脇役として頑張るだけ   作:ラン乱

2 / 13
新たな街、新たな子供達

 

風翔「くっそ・・・、こういうのは予想外過ぎるって……。」

 

全身にまだ残る疲労感を引きずりながら、僕は暗黒空間からようやく抜け出した。

視界に広がるのは……高層ビル、アスファルトの道路、広告看板と車の列。

 

風翔「東京か?ここは……。」

 

懐かしい風景だと一瞬思った。

けれど、交差点を歩く人々の言葉が耳に入った瞬間、違和感を覚える。

 

「Oh my god!!」

「Hurry up! We’re late!!」

「C'mon, let’s go grab some coffee!」

 

風翔「英語……?……まさか……!」

 

近くの歩道橋に駆け上がり、上に掲げられている道路案内板を見上げる。

 

『Welcome to New York』

 

風翔「……ニューヨーク……!?」

 

その英文が、なぜか自然に理解できた。まるで頭の中で翻訳されたかのように。

 

風翔(どうして……?なぜ日本じゃなく、アメリカに……!?)

 

頭の中に、再び混乱の波が押し寄せてくる。

そしてその瞬間──

 

「うわっ!?」「いてっ!」

 

何か小さなものが足元に突っ込んできて、僕は少し体勢を崩した。

 

?「いってー!何処見て歩いてんだ、デカい兄ちゃんよ!」

 

小さな男の子が、地面に座り込んで文句を言ってくる。続いてもう一人──少女がその子の頬を叩いた。

 

?「アンタがちゃんと前見て行かないからでしょ!」

 

バシッ!

 

???「いでーーーっ!?なんで叩くんだよメグ〜!」

 

メグ「後ろばっかり見てるシュウが悪いのよ!」

 

そして横からもう一人、小さな帽子を被った少年が慌てて二人に駆け寄ってくる。

 

???「またやってるんだな……シュウは反省しないんだな……。」

 

風翔「僕は気にしてないから、大丈夫だよ」

 

僕が言うと、三人とも一瞬びっくりした顔をしたが──すぐに明るく笑った。

 

シュウ「な!ほら、メグ、マック!兄ちゃん怒ってねーってさ!」

 

メグ「コラ!謝りなさいよ、あんたがぶつかったんだから!」

 

バチィッ!

 

また叩かれた。

 

マック「お兄さん、大丈夫なんだな?怪我してないんだな?」

 

風翔「ん、大丈夫。怪我なんてしてないよ。それより……君たち、急いでるのか?」

 

僕はしゃがんでマックと目線を合わせた。

 

マック「そうなんだな!学校がもうすぐ始まる時間なんだな!」

 

次の瞬間、僕はマックを右肩にひょいと抱き上げた。

 

風翔「じゃあ──乗れ!一気に送ってやる!」

 

マック「えぇぇぇええっ!?」

 

足に軽く【気】をまとわせ、アスファルトを蹴る。

 

風翔「行くぞっ!」

 

軽い助走だけで、目の前の景色が一気に後方に流れていく。

数秒で、先に走っていたシュウとメグを追い越した。

 

シュウ「うおっ!?ええええっ!?なにぃ!?」

 

メグ「早すぎっ!?」

 

風翔「おっと、行き過ぎた。……二人とも、乗ってく?」

 

シュウとメグは呆然としたまま頷き、背中に乗り込んできた。

 

風翔「マックだったな。学校まで案内頼んだぞ」

 

マック「う、うん、分かったんだな……この道をまっすぐ……!」

 

風翔「了解、出発!」

 

僕はアスファルトの上を風をまといながら滑るように走る。

周囲の人間たちが驚きの表情で振り返るが、今は気にしていられない。

 

シュウ「兄ちゃんすっげー!これ何!?超能力!?ヒーローかよっ!」

 

メグ「髪の毛、風になびいてる……かっこいい……!」

 

風翔「(……ここ、ニューヨークでしょ……なんで日本語で会話できてるんだ?)」

 

そんな疑問も浮かんできたが──今は、この子たちと一緒に走るこの時間が不思議と心地よかった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。