脇役として頑張るだけ   作:ラン乱

8 / 13
レジェンズクラブ入部、そしてヒョウ柄の誓い

陽はだいぶ高くなり、空にはゆるく雲が流れていた。

秘密基地の周囲は、虫の声と遠くの町のざわめきが微かに聞こえるだけで、とても静かだ。

 

そんな中、突然、シュウが勢いよく立ち上がった。

 

シュウ「ではっ!」

 

手を大きく掲げてポーズを決める。

 

シュウ「これより、フウトが仲間に加わったことで――“レジェンズクラブ”に新たな部員として迎え入れることをここに宣言する!」

 

フウト「……レジェンズクラブ?」

 

ぽかんと呟くフウトの横で、メグが苦笑いを浮かべる。

 

メグ「シュウが勝手に作ったものだから、あんまり気にしないでいいわよ」

 

「勝手言うなよ、メグ!」とシュウが振り返る。

 

シュウ「これはなー、俺らの絆の証でもあり、チームの名前でもあるの!な?」

 

フウト「へえ……それで、僕は何担当なんだ?」

 

質問を投げかけると、シュウは自信満々に両手を広げる。

 

シュウ「よーし!フウトは“生徒会委員”だ!」

 

フウト「……なぜ、生徒会?」

 

シュウ「えーっとな、なんかフウトって俺らより年上でしっかりしてそうだから……で、生徒会!これしかない!」

 

メグ「なんて雑な理由……」

 

マック「でも、フウトならきっと頼りになるんだな」

 

シュウ「ってことで、今日からお前もレジェンズクラブの正式メンバーだ!」

 

フウト(……簡単に決めたなぁ)

 

内心呆れながらも、どこか温かさを感じてしまうフウト。

こういう“遊び”の感覚は、どこか懐かしい。

 

フウト「じゃあ、ちなみに……君たちは?」

 

シュウ「おう!俺は当然“部長”だ!そして、メグは“ウサギ飼育委員”で、マックは“美化委員”!」

 

フウト「なんで部活じゃなくて学校の委員会風なんだ?」

 

メグ「それも全部、シュウの命名センスよ。……あきれちゃうでしょ?」

 

マック「でも、役割があると楽しいんだな」

 

シュウ「そして、忘れちゃいけねえ!でかっちょは“副部長”だ!」

 

シロン「だから!でかっちょ言うなっての!!」

 

怒鳴るシロンをよそに、シュウは懐から何かを取り出した。

鮮やかなヒョウ柄の布がくしゃっと丸められている。

 

シュウ「さーて!レジェンズクラブの“部員のしるし”として、これを付けてもらう!」

 

手渡されたのは、なんとも派手な――ヒョウ柄のスカーフ。

 

フウト「……これを?」

 

シュウ「そう!これを首とかに巻いたり、リストに付けたり、好きなとこでいいんだけど、常に“持ち歩く”こと!これ、ルールな!」

 

フウト「……ねえ、メグ。これ君も付けてんの?」

 

メグ「いえ、カバンの奥底に放り込んであるわ。正直、使い道がなかったのよ」

 

マック「僕も、洗濯機の下に落ちてそのままなんだな……」

 

フウト「……まあ、せっかくだし、巻いとくか」

 

手に取ったスカーフを軽く整え、フウトはゆっくりと首に巻いた。

鏡はないが、手触りからしてちょっとだけ恥ずかしい。

 

フウト「――これからもよろしくな、部長」

 

シュウ「うおおおおおっ!!流石、生徒会委員!話が分かるじゃーん!!」

 

満面の笑みを浮かべて、シュウが勢いよく手を振り回して喜んでいる。

 

メグ「よくそれ巻けるわね、恥ずかしくないの?」

 

フウト「昔から変なの身に付けるの慣れてるからな。腕輪とか銀のチェーンとか……バングル、スパイク付きのリストバンドもあったし」

 

マック「フウトさん、昔は何してたんだな?」

 

フウト「んー……それはまた、いずれ話すよ」

 

笑ってごまかすが、その声色にはどこか懐かしさが滲んでいた。

前世――つまり、かつて生きていた“元の世界”での生活。

 

フウト(人間だった頃は、毎日がただ流れてたな……あの頃の俺が、こうやって子供とスカーフ巻いて笑ってるなんて、誰が予想できたか)

 

その思いが胸を過った瞬間。

 

すると、シロンが、翼をばたつかせながら小突いてきた。

 

シロン「おい、フウト!こいつらのノリに流されすぎだろ!ヒョウ柄だぞ?ヒョウ柄!」

 

フウト「お前は副部長なんだから、ちゃんとノってやれよ、でかっちょ」

 

シロン「俺はでかっちょじゃねぇ!!」

 

「でかっちょ副部長!!」と一斉に言う子供たち。

 

「違うううううう!!!」と天に向かって咆哮する白竜。

 

太陽がさらに傾き、秘密基地の中には笑い声がこだました。

 

どこか懐かしく、どこか温かく。

“本物”じゃなくてもいい。子供たちにとって、この時間はかけがえのない“絆”なのだ。

 

そしてフウトも、その中心に――確かにいた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。