの料理より美味い」

 

ウイス「ビルス様、それは少し傷つきます」

 

***

 

食事を終えたビルスが、再び構える。

 

ビルス「準備はできたかい?」

 

風翔「……全力で、行きます」

 

気を高め、スーパーサイヤ人3へ。

そして、僕の新技──

 

「スーパーサイヤ人3《×ドラゴン(纏)》!」

 

光が迸り、全身に龍のようなオーラを纏った僕が、破壊神へ挑む。

 

……30分後。

 

風翔「はぁ……はぁ……」

 

全力で叩き込んだ攻撃は、全て軽く受け止められた。

 

ビルスは一切の疲れも見せず、静かに言った。

 

ビルス「風翔、もっと強くなってみたくないか?」

 

風翔「……でも僕、あなた方に言っておかなければいけないことがあります」

 

──そう、僕は“転生者”。

その事実を、2人に語った。

 

ウイス「稀有な事象ですが、理解できます」

 

ビルス「そうか……君が此処に来たのは偶然ではないのかもね」

 

そして彼は微笑む。

 

ビルス「次に僕と会う時、敬語は不要だ。……気に入ったよ、風翔」

 

風翔「……え、えぇ!?」

 

ビルス「敬語を使ったら破壊するよ?」

 

ビルス様……笑顔が怖いです……!

 

***

 

そうしてビルスとウイスが帰った直後、僕は空へ飛び立とうとした。

 

その瞬間。

 

空間が裂け──目の前に黒い“穴”が現れた。

 

風翔「ちょっ……なにこれ!?」

 

吸い込まれるように引き寄せられる。

 

風翔「くそ……!【気】が足りない……!」

 

抵抗するも虚しく、ビルス戦の疲労で踏ん張りが効かず──

 

風翔「ふざけんなーーー!!」

 

そして、視界は闇に包まれた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。