真っ白な空間に私は居た。
上下も、左右もただただ真っ白な空間、どこまで行けば終わりがあるのか分からない白い場所で椅子に座って何かを待っている。
ああ、これは夢か
ぼんやりとこれが夢であると自覚する、きっと夢の中で自分の記憶を再現しているのだろうとあたりをつけた。
そして私の記憶の通りなら、この後に神々しさを纏った金髪で白い服をきた人物ーーーありたいに言って神様が現れるはずだ。
この白い空間で神様とあって転生する、
私の記憶が正しいことを証明するように目の前の空間が歪んで、まるで先ほどからそこにいたかのような自然さで神様は現れた。
青年の姿をしているので、この夢はここ最近の転生時の記憶を元にしているらしい。
今回の世界に転生したときの記憶だろうか、ぼんやりとそんなどうでもいいことを考える。
「やあ、久しぶりだね」
神様はまるで友人――実際付き合いは長い方で向こうは友人だと思っているらしい――に会ったような気さくさで私に話しかけてきた。
それに対して私の体は自動でお久しぶりです、お元気そうで何よりです、と我ながら見事な定型文で返答する。どうやら私の意識で体は動かせないタイプの夢らしい。
それを聞いた神様は愉快そうに笑う。
「ハハハ! 神様である僕の健康を気遣うのは君ぐらいなものだろうね。見ての通り私は元気さ、なんたって神だからね!」
そうですか、と私の体が無感情な声で返答した。
今のははただの社交辞令なので特に笑われたのは気にしていない、久々に会った
特に何もせずに神様が笑っているのを眺めること数十秒、ようやく笑いが収まった神様が私と向かい合う。
「いやー、笑った笑った。さて―――じゃあ、仕事の話をしようか」
神様は変わらず笑顔だが、その一言とともに彼の纏っている雰囲気が変わって空間が締まった感じがする。
ここからが本題だと理解した私の体も無意識に少し緩んでいた背筋が伸びた。
「そんなに緊張しなくてもいいさ、君にとってはいつも通りの仕事だよ。転生者の存在する物語の世界に転生し、転生者によって変化した物語の観測さ」
私の仕事。
この神様が転生させた人間のいる世界に私も転生して、その世界の変化を見つめる仕事。
そうして私が観測した世界の物語は上司である神様―――娯楽の神に報告され、それを神様が物語として別の神々の娯楽として提供する。
それが私たちの仕事であり、転生の真実だ。
転生者の転生後の人生とはただの神々にとっての娯楽であり、消費されるだけの物語だ。
転生者自身の苦悩やら葛藤やら、あるいは無双やら苦戦やら、仲間との絆やら友情やら恋やら愛やら、本人にとっては大まじめに生きている人生は最終的に神々の娯楽として消費され、それでお終い。
その後の転生者は魂が漂白されて輪廻転生に戻るか、良い物語を描いた転生者はそれまでを忘れてまた転生するか、あるいは私のように全てを知って神様の部下として働くかだ。
初めて
まあ、今ではもう何も感じないわけですが。
もうかれこれ何百年、いや何千年? 転生者やってこの仕事をしているのだ、さすがに割り切る。
多くの転生者は何も知らされずに転生するし、私のように神様の部下になるまで転生し続けてすべてを知る人は稀だ。
大体の転生者はこの真実を知るより先に神様に飽きられて輪廻転生する。
そう意味ではこの事実を知るまで神様に気に入られた私のような人物が一番不幸なのかもしれない。
神に選ばれたのにそれが一番の不幸とはおかしなものである。
私が自分の仕事について思いをはせている間に夢の会話は続いていく。
どうやら今は夢の私が神様に詳しい話を聞いているところだ。
「今回対象になった転生者の情報はこれね、名前は―――、転生初心者だね。いやあ、彼はどんな風に物語を変えてくれるかな?」
ああ、やっぱりか。
転生者の名前を聞いて私はこの夢が今回の仕事の記憶だと確信する、とはいえ気づいたところであまり意味はない。
自動で動く私の体は、私にとってはどうでもいいことです、と返事をした。
実際私は遠くから見るだけなので、転生者がどう生きて物語を変えようが私には基本的には関係のないことだ。
……偶に元の物語との乖離が激しく、娯楽としてもよろしくないため私自身が転生者に手を出すこともあるので、絶対とは言えないが。
まあ、そういう意味でも私と転生者の間は全く関係が無いのが好ましいだろう。
「はいこれ、彼が転生した世界についての情報ね」
転生者が転生した世界、そして私がこれから転生する世界についての情報を知る。
その世界は私も何度が転生してよく知っている/私も一度も転生したことの無い世界だった。
どちらにせよ、私にとっては関係ない。知っている世界でも、知らない世界でもどうせ転生者が物語を変えるのだから。
私の体も一瞥しただけで了解しましたと返した。
「うん、それで君の転生特典だけど何がいい?」
私の体が日記帳と即答した。
日記を書くのは私の趣味だ、その日の出来事を記して、纏める。
時には過去の日記を見返してみるのも嫌いじゃない、ついでに自分の記憶の整理にもなる。
過去に同じ世界に転生していた場合、昔の記憶と今世の記憶がごっちゃになることがあるのでそれを防ぐ意味もある。
神様は若干呆れ顔だが、私としてもこれは譲れないのだ。
「いつも同じだねぇ……まあ、君らしいといえばらしいのかな。いつも通り過去の日記帳も付けておくよ、君にしか開けないように細工もしておく」
神様が手元で色々と弄って出来上がった光の塊が日記帳に代わり、私の手元に飛んできた。
私はその日記帳を大切に抱きかかえ、これで準備は完了だ。
それと同時に、私の意識に眠気に似た感覚がやってくる。どうやら夢の終わりも近いらしい。
「さあ、準備はおしまいだ。仕事とはいえ新しい人生、楽しんでくれたまえ。では、よい人生を!! また会う日まで~」
神様の宣言とともに一気に真っ白に染まる視界と同時に浴びる跳躍感、白い空間にいるというよりは光の中を進んでいる感覚。
流れに身を任せて私は目を瞑って転生を待つ。
私の体が目を瞑るのと同時に私の意識は落ちて、私は夢から覚めて現実に変える。
―――さあ、私の
簡単キャラ紹介
娯楽の神様
転生者たちを物語に転生させてどう生きるかを見て、他の神々の娯楽にしている。
面白くなれば何でも良いやの精神。
その為なら観測者が転生者含めてぶっ壊しても面白いからOKです! とか平然と言う。
主人公の事はお気に入り、やる気無いのに滅茶苦茶影響出してて面白くしてるやん、最高!
あと二千年位は解放する気はない。