○月✕日
この世界に生まれ落ちてはや数年、この世界がIS〈インフィニット・ストラトス〉の世界であると確認が取れた。
この世界は白騎士事件という分かりやすい出来事があって助かる。
私の近くにいわゆる原作キャラも、転生者本人も確認できない。
とりあえずの目的はIS学園に入学することだ。
この世界の物語はあそこに行かないと観測できない。そういう意味では不便だ。
とは言え、IS世界に転生するのは……数えるのを途中で止める程の経験がある。
日記と共に記憶を整理すればどうとでもなるだろう。昔はブリュンヒルデなりワルキューレなり、新世代機開発の第一人者になったこともあるのだ。
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✕月□日時
本日は第一回モンド・グロッソで織斑千冬が優勝した。それだけだが、この世界が根本的に変わるような改編はできない、あるいはしないタイプの転生者らしい。
ま、情報として男なのは知っているし、世界を震撼させるのは確定だ。気長に待とう。
とりあえず今は、ISに関する知識を一般的な範囲で集めながら、記憶を思い出している。
この世界では特別な事をするとテロリストやら天災兎やらが近寄ってくるので、あくまで一般的な範囲で、だ。
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△月◇日
今日は第二回モンド・グロッソの開催日だったが、原作通りに織斑千冬は決勝を棄権した。
ここは転生者が織斑千冬の身内だとターニングポイントになりやすい為、ちょっと
結局誘拐されたのは織斑一夏のみ、彼が織斑千冬の唯一の家族であることが判明。原作通りだ。
念のため、誘拐事件が終わった後暫く回りを確認したところ、織斑姉弟の近くに転生者と思われる人間を見つけた。
織斑姉弟とも近しい関係らしく、二人を名前呼びしていおり二人も春樹と呼んでいた。
どうやら原作キャラと積極的に絡みに行くタイプらしい。
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?月☆日
今日はIS学園入学の試験日だ。
筆記の方は問題なし。今世では散々知識を集めたしそこに前前×n世の記憶も使えば当然だろう。
ズルと言われたら否定しない、それに対する罪悪感はもうとっくに置いてきた。
実技の方は……普通に負けた。
まあこの試験自体受験者が勝てるようにはできていない。勝てるのは以前から訓練を受けている代表候補生位だろう。
よって、負けるまでに何ができるか、が重要になってくる。
私の場合は飛行と武器のマシンガンを何発か当てることに成功した。
そしてこの試験では飛行することができれば合格は確実と言っていい。よってこちらも問題ない。
そう、問題は無いのだ……嘗てブリュンヒルデやワルキューレになった私が当然のようにあっさりと負けても……何も、問題は、無い。
……久々に悔しいと思った。懐かしい。
?月★日
本日は世界発のIS男性操縦者発見のニュースで一杯だ。そこには織斑一夏の名前しかない。
積極的な転生者なら一緒に報道されることもあるのだが……案外、本筋には影響を出したくないタイプなのだろうか?
どっちにしろ男性適性検査で炙り出される、運命とはそういう物だ。なにせ、じゃないと物語が変わらない。
たまに直接関わらないのに回りに影響を与え、バタフライエフェクトで物語を変える転生者がいるが、それは一種のバグのような物だ。
前提には考えない。
個人的な勘だが彼は典型的な、良く言えば王道的な転生者だ。IS学園に来るだろう。
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?月!日
無事、世界で二人目の男性操縦者が見つかった。
ついでに三人目はいなかった。
たまにバタフライエフェクトが重なりに重なって天然で男性操縦者が生まれることもあるが、今回は無しだ。
生まれた方が娯楽としては楽しいだろうが、私としては観察対象が増えるのはあまり好ましくない。面倒だし。
それから、IS学園から合格通知が届いた。
予定通り学園で物語を観察することになるだろう。後はクラスだが……ま、そこは神様がさぼらなければどうにかなるだろう。
運の分野は私では流石にどうしようもない、神様の介入に頼るしかないのだ。
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4月&日
本日はIS学園の入学初日。
無事男性操縦者二人と同じクラスに入った。
後は基本原作通りだ。
織斑一夏が自己紹介でやらかし、担任が織斑千冬と判明して、クラス委員決めで男子二人が推薦されセシリア・オルコットが怒り、お互いにケンカを売った買ったで男子二人とセシリアの対決が決まった。
空野春樹は対決には乗り気らしく、一夏と打倒セシリアを掲げていた。
違いとしては、一夏が事前勉強を行っていた事とハンデのくだりが無かった事だ。
転生者である空野春樹が身近に居た影響らしい。
後は……私と一夏が寮の同室だった。
どうやら本来の相手である篠ノ之箒と同室にはならず、空野春樹が彼女と相部屋になったらしい。
今回の相部屋相手のように、本来は存在しない人間である転生者がいる結果として生まれる歪み、それを最小限に押さえるのも私の役目である以上予想はできた。
まあ、ドアを開けたタイミングがちょうど私が下着の整理をしていた時だったのは流石原作主人公と言った所か。
私としては別に何とも思わないが、一夏はそうでは無かったらしい。理解した瞬間謝りながらドアを閉じて出ていった。
ついでに隣から誰かが殴られた音がしたので、隣は箒と空野春樹のようだ。
4月%日
本日も原作との隔離は無し。
一夏と空野春樹の二人に専用機が与えられる事が千冬先生から告げられた。
クラスは沸き立ち、セシリアは満足気だった。
そして放課後、対セシリアの特訓を二人が始めたので野次馬に紛れて(というか私もなのだが)覗いてみた。
どうやら原作通りに箒に剣道で鍛えて貰うつもりのようだ。
その後の試合では二人揃って箒に負け、弱いと詰め寄られていた。当たりが一夏よりも転生者の空野の方が強かったのが印象的だ。
彼女は好意を寄せている人間にこそきつく対応するツンデレだ。それを考えると今の箒は一夏よりも空野への感情が大きいのだろうか。
ふむ……箒とも知り合いだし好意を向けられていると……案外ハーレム乗っ取り系転生者なのだろうか?
ちょっとイメージとはずれる。
追記
まさか夜になって私の部屋(一夏の部屋でもあるが)で作戦会議をするとは思って無かった。
そしてさも当然のように私も巻き込まれかけた。いつの間に仲間判定をされたのか……私はこの戦いには興味も干渉もしないと告げて部屋を出た。
そして今廊下で日記を書いている訳だ。次からは箒と空野の部屋でして欲しい。
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4月+日
あれ以降、特にこれと言った特別な出来事は無く今日というクラス代表決定戦が開催された。
結果は以下の通りだ。
一夏○ ー ✕セシリア
セシリア○ ー ✕空野
空野○ ー ✕一夏
なんと、全員が一勝一敗という中々に珍しい結果になった。特に一夏がセシリアに勝利するパターンは中々見ない。
それぞれのポイントを考えると
一戦目の一夏対セシリア。
これは序盤のダメージの少なさが要因だろう。
原作と違い、一夏はセシリアとの戦いで調子に乗ること無く戦っているのが見て分かった。その結果原作通りミサイル直撃と同時に一次移行した後、驚いていたセシリアにエネルギーが十分な零落白夜による必殺の一撃を直撃させ勝利を納めていた。
二戦目の空野対セシリア。
これは一夏との戦いでセシリアの中で変化が起きたらしく、それが強く影響を出していたと思う。
最初から最後まで油断無く空野を追い詰めていた。対する空野も初心者とは思えない飛行と接近技術で追い付いていたが、最後に発動した単一能力『零落黒夜』、要するに遠距離にも使える零落白夜で決めようとしたのをセシリアがまさかの名前呼び召喚したインターセプターで防御したことで失敗。エネルギー切れで敗北となった。
プライドが高い彼女が、初心者の技術である名前呼びを使ってでも勝ちを求める姿。それは男だからと二人を下に見ていた彼女とは明らかに違っていた、ここが勝利の分け目だろう。
三戦目の空野対一夏。
これはなんというか、順当という感じだった。
二人とも初心者とは思えない飛行と接近戦で見応えがあったが、結局は接近オンリーの一夏と黒夜による遠距離攻撃が可能な空野であれば有利なのはやはり後者。
最後は零落白夜と零落黒夜がぶつかり合い、一夏が黒夜を弾いた直後にエネルギー切れを起こして敗北した。
とはいえ、やはり操縦者の実力が近いこともあって一番見応えがあったし、空野の専用機についても色々知ることができた。有意義だったといって良いだろう。
空野春樹の専用機についても書き残しておく。
名前は『
イメージとしては、色を黒と赤に反転させた白式を若干刺々しくした姿だ。
武器は黒雪という名前のブレードが一本、やはり雪片弐型と似ていた。
ただし単一能力は零落黒夜というオリジナルになっており、これは先程も書いたが斬撃を放つ遠距離武器としても使える零落白夜の上位互換……ではあるが見た感じ元よりも燃費が悪そうだった。
黒夜の名の通りエネルギーブレードの色が黒で黒い光とはこれいかに、という感想だ。
とにかく今日の戦いは原作との違いも存分にあり楽しめた。娯楽としても悪くないだろう。
後はクラス代表が誰になるかだが……引き分けだから本当に分からない。おそらく男子のどっちかだとは思うが。
ま、楽しみにしておこう。
追記
そういえば、なぜか一夏からお礼を言われた。
曰く「セシリアに勝てたのは私のおかげ」らしい、ちょっとなに言っているのか分からない。
とりあえずどういたしましてとだけ返しておいた。なにかしたっけ……
簡単キャラ紹介
空野春樹
この世界の転生者。
オーソドックス、テンプレート、安定的な普通の転生者。特にこれといった野望は無い。
織斑家のお隣さん、一夏とは男幼馴染。
一夏と仲が良かったので自然と箒とも仲良くなった。結果として箒から好意を寄せられている。
普段は落ち着いた人物として振る舞っているが、素は割りと残念な三枚目。鈴から「それっぽく振る舞えばモテそうなのに」と言われてからは落ち着いた人物として振る舞っている。
専用機 黒曜
日記の通り、黒と赤色で若干刺々しくなった白式なイメージ。なお、展開装甲で単一能力を使用時にはスラスターが増える。
これによって二重瞬間加速が可能。
単一能力 零落黒夜
零落白夜と殆ど同じ能力だが、エネルギーブレードを斬撃として前方に発射可能。
ただしこれをすると一気にシールドエネルギーを消費する。
エネルギーブレードの色は黒。