脇役として頑張るだけ   作:ラン乱

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紅と蒼の極限対戦

風翔「ふう……」

 

 コントン都の広間で風翔は腰を下ろし、息をついていた。スーパーサイヤ人ゴッドの姿に「纏い(まとい)」を合わせたことで、自分の体が龍人へと変貌するという新たな現象を経験した彼は、それが「纏い」の特性に神の気が融合した結果だと結論づけていた。今はその変身を解いており、姿は元の人間のままだ。

 

風翔「まさか、自分があんな姿になるなんてな……でも、纏いを解けば戻る。つまり、龍人の姿は“神気纏い”限定ってことか……よかった。元に戻れなくなったら洒落にならなかった」

 

 そんな独り言をつぶやいていると、背後から力強くも親しみのある声が響いた。

 

孫悟空「おめえが風翔(フウト)か?」

 

 驚いて振り返ると、そこには誰もが知る人物──オレンジ色の胴着を纏い、黒髪の戦士、孫悟空が立っていた。

 

風翔「えっ!?……はい、そうですけど……」

 

孫悟空「やっぱりなぁ!トランクスから聞いたんだ。おめえ、すっげえ強くなったって!」

 

 ワクワクと目を輝かせる悟空の姿に、風翔は嫌な予感を覚えた。

 

孫悟空「なあなあ、オラと手合わせしてくれねえか?」

 

風翔「……ごめんなさい。遠慮しておきます」

 

孫悟空「ええっ!? 何でだよっ!」

 

風翔「戦いたいだけでしょ、あなた」

 

孫悟空「うっ……」

 

 図星を突かれた悟空が言葉に詰まった、その時だった。

 

???「フッフッフ……」

 

 どこからともなく響く余裕のある笑い声。続いて、空間が揺れ、そこに現れたのは破壊神ビルスとその付き人ウイスだった。

 

ビルス「やれやれ、せっかくの面白そうな話を聞き逃すところだったよ」

 

風翔「ビルスさん!? いつからいたんですか!」

 

ウイス「先程からです。風翔さん、突然あなたの気が消え、そしてまた現れた……まるで空間を渡ったような波長でしたから、気になって」

 

ビルス「で、また強くなったのかい? 神の気……それにしては妙に深い波動を感じたけど?」

 

風翔「その件は、後でちゃんと説明する……たぶん」

 

孫悟空「なぁなぁビルス様! 風翔と手合わせしてもいいか?」

 

ビルス「もちろん。君がその気ならね、風翔?」

 

風翔「はあ……分かったよ。なら、条件をつける」

 

孫悟空「条件?」

 

風翔「お互い、スーパーサイヤ人ゴッドになって闘いましょう」

 

孫悟空「おっ、面白え!おめえももゴッドになれるんか!」

 

 悟空が構えると、体を包む気が紅に染まり、彼はスーパーサイヤ人ゴッドへと変身した。それに呼応するように、風翔の体からも静かながら強烈な赤い神気が立ち昇る。

 

風翔「……神の気ってのは、ほんと不思議な感じだな。」

 

 気の揺らぎに合わせ、広間の床がきしみ、空気がピリピリと震える。

 

ウイス「おやおや、お二人とも、ここでやるつもりですか?」

 

ビルス「仕方ないね、ウイス。移動させてくれるかい?」

 

ウイス「もちろんです」

 

 ウイスが杖を一振りすると、風翔と悟空、それに観戦役のビルスとウイスは、人里離れた広大な荒野に転送された。

 

ビルス「さあ、好きに暴れていいよ。ただし、星は壊さないでね」

 

孫悟空「よっしゃあ、行くぜ風翔!」

 

風翔「望むところだよ!」

 

 二人が瞬時に地を蹴ると、次の瞬間には互いの拳が空中でぶつかり合った。衝撃波が炸裂し、周囲の岩盤が一瞬で粉砕される。

 

孫悟空「オラ、ワクワクすっぞ!」

 

風翔「これが……悟空さんとの本気の勝負か!」

 

 拳、蹴り、肘撃ち、膝蹴り──互いに全力で技を繰り出し、受け流し、反撃する。そのスピードは光に近く、観戦していたビルスでさえ、思わず腕を組み直すほどだった。

 

ビルス「へえ……やるね、風翔」

 

ウイス「彼の気の制御、神の気との融合……ほぼ完璧に近いです。」

 

 戦場では、風翔が一歩引いた。

 

風翔「ならば……!」

 

風翔の全身に赤いオーラが集まり、さらにそれに呼応するかのように、足元から紅い炎が巻き起こる。神の気を纏った風翔が、再び己の技「纏い」を発動する。

 

風翔「“纏え”!」

 

 瞬間、風翔の身体が眩い紅光に包まれる。光が収束した後、そこに現れたのは人の姿を超越した存在。紅蓮に染まった鱗を持ち、背中には大きな龍の翼。瞳は黄金色に輝き、髪も逆立ち、燃えるような紅の光を放っていた。

 

 真紅の龍人──それはスーパーサイヤ人ゴッドに纏いを合わせた、風翔の新たな姿。

 

孫悟空「なんだあの姿……!? 龍になった……!」

 

 悟空は目を見開き、構えを取ったまま言った。

 

孫悟空「こりゃあ……オラも全力でやんねえとな!」

 

 瞬間、悟空の赤い気が変質する。より洗練され、激しい気が身体を包む。赤から蒼へ──悟空の髪が鮮やかな青に染まり、目も碧光を放つ。

 

孫悟空「“スーパーサイヤ人ブルー”、いくぞ!」

 

 紅と蒼、神の気を纏った二人が、空中で対峙する。互いの気が空気を押しのけ、衝撃波が地面を揺らす。

 

ビルス「おおお……これは面白くなってきた」

 

ウイス「紅き龍とサイヤ人の神……最高の一戦ですね」

 

 その言葉を皮切りに、激戦が始まった。

 

風翔「はああっ!!」

 

孫悟空「だりゃあっ!!」

 

 まず動いたのは風翔。真紅の龍人となったその身体は、空を滑るように動き、悟空の懐へと一瞬で飛び込む。右の拳に炎を纏わせ、悟空の腹を狙った一撃──しかし、悟空はそれをギリギリでガード。

 

 バァンッ!!

 

 音の壁を超える音が鳴り響き、二人の拳が交差する度に、大気が震え、雷のような閃光が走る。

 

孫悟空「はっ!こっちの番だ!」

 

 悟空が蒼き気を爆発させ、渾身のストレートを放つ。しかし風翔はそれをすり抜けるように回避、龍のように空を舞い、悟空の頭上から真下へと踵落としを叩きつけた。

 

風翔「“焔墜槌”!!」

 

孫悟空「おおっ!? ぐはっ!」

 

 悟空が空中でバウンドし、地面へと弾かれた。そのまま地に激突するかに見えたが、悟空はぎりぎりで姿勢を立て直し、空中で受け身を取る。

 

孫悟空「くっ……まだまだあ!!」

 

 悟空は両手を広げ、気を集中。蒼き球体が形成される。

 

孫悟空「“かめはめ波ぁーーーーっ!!”」

 

風翔「来たな……なら、こっちも!」

 

 風翔の両手にも神の気が渦巻く。炎と風のエネルギーを凝縮した光球が、彼の掌で爆ぜる。

 

風翔「“紅蓮双波・爆流陣!!”」

 

 二つの光線が空中で交差する。紅と蒼、二つの神気がぶつかり合い、辺り一帯に凄まじい爆風が巻き起こる。

 

 地形が変わり、空気が震え、観戦していたウイスの杖が風で揺れた。

 

ウイス「ふふ、なんという規模……お互いの力を測るには十分ですね」

 

 煙が晴れると、二人の姿が再び視界に現れた。

 

孫悟空「ゼェ、ゼェ……オラも、そろそろ限界……だな……」

 

風翔「……ああ、俺も……だけど、まだ……!」

 

 そう言いながらも、風翔の膝がカクンと揺らぐ。限界はとうに越えていた。真紅の龍人化も維持が難しくなっており、オーラが時折揺らぎ始める。

 

孫悟空「オラ、ワクワクしたぞ、風翔……でも!」

 

 悟空の最後の一撃、膝蹴りが風翔の腹部に突き刺さった。

 

風翔「ぐっ……あああ……!」

 

 紅いオーラが一気に消散し、風翔は地面に倒れ込む。

 

風翔「体力……続かねぇ……!」

 

 風翔はゼーゼーと荒い息を吐きながら、空を見上げる。その視界に、悟空の笑顔が映った。

 

孫悟空「ははっ……オラ、久々に……マジで楽しかったぞ、風翔!」

 

風翔「……そりゃ、どうも……はは……」

 

 互いに肩を上下させながら、地面に座り込む二人。その姿を見たビルスは、やれやれと肩をすくめた。

 

ビルス「いい戦いだったね。特に風翔、君の龍人化……あれは本当に神気が混じっているんだろうね」

 

ウイス「ええ、まるで神の血脈を一時的に手に入れたかのような……もしかしたら、その“纏い”という技が、世界の境界を繋いでいるのかもしれませんね」

 

 風翔は、遠くの空を見上げる。

 

風翔「この先、何があっても……俺は、この力を……守るために使いたい」

 

 戦いの余韻が静かに空へと溶けていく。

 

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